Lメモ 〜転校!初登場!!『薔薇は嫌いだぁぁぁぁぁっ!!』編〜 投稿者:神無月りーず
 平日の朝──
 眩しい朝日のさす中、私服や学ラン、ブレザー、セーラー服を来た少年少女たちが雑談
を交わしながら校舎の中へと吸い込まれていく。
 そんなごく普通の通学風景の中、朝の光を浴びながら校門前で立ち止まり、校舎を見あ
げる少年が一人いた。
「ここが、そうですか…」
 巨大な、白い校舎を見上げ、ぽつりと呟く。少年──裾の長い貫頭衣に身を包み、頭に
はヘッドセットを装着している──は、ふと視線を下に降ろし、校門に書いてある校名に
目をやった。

 『試立Leaf学園』

「世界で唯一の治外法権高校…か」
 そう言いながら、その少年は校門をくぐって学園の中へ入っ──

 ドドドドドドドドドドドドドドド…………・・・・・・

「浩之殿ぉぉぉぉぉぉぉぉぉーーーーーっ!!」
「浩之ぃぃぃっ待ってよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉーーーーーっ!!」
「ダァァァリィィイイィンン、なんで逃げるのぉぉぉぉぉーーーーっ!!!???」
「だあぁぁあっ!!なんで朝っぱらから薔薇ネタにならなきゃいけないんだぁぁぁぁ!!」

 ドカッ、バキッ、ベシィィィィィッ…………ブギュルッ!!

 入ろうとして……きっかり3秒間宙を舞って、踏み潰された。





    Lメモ 〜転校!初登場!!『薔薇は嫌いだぁぁぁぁぁっ!!』編〜





「──どうもありがとうございました。それでは失礼します」
 挨拶をして第一保健室から出てきた少年は溜め息をついた。
「はぁ…、いきなり初日から保健室にお世話になるとは思わなかったなぁ…」
 保健室で目が醒めた時すでに4時間目の終わりだったが、今は昼休みになっていた。
「さて…芹香君を探さなきゃなぁ…どこにいるんだろう?」
「…あら、あなた姉さんに何か用?」
「え?」
 少年が振り向くと一人の女生徒が立っていた。ロングの黒髪で、猫科の動物を思わせる
挑戦的な眼差しをしている。
「おや?あなたは………来栖川綾香君じゃないですか」
「あら、わたしの事知ってるの?」
「もちろんですよ。来栖川財閥の美人姉妹、オカルト界では知らない人はいないとされる
長女の来栖川芹香、そしてエクストリームチャンピオンで次女の来栖川綾香。知らない人
はいませんよ」
「あら、美人だなんて、ありがと。あなたも十分かわいいと思うわよ」
「はぁ…かわいいですか…僕……男なんですけどねぇ…・・・」
 かわいいという言葉に少年は苦笑いを浮かべた。
「は? うそっ、男!?」
「はい、僕は『神無月りーず』といいまして、れっきとした男ですよ」
「ふーん…かわいい顔してるからてっきり女の子かと思っちゃった。こうやって手を握っ
ても華奢な体つきだし…」
 少年──りーずが手を差し出した手を握り返しながら、まだ信じられないという風に綾
香が言う。
「ま、これからもよろしくお願いします」
「それで、何で姉さんに用があるの?」
「今回この学園に転校することになったんで手続きついでに芹香君に挨拶しておこうかな
と…・・・。あ、芹香君とはオカルト関係で個人的な知り合いなんですよ」
「へぇ、オカルト関係ねぇ、まぁ姉さんの趣味に対してどーのこうの言う気はないけど…」
 握手したままでりーずをじろじろ見ながら綾香が言う。
「…何かおかしいところでも?」
「その格好どうにかならないの? ここ学校よ、どこぞのファンタジーに出てくるような
宗教衣装を着てくることなんじゃない」
「宗教衣装ですか…、貫頭衣っていうローブの一種なんですけどねぇ…。まぁ今回はちょ
っと用事があってちゃんとした服を用意してこれなかったんですよ」
 苦笑しながらりーずが答える。
「ま、いいけど。ここにはもっと怪しい格好してる人がたくさんいる…──」

