試立Leaf学園の校舎のある一室…… 外部からの光が一切入らないその空間で5つの人影が動いた。 「…諸君らに今日集まってもらったのは他でもない…──」 闇の中に一人の男の声が響く。 「…これはチャンスなのだよ。我々の存在をアピールする……」 姿の見えぬ男の声に一層の力が込められた。 その声に他の4人の身体に緊張が走る。 「──…という訳で今回のテーマはこれだっ…!!」 バシャ、バシャ、バシャ、カッ!! だぁんと黒板を叩く音と共にスポットライトがそこに集中する。 そこには…… 『ドッキリ!! 白天使アイラナステアちゃんのすべてを見せちゃう!!!??? in楓祭’98 生物部主催公開解剖!!!! 』 「…どう、生物部らしい、ふさわしい出し物でしょ…!? 後は生徒会に提出して許 可貰うだけなんだけど…」 「「「「……………………………」」」」 「…あれ、みんなどうしたの、黙っちゃって…?」 そして部屋の沈黙とは反対に廊下から震動と共に何かが迫ってくる音が聞こえてき た── 「アイラナに手を出すなぁぁぁぁっ!!!! ナイツ、オブ、ラウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥンド!!!!!!」 ズバシズバシズバズバズバズバズバグワシャバヤベシャァッッッ 「…ぐぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ…!!!!????」 一体どうやってこの事を聞きつけたかは判らないが、駆けつけたレッドテイルが最 終奥義で生物部部長の葛田玖逗夜を滅多切りにした。 「アイラナ、もう行こう。こんなのに付き合う義理はないよ」 レッドテイルが床にのびている葛田を一瞥し、背中に真っ白な翼のはえた天使、ア イラナステアに手招きした。 「あ、レッドさんまってください。あ、マスター?」 駆け出そうとしたアイラナは振り返って背後の人物に声を掛けた。 「ああ行っていいぞ、全く…今日はアイラナが絶対必要だって言うから何かと思った ら…」 呆れ顔で頷くアフロ……もといアイラナステアのマスター”天使の担い手”Yin。 「うん、じゃぁ行ってきまーす♪」 今日、レッドテイルと放課後ショッピングの予定だったアイラナは笑みを浮かべて レッドテイルについて部屋から出ていった。 「……ああ、待って…せっかくの解剖チャンスが……」 床に血みどろで這いつくばりながらも必死でアイラナが消えたドアに手を伸ばす葛 田。 「………………ばかだね」 「ソウデスネ」 もう1人の生物部部員、エビルの呟きにその使い魔フランソワーズは至極当然とい うように頷いた。 と、そこで葛田はふと気付いた。 「………ところでりーず君は………?」 「ふぅ、やれやれ…こうなる事が判っててそれでもこういう企画を考えるんですから 仕方ないですねぇ……」 葛田の片腕でもある生物部副部長の神無月りーずは黒板に書かれた文字を消して、 窓にかかっていた暗幕を引き上げていた。 「…やっぱり淡白だ…」 放課後の、やや傾いた日差しの差し込む中、葛田はひとしきり涙を流すとそれきり ぴくりとも動かなくなったのだった。 後日、 結局生徒会にも公開解剖の企画は却下され── (香奈子「そんなグロい事、父兄子供の前でやらせられますか」) 今年の試立Leaf学園文化祭『楓祭’98』の生物部の催し物は生物部が特製飼育 したナマハムを売る事に決定した。 楓祭’98生物部本編に続く ────────────────────────────────────── りーず「さて……なんか予定外のものが出来上がりました(笑)ほんとはこんなの 書く予定なかったのに…… でも一応生物部部員全員出せたからよかったかな??」 ろーず「ボクがいな〜いっ!!」 りーず「おお、ろーずじゃないか、そーいえば出てないねぇ」 ろーず「『出ていないねぇ』じゃなくて、早くボクも出してよぉ〜」 りーず「そうは言っても今回は短編だし予定外のものだったから仕方ない(困笑)」 ろーず「むぅ〜、楓祭本編では出してくれるのぉ??」 りーず「さぁ?? どーなるかは今後のストーリーしだい。多分出るから安心して」 ろーず「あ、そーいえば今回エビルとフランソワーズL初出演だね」 りーず「そうそう。そーいえばそうなんだよねぇ、フランソワーズスタンド案とか あったけど普通に出しちゃったな」 ろーず「いいのぉ?? 勝手に出して」 りーず「うん、そのための色んな時空設定とかあるんだし、Leaf設定通りでも 問題ないでしょう…たぶん(笑)」 ろーず「ふーん…ならいいけど……」 りーず「さ、今回はこれくらいで撤退しますか…皆さんではでは♪」 ろーず「それじゃぁ、またね〜」