Lメモ外伝TH沙留斗の冒険act3「沙耶香」 投稿者:沙留斗
このLメモをジン・ジャザムさんに捧げます・・・

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Lメモ外伝

   トレジャーハンター沙留斗の冒険  

           act3 「沙耶香」

 夕方・・・

 部活を行っている者も殆どいなくなった時間帯・・・

 第2購買部でも沙留斗とbeakerが、店じまいを済ませていた。

「それじゃ、私は宿舎に行きますから・・・」
「うん。おっと忘れるとこだった。はいこれ。」
「あ・・・ありがとうございます・・・」
「・・・僕が言うのもなんですけど、あまり気にしない方がいいですよ?」

 そう言いながらbeakerは沙留斗に紙袋を渡す。

「ははは・・・解ってますよ、いつものことですし・・・」

 そう言いながら、紙袋を受け取る沙留斗。

「じゃあ、行きます。明日「彼女」をよろしく・・・」
「解ってますよ。では、また今度。」
「お願いします・・・」

 そう言い残し、沙留斗は転校以来一度しか訪れたことの無い方の、宿舎に戻った。

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 次の日の早朝・・・

てくてくてく・・・

 一人の少女が体育館の近くを何かを探すように歩いていた。
 その身に薄紫色の着物のような物を纏った、小柄な少女だった。

 そこにちょうど朝練を終えた綾香がやってくる。

「あ・・・あの、すいません・・・・・」
「ん?私に何か用?」
「少しお伺いしたいのですが、第2購買部はどちらでしょうか?」
「第2購買部?ああ、それならこっちだけど?」
「どうも有難う御座います・・・では・・・」

 少女は深々とお辞儀をすると、そう言い残し去っていった。

「・・・見たことない子ね・・・それに、こんな朝早くからなんで・・・」

 そう思いながらも綾香はシャワーを浴びに向かった。



てくてくてく・・・

「えっと・・・こっちでしょうか?」

 そう言いながら少女は中庭を歩いていた。
 すると、今度は芹香がベンチに座っていた。

「あ・・・あの、すいません。第2購買部はどちらでしょうか?」
「・・・・・・・」

 しかし、芹香は答えず、じっと少女の顔を見る。

「あ、あの・・・なにか・・・」

 少女がそう言いかけた時、芹香が口を開いた。

「・・・・・・・」
「!!!」

 その言葉を聞いて、少女は目を丸くして驚いた。

「・・・・・どうしてそれを?」
「・・・・・・・」
「・・・魂の色で分かりましたか・・・今まで他の人にばれたないのですが・・・
流石は芹香さんですね、すごいです。」

