「で、で、で、電芹・・・・・」 夕方、お客の減ったカフェテリアで、ぼぉっと外を眺めていた店員の川越たけるは、 突然振り向くと、同級生であり、同じくカフェテリアの店員のプロトタイプセリオ型 メイドロボ、通常『電芹』に、向かって言った。 「上からなんか白い物が落ちてくるよ・・・・でも上をみても誰もいないんだよぉ(汗)」 「上から降る白い物・・・ですか?可能性としてあるのは、火山灰、隕石などの燃え カス、核爆発などで巻き上げられた粉塵・・・・・」 「あうあう(涙)。上からそんなのが降ってきたら家にかえれないよそれに仕入れのお じさんも食材もってこれないよ食材がないと料理がつくれないよ料理が作れないとご飯 が食べられないよご飯が食べられないとお腹が減るよ〜誠治さんお腹減ったよ〜(涙)」 「・・・・・・・・・・・・・」 たまたまカウンターにいた、工作部部長、電芹の管理担当である菅生誠治は思わず机 に突っ伏した。 「誠治さん、どうかしましたか?」 電芹が誠治の顔をのぞき込む。 「・・・いや、そのオチは読めなかった。」 「カラン、カラカラン」 ドアベルが鳴り、入り口のドアが元気良く開かれる。 そこから姿を現したのは学園に出入りしている、かわいい女の子。 カフェテリアのお手伝いもたまにしてくれる笛音ちゃんであった。 「おねえちゃんっ!雪だよっ!雪がふってきたよ〜。」 「ゆ、ゆき?ゆきってなぁに?」 怪訝そうにたけるは笛音に尋ねた。 「え?雪って、お空から降ってくる、冷たくて、白いやつだよ。」 「雪−−−大気中の塵などを核として、空気中の水分が結露。さらにそれが冷気に当たり 結晶化したものが地上に降り注ぐ現象。地域によっては、数十センチから数メートル降り 積もる・・・・そうです。」 セリオ型メイドロボの特徴である、通信衛星を使った即時データ検索機能『サテライト サービス』を使ったのだろう。雪に関しての情報を電芹が口にした。 「えぇ?やっぱり塵なの?あうあう〜そらからゴミが降って来るんじゃおもてあるけない よしかも数メートルも積もったら家に帰るだけで汚れちゃうよすぐに洗濯物がいっぱいに なるけど表に干せないから着る物がなくなっちゃうよ・・・・・・・・誠治さん、新しい お洋服かって?(にっこり)」 「えっと・・・・・・今度ね。(汗)」 「(小声で)電芹おねぇちゃん、今のはたけるおねえちゃん、計画的だね。」 「(小声で)ええ。それに乗せられてしまう誠治さんも弱いんですけどね。」 「(小声で)まあ、うちのおにいちゃんも同じだろうな・・・・」 「(小声で)笛音さんのところも大変ですね。」 「(小声で)電芹おねえちゃんも大変だよね。」 「「はぁ・・・・」」 笛音と電芹は、そろって溜息をついた。 ばぁん!!!! 勢いよく窓の1つが開き、冷たい風が吹き込んでくる。 「わっはっはっ!!若い者どもが、なにを暗くなっておる!!外は雪だぞっ!」 「あ、あっき〜だっ。」 「『あっきーだっ』ではないっ!雪の日には、中に石を詰めた雪のタマを人にぶつける物 と決まっているのだっ!!ゆくぞたけるっ!!」 「はいっ!れっつごー!!」 全員が呆気にとられているあいだに、窓から出てゆく秋山登と川越たける。 「(小声で)電芹おねえちゃん・・・・あっちも苦労しそうだね。」 「(小声で)・・・・・・はい。」 結局それほど雪は積もらなかったが、たけるは秋山と泥団子を人にぶつけて遊んでいた。 秋山はいろんな人に反撃されぼろぼろになっていたが、それはそれで楽しいらしかった。 次の休みの日、電芹は一日中洗濯をする羽目になった。