我が刃を携えよ狩人4.2 投稿者:Rune
<前回までのあらすじってかい。これで終われよ、頼むから自分>
 まーなんやかんやあって、対決することになったレミィ、琴音、D芹、楓。
 果たして、決着着いて短編に戻れるのか作者!

『昔、雨月山に鬼がおりました。
 鬼は通りすがりの村人を襲って生業を立てておりましたが、次郎衛門という男に虐殺。
 その侍は鬼の姫様を奪って後々までうはうはに暮らしたそうな』
『次郎衛門が腹上死した後、鬼の嫁は一人で子供と生きて行かなくてはなりませんでした。
 かくて――彼女は、人間の世界で最も適応しやすい精神の形を見つけたのです――
 即ち、偽善者』

「くくく……長い間閉じこめられていた檻から、ついに私は抜け出したのです……」
 うっすらと笑む楓。
「ふふふ。偽善者の血脈を受け継いできた柏木の名に賭けて――
 西山さん、あなたを殺します」
「何でやぁぁぁぁぁっ!?」
 あ。何故か関西弁の英志。
 それに対する楓の返答は驚くほど淡泊だった。
「何となく」
 ……………………
 ……………………
 ぱくぱくと鮒のよーに口を開き閉じしながら、あうあうと英志はかぶりを振った。
 学園最大の流派、SS不敗流創始者の彼と言えど、絶対に100%敵わない相手がいる。
 それが、柏木千鶴ちゃん1年生、または柏木千鶴教師である。
 千鶴ちゃんの方は乙女ちっくモード故、知能も少し後退しているが、教師の彼女はその
偽善者とエルクゥの力を相乗させているのではないかと思うくらいに、誤魔化しも効かず
逃げることもできない。それでも、千鶴ちゃんの1%しか実力を出していないらしいが。
(・今月の標語「恋する乙女はいつでも全力☆)
 とにかく。英志は、楓の姿に、しっかり柏木千鶴の『煮えたぎる偽善者の血脈』を嗅ぎ
取っていたのだった。
(……これは……死ぬか……!?)
 気のせいか温度がどんどん下がっていたりして(笑)。

 一方。ヒメカワ星人は場違いなほどににっこり微笑んでいた。
 そう。彼女も気がついたのだ。
 ミヤウチ星人の存在に。
 彼女は、ゆっくりと瞼を閉じると、それから呼吸を整え始めた。
 小声で呟くのを、香奈子は高性能集音マイクで聞き取る。
(何でバラクーダの『日本全国酒飲み音頭』なの?!)
 しかも何と2番を歌っている。
 通だ。

 レミィは腰のベルトからおもむろに電子ジャーを抜いた。
 ヒメカワ星人は、主に電子ジャーが天敵である。
 電子ジャーの中になら体積のサイズを無視して封印されてしまうという弱点を持つのだ。
 既に手には謎の光線銃がある。
 宇宙人と言えば光線銃だ。これは教科書にも載っているから間違いない。
 軽くその辺のHi−waitで試し撃ちしてみる。
 みぎゃぁぁぁぁぁ、という尾を引く悲鳴の後、そこにいたのは――
 もとい。
 あったのは、特大くまシャーだった。
 涙がどぱどぱ流れまくっているところからすると、意識は残っているようだが。
 しかも、ロゴがLAEFになっている。
 紛れもないパチモンだ。
 きっと集めて目指せパチモンマスターとかいう奴がいるに違いない。

 Dセリオは、不埒な同僚に完全にとどめを刺した後、部屋を見渡した。
 女子生徒が3人、いる。
 一人の足下にはぼろ屑のよーな男子生徒が転がり、一人の足下には謎のシャーペン。
 もう一人が何故かきゅぴーんと擬音付きでごごごごと周囲の土砂を巻き上げていた。
 残りは、逃げたか、吹き飛んだか、或いは焼け焦げて蒸発したかのいずれかだった。

 そして、4人は同時に動く!
 まず先手を打ったのは琴音だった。
 きゅぴーんと目を光らせたまま、そこから怪光線を発射。
 レミィがそれを唇に挟み――
 じゅるじゅると飲み始めた。
 まずは綱引き勝負といった外見である。あくまで外見だが。
 Dセリオがそれにミサイル攻撃を使って邪魔しにかかる。
 彼女にとっての敵は学園の施設を破壊しかねない存在である。
 とりあえず、それに対し、琴音は一個素手で掴んで躍り食いを試みた。
 レミィは全弾命中したが、無傷だった。
 やや顔にヒビが入っているが。
 ともかく、琴音の反撃!
 天井に貼り付いて、何処からか取り出したパイを連続でひゅんひゅんと投げつける!
 一個が床に貼り付いた。
 やがて床が紫色に変色していく。
 そこから、ぎょろりと目が出た。
 Dセリオと目が合う。
「……………………」
 まずDセリオがシステムダウンした(笑)。
 実はホラーに弱かったらしい(笑。正式設定じゃないですからこれに準拠はしないでね)。

(……そろそろ疲れてきたな。これ書くのも。
 読む人もそうじゃないか?
健やか「君ね……」
 小ネタはよく考えれば戦闘向きじゃないな。
健やか「書く前に気づかない、そういうこと?」
 まあね。んじゃ、そろそろ終わって貰うとしましょうか?
 もともとこの話はレミィと琴音が対立しているという事実のお披露目と、レミィが暗躍
入りしたという印象付けの話だから。
健やか「こうやってさりげなく手の内ばらしてさりげなく話の内容を説明しようってとこ、
クリエイターにあるまじき姿勢だと思うんだけど……」
 使える手法は何でも使う主義なのさっ(笑)。
 質にこだわらないと決めた以上、気にしない気にしない(笑)。
健やか「開き直ったな」)

 そして、戦争は7日間にも及んだ。
 ばば様が「巨神兵死んじゃったの?」と呟くくらい、長く、長く、長く――
 そして、ついに、楓が立ち上がった。
「私は、言うなればラルヴァ」
 穏やかな微笑みと共に、囁く。
「あなた方に救済を与えましょう。我らの母なる偽善、柏木千鶴をここに召喚します」
 ひきっ――
 まともに琴音とレミィの表情がひきつった。
 宇宙人と言えど、偽善者には弱いらしい。
 弱点と言うより、攻撃力8000を相手に、防御力4と防御力5に何ほどの違いもない
ものだが。
 そして、世界は白い火柱に包まれた――

 後日報告。
 ヒメカワ星人は数日の欠席の後、再び元気に登校。
 インタビューには「地霊を吸い上げて云々」と答えている。

 後日報告2。
 ミヤウチ星人は元気に登校。
 ただし、時折耳の奥から機械音が聞こえるとの噂が……

 後日報告3。
 西山英志が瓦礫の中から無事に柏木楓を救出。
 ただしその後も、たまに譫言で「ごめんなさいごめんなさい」と言っているとか(妹談)。
 柏木楓当人は偽善者として目覚めた記憶を持たないらしい。
 今後の動向が注目される。

 後日報告4。
 軽傷者0、重傷者100人を越す騒ぎに対し、暗躍生徒会は犯行声明を出す。
 当日、二年生女子からの報復活動により、全員1週間の入院措置。

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 ……言い訳なし。ごめんね。しくしくしくしく……(長くしすぎたのが敗因か)