我が刃を携えよ狩人2 投稿者:Rune
<やーんっもー前回までのあ・ら・す・じっ☆>
 何だか謎を追えば追うほどに更に謎とか色々湧き出てくるヒメカワ星人!
 そこへ現れたのは何とレミィ・クリストファ・ヘレン・宮内その人だった!
 果たして彼女の目的は!?
 そして、今回はオチが着くのか暗躍生徒会!?
 どとーの二作目スタート!

「レミィさんとはねー……」
 香奈子が少しびっくりした風だった。
 ここは暗躍生徒会本部。
 校則で正義の手が届くことを禁じている、悪の最奥。
 後ろ手に縛られたレミィ以外に部屋にいるのは、ルーン、健やか、香奈子、拓也の4人
がめいめい席に着き、メタオ軍団がレミィの脇に控えて怪しい動きをしないように見張る。
 そして先日から背約者扱いが決まったHi−waitが部屋の隅で啜り泣いているだけ。
 もっとも、月島会長の背後には、これまたお約束のようにドクロマークが描かれていた。
 しばしの沈黙の後。
 拓也が口を開く。
「我々暗躍生徒会に乗り込むとはなかなか命知らずだルリコ」
 ……………………
 ……………………
 しばらく沈黙。
「ほへ?」
 と健やかがたっぷり20秒もしてから顎を落とした。
「健やかくん、どーしたかねルリコ」
「……瑠璃子ちゃんはここにはいないみたいだけど……」
 控えめに言う健やかに――
 べちぃぃぃぃぃん。
 手動式のボクシンググローブボンバーがもろ顔面に命中した。
 そのまま後ろ向きに椅子ごと転倒する健やか。
 鼻血の軌跡が実に10点満点。
 X形に交差した握りを開くようにして、ボンバーの腕を縮めた香奈子が説明した。
「我々暗躍生徒会の影の総帥月島拓也様は、語尾に『ルリコ』と付けるならわしがあるの」
「ならわしってゆーのは、主に複数の対象に適用されるんですけどね」
 要らないことを言ったルーンが健やかの後を追った。
 さすがにメタオたちは何も言わない。
 ちなみに授業中なので、七瀬彰はいなかった。
 Hi−waitは少し吐息とか艶っぽいものが混じりかけているが本人の名誉のために
その事実は見なかったことにしてくれたまえ運転手さん。
 ま、それはとにかく。
「宮内くん、一体何の用だルリコ。返答次第によってはお仕置きだルリコ」
 ……間抜けと思ったあなた。
 本人に知れたら公衆便所になるので胸の内に秘めておきましょう。
「あー……」
 レミィはこの一種独特な雰囲気にたじろいでいたらしかった。
「んー……」
 だが――
「Yesルリコ。実は今日はBossにお話があって来たねルリコ」
 実はミヤウチ星人は順応性が高かった。

 レミィは説明した。
 昔々あるところにヒメカワ星人とミヤウチ星人がおりました。
 ヒメカワ星人はミヤウチ星人の唐揚げをつまみ食いしました。
 それに怒ったミヤウチ星人は、ヒメカワ星の全ての国語の教科書の筆者紹介写真に立派
な立派なヒゲを付け足しました。
 何故かヒゲしか書いてない筈なのに――
 一夜明けてヒメカワ星人たちが目にしたものは、全てフォトショップでアフロヒゲなし
に修正された歴代の偉人たちでした。
 ヒメカワ星人は怒りました。
 何故アフロの色が紫ではなく青いのか、と。
 おまけにヒゲがなくてツルツル、しかも青いとは何事か、と。
 怒るのも当たり前でした。
 あまりに怒ったので、紫色がグラデーションかかったほどです。
 ヒメカワ星人は報復行動をとりました。
 ミヤウチ星人の故郷、ミヤウチ星に、大量のところてんの種をばらまいたのです。
 海は酸っぱい匂いに満ちて、いわゆるところてんの花やところてんのビルゲイツなど、
変な接着剤がいっぱいいっぱい生えました。後に死の七日間と呼ばれたこの抗争は、より
巨大な『山にもいるんぞウミネコ攻撃』作戦によって復讐されます。
 そして、ヒメカワ星人とミヤウチ星人の長い長い戦争の歴史が始まったのです……

