Lメモ私的英雄伝2 投稿者:春夏秋雪
キーンコーンカーンコーン…
午前の授業終了のチャイムが鳴る。
「起立っ!礼っ!!」
日直の号令とともに各生徒に殺気が満ちる。
「外道メテオォォォォっ!!!」
「うきゃぁぁぁぁぁあぁぁぁっ!!」
「我は放つあかりの白刃っ!!」
「はべしっ!!」
「耕ちゃん…逃がさないわよ!」
「うひぃぃぃぃっ!!」
「カツは嫌ぁぁぁぁああぁっ!!」
食堂、購買付近はさながら戦場と化す。
そして、この三人の姿もここにはあった。

Lメモ私的英雄伝2『混沌の夜明けへ』

「おらおらおらっ!!どけぇぇぇぇっ!!」
「マルチがパンを買うんだよぉぉぉぉぉおぉっ!!」
「あうぅぅぅぅっ!みなさんすみませぇぇぇんっ!!」
そう、ゆきさんとセリスさんそしてマルチである。
ビームモップを振り回し、爆走する三人。
そんな三人に向かって何か黒い物体が投げつけられる。
「?」
反射的にそれを受け取るゆきさん。
受け取ったものをよく見てみると形はパイナップルを連想させる。
ただそこには
『87式対戦車手榴弾』
「「「!」」」
と書かれていた。
その瞬間……

ドゴォォォォオオオォォォォッ!!

大爆発。
辺りの一般生徒を巻き込む。

ズザザザザッ…!!

マルチをかばって吹き飛ぶセリスさんとゆきさん。(愛の力か?
格好いいぞっ!!)
「くっ…!!」
「マルチ大丈夫っ!!?」
「はいぃぃっ!!」
半泣きのマルチを見て、二人の怒りが頂点に達する。
「誰だぁぁぁっ!!マルチを泣かす奴はぁぁぁぁっ!!」
「殺す……ブッ殺す…」
ビームモップや愛刀をそれぞれ構える二人。
完全に目が据わっている。
「ふふふふふ…」
不意に何処からともなく笑いが聞こえる。
「!?」
「あそこだ!!」
そこには屋上で立っている影が二つ。
「『本日の格言』!!『笑うところに福来る』!!」
黒ずくめの男――多分、藤田浩之だろう――が叫ぶ。
「平成お仕置きブラザーズ!!」
先ほどの男とは対照的に白ずくめの男――春夏秋雪(はるか あきゆき)だろう――が叫ぶ。
なお、『だろう』と曖昧な表現をしているのは二人して異様に怪しいお面を着けているからである。
(タイのガルータみたいなモノ)
そして、ビシッとポーズを決めてふたりでハモる。
「「マスク・ザ.・兄貴Sっ!!」」
・
・
・
数十秒の沈黙の後。
「…薔薇?」
「違ぁぁぁぁぁああぁぁぁあああぁぁぁ!!!!!」
セリスさんの突っ込みに全力で否定する黒ずくめ。
「だって、ネーミングが怪しいモンなぁ…」
ゆきさんが呟く。
「しくしくしくしく……」
完全にいじける黒ずくめ。
「2号、そう嘆くことはありません。」
そう言うと白ずくめ(1号)は黒ずくめ(2号)に語りかけた。
「けどよぉ…このネーミング嫌だぁ…」
もう半泣きになっている2号。
「そんなことありません。『マスク・ザ・兄貴』……
貴方にぴったりのネーミングですよ。
………薔薇っぽくて。」
「ひぃぃぃぃいいいぃぃぃんっ!!!」
とうとう、泣いてしまう2号。
「取り込んでいるところ悪いんだけどさ。」
セリスさんが割り込んで話しかけてくる。
「マルチを泣かしてただですむと思っているのか?
春夏秋雪…」
「私は春夏秋雪と言うモノではありませんっ!!
私はマスク1号と言うモノですっ!!!」
そう言って、ポーズを決める1号。
「正体ばれているぞ…はる――」
「マスク1号!!」
しつこく言い張る1号。
「ああ、もう良い。1号でも何でも良いから。」
投げやりにゆきさんが言う。
「ただ、マルチを泣かせた償いはして貰うぞ…」
そう言って、ビームモップを構える。
1号は2号に向かって
「2号、あの二人を倒せばマルチが『貴方の』マルチになるのですよ。
いじけていないでがんばりましょう」
そう言うと2号は顔を上げて
「そう言うけど、俺何もお前に教えて貰っていないけど…」
そう言うと、1号は紋様の描かれている手袋を着けながら
「いえいえ、教えなくとも貴方は戦えますよ。」
と、笑顔で応える。
「?」
全く理解が出来ない2号。
「ではいきましょう………人形さん」
「えっ?」
2号――浩之――が、言葉を発するより早く1号――春夏――の手袋から何千との
糸が出て、浩之の体にまとわりついてゆく。
「なっ!!!」
驚く浩之をよそにまるでその一本一本に意志があるように体に絡まっていく糸。
そして、

ビクンッ!!

一度、大きな痙攣を起こしてそのまま動かなくなる浩之。
「なんだぁ…?」
全く事態が把握できないセリスが呟いた…


「!!」
「ん?どうしたの紫音?」
教室でのんびりとくつろいでいた光が訊ねる。
「…いや、何でもない…」
(気のせいだろう…)
そう、自分に言い聞かせるが何故か不安が残る紫音であった。


ズドォォオォォォォオォォンッ!!!!!

浩之の放った拳が地面を揺るがす。
「くっ!!」
何とかそれをよけるセリスとゆき。
普段の彼らならばこんな攻撃をよけることは造作もないことなのだが、
今はマルチを庇っているのでそう上手くはいかない。
「何なんだ!?あれは!?」
セリスが独白する。
先ほどから浩之は尋常でない能力を見せつけている。
しかも、無感情に…
「くそっ!!」
ゆきさんがビームモップを掲げ、浩之を撃とうとする。

ガツッ!!

しかし、信じられないことに浩之はそれを左手で受け止めた。
「なっ!!!!?」
驚くゆき。
無理もない。常人にビームモップを素手で掴む事なんて芸当はどだい無理な話である。
しかし、それだけではなかった。
「!!」
反射的に身を引くゆき。
と、同時に何かが顔をかすめる。
「嘘だろう…?」
ゆきは自分の頬を押さえながら呻く。
浩之の右手――鬼の爪――を見ながら……
「一体どうなっているんだよ!!?春夏!!」
セリスが春夏に向かって叫ぶ。
「!!」
しかし、そこにはいつもの楽天的な笑顔を持っている春夏ではなく
残酷な笑みを持った男がいた。
「ふふふふふふふふふふふふ…」
男が笑う。
その笑いには、どこか黒いモノがある。
「私(わたくし)の名は、『四季』…」
狂気が宿った目で語る。
「強化人間死型・式鬼使い(きょうかにんげんしがたしきつかい)の『四季』」
彼はそう言うと残忍な笑みを浮かべた。
                                 《続く》
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どうも、お久しぶりです。春夏です。
なんか、ギャグを書こうとしたらこんなのになってしまいました。
セリスさん、ゆきさん、光さん勝手に使ってゴメンね!!
今回、こんな話を作ったのは自分の立場をしっかりと確率させたいという
傲慢から来てます。ですから苦情、非難何でも受け付けます。