バレンタインLメモ「チョコレートは何の味?」 投稿者:Sage
 今日はバレンタイン。
 朝から芹香は部室で何かをことこと煮込んでいた。
 部室には甘い香りが充満する。
(にゃ?この匂いはチョコレートにゃ。)
 窓から入ってきたエーデルハイドは、すぐにそのにおいをかぎ分けた。

 チョコレートの荒熱をとり、枠に流し込む。
 そして冷やせばチョコレートの出来上がりである。
 枠からとりだし、ちゃんと形になっているのを確認すると、芹香は
にこっと微笑んだ。
(はにゃ〜。笑顔もかわいいにゃ〜。)
 芹香の顔を見つめるエーデルハイド。
 その視線に気付いたのか、芹香はエーデルハイドの方を見やった。
 そして芹香はおもむろに出来立てのチョコレートを一つ摘むと、小さな
皿に載せ、エーデルハイドの前にことりと置いた。
(にゃ!?俺にくれるのか?感動にゃ〜!!)
 涙にむせびながらチョコレートにかじりつくエーデルハイド。
(うまいにゃ〜、生きててよかったにゃ〜(涙))
 猫なのに、ぽりぽりチョコレートをうまそうにくっているエーデルハイドを
見て、芹香は微笑みながら頭を撫でてやった。
 が・・・・
(ふにゃぁぁ?ちぃかぁらぁがぁはぁいぃらぁなぁいぃにゃぁぁぁぁ・・・)
 なぜか突然力が入らなくなる。
 手足がかくんと折れ、地面にへたりこむエーデルハイド。
「!!!」
 突然の変化におろおろする芹香。
 あわてて、チョコレートの製法を記した本を確かめる。

「彼氏を骨抜きにするチョコレートの製造方法」

(・・・・・・骨抜きの意味がちがうにゃぁぁぁぁぁぁ!!!!)
 力が入らず、突っ込みもできないエーデルだった。
 心配そうに、エーデルハイドを抱え上げる芹香。
 どうしたか判らずおろおろしている。
 おでこに手を当てたり、
 脈を取ったり、
 扁桃腺をみたり、
 雄か雌か確かめたり・・・
 だいぶパニックになっているようだ。
 そして、しまいには、首にエリマキのように巻いてみた。
 姿見に映してみる。
 芹香の首をぐるりと包み込む、ビロードの様な黒い毛並み。
 よく似合っていた。
 手と足を縛ってみる。
 グッド。
 思わず芹香も鏡を見て、Vサイン。
 そんなバレンタインの早朝。
 こうして来栖川芹香とエーデルハイドは『結ばれた』。(爆)

おわり。


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