「……ほう、そんなことがあったのかルリコ」
 腕組みしながらしきりに頷く拓也に、
「Yesルリコ。河を渡って船を焼く、の覚悟で、私、琴音を追いかけて来たノ」
「川を渡って船を焼く――つまり、渡河した後に船を焼いて後退をできなくするってこと。
 背水の陣の親戚みたいなものだね」
 健やかが学を見せた。
「なるほどルリコ。つまりルリコ。君はあのヒメカワ星人について情報を握っている、と
こう言いたいのだねルリコ?」
「Yes,Bossルリコ。私ならヒメカワ星人と互角に戦えるネルリコ」
 ……………………
 ……………………
 ふと訪れた静寂に、全員の顔が怪訝なものになった。
 そんな中、拓也が伏せていた顔を上げ――
 喚きながら電波を飛ばした。
「ネルリコって言うなぁぁぁぁぁっっ!」
「Ouch!」

 ……というわけで――
「こいつも加わったのか。こんな組織に」
 Hi−waitが呆れた風に言うのに、
「よろしくデス」
 レミィがぺこちゃんと頭を下げる。
「では今日の作戦といきましょう。ルーン君、お願い」
「――はい。えー、本日の作戦は、『一撃! 女子更衣室にメタオ大群が現る!』です。
 科学部の協力を得て作ったミニメタオ触覚付きバージョンを5ダースほど放ちます。
 今回はミヤウチ星人の協力を得られるので、女子更衣室への潜入が容易いですね。
 よろしく、ミヤウチの人――ってちょっと待てやこら!」
「What?」
「ふぁっとじゃねえっ! 喰うなよっ、メタオをっ!」
「ほんのり味ネ」
「やかましわっ!」
「……何だかとんでもないことになってきたなぁ……」
 ぼんやりと呻く健やかに頷くのは七瀬彰だけだった。
「…………ったく…………
 さて、気を取り直して続けると、ここで事件を起こすだけでなく、もう二つ目的があり
まして、一つはその隙に乗じて男子更衣室の爆破を図り、パニックに陥った女生徒の矛先
を全裸及び半裸の男子生徒に向ける、もう一つがヒメカワ星人の対応の観察です。自分と
すこちゃんは男子更衣室の仕掛けを図ります。やーみぃは隙を見て『カメラだっ!』とか
そゆことを叫んで混乱を増幅させること。メタオたちはタケダテルオ、あんたくらいしか
使えないからコントロールを任せる。ミヤウチの人と太田委員はメタオの仕込みを済ませ、
ことの後はこっそりヒメカワ星人の観察に図ること。一応何匹か怪しまれないように潰す
のも忘れないよーに。
 いーですか? んじゃ、60分後にスタート行きますよ」

                             <続くんかいなこれが>

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 はいどーも加筆減筆加えて遅くなりました暗躍生徒会8/8です。
 予め書いた奴だと、Hi−wait&メタオの出番がないので色々書き直さねばならず
ちと大変。
 次の話はレミィvs琴音となるです。
 レミィ、みんなほんとにいーんだね? 狙わないね? 狙いの人は今の内にでも唾とか
付けとかないとなくからね?(笑)

『今日の背約者』

 ……………………
 ハイドラントは涙していた。
 がし、とルーンの肩を掴む。そのまま抱きついて背中をぽんぽんと叩く。
 掠れ声で彼は言った。
「ありがとう」
「……何が?」
 半眼で問い返すルーン。
 ちなみに、『今日の罰ゲーム:次週で女子にタコ殴りにされるので、上手な殴られ方の
練習にSS不敗流のサンドバッグ』という指令書を片手に持っている。
「……ついにマゾに目覚めたか?」
「違う。嬉しいんだ……来週は綾香に足蹴にされる事ができるし……」
 そゆのをやっぱマゾと言うんだけどな。
 思いもしたが、ルーンは特に何も言わなかった。
 下を見る。
 何故か、Hi−waitがルーンの靴に頬ずりしていた。
「お前らさー……」
 呻くように言う。
「そんなに薔薇的お仕置きが嫌?」
 二人同時に、疲れながらも大きく首を縦に振った。
「そーか……悪かったなー……」
 罪悪感に襲われながら、ルーンは段々すすり泣きから慟哭へと変わっていく二人を見た。
「……………………」
「……………………」
 それを見ていたはdyeと志保。二人顔を合わせてニヤリと笑う。
 その次の日の噂については言うまでもない。