――時は世紀末。 「俺の名前はジン・ジャザム。学園は…狙われているッ!!」 ――超近代的設備の整った試立Leaf学園に、一人の使者が現れる。 「ちぃ、もう来やがったかッ!!」 「そんな?! まさか、あれは…!?」 ――使者の言葉の通りに現れしモノ。それは何なのか? 「…解った。今こそ話そう。俺が知った…真実を」 ――使者が語る真実とは? そして、芽生えた愛の行方は? 「ジンく〜〜〜〜〜〜〜〜〜んッ!!!!」 「俺は、ヤツを止める! 君は…生きろッ!!」 ――謎が謎を呼ぶ、スリリングな展開。 試立Leaf学園USO〜真実のひとかけら〜 ――制作…していませんのであしからず。 「これは…嘘だッ!!」 では掴みはこれくらいとして、前回のあらすじを。 Leaf学園は今、暑くてプールで女の友情で戦いである。 以上。では、本編へ。なお、やはりと言うかお約束的に、本編と前回の予告は必ずし も同じで無い事をご了承下さいと言うか、信じないで下さい予告は。 「しっかし…前回は、まさしく”嘘・大げさ・まぎらわしい”だったな。ジャ○に訴え られっぞ」 「浩之、呼んだかい?」 「…いや、呼んでねーけど? なんで、そんな気がしたんだ? 雅史」 「だって、”まさし”くって…」 「…………」 「…………」 「…もしかして天然ですか?」 「YesYesYes」 「…薔薇ですか? 鬼畜ですか?」 「薔薇ッ薔薇ッ薔薇ッ」 「…………」 「…………」 「…………」 「………ぽっ」 「…NOォッ!!!!」 「バーラバラバラバラバラバラバラバラァッ!!!!」 ズッギューン! 藤田浩之、開始早々作者の怒りに触れ、佐藤雅史バラの使者バージョンに洗礼を受け、 再起不能リタイヤ。 「君は僕を挑発した…」 ――To be continued. と、書いたにも関わらず、何事も無かったかの様に話は続く。 あっさりと所変わって、ここは汗と涙と友情と正義と愛と熱き血潮が渦巻く…かもしれ ない男子更衣室。悩める青少年の園――いや、砦である。 試立Leaf学園の日常――熱きプールの戦い・学園で一番暑い日―― ここ男子校異質…もとい、男子更衣室では、女子更衣室と同じ”更衣室”と言う名前が 付いてるのかと思える程に内装・雰囲気・清潔度・華やかさ等々がまったく正反対の方向 性を示していた。 更に言えば、男子に用意された水着は、正に”水着”と言った感じの簡潔なモノで、女 子とは違い、サイズ・水着の柄・水着のタイプ等色取り取り様々に揃えられてる等と言う 事は全然まったく欠片程も塵芥くらいも無く、それぞれに合ったサイズを早々に配布され ただけで、どれにしようかと選ぶ事も無く終わりを告げたのだった。 ちなみに、バスタオル等もその時に同時に配布され、後は着替えるだけである。 果たして、こう言う待遇にされた昨今お洒落な男子に不満は無いのかと言うと…。 「なんか、ソッコーで終わったよな」 「まぁ、いいんじゃねーの? 別にそこまで気にする必要ないだろ。たかが体育の授業だ し〜」 「まっ、それもそっか。ソッコーで着替えて、目の保養といこーぜ」 と、この様な意見が大半で、特に誰も不平や不満を述べる者は居なかった…か、どうか は解らないが、まぁ大概はこう言う事で納得したのであった。 …女子との落差を見せられれば、あるいはあったかもしれないが。 ちなみに、何故ここまで男子と女子で待遇が違うのかと言えば、第二購買部部長bea ker曰く、 「まっ、色々とあるんですよ。色々とね…」 と、テメー絶対何か企んでるだろコラ的商売人標準装備の表向き温厚そうに見える笑み ――商人スマイルを顔に浮かべ、ただそう一言だけ語った…と言う事らしい。 はてさて話題はがらりと変り、男子の着替えと言えば、こう言う場面での”お約束”と 言うモノがある。 ――それ即ち、”アレ比べ”である。 「ジン・ジャザムッ! 貴様に勝負を挑む!!」 と、様々なパーツ等の為に、人より着替えるのが大変なのが最近悩みの種である、Le af学園一熱い漢(おとこ)兼戦闘サイボーグ戦鬼、三年生のジン・ジャザムは、突然名 前を呼ばれ何事かと、着替える手を止めて声のする方を振り返った。 …が。 「…なんだ。誰かと思ったぜ。俺は今着替えてんだよ。テメーなんぞにに構ってるヒマは ねー」 ジンは、声の主が誰かを確認すると、勝負! と言う言葉に僅かに期待していた顔を沈 ませ、気だるそうにそう応えると、再び止めていた手を動かし、着替えるのを再開した。 「…逃げるのか? 負けるから逃げると言うのか??」 ジンに相手にされなかった男子生徒は予め予想していたのか、態度を崩さないどころか、 今度は挑発している、と言わんばかりの癇に障る声でそう言ったのだった。 「…なんだと? 俺は弱い奴と戦っても、面白くもなんともねーんだよ。解ったら、さっ さと消えな」 ジンは、一瞬挑発に乗り掛けたが、どうやら自制したらしくあくまでも取り合わないと 言う風な態度で応える。 「ふん。やっぱり逃げるんじゃないか。貴様が最強だと言うのは、勝てそうな相手としか 戦っていないからなんだな…」 ジンの態度にもう一押しとふんだのか、男子生徒は先程よりも明らかに挑発している、 と解る言い方でジンの神経を逆撫でした。 「…後悔するなよ? そこまでこの俺に言って、後悔するなよ、テメーッ!」 流石に、自分の今までの戦いを侮辱されてはジンも黙ってはいられない。完全に着替え るのを中断すると、男子生徒の方へと向き直った。 「ふっ、ならば…アレ比べで勝負だ! ジン・ジャザムッ!!」 「よぉーしッ! 受けてたってやろうじゃねーかッ!! やぁーーって、やるぜッ!!!!」 「あ、アレ比べ!? あいつ…それでジンに挑むとは…」 ジンと男子生徒のやり取りを静かに見守っていた男子生徒達に、勝負種目を聞いたとた ん、まるで水面に波紋が広がる様にざわめきが広がった。 何故ならば、アレ比べとは…正に漢(おとこ)と呼ばれるもの達がやるに相応しい、真 の漢の勝負だからである…らしい。 そして、学園で”真の漢”と噂されるジンにその様な種目で勝負を挑んだ男子生徒に、 皆がこうして驚きを隠せないのであった。 そして、皆が見守る中…。 「行くぞ! おりゃ〜〜〜〜〜〜〜ッ!!!!」 「応ッ! てりゃ〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッ!!!!」 …勝負は、一瞬で決した。 「くぅ…さ、流石はジン・ジャザム…俺の…完敗だ…」 「…ふっ。やってやるぜ。しかし…テメーも…まぁまぁ、だったぜ」 「…ジン」 「…ふッ」 勝負は、ジンの勝利で幕を閉じた。戦い終わった漢達に浮かぶのは、勝利の笑みでも、 そして…敗者の苦渋に満ちた表情(かお)でもない。お互いの表情に浮かぶのは、ただ相 手を認め合った、真の笑顔だけであった…。 「「「うぉ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッ!!!!」」」 パチパチパチパチ!! それを見るや、固唾を飲んで見守っていた皆は、勝負を終えた漢達に賛辞とそして、精 一杯の拍手を送った。あぁ、素晴らしき漢達也。 「うきゅっ☆ はやく着替えて一番ノリですぅ〜♪」 と、その時。身長に明らかに合っていないぶかぶかの洋服を袖を捲くったりと器用に着 こなし、短く纏めた水色の髪を右側の耳の前だけ長く伸ばした少し変わった髪型に、どう 見ても少女としか思えない顔立ち、そして外見は一見して小学生の女子としか思えず、変 な気持ちになりそうで怖い、と一部の三年生男子も語ったと評判の、一年生男子水野響( みずのひびき)が現われ、勝負の後の盛り上がりを見せる男子達の輪の中でおもむろに着 替え初めたのだった。 