テニス大会協賛L 秘密特訓Y&O 投稿者:OLH
 呆然とたたずみ、OLHはひとりごちた。
「……何故、俺はこんな事をしてるんだろう……」
「ほらっ! 次いくわよっ!!」
 ひゅっ! すぱーーーーーん!!

=== テニス大会協賛L 秘密特訓Y&O ===

「ほらっ! 何ぼけっとしてるのよ! そんなのぐらい軽くかえしなさいっ!」
「無茶言うないっ! んなコートの隅狙われて反応できるかっ!」
「何言ってるのよ。それぐらいできなきゃ優勝は狙えないわよ。笛音ちゃんと
ティーナちゃんに温泉旅行プレゼントするんでしょ?」
「くううううっ」
 斎藤勇希教諭にそう指摘され、OLHは血の涙を流した。

 ここはとあるインドアテニスコート。勇希とOLHは近々開催される男女混
合テニス大会に参加するための特訓をしていた。いや、正確にはOLHが勇希
にしぼられていた、と言うべきかもしれない。
「くそう、本当なら琴音ちゃんと出るはずだったのにぃ」
「馬鹿ねぇ。普通、他の女の子にプレゼントするのに協力して、なんて言われ
て、素直に協力する女の子はいないわよ」
「……しまった、そうだったのかっ!?」
「……はぁ、わかってなかったの?」
「だって笛音は琴音ちゃんの……あわわわ……いや、なんでもない」
 何か口ごもったOLHを気にする様子も無く勇希は言葉を続ける。
「まあ、でもこうやって私が協力してあげてるんだから感謝しなさい」
「するかっ! 大体、なんでお前とペアを組まなきゃならんのだ」
「だから、私はいつもOLH君のせいで苦労してる笛音ちゃんとティーナちゃ
んのために協力してあげてるのよ。別に君のためでもなんでもないんだから」
「くそう。それはそれでなんか腹が立つ」
「それにしてもあなた、ほんと運動神経ないわねぇ」
「ほっとけ!」
 突然痛い指摘をされたOLHは、しかし、それが事実であるため憮然とする
しかできなかった。そして勇希は、OLHのそんな様子を気にする事も無く、
自分の考えに浸る。
「こうなったら、やっぱり『あれ』の特訓するしかないかしら?」
「勝手に話を進めるなっ!」
「はいはい、文句言わないでそこに立った立った」
 そう言うと、勇希はピッチングマシーンの様なものを設置して、コートの反
対側のOLHの横に並んだ。
「いい? それじゃこれから『あれ』の特訓よ」
「『あれ』ってな、何だよ」
「これよ、これ」
 そう言って勇希は、とある本を見せる。
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「……無茶言うなっ!! こんなんできるかっ!!」
「あら。何事もやってみなきゃわからないじゃない」
「下手すりゃ大怪我するだろがっ!!」
「大丈夫、大丈夫」
 勇希はぱたぱたと手を振ってOLHをなだめる。
「それよりボール来るわよ。ほら、かまえて」
「だああ、あいっかわらず自己中心的な奴めええ」
 そう叫びながらも素直に従ってしまうあたりに、一種の悲しみを感じるOL
Hだった。

 ぐーんぐーんぐーん ひゅっ!

 そしてボールが放たれた。

 OLHと勇希は同時にそのボールを打ちに行く。そして……

 しゅっ ぴしっ しゅばっ!!!

 ボールはとんでもない勢いで打ち返された。

「……なんで、俺とお前で『ツインビーム』が打てるんだよっ!?」
「ほら、やってみるもんじゃない」
 愕然とするOLHに勇希はにこやかに言った。

  /* よいこのテニス教室 解説
    ツインビーム:
      その昔、某週刊漫画雑誌に載っていたテニス漫画にあった技。
      二卵性双生児のペアが使ったもので、タイミングを合わせて
      ラケットを重ねて球を打ち返す事で威力を増大させるもの。
      タイミングが外れると大怪我するらしい。
    解説終わり */

「だああ、偶然だっ! 偶然に決まってるっ!!」
「んじゃ、もう一回試してみましょ」

 ぐーんぐーんぐーん ひゅっ!
 しゅっ ぴしっ しゅばっ!!!

「偶然が重なっただけだっ!」
「はいはい、また来るわよ」

 ぐーんぐーんぐーん ひゅっ!
 しゅっ ぴしっ しゅばっ!!!

「……嘘だあああ! 何で俺とこいつでタイミングがばっちり合うんだっ!?」
「いいかげん、付き合い長いからかしらねぇ」
 頭を抱えるOLHに、勇希は明後日の方向を見ながら答える。そしてふいに
OLHの肩をぽんぽんと叩きながら言った。
「それより、これで優勝に一歩近づいたんだから素直に喜びなさいよ」
「こんなん、喜べるかあああっ!」
 虚しい叫びが響いた。

=== 了 ===

……ねぇ……どーしてなの?
どーして、こーゆー話を思い付けちゃうの?
どーして、こーゆー話だとすらすら書けちゃうの?
教えてプリーズ(涙)(笑)

追伸:笛音との仲を引き裂こうとしてる皆様へ
 そーゆーことして、そんなに楽しいんかいっ!(笑)

追伸2:YOSSYさんへ
 なんだかんだで結構大規模になりそうですが、頑張って下さい。(ぺこん)