−−− ぷろろ〜ぐ −−− ことことことことことことことことことこと いつもなら幾人かの生徒で騒がしい図書館。 時には奇怪な生物があらわれ、時には戦いに飢えた生徒が暴れまわり、大抵の場 合は徹底的に破壊され、たまに水没し、場合によっては次元の狭間に飛ばされ、そ していつの間にか再生される謎の建物。 しかし、なぜか。 そこに今は誰もいない。 片隅で静かに音を立てるカセットコンロを見つめる一人の男を除いて…… === 『Lメモ超外伝SP14「Lメモだよ、全員集合!!」』外伝「鍋」 === 「こんなの……こんなの本当の鍋じゃないっ」 そのカセットコンロを見つめつつ、弱々しい声でそう小さく叫んだのは、来栖川 警備保証アルバイト3号、OLHである。 彼は先程からひたすら鍋の中身を凝視していた。 ちなみに鍋の中身は白菜2枚にしらたき約1/4袋分。 あとはほんのわずか塩で味を整えられた汁のみ。 これを煮ている鍋にしてもちゃんとした土鍋などではなく、直径20cm程の片手ナ ベだったりする。 「どうして……どうして俺は参加できなかったんだ……」 あまりのわびしさに思わず涙をこぼしそうになった時、ようやく救いの手があら われた。 「お兄ちゃん、おにくもってきたよ」 「ああ、笛音ちゃん。ありがと」 あわてて目許を拭うと心配かけまいと笑顔を作り、OLHはやってきた少女にねぎ らいの言葉をかけた。 彼のもとに現れたその少女は姫川琴音とそっくりな容姿をした、しかし6〜7才 の少女だった。 それは正体不明のヒメカワ星人の少女、笛音である。 彼女が何故OLHの事を「お兄ちゃん」と呼ぶのか。また、どういった経緯でOLHが 彼女の保護者となったか。それは今のところ謎である。 (ごめん。まだ考えてないです) ともあれ、笛音がどこからかかすめてきたその肉(3切れ)を鍋に入れると、二 人はじっとそれに火が通るのを見守った。 ことことことことことことことことことこと 「……今頃、みんな、楽しくやってるんだろうな……」(2割ぐらいなら正解) そうつぶやくOLHを慰めるためか、笛音が言った。 「わたしはお兄ちゃんと二人きりのほうがうれしいな」 OLHはそれを聞くと笛音の頭に手をやり、少し髪をくしゃっとさせながら撫でて やった。 「ありがとう、笛音ちゃん。そうだね。お兄ちゃんもその方が嬉しいよ」 「えへへぇ☆」(にこにこ) こぼれるような笑顔の笛音にOLHも笑顔を返すと 「さ、そろそろ良さそうだ。食べよっか」 と言った。 ちょうど半分こになるように(ただし、肉は笛音が頑として譲らずOLHが2切れ で笛音が1切れ)取り分けると、二人は声を合わせて言った。 『いただきまぁーす』 はぐはぐはぐ 早速肉にぱくつくOLHを笛音はじっと見ていた。 「どうした? 早く食べなよ」 「あのね、お兄ちゃんがおいしそうにたべてるとこみるの、わたしすきなの」 「そっか。でもあったかいうちに食べた方がおいしいぞ?」 「うん」 そう返事しながらも笛音はまだじっとOLHの事を見ていた。 しょーがねーなーと思いつつも、笛音がしたいと言っている事を咎めるつもりな ど、さらさらないOLHだった。 どくん 突然、OLHの心臓が跳ね上がった。 身体中に苦しみが広がる。 全身が痛みで麻痺する。 手足に痙攣が走る。 突然苦しみだしたOLHを見て笛音はあわてて駆け寄ると、その体をゆすった。 「お兄ちゃん、お兄ちゃんっ! どうしたのっ」 「……ぐっ、笛音ちゃん……この……鍋の……材料……どこか……ら……」 「あの、あの、ちづるさんとゆみこさんがけんかしてて、それでそのよこから」 やっぱりな。 そう思いながらOLHの意識は深く沈んでいった。 === 了 === とゆーわけで、鍋に参加できなかったOLHです。(笑) あんまり口惜しーので、自分で勝手に参加する事にしました。(笑) でもねぇ、笛音ちゃん。 材料持ってくる場所は選んで欲しかったよ。 === おまけ === 「いやぁ、お兄ちゃん!」 笛音はOLHの身体をがっくんがっくん揺らしながら泣き叫んでいた。 「いやぁ、死んじゃいやぁ」 そう叫びながら笛音はサイコキネシスを使っていた。 何とかしたいと思ってサイコキネシスを使っていた。 しかし、毒にそんなものが効くはずがない。 のだが…… ぐえっ あまりに激しく揺らされたせいか、OLHは今食べたものをもどしていた。 そして、そのおかげで少しづつ体調が戻っていった。 「笛音ちゃん……もう…大丈夫…」 「ああ、お兄ちゃん。お兄ちゃーーん」 笛音はOLHにしがみつくとそのまま、わんわん泣き出してしまった。 そしてそのままいつもの眠りについた。 OLHはそんな笛音の頭をただ撫でてやった。 うむ。愛の奇跡だねっ。 --- でもって。 笛音のサイコキネシスの影響を受けた人間が、ここに一人。 ずべしゃ 派手な音を立てて座ったままこけて鍋に顔を突っ込んだ少女がいた。 当然の事ながら、その少女はその鍋を囲んでいた風見ひなた、赤十字美加香、姫 川琴音、春夏秋雪、佐藤昌斗、Hi-waitといった面々にふくろにされた事は言うま でもない。 === 了 === ちうわけで、個人的お約束の理緒(ずばっしゅ) ひらひら +−−−−−−−−−−−−−−−−+ |私の料理は毒なんかじゃありません| +−−−−−−−−−−−−−−−−+ _