そして…。 「……………」 「……………」 「……………」 「……………」 「……………」 「……………」 「な、何だと…?! エルクゥが…負けた??」 「…負けた。負けたぜ…あんたこそ…真のチャンピオンだ、王者だ!!!!」 「「「「うォおおおおおッ!!!!」」」」 …アレ比べの真の王者となったのだった。 「…うやっ?」 人は見掛けに寄らない…って、本当なのだろうか? さて、アレ比べで盛り上がりを見せる者達の輪から少し離れた場所では、今正に”とあ る計画”が発表されようとしていたりした。 「ふっふっふ…。おい、昌斗! それから、ティーさん! 男ならば…こう言うとき、真 の男ならやらねばならんことがある!! それが…お前らには何か解るか?」 どうやら既海パン姿にTシャツだけを着ており、着替え終わったらしい二年生のYOS SYFLAMEは、今丁度着替えを終えたらしい、同じく海パン姿にTシャツ姿の二年生 の佐藤昌斗、T−star−reverseの二人に右拳を握り締め、そう熱く語った。 ちなみに、左手には、竹刀袋に入れた愛用の木刀――喧嘩刀をいつもの様に持っている。 「…どうでもいいけど、YOSSY。プールまで、木刀持ってくの?」 YOSSYの熱弁を横に置き、昌斗は取り合えず疑問に思ったことを尋ねる。 その言葉にYOSSYは、「当たり前だろ?」と、なんでそんな当たり前のことを聴く のか? 男なら当たり前〜♪ と言う表情で応えた。 YOSSYが(正確には昌斗が)話を脱線させてしまい、完全に話題がそれてしまった のを仕切り直す様にティーが大体の予測をしながらも、興味深そうに聞こえる声で、 「で、YOSSY君。その”やらねばならんこと”と、いうのは何なんでしょうか?」 と言うのを聞き、続きを言おうとしていたのを思いだしたのかYOSSYは、いかにも 迷惑したと言わんばかりの感じで、 「おおっと! そうだった。ったく、話を脱線させんなよな〜」 昌斗を横目で見ながら言う。 「えっ?? 俺?」 誰が見ても、話の腰を折ったのは昌斗なのだが…言った本人は不思議そうにしていたり した。 「…天然?」 「…多分」 そんな昌斗の姿を見て、YOSSYとティーは深々と溜息を吐いたのだった。 「まぁ、いいや。んでだ。男ならばやらねばならんこと! それ即ち…」 仕切り直す様に、咳を一つすると、YOSSYは一人盛り上がりながら、昌斗とティー に先程の話題――つまり、やらねばならんこと、を話そうとしたのだが…。 「あぁ、はいはい。覗きね。あぁ〜…そりゃ〜止めた方が良いと思う」 「覗くのは、止めといた方が良いですよ。婦女子の裸を覗くなど男子にあるまじき行為で すからね」 と、YOSSYがやらねばならんこと、を言う前にズバリと昌斗とティーに言い当てら れてしまった。 そう。YOSSYの言いたかった、やらねばならんこと。それは即ち、異性が気になる 年頃の男子学生(共学)にのみに許された(許されてません)行為。女生徒の着替えを覗 く事である。 「…いっ、いいじゃねーかッ! 覗かないのは、男として失礼だぞ。なっ、藤田、お前も そう思うだろ?」 「あんっ?」 二人の態度に旗色が悪いと思ったのか、YOSSYは近くで丁度着替え終わろうとして いた同学年の、最近めっきり扱いが悪くなったと評判の藤田浩之に同意を求めた。 まさか自分に話を振られるとは、思ってもいなかったのだろう。いきなり話を振られて、 浩之は思わず間抜けな声を出してしまったのだった。 「なっ! お前もそう思うだろ? 