「・・・・・・・」

 芹香が「そんな事有りません」と答えると、2人は楽しそうに微笑んだ。

「・・・・・・・」
「・・・案内して下さるのですか?有難う御座います。では、お願いします。」

 少女はそう答えて、芹香とともに第2購買部へと向かった。

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 第2購買部・・・

 ここには開店準備を行っている、坂下と理緒がいた。

「えっと、坂下さん、これ何処でしたっけ?」
「ん?それはそっちの棚よ。あ、それはこっちのショーケースよ。」
「はい!」

 そう話しながらも慣れた手つきで準備を進めていく2人。
 そのとき・・・

「・・・・・・・」
「すいません・・・」

 と芹香、そしてさっきの少女がやってきた。

「あ、来栖川先輩おはようございます。あの、開店はまだなんですけど・・・って、
あれ?誰ですか、その子?」

 理緒がそう聞いた時、少女が口を開いた。

「あの・・・ここに兄様(あにさま)・・・beaker様がいらっしゃると聞いて、やって
来たのですが・・・」

 その時坂下が出てきた。

「beakerなら今、倉庫に行ってるけど、兄様って?」
「あ・・・申し遅れました、私は・・・」

 そう言って少女が名乗りをあげようとした時、

「ただいまー」

 beakerが荷物を抱えて戻ってきた。

「あ、beaker!ちょうど良い所に、あんたに客が・・・」

 そう言いかけた時・・・

「あ・・・兄様・・・」

 少女が不意に口を開いた。

「え?ああ!?沙耶香じゃないですか。!!」
「はい・・・お久しぶりで御座います・・・」
「お久しぶりって、どのくらい会ってませんでしたっけか?」
「もう、3ヶ月近くになります・・・お会いできなくて寂しかったです・・・」
「そうですか・・・もうそんなに経ちましたか・・・ところで、どうやってここに
来たんです?確か迎えに行く約束だったはずですけど?」
「早く兄様に会いたくて出てきたんです。それで、迷っていたところを芹香さんに
ここへと連れてきて頂いたんです。」
「そうだったんですか。ありがとうございました、芹香さん。」
「・・・・・・・」

 「お礼を言われるほどでは・・・」と返す芹香。

 そんな中、話の輪から外れた坂下と理緒は、混乱する頭の中で様々な事を考えていた。

(兄様って?)
(店長の妹?)
(beakerがあんなに楽しそうに・・・)
(店長があんな顔をするのって、私たちにも無いのに)
(けっこう可愛いわね・・・)
(何で紫の着物を着てるの?)
(いやそんなことより・・・)
(なによりも・・・)

 二人は口をそろえて同じ疑問を口にした。

「「貴方一体誰なんです?」」

 そこで初めて気づいたように、beakerは言い出した。

「ああ、そうだった・・・沙耶香、2人にご挨拶をしなさい。」
「はい、兄様・・・では改めまして。私は兄様の妹の沙耶香と申します。」

「「え・・・・・・?」」

 続けてbeaker。

「義理の、ですけどね・・・旅の途中で拾ってからずっと一緒だったんですよ。」

「「ええぇぇぇ!?]]

 更に芹香が最も衝撃的なことを言った。

「・・・・・・・」

「「えええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」」

 第2購買部に、坂下と理緒の声が木霊した・・・

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「2人とも落ち着きましたか?」
「ああ・・・」
「なんとか・・・」

 パニックに陥った2人を何とかなだめて、5人は紅茶を飲みながら話をしていた。

「でも、まだ信じられない・・・」
「この子が本当に・・・」

 まだショックが抜けきらない2人は呆然としたまま呟く。

 あの時芹香が最後に言った言葉は、

「この人は沙留斗さんと同一人物です。」

 であった。

「でも、見た感じはぜんぜん違いますね・・・」
「本当、髪も長いし、顔立ちだって・・・」

 そう言ってまじまじと少女・・・沙耶香の顔を見る二人。

「あ、あの・・・そんなに見つめられると・・・は、恥ずかしいです・・・」

 そう言って頬を染める沙耶香。

「ああ・・・」
「ごめんなさい・・・」

(姿形どころか・・・)
(性格までぜんぜん違う・・・)
(この子本当に・・・)
(沙留斗さんなの・・・?)

 2人は、目の前の少女とは似ても似つかない、トレジャーハンターを名乗る、
青年の事を思い浮かべる。

・・・もっとも、男が顔を誉められて頬を染める何てことは無かろうが・・・

「ははは・・・まあ、驚くのも無理はないでしょう、いきなりですしね。それに、
沙耶香は沙留斗くんと本当に同一人物とも言い切れないんですよ・・・」
「どういうこと?それ・・・」

 そう言うbeakerに、問う坂下。

「・・・・・・・」
「・・・魂の色は一緒ですが、波長がまったく違います・・・ですか?」

 beakerの言葉を補う芹香に、訳する理緒。

「魂の色と言うのはその人の根本となる物で、魂の波長と言うのはその人の経験に
当たる物の事です。」
「つまりは、ゲーム機で言うところの、同じハードでソフトが違う、て事だね。」