「プアヌークの邪剣よぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっっ!!!!」
 いきなり爆熱波を伴って光が廊下に溢れた。
 そして全身真っ黒な服に身を包み、さらにはマントまでつけた男ががれきと煙の中から
ゆっくりと歩き出てくる。
「ななな………ハイドっ、いきなりなにするのよ!?」
 全身黒ずくめの男…もといハイドラントは周りの状況を気にも留めず
「お、いたいた。綾香、さっき悠のやつから食券奪ってきたんだ。一緒に学食行か………」
「それだけのために壁を壊すんじゃなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁいっっっ!!!!!!」
「なんでだぁぁぁぁぁぁぁぁっっ!!??」
 最後までセリフを言う前にその顔面に綾香の拳をクリーンヒットさせ、がれきの中へ突
っ込んでいくハイドラント。
「………………………………」
「………………………………」
「………………………………」
「………………………………」
「あの人の方が十分怪しい上に危ないと思うんですけど…・・・」
 がれきに埋もれたハイドラントを指差しながらりーずが言うと
「い、言わないで…。さ、行くわよ」
 げっそりとした綾香がりーずを促して歩き出した。
「あの…どこへ行くんでしょうか?それにあの人は…?」
「姉さんのところに行きたいんでしょ、きっと中庭にいると思うから案内してあげるわよ。
それにハイドはあれくらいいつものことだからほっといても大丈夫でしょ」
「は、はぁ…そうですか、それじゃお願いします…」
 りーずは一回ハイドランドの方に同情の眼差しを向けると、さっさと歩き出した綾香の
後ろについて歩き出した。

──そして中庭

「あ、ほら、あそこにいた。姉さーん」
 中庭の中央のベンチで何をしてるでもなくボー…っと座っていた芹香は綾香の声を聞い
てゆっくりとりーず達の方を向いた。
「ヤッホー、姉さん。なんか姉さんに会いたいって人を案内してきたんだけど…」
「…こんにちは、芹香君」
「!!…………」
 にっこりと笑みを浮かべてりーずが芹香に挨拶した時、綾香は信じられないものを見た。
(姉さんが──嫌悪感を表情に出した!?)
 普段あれだけ無表情で感情を表に出さない芹香が、りーずが前に立った瞬間眉をひそめ
明らかな敵意を向けたのだ。
「………………」
「いえいえ…こちらこそお久しぶりです。もうかれこれ2年ぶりになりますかねぇ。
……あ、1年ぶり? そうですか、そうですか…まだそんなものでしたか…・・・」
 何気ない再会の挨拶を交わす二人の間にぴりぴりとした緊張感が漂い始める。
(あの姉さんがここまではっきりと敵意を示すなんて…)
 綾香は改めてりーずを見た。
 さっきまでの弱々しさはどこかへ影を潜め、代わりにふてぶてしさ…むしろ禍禍しさま
で感じる。
(何者かしら……このりーずって…まぁまともな奴ならこの学園に転校なんてしないんだ
ろうけど…)
「ま、お互いそんなに構えるのは止めましょうよ。これから同じ学園の生徒としてやって
いくんですから、仲良くしていきましょう」
 この緊張感を先に破ったのはりーずの方だった。すっと手を差し出し握手を求める。
「……」
 芹香は少し迷ったようだったが、緊張を解いてりーずと握手をした。
「あ、そうだ。せっかくだからと思ってお土産も持ってきたんですよ」
 そう言ってりーずは懐から一つの宝珠を取り出した。宝珠は赤ん坊の拳大の多きさほど
で太陽の光を受けて青から紫、紫から赤へ、というように様々に色を変えながら不思議な
光彩を放っていた。
「あら、奇麗な宝石ねぇ。私も宝石はたくさん持ってるけどこんなの見たことないわよ」
「…………」
「…姉さんどうしたの?」
 芹香は自分の手の中の宝珠をしげしげと見つめ、やがてポツリと「呟いた」。
「賢者の…石…………」
「いやぁ、驚くとは思っていましたけどはっきりと声まで出してくれるとプレゼントのし
がいがあるってものですねぇ……。そう、賢者の石、別名『マナの原石』とも呼ばれてい
ますね。この間、錬金したばっかりなんですよ」
 りーずは芹香のその反応に満足してにっこり微笑んだ。
「……………」
「どうして芹香君に…、ですか? そうですねぇ…芹香君の気を引くためって……はは、
冗談ですよ、ほんとにこれは僕の気持ちです、気に入らなければ捨てるなり何なり好きに
してください」