藤田」 浩之の態度にここは一気に押すべきだ、と判断したらしく、YOSSYは畳み掛ける様 に浩之に言う。 「…お、おう。そうじゃねーか? …多分」 「ほ〜ら見ろ。お前らの方が、間違ってんだよ。よし、藤田! こんな、女子に対して失 礼な奴らは、ほっといて、俺たちはいこうぜ」 「おっ、おう! よく解んねーけど、なんかおもしろそうだから、付き合うぜYOSSY」 勝ち誇ったかの様に言うYOSSYの態度に、何かを感じたのか浩之は、YOSSYと がっちりと肩を組みながらそう応えるのだった。 「藤田。YOSSYが何処に行こうとしてるのか、知ってて言ってるのか?」 浩之が、どう見ても勢いに任せて言っているだけの様に感じられた昌斗は、浩之にそう 尋ねる。と、丁度その時。 「おい。今、貴様ら何処へ行くと言った?」 騒ぎを聞きつけ、着替え終わったらしい同学年の、白衣を着たさみしんぼさんと下級生 に密かに可愛いと騒がれてるらしい…と、長岡志保に確かな情報と太鼓判を押されている と噂のある悠朔(はるかはじめ)が現われ、微かに咎める様な感じを含んだ声でYOSS Y達にそう言ったのだった。 「…海パンに白衣はちょっと似合わないと思うんだけど」 「気にするな。これは私のトレードマークだ。固体を認識するにはそれ相応の目印が必要 となる。私の場合がこの白衣であり、そしてこれはお気に入りなのだ」 「…そうなの?」 「ああ。ちなみにオーダーメイドで、私専用だ」 白衣に海パンと言う朔の姿を見てツッコミを入れた昌斗に、朔は丁寧に尋ねていない事 まで話すのだった。どうやら、結構律儀な性格らしい。…律儀? 「話が逸れたな。話を戻すが…貴様ら、何処に行くと言ったのだ?」 またも昌斗のせいで話が逸れたが、朔は気にせずに話を戻し、視線を昌斗から外すと、 もう一度YOSSY達に尋ねる。 「何処って…ちょっと知的好奇心を満たしに」 と、朔の問いに無意味に爽やかな笑顔で応えるYOSSY。 「ふっ。知的好奇心か…たまにはその様な戯言も一興か…なぁ、悠よ」 と、その時。突然背後から声がし、朔の肩を親しげに叩く人影が現れたのであった。 「…ハイドラント。何時誰が行くと言った?」 「今、ここで俺がだ」 「で、何故それで俺も行く事にならねばならんのだ?」 「お前に選択権は無いのだよ、悠」 「…何?」 「これは…運命だからだ。男として生まれたからにはな」 「何? そ、そうなのか…??」 ハイドラントの言葉に、愕然とした顔で他の者達に意見を求める朔だったが、帰って来 たのは、 「当たり前だ」 「そうなんじゃねーか? 多分な」 「さあ? そうかもしれないような…??」 「違います」 と言う答えであった。 「…結局どっちなんだ?」 「…悠。男なんだろう? くよくよ考えるなよ。そして、胸のエンジンに火を点けろ!!」 直も戸惑う朔に、そんな事を言いながらYOSSYは、 「右の頬もぶったら左の頬もぶつッ!」 等とのたま…もとい、言うや否や、朔の両頬を思いっきり平手でぶつのだった。 「ぐはっ!」 あまりに突然の行動に、流石の朔もまともにYOSSYの平手を食らってしまう。 「お前は次に「貴様…殴ったな。父さんにも殴られたことないのに殴ったな!」と言う… です〜」 「貴様…殴ったな。父さんにも殴られたことないのに殴ったな! …はっ?!」 殴られた頬を押さえつつ愕然とする朔に、何時の間にか現われていた、もう泳ぐ準備は バッチリOK! な姿の響が、何故か勝ち誇った様にニヤリと、外見に似合わず(?)邪 悪な笑みを浮かべながら朔の次の発言を予測したりした。 …そして、沈黙が辺りを包んだ。 「…………」 「…………」 「…………」 「…………」 「…………」 「…………」 「…………うきゅっ☆」 沈黙を破る様に、先程と一転して天使の様な悪魔の笑…明るい笑顔を浮かべると、響は 何事も無かったのかの様に何処かへと去って行くのだった…。 