Lメモ転校編(回想編)いつのまにかいた奴  投稿者:戦場拓壬
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Lメモ転校編(回想編)いつのまにかいた奴 投稿者:戦場拓壬
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  その日、藤田浩之はいつもと違う空気を感じた。
  気になって辺りを見まわすと、見知らぬ男子学生が教室の後ろで窓の外を眺めている。
  別にそれだけなら何の興味も持たなかっただろうがその男子は何かがおかしかった。
「なあ、あかり」
「なあに?浩之ちゃん」
  側にいた神岸あかりに聞いてみる。
「あれ、誰だ」
「へ?」
  浩之の指差す方向に目を向けると一人の男子学生が窓の外を見ていた。
「誰って…誰だろう」
  どうやら、あかりも解らないらしい。
  そこで俺はなんでそいつが気になったのかがわかった。そいつは右腕全体が包帯に包まれていたのだ。
  俺は意を決するとその男子に近づいていった。
「あ、浩之ちゃん!」
「なあ、アンタ」
  そいつが振り向き俺を見る。
「なんですか?」
「アンタ……誰だ?」
  酷くぶしつけな質問だった。







             Lメモ転校編(回想編)いつのまにかいた奴







「転校生?」
「ええ、始めまして」
  転校生…戦場拓壬と名乗ったこいつが挨拶をする。
「始めまして。あたし神岸あかり、よろしくね戦場君」
「俺は、藤田浩之って言うんだよろしくな」
「よろしく」
  二人……とりあえず悪そうな人達じゃなさそうで安心した。
「ところでよ…普通、転校生とかって来た日に皆の前で挨拶とかするもんじゃねえのか?」
「ああ、それか」
  ちょうど良い、ここで話しておこう。
  ここに着た最初の日に何があったのか。
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「ここか…ここがリーフ学園……今度から俺が通う学校……」
 その日俺は緊張していた。
  なんせ、まったく見知らぬ土地で生活を始めようとしているんだ、緊張しないはずがない。
「…とりあえずここにいてもしょうがないよな……移動するか」
  そう言って俺は案内所片手に移動をし始めた。
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「なんちゅう広さだ……」
  ここに入ろうと決めた時ある程度の資料を集め、ここがばかでかい学校だという事は知っていたが……けれど…
これは予想以上だ。
「校長室が何処にあるかさえも解らんとはな……」
  遠くに爆発音と悲鳴が聞こえていたりするがそんな事より今は校長室を探す事の方が大事だ
「くそっ…解りにくいなこのマップ」
 全体図だけが写っていて肝心の中身までは写っていないという実にいい加減な代物だ。
 俺はため息とともにマップをゴミ箱に捨てた。
「はあ……どうするかな……」
  しばらく意味無くさ迷い歩いていたが、その内疲れてしまって俺はその場に腰を下ろししばらく休む事にした。
「はあ……本当にどうしよう……」
  何度もおんなじ台詞を言う。
「迷いか……。目的地に着けない……俺はこんな所でも迷いつづけるのか……」
  しばらくうずくまっていたが、俺は気分を取り直してまた歩く事にした。



