Lメモ私的英雄伝7 投稿者:春夏秋雪
白。
その部屋はその一言で言い表せることが出来た。
白い天井。
白い床。
白いカーテン。
白い光。
そして、それに照らされる私も白一色。
清潔と言えばそうであるけれども、
そこに生活感は感じられない…。
私は嫌いだった…。

Lメモ私的英雄伝7
『白い過去』

私には名前がない。
全てが記号と数字で表された無機的なモノ。
物心を着いたときには『C』と、呼ばれていた。
そのことに、私は何も抵抗は感じなかった。
私は人間ではない。
有機物の固まりだ。
生きる意志も価値もない。
ただ、動いているだけ。
そんな私は私が嫌いだった。

『C、出ろ。』
部屋に着いているスピーカーから抑揚のない声が聞こえた。
いつものことだ。
彼らは、いつものように私を検査する。
彼らは、私をモノと見る。
彼らにとって、私はただの人形。

ガチャ…

扉の鍵が開く。
いつものことだ…。
そう思いながら、私は扉をくぐった。


いつものことだ…。
そう思っていたが、その日は違った。
いつもの実験室ではなく私はとても綺麗な客間に通された。
私は案内してくれた人の隣に座らされた。
赤いソファーに身を預ける。
前を見るとそこには先客がいた。
私とは対照的な赤いスーツを着た女性だ。
彼女は私を先ほどからずっと見ている。
私と目が合うと彼女はニッコリと微笑んだ。
目を逸らしてしまう。
…変な人。
それが私の彼女に対する第一印象であった。
「彼女はホーンブック=B=ステファニー。」
隣の研究員が私に話す。
「…お前を引き取りたいそうだ。」
……………。
「……え?」
自分でもなんて間抜けな声を出したんだと思った。
「初めまして、ステフよ。突然で驚いたかしら?
貴方を私の娘として迎えに来たの…えっと、名前は?」
そう訊ねられて、私は言葉に詰まる。
……私には名前がない。
あるのは、記号だけ…。
私はこの時初めて自分が恥ずかしく思った。
そして、目の前の彼女にとても悪い気がした。
「これには名前はありません。私たちは『C』と呼んでいました。」
………『これ』かぁ。
所詮私は彼らにとってはモノでしかないんだ。
分かっていたけれど、とても辛い気持ちだ。

パァンッ!!

凄い音がした。
顔を上げてみると、ステファニーさんが研究員の人を
ひっぱたいていた。
「彼女はモノではありません!!もう、私の娘です!!
娘を侮辱しないで下さい!!」
正直言って、びっくりした。
今会ったばかりの人のためにここまで本気になって
怒れるなんて…。
ステファニーさんは私の視線に気がつくと、
ニッコリと笑って言ってくれた。

「大丈夫!」

今でも忘れられない…
あの笑顔。


キキッ…

私とステファニーさんを乗せた車が止まる。
「さぁ、着いたわよ四季ちゃん。ここが貴方の新しいお家よ。」
そう言って前を見るとそこのは古い洋館がが建っていた。
「さぁ、早く早く!息子たちも待ってるんだから!!」
そう言って、ステファニーさんは私の背中を押す。
彼女は私に『四季』と言う名前を付けてくれた。
凄く嬉しかった。
この人は真剣に私の事を考えてくれている。
ただ…
「あ、あの!!ステファニーさん!?ちょっと、押さないでくださ―――」
「四季ちゃん!!!?」
「は、はい!!」
「いい加減、その『ステファニーさん』っての止めてくれない?
もう貴方は、私の娘なんだから他人行儀なことしないで!!」
「はぁ…」
「『お母さん』でも良いけど、『ママ』って呼んで欲しいなぁ。
なんか、私若返ったみたいで…うふふ」
やっぱり、変な人だ。

玄関の前まで来た。
ステファニーさんの方を見る。
彼女は笑顔で「だいじょうぶ」と応えてくれる。
恐る恐るドアのノブに手をかける。
回す。
そして、開け―――

ぱぁぁぁぁんっ!!

クラッカーの音がした。
「「おかえりなさぁぁぁいっ!!!」」
私はただ、驚くだけでした。
何も言わずに立ち尽くす私に十歳くらいの女の子が
私の手を引っ張って、中に誘う。
「ねえねえ、名前は?」
「何歳?」
「本読むの好き?」
そして、周りの子たちが私に質問をしてくる。
突然の事で、何も言えない私の肩に、ステファニーさんは
ポンと手を載せて
「彼女の名前は四季。今日から私たちの新しい家族よ」
そう言うと、みんな一斉に喜んでくれた。
私の手を握っている子が、
「ねえねえ、ママ。じゃあ、わたしのおねえちゃんなの?」
「そうよ、エミリアのお姉ちゃんよ」
そう訊くと、エミリアは私の手をブンブン振って
おねえちゃんだおねえちゃんだと嬉しそうにはしゃいだ。
「はいはい、それじゃあみんなで『四季ちゃん歓迎パーティー』をしましょう!!
みんな、食堂にいって!!」
そう言うと、彼らは騒ぎながら部屋を出ていった。
「彼女たちもみんな貴方のような境遇の子たちよ…」
ステファニーさんは私の耳元で囁いた。
ワタシトオナジ…
「確かに、貴方には今まで何もなかったかもしれないわ…。
でもね、勘違いしないでこの世に生きていく価値にない人間なんていないてことを…」
カチニナイニンゲンハイナイ…
「貴方はこれから輝かな―――四季ちゃん?」
私は気づくと泣いていた。
涙が止まらなかった。
何も言えなかった。
ただ、泣いていた。
そんな私を彼女は優しき抱いてくれた。

そのとき、私はこの人に会えて良かったと思った。

                                 《続く》
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春夏「ついにやってしまいました…」
浩之「ついにやったな…」
春夏「天和が出るなんて!!!」
浩之「違うだろうがっ!!」
春夏「と、言うわけで久しぶりです春夏秋雪です。
   また、Lメモです。私個人としては『マスク・
   ザ・兄貴』の新作を出したかったんですが、一部受け
   ポイんで止めました。」
浩之「で?今回こんな作品を作った理由は?」
春夏「はい!!何か私の設定があやふやで他人の作品に
   出てこないので、ちょっとは設定作ろうかな?と」
浩之「そうだよな。お前の名前ってハイドラントさんぐらいしか
   使ってないよな(しかも、ちびっと)」
春夏「そうなんです。私とダーリンとのラブラブ話が全然ないです」
浩之「やめろ!!そーゆーホモネタ!!!」
春夏「大丈夫です!今作品中では四季ですから!!」
浩之「ちがうんだぁぁぁ!!」
春夏「ともかく、またダラダラと書きますんで
   暇な方は呼んで下さい」
浩之「それより本家に出す中途半端なSSちゃんと書けよ」
春夏「…………それでは皆さんまた!!」
浩之「ああっ!!逃げやがった!!待てぇぇっ!!」
                             《終わり》