テニス大会外伝Lメモ「初戦突破。だが戦いはまだまだ・・・」 投稿者:Sage
 試合後、倒れた昌斗はずるずると隆雨ひづきに引っ張られてゆき、残ったティーナは
誠治、美加香とともに、メンテナンスのため工作部へと戻った。
「よし、こんなもんだろう。」
「はい。」
「・・・・・・」
「がんばったね。」
 ぽんぽん、とティーナの頭をなでてやる美加香。
「うぅ・・・・うわぁぁぁぁん」
 ティーナの目からくやし涙がこぼれ出る。
 美加香はティーナをぎゅっと抱きしめてやった。
 まるで母親のように。



 菅生誠治&柏木梓VSマジカルティーナ&佐藤昌斗の試合は、誠治&梓ペアが勝利した。
 1回戦で一度魔力を消耗してしまったティーナ、最終奥義を使ってしまった昌斗。
 シードで2回戦が初戦となった誠治&梓と闘うには既にパワー不足だったのかもしれない。
 まあ、それも運。
 両者にわだかまりはなかった。
 それが証拠に数時間後、体力の回復した佐藤昌斗は工作部を訪れ、誠治と握手を交わした。
「月並みですが、俺たちの為にも勝ってくださいよ。」
「ああ。」
「負けたらゆるさないからねっ。」
 起きあがったティーナが、握手を交わす手に、その小さな手を重ねる。
「頑張るよ。」
「ところで、梓さんはどうしたんです?」
 ふと浮かんだ疑問を美加香が口にする。

 ガチャ。

 見計らったようにドアが開く。
 入ってきたのは梓だった。
「よう・・・・・。どうした?」
 元気のない梓に、怪訝そうに誠治が尋ねる。
「・・・西山と楓の組が負けた。」
「「「ええぇ!?」」」



 誠治と梓が試合前に話していたことがある。
『今回の大会、基礎パワーが低い物は、まず勝てないだろう。』
 ボールを打ち返す力が無ければ、いくら技があっても負けるだろう、ということである。
 だが、学園屈指の剛腕であろう、西山チームの敗北。
 パートナーが悪い可能性もあったが、西山の相方を勤める楓も決して悪いプレーヤー
ではない。
 ならば、何故負けたか。
 偶然か?
 誠治は素直に尋ねた。
「なにが敗因だったんだ?」
 返ってきた梓の答えは、
「西山チームは強かった。だが相手が悪かったのかな。」
「相手ってだれでしたっけ?」
 美加香が尋ねる。
「・・・・TaSと電芹チーム。」
「えっ?」
 美加香が驚きの声を上げる。
 それはそうだろう。
 はっきりいってギャグキャラの二人が善戦し、しかも優勝候補とも言えるチームを
下したのだ。
『変な踊りに幻惑されたのか?』
『試合中西山が暴走したか?』
『楓がセイカクハンテンダケでも食べたか?』
『電柱でも降ってきたか?』
『作者の気まぐれか?』
 さまざまな憶測があったが、梓は全てを否定した。
「TaS・・・あいつ、やっぱりただもんじゃないよ。」
 梓の導いた結論はそこだった。
「あいつから、変な外見と奇妙な動きをとって、落ち着いて判断してみたんだ。
 『俊敏な反応』、『試合の読み』、『パワー』。
 奴には全てそろっていた・・・と思う。」
「ふむ。試合の読みか・・・まあ、前から思っていたんだが・・・・・・」
「なんですか?誠治さん。」
 美加香が誠治の顔をのぞき込む。
「『奴は人の嫌がることをするのが好き』らしいからな。『ここにいて欲しくない』
と思う場所に奴はいる。」
「なら、奴を倒すには、奴の隙を突こうなんて思わず、正面にたたき込めばいい?」
 梓が言う。
「いや、もっと簡単だ。『ラリーを続けたい。』そう願って打てばいい。」
「そんな馬鹿な(笑)」
「「「「あははははは。」」」」
 全員が笑った。
 この時は、だれもまじめに考えていなかったからかもしれない。
 そう、この時は。



「さて、次はみかちょんの出番かな?」
「ええ。でも気が重いですよ。相手はあの二人ですから・・・」
「秋山と、かおりかぁ・・・」
 梓が頭を掻きながら応える。
 梓にとっても天敵の二人である。
「まあ、呉越同舟みたいなチームだ。チームワークの隙をどう突くかがキーになるかな。」
「チームワークという点なら、風見夫婦チームの方が上かな?」
「えっ!?」
 梓の言葉に美加香がボッと赤くなる。
「ふ、夫婦ってなんですかっ!?ひなたさんと私はそんなんじゃありませんっ!」
「あははは。まあまあ。で、勝算は?」
「・・・・・・・(汗)」
「・・・そういえば、風見くん、テニスの経験ないんだっけ。」
「・・・・・・・(こくん)」
「・・・テニスの練習は?」
「・・・・・・・ちょぴっと。」
「「「「「「はぁぁぁぁぁ・・・・・・・」」」」」
 そこにいた全員の溜息が漏れた。

   ばぁん!!!!!

 と、景気良くドアが開いた。
「特訓やっ!!!」
「智子さん?(汗)」
 そこには、テニスルックもまぶしい保科智子の姿があった。
 手にはラケットと・・・・目を回した風見ひなたが引きづられていた。
「試合まで、どこまで体にたたき込めるかわからんが、神戸もんの恥をさらすわけには
いかへん!特訓や!!」
「ロボピッ●ャを改造した八希特製テニス練習マシンも用意しましたっ!」
 智子に続き、試合を終えた八希も現れる。
「いくで、美加香!うちらは負けてしもうたけど、恥ずかしい試合だけはせえへんかった。
あんたらにも全力を出してもらうっ!」
「は、はいっ!」
「がんばれよ〜」
「はいっ!」
 美加香は元気良く立ち上がると、テニス用具を持って智子の後に続いた。
「さて、俺達も次に備えてウォームアップを始めようか。」
「そうだね。行きますか。」
 誠治と梓も立ち上がる。
「みなさん、がんばってくださいね。」
「がんばれ〜」
 昌斗、ティーナたちが声をかける。
 そして、戦士達は戦場へと向かった。
 四角いコートへと。



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おまけ1:橋本&芹香

 「あぁぁぁぁ!!どうしたらいいんだっ!きっと、ボコボコにされるんだぁぁぁぁ!!」
 「・・・・・・(ぼそぼそ)」
 「『救急車呼んでおきますか?』って、いやだぁぁぁ(涙)」

  次回、ハイドラント&EDGE組と当たる橋本は既に死を覚悟していた。。


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おまけ2:誠治&ちびまる

 「あ、ぶちょー、OLHさんから小包が届いてますよ。」
 「・・・・・ちびまる、爆発物反応見てみて。」

   ぴーぴーぴー

 「・・・・反応ありです。(汗)」
 「やっぱり・・・。ティーナを負かせたの、そんなに怒ってるのか(汗)」

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