 しばらく行くと「図書館」とかいてある場所に来た。
「図書館か…どうするかな…」
 俺は本気で迷った。
 なんせ俺は本を読むのが趣味なのだ(主に推理探偵もの)大抵の学校は本の中に『怪盗ルパン』だの『金田一耕介』だの
と、俺の好みの本がおいてあるのだ。
 寄って行きたいが校長室に行くのが先決と後ろ髪引かれる思いでその場を後にした。
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「どうなってるんだ!この学校は!」
 行けども行けども肝心の校長室は見つからなかった。
「誰か人がいればなぁ……道を聞けるんだけど」
 そうそう都合の良いものではない……と思っていたら向こうから誰かくる。
「おおっ、これぞ天の配剤!」
 そう言うとちょっと歩く速度を速めるとその人に近づいて行った。
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「あ、すいません。ちょっといいですか?」
「・・・・・・・・・・・・」
「あ、あの…………」
「・・・・・・・・・・お」
「お………………?」
「俺は……俺は!…パチモンじゃねぇぇぇぇぇ!!」
 叫ぶのと同時に辺りにミサイル発射。
「うわわわ!?」
「俺はパチモンじゃねえんだぁぁぁぁぁ!!!!」
 ミサイル発射。
「ちょ、ちょっ!?何するんだアンタ!?」
 とりあえず落ちつかせようとするがまったく人の話を聞いちゃいねぇ……。
 結局その後しばらく辺り構わず攻撃を仕掛けて校舎崩壊寸前。
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「で、誰だお前」
「人に向かって攻撃仕掛けまくっておいてそんな事言いますか、アンタは」
「気にするな、生きてるといろんな事があるから」
「人に道尋ねようとしたらミサイルで攻撃された経験なんぞまったく無い!」
 結局その後、訳の解らん議論に突入してしまったのでしばらく休憩。
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「で、何を聞きたいんだ?」
「急に話が本筋に戻ったような気がするな」
「気にするな。それより誰だアンタ」
「質問が増えてるような気がするな」
「いいから早く答えろ」
 なんだか解らんがおとなしく言うこと聞いてたほうが良さそうなので俺はこの人に訳を話すことにした。
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「するってえと転校生か、アンタ。それで校長室を探しているけど迷ってしまったからここが何処だか解らないと」
「ええ、ええ、そうです。道教えてもらえません?案内してもらえるとありがたいんだけど、さすがにそれは
あつかましいだろうから」
 この正体不明(まだ名前教えてもらってないから)の人は今うつむいてしまっている。
「う〜〜ん……まあ道教えるぐらいなら危険も無いか。良し、じゃあ道順教えてやる」
「ありがとうございます」
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「あっ、そうだアンタ名前は」
「名前?俺は今日からこのリーフ学園の2年として来た戦場拓壬。よろしく」
「あっ、タメなんだ。俺も同じく2年の鬼斗原斬馬。実を言うと俺もまだ入ってまもないんだが……まあ
 お互いに頑張ろうぜ」
 そう言うと鬼斗原さんは手を出してきた。俺もそれに応じ手を握る。
「ところで戦場…っと呼び捨てでいいか?」
「かまいませんよ」
「これから校長室に行って事は……校長に会うんだよな?」
「ええ、普通校長室に行って校長先生に会わない人も居ないと思うけど。なんでも綺麗な女性だって聞いたけど」
 なんだか思いきり首をかしげている……何か校長に会う事に不都合でもあるんだろうか?
「あ〜〜戦場、これはあくまで俺の親切心から言うんだがな……」
「ふんふん」
「校長先生に挨拶に行くのはもちろん良いんだが……その時に手料理を振舞われるんだ」
 心の中でパーティー用クラッカーがはじける音がした。
「ラッキーだな〜。校長先生の写真見た限り凄い美人だったし、その上その人にご飯食べさせてもらえるなんて」
 ふと鬼斗原さんの顔を見るとなんだかとても難しい顔をしている……なんか不味い事いったかな?
「……やっぱり何も知らんのか。あのなここだけの話し、校長…千鶴先生と言うんだが……千鶴先生の料理を食べる
 とな」
「もったいぶってないで、どうなるんですか?」
「恐ろしくていえんっ!!」
「焦らしておいてそれかいっ!!!!」
 その時思わず強烈な突込みを放ってしまったために鬼斗原さんは、仰け反ってしまった。
「クッ…冗談だ、冗談。……けれど本当に千鶴先生の手料理だけは絶対に食うな。絶対だぞ!!長生きしたいなら
本当に食うなよっ!!!」
 そう言い残して鬼斗原さんは蜘蛛の子を散らす様に(一人だけだが)素早い動きで何処かに行ってしまった。
「長生きしたいなら食べるなって……そんなに不味いのか?」
       
        (結論。ほかに人に聞けばわかります)

「ほかに人いないんだから聞けねーって」
 そりゃそうだ。
「まあ…場所は教えてもらったわけだし…早速行くとするか!」
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「や、やっと着いた……」
 かなり歩いた。さっき教えてもらった所からだと物凄い離れていた為に滅茶苦茶歩く羽目になったのだ。
 咳払い一つ。気を取りなおしてドアをノックする。
「失礼します!」
 元気良く挨拶をし、勢い良く扉を開けたその向こうには………誰も居なかった。

