学園祭Lメモ「楓祭’98/自由ステージ部門(始まる茶番)」 投稿者:Rune
「という訳でバンドをやってみようと思うのよ」
「ふーん」
 来栖川綾香はぽりぽりとポテトチップスを囓りながら鼻だけで相槌を打った。
「ねえ、来栖川さん。そこでお願いがあるんだけど」
「嫌」
 あっさりと綾香は即答した。もくもく、こくんと口の中のものを飲み下してから、ジト
目で続ける。
「バンドに出ろって言うんでしょ?」
「そうだけど」
「絶対嫌よ。何が起こるだか理解らないっていうのに」
「そーだぞ」
 ……………………
 ふと、足下から声がして――香奈子が綾香の机の脚の辺りに視線を落とすと、黒ずくめ
の少年が埃だらけの床に這い蹲りながらも勝ち誇ったように鼻を上向かせた。
「綾香は私と一緒に何かこー、必殺滅亡スマッシュを編み出すべくハネムーンに行くし」
 言うだけ言って高笑いしながら、床に置いてある皿に盛られた牛乳なしコーンフレーク
の山に顔を埋め、再びばりぼりと噛み砕く作業に戻る。
 ……………………
 ……………………
(こそこそ)「……何やってるの、彼?」
「さあ。おごれおごれって煩いから、私の足下で犬みたいにスプーンとかなしで食べるん
ならそうしてもいいわよって言ったら、こうなっちゃって」
「…………止めないの?」
「何で?」
 ……………………
 ……………………
「ま、まあそれはいいけど。特に今回は何もやってないのよ。本当。私たち、久しぶりに
休暇扱いになったから、ちょっと遊ぼうかって」
「それでバンドなわけ……?」
「だって、今からじゃ出し物とかみんな他にやってそうじゃない。バンドでなら独創性は
後参入でもどうにかなるから……」
「そーじゃなくて」
 綾香は依然ジト目のまま続けた。
「普通に一般に回って遊ぶとかすればいいのに」
「嫌がられるのよ。私たち。去年なんか普通にいか焼き買いに行ったら、そこが雛山さん
のいるクラスだったんだけど……」
「だけど?」
「『お願いだから爆破しないでくれ』って」
「自業自得じゃない」
「……う……ま、そうだけど……
 だから、今年は最初にある程度ど派手に暴れておけば、後はする事が終わったって顔で
遊び回れると思うのよね」
「……なるほどねー……」
 綾香の胸をよぎったのは、無駄な努力という言葉だった。
 別に起こす事件が一度と決まっている訳ではない。警戒は結局変わらないと思うのだが。
 しかし、そこまで冷たくできるほど、綾香は人間として強くない。
 しょうがないわね、と彼女は嘆息した。
「メンバーにもよりけり、ね。誰と誰が参加するの?」
 ぱっと顔を輝かせると、香奈子は指折り数え始めた。
「えーと、私、健やか先輩、ルーン君に――」
「あ。私パス」
「何でっ!?」
「何でも何もっ! 思い切りあのまんまのメンバーじゃないのっ!」
「ううううう。だって、人が集まらないし……」
 いじける香奈子に、それもそうかと綾香は納得しないでもなかった。
 現に、綾香は今断っている。
 綾香は二度目の溜め息を吐いた。
 少し深呼吸する。
 気持ちが落ち着いたところで、香奈子の背中に声をかけた。できるだけ優しく。
「しょーがないわねー。何人集まってるの?」
 その声に、そっと振り向いて香奈子が微笑む。
「20人ほど……」
「足りてんじゃないのっ!」
 今度こそ綾香が椅子を蹴って立ち上がった。
「あああ、だから、ちょっと趣向を変えていくのよっ。どっちかっていうと、歌劇方式で
やるのっ!」
「それって……バンド?」
「それ言わないでお願い」
 作者の願いも多少籠もってます(笑)。
「でも、それだったら私が出る必要ないじゃない」
「んー……まあね」
「私に一体何をさせたいわけ?」
「ほら、バンドステージっていったら、一組だけってわびしいじゃない。だから――」
 そこで綾香もようやくぴんと来た。
「対抗馬ってわけね」
「そういうこと。でも、別に本気で何かを競い合おうって訳でもないのよ。
 今回はあくまで出ることが目的。だから少なくとも私たちからは妨害なんかしないし、
何かあれば必ず協力するし。例えば健やか先輩角笛が上手だから角笛のメンバーがいない
みたいだったら貸すし」
「…………いや…………別に角笛は…………
 それはそれとして。歌劇方式って言ったわよね。それってやっぱり時間いるんじゃない
かしら」
「うーん。私とあなたのチームで大体30分で終わらせたいのよ。できれば午前中に。
 それ以後は解散して自由行動にしたいから。一つの曲を終わらせるまでに、とりあえず
一つの話を区切っていくっていうのかな。そういう形にしたいの」
 綾香は香奈子のその言葉を素早く頭の中で噛み砕いた。
 少なくとも昼には好恵とのカップルコンテストに出場しなくてはならない。そちらは、
まあ、窮余の一策として行ったものだから練習などは必要ないとして、大体今から準備に
掛けられる時間は――
 ……………………
 たっぷり10秒も悩んだ後。
「いいわよ。面白そうだしね」
 綾香は請け負ったのだった。