閑話休題。 「…と、とにかくだ。男子として生まれたからには、異性の裸は大きなる謎・謎・謎!! それを忘れて、何が男だ、共学だ! 青春を、今謳歌せずに過ごそうとは…正しく愚の骨 頂ッ!!!!」 たかだか覗き位で大きく出たものだが、この時のYOSSYに突っ込みを入れるものは 皆無であった。 そう、今この時人心は一部統一されたのである。そして、各々の心境は、立てよ男子生 徒! ジーク女体!! と言う感じだったとか何とかニントモカントモ。 「そうか…俺が間違っていたよ。行こう…覗きに!」 「そうか…解ってくれたか悠ッ!!」 「…人の声色を真似て勝手に何を言っている、ハイドラント! と言うが早いか魔皇剣ッ!!」 「ぐはっ! …ちぃ、気がつきおったか、悠」 どうやら…先程団結していたのは本当に一部で、他は呆れてものが言えない、と言う状 態だったらしい。 「誰でも気がつきますって…」 「えっ?! 悠が言ったんじゃなかったのか!?」 「「「「「黙れや天然」」」」」 一人ボケた昌斗に世間はあまりに冷たかったと言う。あぁ、無常…と言うよりも当然の 対応であろう。 「しくしくしくしく…」 ワカメ涙を流しながら床に”の”の字を書き始める昌斗は完全に無視して、YOSSY はなおも朔を説得し様と口を開く。 「で…だ。男として異性と体の作りがどう違うのか? それは非常に気になるのは当然だ ろうが、悠」 「…まぁ、確かに。気にはなるな」 「だろう? だからこそ、男は女体を見たいと少年の心で思うわけだよ。なぁ、昴河」 「へっ?!」 またもや突然話を振ったYOSSYに、驚いたのか慌ててTシャツを直しながら、二年 生の時々女ぽく見えてドキドキするよな〜と、男子に噂されていると評判の昴河晶は「突 然何だ??」と言った表情を顔に浮かべ、YOSSYに振り返った。 「気になる異性の未知の部分。つまり…服と言うベールで包まれた女性の身体(からだ)。 男なら見たいと、そう思うよな? お前も気になる女の子の一人くらいは居るんだろう??」 と、振り返った晶に「俺は知っているんだぜへっへっへ。うんと頷いちゃえよ」と言わ んばかりの表情でYOSSYは言う。 (…YOSSYが言ってるのは、彼女のこと…だろうな。まぁ…確かに気にはなるよな) 晶は暫らく悩んだ。単に女性の裸、ならば確かに興味はあるが別にそこまで見たいとは 思わないだろう。だが、”気になる女性の”と付けばどうだろう? 見たくないか? と 聴かれれば…見たくない、と言う事は決して無い。いや、どちらかと言うと…。 「気になる娘(こ)のなら…確かに見ては見たいかな?」 晶はそう思ったので、素直に答えを口にした。しかし、これが後の彼に苦難を強いる事 になろうと言う事までは、思いもしなかった。晶はその生真面目な性格が自分に不利な状 況を作るとは、この時思いもしなかったのである。 「ふっふっふっ…決りだな。これで圧倒的に俺の意見は支持を得た。よって…我々は今、 ここに、女子更衣室を覗きに行く事を宣言するッ!! …なんか前も行った気もするが、 諸君! 北北西に進路を取れッ! 桃源郷は、その方角にありッ!!」 そして、暫しの時が過ぎ、 「そんなこんなで…結局これだけの有志が揃ったな。うんうん、俺は嬉しいぞ」 結局、着替え終わり準備を終わらせた女子更衣室覗きに行こうツアーの参加メンバーは、 YOSSY、昌斗、ティー、浩之、朔、ハイドラント、晶とそして、まるでタイミングを 見計ったかの様に現われた第二購買部部長のbeakerと、総勢8人と、かなりの大所 帯と化していた。 「さて…では、作戦会議と行きますか」 こうして、男子生徒8人による、女子更衣室への進軍が開始されたのである。 