こんな動機だってありでしょう? 投稿者:真藤誠二
このLは真藤の前作「罠師現る」から一応続いています。
できればそれを読んでからこれを読んでいただけると有り難いです
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「あぁぁぁっ!!!!!!」
どうしようも無い思いを叫びとして吐き出す。

優雅に食事をして、少し早めに寮を出て景色を楽しみながら学校に向かい、
職員室に出向いて先生に挨拶をして好印象を与え、クラスまで送ってもらい、
クラスの人間に暖かく迎えられ、素晴らしい高校生活のスタートを切る。


そうなるはずだった。


「寝坊したぁぁぁっ!!!!!」
予定は大幅に修正を余儀なくされ真藤は走っていた。
『優雅な食事』は冷凍されたままの食パン一枚に化け、
少し早めはかなり遅めに変わり、こうして彼は走っていた。
「間に合うかっ!?」
誰もいない道を走り抜け、転送装置に飛び込む。

そして、転送された直後に彼は見たものは
誰もいないがらーんとした学校だった。

「…………はぁ?」

真藤はゆっくりと腕時計に目を落し、その場に崩れ落ちる。
そして呟く。

「い…一時間、間違えた…」

30分後。

暇な時間をぼーっとするという彼にとって史上最悪な手段ですごした彼は
当初の予定通り教師に挨拶する為に職員室を訪れた。

「(ガラッ)誰かいませんかぁ?」
一応人はいた。
「あぁっ?だ、誰か、生徒が来たのかっ!た、助けてくれっ!!」
昨日話した千鶴校長が何故かセーラー服を着て、教師と思われる男を縛って引きずっていく。
その近くには無視して仕事を進めていると思われる教師が何人かいる。

パタン。
「俺は何も見なかった。そう何も見なかったんだ…」

しばらく何かが暴れるような音が続き、
鈍器で人の頭を殴ったような音と共にそれは止んだ。

「(ガラッ)誰かいませんかぁ?」
既に千鶴校長と縛られていた教師の姿は無く、そこはただ普通の職員室の風景だった。
床に何か赤い液体があるがそれはきっと誰かがインクをこぼしたに違いない。
そうに決まっているだろう。

挨拶は滞り無く済み、
運良くその場にいた二年の担任に授業に行くついでにクラスに連れていってもらう事になった。

「真藤君…この学校をどう思う?」
「えっ?ま、まぁ面白い学校じゃないんですか?」
「そういえば…今日は二日連続で起きてないんだよな。君は運がいいよ」
「何がですか?」
「いずれ分かるよ…この学校の恐ろしさが」
長瀬という教師はそう言ってため息をついた。

「おお、ここだ。そこで待ってなさい」
「分かりました」
そう言って長瀬は教室に入っていった。

「え〜お前達にお知らせがある。転校生だ」
何人かの声とまばらながら拍手があがる。
「ちなみに今回も男だ」
小さかった拍手はあっさりと終わりを告げた。

既に中からはため息のような音がしか聞こえてこない。
「またかよ〜」とかいう声まで聞こえてくる。
(もっと驚くと思ってたんだが…しかもまたかよ〜って、
そんなに転校生が溢れているんか、この高校は…)

ちなみに「またかよ〜」の発言者は更なる転入生の登場により
騒ぎの自分へのとばっちりが増加する事を恐れる藤田浩之だが、このLにおいて彼の出番はこれだけである。
「ふざけるなぁぁっ!この腐れ作者めぇぇ!!!」

耕一に呼ばれて廊下から教室へと入る。
「紹介する。転校生の真藤誠二君だ」

再び拍手があがる。

「じゃあ真藤君は宮内さんの隣に座ってくれ。じゃあ授業を始める」
(自己紹介は許されないのかっ!…って宮内…?)

席に座ってゆっくりと左を向く。金髪の少女がこちらを見てニコリと笑う。
「久しぶりネ。セイジ」

授業終了後

「まさかレミィがこの学校にいたなんて知らなかったよ」
「ワタシだってそんな事思わなかったヨ」
真藤は冷静に話していると思っているが鼻の下はのびまくり、
顔は真っ赤で、彼がレミィに恋愛感情を持っているのは一目見ただけで丸分かりである。
「ところでセイジは何か部活に入るの?」
「えっ?今のところ入る気ないけど…レミィは何か入ってるの?」
「ワタシは…弓道部と風紀委員会とかに入ってるヨ?」

(風紀委員か…秩序というのは嫌いじゃないし、罠を仕掛けても風紀の為だから仕方ないよな。
で無罪放免になるかもな。何よりもレミィの側にいられるんだったらどこでもいーや)
など真面目(?)に考えたのは全てが終わった後で、実際の所はレミィの言葉に1.0秒も待たずに
「せっかくだから俺もエルクゥ同盟に入るぜっ!」
と叫んでいた。某ゲームのセリフのパクリである。しかも組織名を間違えている。

「えっ…あ…俺も…風紀委員に入るわ!レミィ、また明日っ!」
と、わざわざ訂正して真藤は教室から走り出ていった。
「セイジ…授業は?」
ちなみにさっきの授業は一時間目である。

しかし彼は忘れていた。自分が前日に風紀委員に対して何をしでかしたか。


「ディルクセン先輩…昨日の怪我大丈夫ですか?」
「まぁ大丈夫だ。パラシュートがあったしな。…それよりも昨日のヤツはどこにいるかわからないのか?」
風紀委員会室で話し込む風紀委員とディルクセン。


「俺を風紀委員に入れろぉぉッ!」
そして、真藤が命令形で叫びながらドアを開けて入ってきた。
振り向いた風紀委員がそれを見て一言。
「そこです」



一瞬の間。



そして、



「お前はぁぁ!」「あんたはぁぁっ!?」


5分後。
「なるほど、風紀委員会に入りたいわけだな?」
「さっきからそう言ってるじゃないですか。ところでこの縄解いてくれません?」
「断る」

睨み合うディルクセンと縄で簀巻き状態にされた真藤。

「ま、いいだろう。だが、その前にお前には入るべき所があるよな?」
「いいんですかっ! でその入るところって…?」
「決まってるだろ? 反省房だ。連れて行けっ!」
「…はっ?」

ディルクセンの言葉と共に風紀委員が真藤を持ち上げる。
「風紀委員になるんだったらちゃんと反省してきてからが当たり前だ」
「やめろぉぉぉぉっ!! 人間的扱いを要求するぅぅぅっ!!」
手慣れた動きで御輿のように運ばれていく真藤。

「やめろぉぉぉ…」

「やめろぉ…」

「やめ…」

「や…」

「…」

「ぎゃぁぁぁぁぁっ!!!」

「この時期にわざわざ好んで入ってくるとはな…
何も知らないのか、それとも何らかの目的を持ってか…」
最後の叫びを聞き終えてディルクセンは呟いた。

結局真藤は風紀委員会への所属を許可される。
それが彼にとって吉となるか凶となるかは判断できないが…
ただ一つ言えることは彼が再びレミィに会えたのはそれから一週間後であったということぐらいであろう。

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今日は。真藤誠二です。
と言う事で萌えキャラ表明+風紀入りLでございました。
相変わらずつたない文章でございますが楽しんで読んでいただければ嬉しいです。

そして今回も使用させていただいたディルクセンさん。
本当に有り難うございました。

ちなみに風紀委員会への所属に特殊な目的は一切ありません。
所属の動機は中で述べた通りです。

それではこれからもよろしくお願いいたします。