           『試立Leaf学園・共通時空・緑葉帝73年 仮設ステージ』


 晴れた空は実を言うと好きではなかった。
 活発な彼女だが、瞳が大きいために強い陽射しの中では少しくらくらする。
 何にせよ、彼女は今日も結い上げたポニーテールをテンポよくぴこぴこと揺らしながら
てふてふと歩いていた。
 晴れた空は実を言うと好きではなかった。単に繰り返しかも知れないが、とにかくそう
なのだった。好きでもないところへわざわざ出ていったのには理由がある。
 歩きながら時々無邪気にきょときょと左右に頭を振る彼女を見れば、大体どういう用件
なのかは想像がつこうというものだろう。
 陽射しを浴びることそのものは好きだけれど、彼女は外に出ると心持ち目を横に引いて
しまう癖があった。視界は結果的に狭まるので、だから彼女は晴れた空が好きではない。
 が、何事にも終わりは来る。一つは時間切れで、もう一つは目的が何らかの形で果たさ
れた時のことである。
 彼女の場合は後者だった。
 体育館の前に一際巨大な建造物を認めてそちらへとやや足を速める。
 否、その建造物に用があったのではなかった。正確には――
「あ、ルーン! 何してるノ?」
 そこにいた男子生徒たちに用があったのだった。
「ああ。ちょっとな」
 明らかに年下と判別るその少年は、釘をくわえたまま振り返りもせずに壁に金槌を叩き
込む。
 ふう、と吐息をつくと、彼は頭上に向かって声を張り上げた。
「太田委員、そっちはできましたか?」
「ん……もう少し待って。Hiーwaitくん、そっち押さえてくれない?」
「えーと……こうか?」
 ……………………
 ……………………
「どこ触ってるのよっ!」
 げし。
 ひゅるるるるる。
 ごしゃ。
 づぶづぶづぶづぶ。
 ぴちゃぴちゃぴちゃぴちゃ。
 きゅぴーんきゅぴーんきゅぴーんきゅぴーん。
 舞台裏からそういった効果音が聞こえてくるが。
 そんなことにまともに取り合うような真摯な情熱を持った者はさすがにこの場にはいな
かった。
 レミィが何事もなかったかのように――事実、何事もなかったのだが――腕まくりした。
「アタシも手伝う?」
「そーだなー。んじゃそこで空気椅子やってくれ」
「クーキイス?」
「ああ。えーとエジプトの伝統的な民俗芸能だ。由緒正しいぞ」
「Oh! It’s very nice! どうするノ?」
「まずだな。この前教えたキョンシーの真似をする」
「イエッサー!」
「次に掌と掌を向け合わせるように腕だけを回転させる」
「O.K!」
「肘を脇に引き締めて――」
「Yes!!」
「頭を下げる」
「募金ありがとうございましター!」
「仕事しなさいっ!」
 がきんがきんがきんっ!
 香奈子がスパナを手当たり次第に投げつけてきた。
「……って、えっ……?」
 がきん。これで一回。
 がきんがきん。これで二回。
 がきんがきんがきん……
 命中したのは3人……
 ……………………
 ……………………
「ご、ごめん。大丈夫?」
 慌てて香奈子が梯子を降りた。
 倒れている2人の傍らに佇む見覚えのある、こめかみを押さえたその人影は――
「……ん、ああ……瘤ができとるみたいやけどな」
 涙目の保科智子である。
 香奈子は顔の前で手を合わせる。
「ごめん。つい」
「いや……もうあんたらには何も言う気にならんわ」
 深々と嘆息すると、智子は眼鏡の位置を直しながら口を開く。
「えーと。月島先輩にあんたたちの手伝いするようにって言われて来たんやけど」
「え? そーなの?」
 そういえば、智子は確か2年生のあるクラスの委員長である。
 月島拓也(一応彼は生徒会長である)と繋がりがあってもおかしくない。
「ん。手伝ってもええけど、その代わり後で私のクラスの力仕事に男の子たち借りさせて
貰うから」
「あ、いいわよ、そのくらい」
 かくして本人たちの了承なしに暗躍メンバーの男性陣は今日もこき使われるのだった。