 更に、芹香の言葉をわかりやすく説明する、沙耶香とbeaker。

「う〜ん・・・つまり、2重人格みたいなものか・・・」
「少々違いますが、その様な物だと思ってもらっても構いませんね。もっとも、普
通の2重人格者は身体が変化したりはしませんけれども。」

 坂下の答えに、「くすっ」と笑って答える沙耶香。

「でも、なんで店長と沙耶香さんは義理の兄妹なんですか?沙留斗さんとは違いま
したよね?それに、なんで姿が変わるんです?」

 そして、理緒がそう聞いて来た。それは、坂下も、そして芹香も知りたい事であった。 

「ああ、それはですね・・・」

 ・・・・・長いので割愛させていただきます・・・・・
 ・・・・・この内容はact4に掲載します・・・・・
 ・・・・・合わせてお楽しみくださいませ・・・・・・

「と、いうわけです。」
「なるほど・・・それで兄妹って分けね。」
「でも・・・なんて言うか・・・その・・・」
「・・・・・・・」

 「お気の毒に・・・」と芹香。

「私は全く気にしてません。むしろ、私をこの世界に出れるようにしていただいた
ので、兄様には感謝しています。もっとも「彼は」困ってるみたいですけど。」

 そう言って、「くすっ」と笑う沙耶香。その様子は、悪戯を成功させた時の子供
のそれであった。
 その笑顔を見て、坂下は何かを思い付いた。

「じゃさ、2つほど聞きたいことがあるんだけど、なんで着物を着てるの?」
「ああ、これは沙留斗さんが使っている魔力結界マントの改良品です。あのままじ
ゃ重いですし、何より可愛くないじゃないですか。」

 そう言って、少し不満そうな顔をする。坂下はこの話をクッションにして本題を
切り出した。

「じゃあ、もう一つ。沙留斗の事って何処までわかるの?」
「ほとんど全部、ですね。「彼」の記憶や思考のほぼ全ては私に理解でき、逆に私
の記憶や思考は「彼」には殆ど分かりません。」

 そう言って心底楽しそうに、くすくすと笑う沙耶香。
 それを聞いて坂下は、してやったりっと言ったような笑顔を浮かべ、話し出した。

「ところでさ、話題は変わるんだけど、学校の中や部活を見て回らない?私が案内
してあげるよ。」

 その言葉の真の意味を正確に汲み取った沙耶香は、

「いいですね。ちょうどやってみたい事や、行ってみたい所が有りましたので。」

 そう言って、坂下と同じ満面の笑みを浮かべる。

「じゃあさ、さっそく行こうか?」
「そうですね、前は急げと言いますし。」

 そう言う2人の笑顔は、子悪魔そのものであった。

「・・・沙留斗くん・・・」
「・・・御愁傷さまです・・・」
「・・・・・・・」

 「お気をとさないで下さい。」と締める芹香。
 3人は此処に居ない、不幸になるであろう青年に祈りを捧げた・・・

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 3日後・・・

 2日間沙耶香に身体を占領された沙留斗は、やっと元の身体に戻る事ができた。
 しかし、周りの状況はそうは行かなかった。

 沙耶香が出ていた2日間、「彼女」と坂下は、様々なところを回っていた。
 教職員に一通り挨拶をしたり、様々な部活を回ったりと学園内の様々な所を回った。
 もちろん、知り合いの教職員や生徒には、沙耶香=沙留斗である事を説明した。

 ・・・さすがに一般生徒にまで言うのは良心が咎めたみたいではあるが・・・

 そのため、次のような事が沙留斗に身に降りかかった。

ケースbyレミー
「Hi!沙留斗、沙耶香はとってもキュード上手ネ!また一緒にしようって言って
おいてネ☆」

ケースbyDマルチ
「──沙留斗さん、沙耶香さんにまた一緒にお茶でも立てながら、日本の文化につ
いて語り合いましょう、と伝えておいてください。」

ケースby綾香
「あら、沙留斗。あの時の女の子が貴方だったなんてね〜、気づかなかったわ。
あ、あと彼女、組み手の筋が良かったから、できればもう一度相手してって伝えと
いてね。」