第3話 今度こそ北北西に進路を取れ。 さて、一方その頃。 「ふぅ…なにも行かなくたって、電波を感じ取ればいいのに」 盛り上がりを見せたYOSSY達を横目にそんな事を思う一人の男子生徒の姿があった。 彼の名は、長瀬祐介。将来馬面確定と言う不幸の星の元に生まれたと評判の二年生である。 「誰が馬面確定か?! 僕は母親似なことが数少ない自慢なんだッ!!」 …らしい。 「…こほん。で、だ。ふっふっふっ…僕は彼らとは違う。こうぴぴっと電波を…あれ? ここだと受信し難いな。では…っと、ここだな。さて…」 そう呟く様に言うと、祐介は辺りを漂う電波に意識を傾けそして、自分を受信機と化し 電波を自身に集め出した。 チリチリチリチリチリチリチリチリチリ…。 「来てます、来てます。電波力(ぢから)です。さて…女子更衣室の辺りの電波はっと…」 更に受信した電波に意識を集中し、感覚としてラジオのチャンネルを合わせる様にする と、やがて祐介の心に映像としてあるものが浮かんで来た。 それは、初めは様々な色に見えた。 だが、それは単なる色が広がっているだけではない。 そして、それが鮮明になると、そこには…。 「ぐはっ! そんな、沙織ちゃん大胆な!! う〜む…意外にスタイルいいんだな〜あの 子。あぁ、凄い! これは犯罪ギリギリ? お、お父さんは、そんなふしだらな格好認め ませんよっ!!」 祐介の脳裏に広がるのは、様々な色の下着や水着を身に着けた女子生徒達。 そう。祐介は電波によって、女子更衣室の様子を見ているのであった。 「僕には電波があるんだ。こうして電波さえ受信すれば、こんなことなんか…はっ?!」 チリチリチリチリチリチリチリ…。 と、その時。祐介に電波が届いた。その電波はとても優しく、まるで月明かりの様な… 祐介の良く知る電波であった。 そう、それは。 ”長瀬ちゃん” 「る、るるるるる瑠璃子さんッ!?」 祐介に電波の存在を知らせた、不思議な雰囲気がとても魅力的でついつい心臓が欲しく なる、と極々一部の…と言うか一見してショタに見える小学生女子の外見な一年生男子生 徒一名も太鼓判を押す、二年生女子の月島瑠璃子の電波であったのだからたまらないった ら驚き桃の木二十世紀ときたもんだ…と、後に祐介は語ったそうな。はぁ〜とってんぱら りんのぷぅ。 ”なに…受信してるの?” 「えっ!? い、いや…べ、別に…あははははっ」 ”…。長瀬ちゃん…” 「瑠璃子さん…?」 ”…えっち。長瀬ちゃんのえっち” 「る、瑠璃子さ〜〜〜〜〜〜〜んッ!!!!」 その後、プッツリと途絶えた電波に、祐介轟沈・号泣・GOGOウェイトレスの三拍子。 …最後のは違うが。 「おぉ〜い、また長瀬がなんか吠えてるぞ〜」 「まぁ、長瀬だしいいんじゃねーの?」 「まぁ、長瀬だしな」 「そうだな」 「そうだよ」 「そっか」 「「「「「「ははははははっ」」」」」」 と、祐介の様子を何時もの事と暖かく見守り笑う男子生徒一同。その様はまるで、某戦 え! 獣の鉄人!! の正義の味方一同か悪の軍団一同の様であった。 さてはてふむ〜、と言った感じに祐介はそのまま放置しておいて、作戦会議中のYOS SY達はと言うと…。 「さて、俺が仕入れた情報ではルートは二つあるらしい。だが、どっちが近いか? とか そう言うのまでは残念ながら不明だ。だから…二班にチーム別けしようと思う。で、チー ム別けだが…時間が無いんでサクサクいくぞ。俺、ハイドラント、悠、ティーさんはこっ ちのAルート」 と、滞りなく進み、あっさりと会議は終わりを告げ様としていたりした。 「貴様に指図されるのは気に食わんが…まぁ、良かろう」 「随分ずさんな情報だな。そんなんで行って大丈夫か? …って、俺は何をやる気出して いるんだ??」 