           『試立Leaf学園・共通時空・緑葉帝73年 エディフェル』


 エディフェル。
 二年生の学舎を指して、そう呼ばれているのだが、その理由を知る者はそう多くない。
 一つは念入りにその由来が秘されていること。
 もう一つは……言うまでもない。要するにただの校舎に気を払う者など稀だからだ。
 そして、他ならぬ彼女もその一人だった。
 優美な足を組んで、ぺちぺちと手にした筆記具で頬を叩いてリズムを取る。
「んーと……そうねー。とりあえず葵を誘うとしてー……」
 ちまちまと綾香はメンバー表にシャープペンシルを走らせていた。
「…………うーん」
 あまり思い浮かばない。
 そもそも、綾香はそんなに友達が多い方ではない。
 女だてらに格闘技をやっていて、それなりにファンもいるのだが、綾香自身がそれほど
だらだらと人にくっついていられる性格でないということが大きかった。結局のところ、
彼女は関わられない限り誰かと関われない――葵のことを不器用だの何だのとからかった
りする彼女ではあるが、自分のそういう特性についてはまるで把握していなかった。

                    ――そのくせ、妙に寂しがり屋では、ある。

 その時だった。
「だ・だからぁ、かおり、ち、違うんだってば」
「何が違うんですかっ!?」
「?」
 廊下から響いてくる、狼狽えたような声と、追及していく声に綾香は首を横に向けた。
「そ・そういう関係じゃなくって……、ああもう、何で泣くんだっ!?」
「っだってっ。だってだってっ!」
 ……………………
 また梓とかおりが揉めているらしい。
 ……………………
「そうね。梓がいるか」
 梓。色々な事情で、彼女とは実はつき合いが深い。同じ中学に在籍していたとかいない
とかの噂があった――本人たちは特に何も言わないのであくまで噂なのだが。
 柏木梓、と達筆な日本語でさらさらと書くと、彼女はさっさと更に人脈の世界に思考を
埋没させていった――
「ああ、もう、誰か助けてよぉぉぉぉぉっ!」


