はじめてのSS2 投稿者:来栖川空
Rune「さてさて、前回は会話文形式で『とりあえず書く』ことに慣れて貰った訳だが」
空「……はい……まだかなり不安ですけど……」
Rune「まあな。そこでお前には、会話文の最も進歩した形であるチャット文をやって
貰おう」
空「……チャット文?」
Rune「おう。このチャット文を何回かに分けて覚えて貰う。
 ……最も、一番いいのは実際にチャットする事なんだが……お前はできねえからなー。
 とりあえず自分が相手を見つけて来たから、こいつと適当に喋ってろ」
沙織「こんにちは〜☆ 私、新城沙織。よろしくね☆」
空「はあ……よろしくお願いします」

Rune「この阿呆っ!」
空「あいたっ。な、何するんですか……?」
Rune「『はあ』とかそーゆー気の抜けた声を相手に聞かせるんじゃねえよ。普通の人
だったら気分を悪くするだろが」
空「で、でもこの場合、相手は普通の人じゃ……」
Rune「ど阿呆っ!!」
空「痛たたたたたっ!」
Rune「我に返ってどーする、我に返って。チャットでは、理性の下に『来栖川空』を
演じるのが暗黙の了解だ。そーゆー白けさせる行動だけはやめんかい」
空「……はい」
Rune「恥はこの際棄てること。次に、知らないことがあったら、できるだけ積極的に
切り出すこと。これはチャットに限らず、対人関係でも当たり前のことだぞ」
空「はい」
Rune「おーし。じゃ、いってみようか。今回のルールはこうだ」

『ルール:
1.新城沙織と1対1の会話文でのみ書く。
2.例によって難しいことは考えずに、まずは駄作でも完成させることだけを考える。
3.長めに書かない。
4.前回のマルチ編と同じく、日焼けについて書く
5.笑っている時には(笑)、怒っているときには(怒)、困っているときには(困)と
文末に書く……こんな風に(笑)。またはこんな風に(困)』

空「……………………」
沙織「……………………」
空「……………………」
沙織「……………………」
空「……………………」
沙織「……………………」
空「……………………」
沙織「……………………」

『だから黙るなってば。お前は。前回のマルチ相手に黙ってるのもアレだけどな、新城が
黙ってるのは非常に不気味だぞ、お前』
空「……そんなこと言っても、僕、女の子と話したことがないですから、こういう時に、
どう動くのか理解らなくて……(困)」
『心配するなっつーに。それ言ったら、誰も何も書けないぞ。
 自分なんか全然その辺理解しとらん。女性読者があんまり少ないだろうから開き直って
書いてるだけだ。多分、みんなそんなもんだと思うぞ、きっと。
 理解していなくても、とりあえずそれっぽく書く。
 これもまた練習の内だ』
空「それっぽくと言われても……(困)」

空「こんにちは。いい天気ですね」
沙織「うん、そうだね」
空「こう暑いと、日焼けとかなりそうで大変ですよね」
沙織「うん、そうだね」
空「……………………」
沙織「……………………」
空「……………………」
沙織「……………………」
空「……………………」
沙織「……………………」
空「……………………」
沙織「……………………」