ケースby芹香
「・・・・・・・・・」
(沙留斗さん、また一緒に、占いや魔道についてお話したいと、沙耶香さんに伝え
ておいてください。)

ケースby勇希
「おや、沙留斗くん。沙耶香ちゃんの時可愛かったわよ〜、いろんな洋服着せちゃ
った☆できればまたお願いね〜。」

ケースbyデコイ
「沙留斗くん・・・沙耶香ちゃんの写真、なかなか好評だったよ。彼女に変わった
ときは、また宜しく。」

 とまあ、会う人会う人に言われる言われる。しまいには坂下に、

「沙耶香の方が人気あるんじゃない?」

 と、止めを刺された。

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 いい加減嫌になった沙留斗は、学園が見渡せる小高い丘に座って夕日を見ていた。

「・・・私は沙耶香じゃないのに・・・沙耶香じゃないのに・・・」

 そう言いながら佇む沙留斗。
 その時、その肩に

ポン・・・

 と、手が置かれる。

「え?あ、あなたは・・・」

 そこに居たのは、なぜか変身ハンマーを片手に持った、ジン・ジャザムであった。



 夕焼けに染まる校舎を見つつ、横に並んで座っているジンに、沙留斗は語りかける。

「・・・人生って、何でしょうね・・・ジンさん・・・・・」

「・・・何だろうな・・・・・」

 そう話す2人は血の涙を流しつつ、赤い赤い夕日に照らされていた・・・


                       To Be Continued

                       今日のアイテム:魔力結界マント
                              &着物バージョン
                    
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沙耶香:こんにちは、Lメモ3作目をお届けに参りました。
 理奈 :こんにちは、って沙留斗くんはどうしたの?
沙耶香:ああ、彼から手紙を預かってます。何でもしばらく1人になりたいとか。
 手紙 :「探さないで下さい。by沙留斗」
 理奈 :ま、まあ!気にしないようにしましょう。
沙耶香:とにかく、この作品は「彼」の作品で初めての2部作になっております。
 理奈 :正確に言うと少し違うわね。
沙耶香:はい、何でも本来は1纏めにするつもりが、予想以上に長くなって、2つに分
        けたとか言っておりました。
 理奈 :いつものように行き当たりばったりね・・・
沙耶香:いいえ、今回は前よりひどかったらしいです。
 理奈 :と言うと?
沙耶香:私の設定制作と同時進行であったため、書いている途中で性格や設定が変わっ
    て大変だった、と言っておりました。
 理奈 :聞きしに勝る当てずっぽうぶりね・・・
沙耶香:そのせいで、もうプロットの上がっていた方のLメモが出せなかったと言う話
    もあります。
 理奈 :・・・もう何も言う事はないわ・・・
沙耶香:では愚痴はこの辺にして。
 理奈 :連絡いきま〜す☆

beakerマスターへ
「今回もマスターに出演していただきました。沙耶香との仲はこんなもんでどうでしょ
うか?」
との事です。感想教えてね☆

ジン・ジャザムさんへ
「これがお約束の貴方に捧げるLメモです。返却は「可」ですので遠慮無く感想を言っ
てください。」
との事です。出来の悪いのは平にご容赦願います(深々とお辞儀)

へーのき=つかささん
「Dマルチをお借りしました。前に言ってたDマルチとの仲はこんな感じになります。」
との事です。また出て頂く事が有るかもしれませんがその時はよろしく☆

勇希(宇治)さん&デコイさん
「ちょい役ですが、出ていただきました。いかがだったでしょうか?」
少しですけれども出て頂きました。これからも出演していただく事があるかもしれませんが、
よろしくお願いします(深々とお辞儀)

 理奈 :とまあ、こんなとこかしら?
沙耶香:では、今日はこの辺で・・・
 理奈 :バイバ〜イ(今日は平和だったわね・・・)
沙耶香:またお会いしましょう(深々とお辞儀)


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