 キーン、コーン、カーン、コーン……・・・

「と、それでは僕はまだ手続きが残っているのでこれで失礼します。またお会いしましょ
う。あ、それに綾香君、案内してくれてありがとうございました。いずれこのお礼はさせ
ていただきます」
「………………」
「あ、それじゃね、りーず」
 午後の授業を知らせる予鈴が中庭に響いてきたのをきっかけに、りーずは二人に一礼を
してさっさと校舎の中に戻っていった。

──追記というか蛇足、ネタの無駄遣い…6時間目の校庭にて

「芹香君にあそこまで嫌われてるとは…・・・。…『史上最凶の天才召喚錬金術士』…か。
手に入れた名声の代わりの代償は大きすぎた…って感じですねぇ」
 手続きを終えたりーずは校門に向かって歩いていた。まだ6時間目の途中で体育の授業
もないらしく、校庭にはりーずしかいない。
「ま、根気強くいきますか…」
 校舎に向き直り、空を見上げる。
 吸い込まれそうな青空と白いワイシャツがいやにまぶし──
 ワイシャツ??
「あなたの悩みっ、即座に解決ぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅっ☆」
 ずしゃぁぁぁぁっ
 土埃を巻き上げて屋上から校庭に一人の男が降り立った。
「愛と欲望の使者エルクゥ・ユウヤ、授業中だけど登場です☆」
 今回のエルクゥ・ユウヤは……ぶかぶかのワイシャツ一丁だった。
「……………」
 時が……止まる……。
「授業はサボっちゃ駄目よ☆」
「…………僕は…転校生なんです……」
 それだけ言うのが精一杯だった。
「エルクゥ・ユウヤ☆」
 しかも聞いていない。
「ひ…」
「エルクゥ・ユウヤ☆」
 じりじりと近づいてくるエルクゥ・ユウヤ。
「ひぎゃあぁぁぁぁぁぁっぁぁあぁぁぁぁぁっあぁぁっぁぁぁぁああぁぁっ!!!!」
 りーずの絶叫が、どこまでも広がる青い空に響き渡った…………………合掌。


 りーず君、なにか一言は?
「薔薇はいやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっ!!!!!!!」
 …ごもっとも。

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ろーず「ってなわけで第一作をUPした訳ですが……・・・」
りーず「ワ、ワ…ワイシャツはいいよねぇ…うふうふうふうふふふ……(にたぁ)」
ろーず「あ、壊れてる」
りーず「……誰だって壊れるぞっ!!あんなの見せられれば!!??」
ろーず「まぁ、分かるけど…それでボクの出番は〜??」
りーず「君の出番はまだです。ネタが浮かべばすぐに出せるけど…」
ろーず「みゅう………この遅筆&駄文SS使いにそんなこと期待したって無駄じゃないかぁ」
りーず「…言うね…副人格のくせに…(苦笑)」
麻耶 「………………ふぅ(溜息)」
りーず「おおお??初登場、麻耶(まや)じゃないか」
麻耶 「出番………あるんでしょうか…私…・・・」
ろーず「麻耶ちゃん、元気出して」
りーず「まぁ、いずれ出してやるから…」
麻耶 「…はい…期待しないで待ってます…しくしく」
りーず「えーい、うっとおしい(笑)」
ろーず「早く、次のも書きなよ」
りーず「分かったよ、できるだけ早くな。それではっ」
ろーず「次の作品でぇ〜っ」
麻耶 「…会えるといいですね……しくしく」