「…はぁ、結局付き合う事になるんですか…。私はそう言うのに弱いというのに…」 と、少し癪に障らないながらのハイドラント、戸惑いを見せる朔、どうしようか? と 考えているティーに、YOSSYを加えたAルート班。その胸中は様々な様である。 「で、藤田、昌斗、beakerさん、晶がBルートな」 「まあ、やるからには、それなりにがんばっかな」 「…葵ちゃんには絶対に知られない様にしないとな〜…の前に、無事に済むのか??」 「さて…上手く事が運びますか…」 「見たいとは確かに言ったけど…なんで、参加する事になってるんだ??」 やる気を出した浩之、ぶつぶつと口に出しながら考えている昌斗、思う所があるらしく、 どう行動し様かと考えるbeaker、そして流されるままに参加してしまい、これから どうなるかと不安な晶と言ったメンバーのBルート班。やはり、こちらも胸中様々である。 こう言う時は流石と言おうか、自然と纏め役となったYOSSYのお蔭か個人色々と思 う所はある様だが、スムーズに会議は終了し、更にはチーム別けの発表までが僅かな時間 で済んだ様だ。 「よし! んじゃあ、後はさっき話した通りに…」 作戦会議が終わり、後はチーム毎にルート毎で目的地へ進むと言うその時、 「お前たち、ちょっと待て」 YOSSY達に、ちょっと待ったコール(死語)が掛けられたのだった。 「あれ? 耕一さん。どうかしたんですか?」 「…どうかした、じゃないだろう、昌斗。どうかしたから声を掛けたんだろう? お前た ち、どこに行くって?」 と、お約束的昌斗のボケに少し気勢を削がれながらも、最近は授業風景少ないので、や っぱりちょっと出番少ないな〜と思っているとかいないとか噂されている、学園最強の鬼 事、教師柏木耕一がYOSSY達の前に現われ、そう尋ねたのだった。 「いや…その〜…」 流石に、教師相手では行く場所を言い難いのか、言いよどむYOSSY達。と、その時、 「柏木耕一、良いから行かせてやれ」 意外な救いの手が現われた。 「柳川先生!?」 「柳川?! お前、何を言うんだッ!!」 そう、その救いの手とは、最近ユウヤ以外で出番が無いのは、俺が悪いのか? と真剣 に悩みだしたと教師仲間ではもっぱらの噂らしい…と、志保ちゃんニュースで騒がれてお り、しまいにゃ狩るぞコラと怒っているとかいないとかな、教師柳川裕也であった。 「柏木耕一。俺たちの職業はなんだ?」 裕也は、そう言うとズビシッと耕一に指を突き付けた。そのポーズはさながら某黒服セ ールスマンがラスト間際で、人を奈落の底に蹴落とす時のお決りポーズの様である。 「教師だろう。だから、こうしてこいつらを止めようとしてるんじゃないか」 裕也の態度に訝しく思いながらも、耕一は答えた。 「甘いぞ、柏木耕一」 が、その答えを聞くや、裕也は耕一の答えを一蹴する。 「なに?」 「真の教育とは、多くを学ばせ教える事だ。こう言った経験もこいつらには教育となる。 そうではないか?」 と、諭す様に耕一に言う裕也。だが、耕一は静かに裕也を見据えると、 「…確かに、こう言った事も一つの経験だ。教育にはなるかもしれない。それに同じ男と して、気持ちも良く解る。だが…だがな。俺たちは道徳的立場とかを教える役目も同時に あるんだ! 解るけれど…解るわけにはいかないんだよッ!!」 こう答えたのだった。 この時、裕也は見た。耕一の硬く握り締めた手から血が流れ落ちている事を。そして、 どれだけ耕一が辛いと感じているのかも、裕也は理解した。 …そして裕也は、 「手から血を出して我慢しなければならんほど見たいと言うなら、我慢などせずに見に行 けば良かろう。これだから貴様は好きになれん。貴様は鬼だろうが」 と、少しずれた眼鏡を直しながら、呆れた様に言うのだった。