「くっくっく……そそる表情だねぇ……」
 そんな綾香に、迷彩服を着込んで舐め回すような視線を投げかける不審な人物がいた。
 ちなみに繰り返しておくが晴天である。木の上である。限りなく目立っていた。
 しかも――
「ふふふふ。窓際綾香。悩ましげな恋の溜め息。秋のあなたにfor you」
 ぶつぶつ独り言を言いながらにゅ、と彼は髪に手を突っ込んだ。
 やたらもじゃもじゃした、幅が頭3つ分くらいの髪の中から、高性能カメラが出てくる。
 そう。アフロだった。
 弁解のしようもないくらいにアフロだった。
 それでも目立っていないのは、彼が隠密技能5000くらいあるからである。
 ゲームマスター泣かせの数字の決めた髪の――もとい、神のリアリティがそこにあった。
 ちなみにその事実の前では、実は彼が木の枝にぶら下がって赤いマント他を翻している
ことなど何ら問題に値しない。
 大は小を兼ねる。大きい怪しさは小さい怪しさを隠すのである。
 何か違う気もする。しかしそれも些細な指摘である。大きい怪しさの前には実に無力だ。
 何はともあれ、彼はスペシウム光線の構えでカメラを構えた。
 どういう構えかは賢明な読者なら大きい怪しさの喩えを持ち出せばよいだろう。
 つまりはそういうことだ。
 彼はシャッターを切り始めた。
 ぱしゃぱしゃぱしゃぱしゃ……
 その時――
「プアヌークの――」
 カメラのものとは全く違う――
「邪剣よっ!」
 凄まじい光量のそれが天空を貫いて世界に降り立った。熱波を伴った爆光は容易に全て
のそれ以外の雑音を掻き消し、引き起こされた烈風は荒々しく空間をかき混ぜて、木々や、
教頭の菜園などを囂々と揺さぶる。生み出された熱量がその嵐に乗って、容赦なく周囲を
席巻した。ガラスを融解させサッシをねじ曲げセメントを穿ち大地を沸騰させ、片端から
薙ぎ倒していく――人も、それ以外をも問わず。
 やがて終わってみれば、どうということはない。いつものいつもの光景だった。
 破壊跡を見慣れているのが第一条件になるが。
「ふはははははっ!」
 見たぞ見たぞ見たぞ〜、と言わんばかりの表情をして校舎のてっぺんに立っているのは、
綾香の同級生で彼女に気があるらしいハイドラントと名乗る生徒だった。
「最近、どーも十三使徒の歳出が多いと思ったら、貴様が写真を撮ってトレカにしていた
からだろうっ! この私をたばかれると思ったか!?」
「さすがです、導師っ!」
 どんどんぱふぱふどんどんぱふぱふ。
 盛り立てる少年を背後に控えさせて、消火栓のコスチューム(これで変装していた……
らしい)を脱ぎ捨てると、彼は仁王立ちになって、未だぷすぷす言っているその消し炭に
びしりと人差し指を向けた。
「と、ゆーわけでっ! 綾香の生写真はこのハイドラントがいただくっ!」
「それ以前に公私混同をお控えになった方がよろしいですわね」
 ぽつりと、やはり背後に控えた美女――篠塚弥生が洩らすのに、ハイドラントは無表情
に沈黙した。
 その間にもマイペースに――マイペースな人間が多いのでともすればそれは一般的など
と言えなくもないのだが――手帳を取り出してぱららとめくり、その一ページで手を止め、
「――あら、今週だけで校舎の修復費が100万ほど」
 ぎしっ。
 今度は完全に石化する。
「まあ、構いませんが。私が職員会議で毎日胃の痛い思いをするだけですし」
「ううううう」
 何だか痛烈な嫌味(でもないが)にハイドラントは頭を抱えた。
「ああ、どうぞお続け下さい。昔から低能の上司の尻拭いをするのは理知的な才媛という
のが定石ですし」
「しょーがないだろっ!?」
 いきなり復活して――血の涙を流しながら――ハイドラントは弥生を振り返って両手を
わななかせた。
「そーでもしないと――」
「そうでもしないと?」
「そーでもしないと――」
「同じ発言を繰り返すことができるということはシーモンキー並の知能はおありだったん
ですね」
「凄いっ! 今世紀最大ですよ導師っ!」
「うがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
 とりあえず手近な彼の取り巻きの少年を殴り倒し、びしりと弥生に指を突きつけた。
「どーしてそーゆーことを言うっ! どーしてだ何でだほわいふーあーゆー!?」
「事実ですから」
「いーじゃないか別にっ! ダークなんだからっ!」
「小娘に血迷って極貧と金貸しとギャグの道へと転げ落ちていくのは確かにダークですね」
「ぅぅぅぅぅ〜っ!!」
 再び屈み込んだハイドラントの頭上に影が差し――
 一瞬後には電柱が倒れてきた。女生徒が二人、コアラよろしくしがみついてきょとんと
して顔を見合わせる。
 どうやら先程の熱線攻撃の余波が、電柱を――校舎の屋上に立つ電柱を――根本の辺り
から脆くしてしまったらしい。
 女生徒たちがくっついてくるのがよく理解らないが――まあ、いつものことだ。
 とりあえず無表情にきびすを返す彼女の耳に、弱々しい嗚咽が届いてきた。
「…………うう…………いつか…………いつの日か…………」
 諦めろ。RuneのLメモでは戦闘能力が高い時点で非戦闘員に敵う訳がない(笑)。