「なんでじゃぁぁぁぁぁ!!!!!!」
  
   『現在授業中のために出払っております。千鶴(はあと)』

「…………あ、そうか……」
 それならなぜあの時鬼斗原さんに出会ったのか不思議だが、まあそんな事は気にしちゃいなかった。
 でもなんとなく自分が情けなくなった。
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「貴方が今度この学校に転校する事になった戦場拓壬君ね」
「はいっ、よろしくおねがいします」
 あの後千鶴先生が帰ってくるまでただひたすらに日課の筋トレをやりつつ時間をつぶして今に至る。
「そう…ところで一つ気になったんだけど……もし迷惑じゃなかったら教えてね」
「なんでしょう」
「貴方なんで右腕が包帯に巻かれているの?」
「それは…………」
 俺は言いどもってしまった。なんせこの右腕の事に関しては誰にも触れられたくないのだ。
「え〜〜っと言いたくない?」
「ええ、すいません……この右腕の事は聞かないで下さい」
 会話が無くなってしまった。なんとなく気まずい雰囲気になって、それを何とかしようとしたのか千鶴先生が
話を変えてくる。
「あ、ところでお腹すいてない?転校生には皆私の手料理を振舞っているんだけど」
「料理ですか……」
   

   『千鶴先生の手料理だけは絶対に食うな。絶対だぞ!!』


 頭のなかで先ほど鬼斗原さんに教えてもらった事が山彦の様に響いた。
「う〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ん」
 思いきり悩む。あれだけ必死になって訴えかけたんだからまさか嘘ではないと思うけど……それでもかな
り惜しい事になる。ちょうどお腹もすいている事だし……ここはお言葉に甘えさせてもらって。
「せっかくですから戴きます」
「良かった。はいどうぞ」
 そういって出された料理は……なんの変哲もない只のシチューだった。
 鬼斗原さんの言ってた事は立ちの悪い冗談だったんだなと思いスープを一口すすった。
「あ、美味い」
 お世辞ではなく本当にそう思った。その時だけは。
「そう?良かった」
 二口、三口ほど咽に流し込んで体に異変がおこった。
「あれ……?なんか…気が遠く……」
 そのまま気を失った。
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 目を開けるとそこはもう校長室ではなかった。
「………見知らぬ天井だ……」
「やめんかっ!!パクリのパクリは!!!」
 声と共に後頭部に強い衝撃が走る。それは体を覚醒させるのに十分な刺激だった。
「そーゆー使い古されたしかももう既に使われているようなネタはもうやめんか!!」
 今俺の目の前にはこの学校の校医と思しき女性が立っている。
「ここは……?」
「第2保健室。貴方が校長室で倒れたからここに運んできて寝かせたの」
 そうか……鬼斗原さんの言ってた事は冗談でもなんでも無く本当の事だったんだな。
「貴方大丈夫?歩ける?」
「ええ、もう大丈夫です。お手数かけました」
 ベットから起きあがろうとしたが何故か体に力が入らない。
「あ、あれ…………?」
「やっぱり駄目じゃない。無理は禁物、しばらく休んでなさい」
 命令口調でそう言い放つと校医の先生はカーテンの向こうに消えて行った。
「……ぐっ!体がぜんぜん言うことを聞かない……!?」
 仕方が無いので俺はしばらくまた寝ることにした。
      




     


             ちなみに今度起きてみたら保健室に運び込まれてから三日も経過していた。










「…………とまあ、こんな事があって今まで授業に出て来れなかったんだ」
「それは……大変だったな……としか言いようが無いな」
 そこで俺と浩之は二人して首を縦に動かした。なんだか結構親近感が沸いてくるなあ。

 そこで俺は肩に何か置かれているような感触があって振り返ってみた…………。
「うん。大まかな事は解った。けれども二人ともとっくに授業は始まっているんだぞ」
 そこには、授業をしに来た柏木耕一先生がいた。
「二人ともしばらく廊下で立ってるように」
 ちなみに神岸さんはとっくに先生の来ている事を知っていて自分の席で『ごめんね、二人とも』と言う様に手を会わせていた。
 けっきょく俺達二人はニ十分ほど廊下に立っていた。



「やってくれるじゃねえか……」
「ごめん……お詫びに今度何かおごるよ……」
 足が痛くなった。




                      (Lメモ転校編(回想変)いつのまにかいた奴・終わり)

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 やっとこさ書き上げたリーフ学園投稿第一弾〜〜それとも第一話か〜〜。
 
  間だ文法に稚拙なところとかがあるでしょうが許してやってください。国語はあまり得意じゃなかったので。
 
 それではここらで失礼せてもらいます。ご感想なんか貰えると嬉しいです。でもけなすような文章は絶対に書か
ないで下さい。傷つくんで。
 
 次回作をお楽しみに。