しかも、その瞳には侮蔑 の色が色濃く出ていたりする。 「…お前…俺の話聴いてたか?」 不気味な笑顔を浮かべ、尋ねる耕一。 「さあ、知らんが?」 冷笑すら浮かべてさらりと答える裕也。 「ほぉ…」 「ふん…」 「…………」 「…………」 プチッ(注:耕一の堪忍袋の尾が切れた音)。 「マジ狩るぞ、てめぇ!」 「面白い、やって見せろッ!」 「うわぁ〜〜〜〜〜っ! 耕一先生と柳川先生がキレたぁ〜〜〜〜〜〜〜ッ!!!!」 最強の生物と噂される鬼同士の最強争奪生死問わずの室内乱闘が始まりかけ、瞬時にし て男子更衣室は阿鼻叫喚の渦に巻き込まれ様としていた。それはそうだろう。大体の人間 は死にたくはないのだから。みんな、生命は大切にね☆ 「ウォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!」 「ウルォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!」 二人が同時に身体に宿る鬼を解放して戦闘態勢を整え、今正に戦いの火蓋が切って落と され様とした刹那。 「がはッ!」 ビュッ! 「ぐはッ!」 ビュッ! 何かが二度閃いた音が聞こえたかと思った一瞬の間に、二人は背中にそれぞれ三筋の傷 を負い、倒れてしまったのだった。 そして、丁度二人の立っていた中間には、何時の間に現われたのか、艶やかな黒髪を腰 まで垂らした美女…学園の理事長兼教師兼校医兼生徒の問答無用、最強にして最恐の柏木 千鶴が血濡れの両手を鬼化させたまま佇んでいた。 一瞬にして静寂に包まれた男子更衣室で千鶴が、やれやれと言った感じに、 「まったく、耕一先生も、柳川先生も、しょうがないんだから…。それに、耕一さんにな ら、言ってくだされば私が見せてあげるのに…って、私ったらはしたないわッ!!」 愛らしい顔を真っ赤にされ、いやんいやんと身体を揺すりながら笑顔で言われたそうな。 そして、物言わず唖然と男子生徒が見守る中、我に返った千鶴は一言、 「そんなに見つめちゃ嫌ですぅ〜。てへっ☆」 と、偽善スマイル炸裂。 その後、男子生徒達が一斉にずっこけたのは、後の語り草であるとかないとか。 暗転。 と、そんなこんなですったもんだした挙句、騒動から立ち直り。そんなどさくさの中で YOSSY達は女子更衣室へと向かったのでありました。 さてさて次回はどうなる事やら。この続きは次回の講釈で。 「ちょっと待て、私達の出番はどうなったのだッ?!」 と、今か今かと出番を待っていた新SS使い(当時は)である、三年生ディルクセン他 風紀委員一同はすっぽかされてしまったが…暗転の意味も無く、物語はまたもや唐突に次 回へ続く。 「次回は覚えていろよ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッ!!!!」 続く。 ――次回予告。 「さて…覗きなどと言う不届きな行為をする輩達を、一網打尽にするぞ!」 「「「「イィーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!」」」」 のっけから気合充分の風紀委員達。そして、 「ふっふっふっ。我らが罠の中へようこそ!」 「なに?! お前等は!?」 女子更衣室へと向かう一同に、襲い掛かる罠&謎の二人組。更に、 「楓ぇ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッ!!!!」 「俺を引きずるなぁ!!!!」 暴走する愛、そして恋する者達。 次回いよいよ、前回リメイク前の分にまで追い着いたぞ、な試立Leaf学園の日常 ――熱きプールの戦い・学園で一番暑い日――四の巻。 「包囲網離脱作戦!」 に、あらほらさっさ〜♪