『試立Leaf学園・暗躍生徒会総則第2条:
 戦闘力はすべからく権力・または財力・または策謀に屈する運命にある。
 附則(いつのまにか):
 それでも最後の純真女子高生柏木ちーちゃんは誰も止められなひ』


「……またハイドが何かやったみたいね……」
 綾香は受け身を取ったままの姿勢でうんざりと独りごちた。
 彼女はハイドラントとそれなりに仲がいい。
 彼女の強さの秘密は、ハイドラントのそれと源流を同じくしているらしいが、その辺り
についてはまた別の話で、とにかく彼女自身には特殊な力はない。打撃系の格闘技に精通
しているくらいで、その扱いに凄まじく秀でているというだけのことである。それを可能
としているのが、彼女の反射神経と運動神経だった。
 常人の5倍を凌ぐとも言われるそれは、どんな危険に際しても常に反応を起こすことが
できる。それが防ぎようや避わしようのない代物であればともかくとしても、この程度の
爆発の余波であれば容易く受け身を取れる。普段に至ってはバランスさえ崩さない。
「そうだねー」
 傍らで誰かが頷き――
「!?」
 ばばっ、と空気を制服にはためかせる音さえさせて、綾香が構えを取った。
「やぁ」
 彼女の目の前で、それは特に悪びれた様子もなく片手を挙げる。
 見覚えのある人物だった。
 そこでようやく構えから力を抜く。
「…………健やか先輩?」
「うん」
 訊くまでもないことに彼はのんびりと頷くと、はい、と何かの紙を差し出してくる。
 以下の内容だった。

『暗躍生徒会混成チーム:
 ルーン、健やか、Fool、Hi−wait、TaS、Yin、岩下、城下、月島妹、
太田、藍原、宮内、柳川教諭、藤田、智子、新城

 ブルーレット置くだけチーム:
来栖川姉妹、長岡、柏木次女、エヴァーブルー、セリオ、セバス、河島教諭、悠、佐藤、
ディアルト、デコイ、T-star-reverse、秋山、雪智波、dye』

「……………………」
 ぷるぷると肩が震えるのが理解った。
「みんなにはもう手回ししてあるから、安心してていいよ。それと、太田さんが今野外用
のステージを作ってるから、必要なセットがあったら――
 ん? どうしたの?」
「どうしたのって……このチーム名は一体、誰が……?」
 訊くまでもなかった。
 だが、一応訊いておかねばなるまい。死んでからでは取り返しがつかないのだし。
「ああ、それならるーちゃんことルーンくんが――」


