『時として、人の心は不可解な理屈で動き出す。 もちろんそれがプログラムされているものでも…。 ただ…。』 テニス参加Lメモ 『問答無用の勘違い、世界最強のすれ違い 〜Going My Way〜』 科学部。 「ねぇ、ジンちゃ〜ん。出ようよ〜」 四季は机の上に顎を乗せて、不満そうに言う。 「断る」 先ほどから、『覚悟のス○メ』を熱心に読んでいるジン・シャザムは即答した。 「どうして〜?」 「どうしてもだ。俺は忙しい」 なら、何で漫画なんて読んでいるのだろうと思う。 「他のやつに頼めばいいだろう?」 本のカバーを器用にしおりにして、本を置く。 「だって、ひなちゃんはもう美香加ちゃんと登録したし、 ダーリンはあかりちゃんと組むみたいなこと言っていたし〜」 「他のやつに頼め」 「ジンちゃんがいい〜」 「嫌だ」 「ジンちゃんがいいの! ジンちゃんがいいの! ジンちゃんがいいの! ジンちゃんがいいの! ジンちゃんがいいの! ジンちゃんがいいの! 」 「却下」 「なんでなんでなんでなんでぇぇぇぇぇぇええぇっ!!?」 そして、この下らない討論は一時間後、ジン氏の逃亡によって終わる。 すぱーんっ! スパーンッ! すぱーんっ!! スッパーンッ!!! リズミカルにボールがコートを往復している。 四季はネット越しでその様子を見ていた。 ふうぅ…。 ふと気がつくとため息をついてしまう自分がどうしようもなく情けなく思う。 前は違った。 自分の思ったこと、やりたい事は全力でやっていた。 けれど、今はなぜか自分の気持ちに躊躇してしますことが多い。 前の私なら、申込書と一緒に婚約届にもサインさせていたのに…。 大人にでもなったのかな? …機械のくせに? ふぅ…。 又ため息がでる。 「あらあら、どうしたのそんなため息をついて?」 後ろから声がかけられた。 「ふーん…。で、悩んでいたのか」 勇希はぼんやりとコートを見ながら答えた。 「うん」 隣にチョコンと座っている四季がうなずいた。 「先生も出るの、大会?」 「ああ、OLHとね…」 勇希は手にしているラケットをクルクルとまわしながら答える。 「いいじゃん。いつものままで」 「え?」 「悩んだって分からないんだったら、悩まないでやってみなよ」 勇希は四季を見ながら言う。 「いつもの貴方で行こう」 そういって、ポンとラケットを四季の頭の上に乗せる。 キョトンとしていたが次第に笑顔を作る四季。 何かが吹っ切れたような爽やかな笑みを浮かべる。 急に立ち上がり、大きく背伸びをする。 「先生、ありがと〜★」 そういって、科学部の方へ爆進していった。 そんな彼女をみて勇希は 「青春だね」 と苦笑を浮かべながらコートに戻っていった。 科学部の前に彼女は立っていた。 右手にはテニス大会の申し込み用紙が握られている。 いつもの通り、いつもの私。 そう自分に言い聞かせながら大きく深呼吸をしてドアを勢いよく開け用紙を前に突き出す。 「私と一緒にテニス大会でよぉぉおおおぉおぉっ!!!」 そういって、目の前の男性に用紙を突き出す。 「私か? 別に良いぞ」 「あれ?」 『ただ…そのプログラムが狂っていることもあるらしい…』 結局、そのまま四季は柳川と出場することになった…。 おまけ 「お願いです!! 後生ですから行かせて下さい!!」 「だめだ!! 許さんぞ!!」 「抜け駆けは無しです!!」 「そうですよ!!!」 春夏秋雪はテニス大会の申し込みをしようとしているところを 食われちゃったの皆さんに止められていた。 結局、彼がどうなったかは知る由も無い…。 (ちゃんちゃん♪)http://www.geocities.co.jp/Playtown-Denei/1571/