『だから、黙るなっちゅーに』
空「何て言うか……思いつかないんですよ(困)。マルチさんなら前回やりましたから、
コツが理解っているんですけど」
『しょーがねーなー。じゃ、今回も手助けしてやろう。
 いかにさおりんっぽく書くかの講座だ』
空「はい」
『まず、頭の中ででもいいから、BGMを雫のさおりんのテーマにする。これが重要だ。
 次に、さおりんがどんな風に祐介と喋っていたか思い出す。
 空、どんな風に新城は喋ってる?』
空「明るい感じ……です」
『ほうほう。笑顔が似合うと思うか?』
空「そう……ですね。似合うんじゃないかと思いますけど」
『すると、さっきの会話はこうなってもいいな。
空「こんにちは。いい天気ですね」
沙織「うん、そうだね(笑)」
空「こう暑いと、日焼けとかなりそうで大変ですよね」
沙織「うん、そうだね(笑)」
 ……どうだ?』
空「……沙織さんの反応がワンパターンで、ちょっと……」
『別にんなに気にすることはないと思うが……』
空「だって、沙織さんって、よく喋りそうじゃないですか」
『そうだな』
空「だから、こう、話題に乏しい僕だと、どうもやりにくくって……」
『ほうほう。つまり、新城は話題の豊富な奴なんだな?』
空「はい。だと思います」
『ふむ。マシンガンみたいによく喋る?』
空「……そんな……感じですね」
『なら、こうしてみたらどうだ? 
 今までお前が主体で色々喋っていた訳だけどよ。天気の話とかで。
 それを、沙織にやらせてみるんだよ』
空「はあ」
『これが、<イニシアティブ>だ。会話の主導権を、あるキャラクターに握らせることに
よって、その場の注目を集めさせたり、そいつのリーダーシップを見せつけたりする手法
ってこと――おい、何メモってるんだ? イニシアティブなんて言葉は覚えなくていいぞ』
空「……そうなんですか?」
『SS書く時に何の足しにもならねえだろ。とにかく、元気いっぱいのキャラは、その分
いっぱい喋るように仕向けてやるのさ。それでかなりそれっぽく見える』
空「やってみます」

沙織「こんにちは。君が空くん?」
空「……はい、そうですけど」
沙織「あはは(笑)。私、新城沙織って言うんだ。よろしくね(笑)」
空「あ、はい。よろしくお願いします」
沙織「今日はいい天気だよね」
空「あ、そうですね」
沙織「もう、暑くて暑くてさぁ……」

『……まだ、ちっと固いけど、いい感じじゃねえか。お前が聞き役になれば、非常に沙織
らしくなるな』
空「今度は僕があまり目立ったリアクションをしてないですけど……」
『でも、自分のことは自分でよく理解できてるから、さっきの沙織みたく、ただひたすら
「うんそうだね」って言うだけじゃねえからまだマシだろ』
空「そういうものなんですか?」
『おう。人間らしい会話でなきゃ、読んでる方もつまらないからな』
空「じゃ、このままでいきますね」

沙織「もう、暑くて暑くてさぁ……」
空「そうですね。確かに凄い暑さですね」
沙織「ほらほら見て見て。腕時計の日焼けの痕がこんなにくっきり」
空「うわ……凄いんですね」
沙織「あ、いけない。じゃ、そろそろ行くねっ!」
空「何処へ行くんですか?」
沙織「プール!(笑) えへへ、空くんも見に来る?(笑)」
空「あ、いや、その、僕は……」
沙織「うふふ(笑)。冗談冗談(笑)。またね!(笑)」

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Rune「……実質的にまだまだ短いな〜、お前の話……」
空「は、はあ……」
Rune「これは話とは言わんぞ。単なる会話文だ」
空「う……すみません」
Rune「ま、仕方ないけどな。前回も言ったが、話としての起伏にも欠けてるし。
 次回は、この続きでいってみるか」
空「続き……ですか?」
Rune「おう。プールに行って貰おう(笑)」
空「えええええっ!?(困)」
Rune「別にいーじゃねーか。水着くらい」
空「見に行くのは僕なんですよ……?(困)」
Rune「話ができないより何ぼかマシだっつーに。それに、もう少し沙織の使い方とか
習熟しておいても損はないぞ」
空「…………はあ…………」
Rune「とりあえず今日やったこと。
・(笑)などで表情を表せること。
・照れたりしないで、どんどん憶測や想像を交えて演じること。
・恥ずかしがらず、開き直ること。
・会話文の登場回数でも、人格が表せたりすること。
 よーく復習しておくように」
空「はい、理解りました」
Rune「おーし、今日はここまで」