 以下、惨劇。


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 さてさて。青い人ラブラブエピソード開幕の序盤となる話です(ニヤリ)。
健やか「……そーなの?」
 うん。よっしーさまとかに「このまま膠着状態が続くのは……」って言われたので、ま、
それもそーかなと思いまして、こうです(笑)。
健やか「へえ。で、誰が本命?」
 俺。
健やか(びっくり)「あ、そうなの?」
 うん。まあ、一応自分がアプローチかけます。ただし、他の人には絶対真似できないし
二番煎じする人もいないでしょう。そーゆー方法です。その証拠に、ちょいちょいと『塔
時空』が顔を出しかけていることに鋭い人は気がつく筈。普段自分はあまり専門的なこと
が理解らなくても理解るLメモに終始してますから、ちょっとついて来るのは難しいかも
知れません。できるだけ誰にでも理解るものにしようとは心がけますが。
健やか「るーちゃんの書くのって、Lメモの雰囲気と登場人物のざっとした把握がないと
   全然理解らないんだよねぇ」
 あう。そーなんですよね。それが更に理解りにくくなる。一人もSS使いが出ない作品
を書けばいいんですが、それじゃファンサービスに欠けるってもんだろし。既にLeaf
でも何でもないと言われていたりするこの企画ですが、一応自分としてはLeafの割と
発掘されてないかっこよさとかを追及する感じで、原作とかとキャラが違うようにも見え
たりはしますが、基本的に彼女たちの魅力というものについては捉え違いをしていないと
思ってます。
健やか「……神岸さんは……?」
 う。
健やか「あの勇者云々も彼女らしい?」
 いや、まあ……ただ、彼女には彼女のエピソードがあったり……自分時空だけど。ただ、
他の女に取られるくらいなら私が取るっくらいの一大決心をしたという感じだったり。
健やか「その割には結構……」
 だって書く暇ないんだもん。
健やか「身も蓋もないなぁ」
 ほっといたら待つだけで、あの個性の波じゃ生き残れないでしょ。彼女の内面にまで、
しっかりと立ち入らないと、彼女主演のLは絶対にないし。そういうことをやる人がいる
かってーと、実はLでバトル抜きのシリアスらしいシリアスを書いた人ってすごく少ない。
 ましてLeafキャラを主役にする人は相当少ないし。Tさまとかには助けられている
んですが。
健やか「要するに我が儘でしょ?」
 まーねっ☆
 で、青い人の話。これからは塔時空における、青い人の中学時代の知識があると、結構
イメージが掴みやすいのでここで少しお話しておきます。
健やか「長いあとがきだねー……」
 あう(汗)。まあ、共通時空だけで理解る展開にはするんですが、流れが掴めていると
読みやすいと思います。詳しいエピソードは、これは名刺システムで配布予定ですが。
健やか「松原さんを好きな人とか塔関係で松原さんを書くかも知れない人に配る訳だね」
 そゆこと。
 で、二人は同じ中学にいたこともあるんですが(葵は結構転校族という設定にしている
ため、同じ中学にいました設定の重複はあり得ます。ていうか誰かやりませんか? 笑)、
初めての出会いが、綾香の護衛で『塔』なる私立中学の臨時教師をやっていた長瀬源五郎
――セバスチャンですね――の体育の時間でした。
 間違って青い人はルーンの腕を折っちゃうんですね。そーゆー仲から始まってるんで、
青い人は一応負い目みたいなのを持っていたりします。ルーン、利き腕を折られたせいで
試験の時に鉛筆が持てなかったんですね(笑)。期末考査で最下位です(笑)。
 でも、ルーンも結構その仕返しみたいなのにかこつけて結構ひどいことやってます。
 一番凄いのが両腕折って屋上から放り投げたことかな?
健やか「…………よく生きてたねー…………それ」
 ちなみに青い人はしっかり治癒されました(笑)。そーゆー無茶苦茶なことを遠慮なく
されてるんで、青い人の方もルーンに関してはあまり遠慮しない、つーことになってます。
 怒る時は怒る関係です。でも頼み事はしません(笑)。弱みを握られると知ってるから
(笑)。
健やか「楽しそうだね、こういうのを語る時って」
 設定魔だもん、俺(笑)。
 とりあえず、こういう背景から、ルーンと青い人は基本的に気の置けない悪友みたいな
感じです。ルーンは健やかや設定上許せば塔関係の人間殆どを巻き込んで床に接着剤撒い
たりとか馬鹿なことばっかやってました。
健やか「中学からそれだったのか……」
 うん(笑)。
 で、もともと青い人は綾香の追っかけでした。綾香に憧れるとこ、それに倣って格闘技
を始めたのも原作通りです。それにストーカー根性まで入っただけ(笑)。
健やか「だけ、かなぁ(汗)」
 ルーンと綾香は学年が違っても同じ授業を受けることが多く、必然的に綾香のいるとこ
にはルーンと青い人もいるという寸法でした。で、ルーンと青い人もそれなりに、まあ、
馬鹿をやる関係ではあったんですが。
 しかし綾香がL学園高等部へ行くと理解った時点で、最終的に彼女は転校を決めます。
 ルーンは転校しないで残り、そこの中学からエスカレーター式で同じ系統の高校に入る
――その筈でした。
健やか「筈だった?」
 現に今は青い人と同じL学園にいる訳です。
健やか「あ、そっか」
 で、二人は再会。気兼ねのない親友づきあいがまた始まる筈でした。
健やか「ところが恋愛感情が――」
(ニヤリ)
健やか「? 何でそこで笑うの?」
 ふふふ、まあ、後は学園祭の続き『終わる想い』でお楽しみ下さい(笑)。
健やか「むー(ふくれる)」


Test Case Academy Leaf
Common World
Episode of Aoi Matsubara
_Next: