誕生日Lメモ 「Happy Unhappy Birthday!」 投稿者:真藤誠二

12月21日。
クリスマスを目前に迎えた者達にとってはなるべくなら早く過ぎて欲しい日であろう。
だが、その日はある人間にとっては非常に大切な意味を持つ。
試立Leaf学園二年真藤誠二にとっても非常に大切な意味を持つ日である。

-------------------------------------------------------

誕生日Lメモ 「Happy Unhappy Birthday!」

-------------------------------------------------------

 <宮内邸前>
「今日はレミィの誕生日と言うとっても素晴らしい日だ…」
 真藤が問い掛ける。
「素晴らしいかどうかは分からんがそうだな」「それがどうした?」
 それに答える男女達。
「何でここにいる暗躍生徒会ぃぃぃっ!!!!」

「招待されたから」「呼ばれたから」「招待状が届いた」「飯ぃぃ!!」

 約一名違う解答をしているがそんな事は些細な問題だ。
「貴様等風紀の敵が招待されるわけないだろうっ! さては…招待状を偽造したなっ!」
 ちりちりちりちりちりちり…
「のぐわぁぁぁ!!」
 立ち塞がる真藤をあっさり電波で撃沈して暗躍生徒会御一行様はパーティー会場に入っていった。

 今年の宮内レミィの誕生日は例年に比べて豪華だった。
部屋は奇麗だったし、料理も豪華だった。
そして当然招待客も非常に多かったのは言うまでもなかろう。
藤田浩之など、個人的に付き合ってる人間などや、前述の暗躍生徒会などレミィが所属している
組織全体へ招待状が配られたのだ。流石に風紀委員全体には配りきれなかったようだが。

 YOSSYFLAMEは他の人間を他の招待客をナンパして、
広瀬ゆかりに追っかけられていたし、ディルクセンはこんな所でも演説を始めている。
Runeは乾杯の合図の前に食事を始めている。
 要するに皆いつも通りというわけだ。

「誠二さんも招待されてたんですかっ?」
 kosekiが何故か息を切らしながら走ってくる。
「まぁ…そうだ。お前も招待されたんか?」
「はいっ! そうですっ!」
「ふ〜ん・・・XY−MENはどーしたんだ?」
「XY−MENさんは今日柏木さんの家で鍋パーティーがあるそうなんで、
 そっちに行ったそうです」
「へ〜…だから柏木関係の人がいないんだな。料理は?」
「千鶴さんだそうです」
 真藤はXY−MENの冥福を祈った。
「ところで…お前は誰かに話し掛けにいかないのか? 神岸とかには?」
「えっ…?いや…そんな…」
 突然話を切り返されてkosekiはどもった。
「駄目だなぁ〜こーいうところでこそアタックするんだよっ!
 いいか?直球勝負で行くんだっ!」
「はははは…はいっ!!」
 肩を思いっきり叩かれてその勢いのままあかり達のいる方向へ走って行くkoseki。
しばらくして「ギガデインッ!」という声と悲鳴が聞こえたが…
まぁ、気にしない事にしよう、と真藤は思った。

 突然部屋が暗くなり、ざわめきが起こる。
「レディース&ジェントルメンッ! 本日の主役! レミィの登場よっ!」
 どこから現れたか志保がマイクを握って皆に呼びかける。
そしてスポットライトが浴びせられたその先には…ドレスアップしたエルクゥ(以下略)がいた。



時が止まった。



 スポットライトが動いてエ(略)を外す。
その瞬間銃声や骨が砕ける音などが聞こえたが皆聞こえない振りをしていた。
「え…えーとちょっとハプニングがあったけど、本日の主役! レミィの登場よっ!」
 再びスポットライトが動き始める。
その途中何か赤い物体が見えたが全員見えない振りをした。
そして、ドレスアップしたレミィが現れ、周囲から驚きの声があがる。

 考えれば当然の事である。
 いつもは周りからハンターとかハンターとかハンターぐらいにしか思われていないが、
レミィはかなりの美人である。それが大人しく正装すれば周囲が驚きの声をあげるのも
当然の事である。今回は違ったが。

 誰だって主役が弓矢持って、服が血まみれだったら驚くだろう。

「……とゆー事でレミィの17歳の誕生日を祝って…乾杯っ!」
 誰が言ったかは分からないがそれを契機として皆が乾杯と声を上げ始める。
Runeはその声の前に既に食事の15%を食い尽くしていたが。

そして…皆が叫ぶ。
「レミィっ! ハッピーバースデーっ!!」

 招待客達が次々にプレゼントを渡していく。

 あかりは熊の刺繍がついた弓道着(!!)を。
浩之や、雅史もちゃんと祝福の言葉と一緒にプレゼントを渡していく。

「はい、暗躍生徒会を代表してプレゼントです」
「Thanks 瑠香!」
 暗躍生徒会もちゃんとプレゼントを渡している。 
おそらく金が無いRuneや同居しているHi−waitを考えての言葉だろうが、
ちゃんとプレゼントを持ってきたらしい健やかや月島兄などが後でダメージを受けていたりする。

 周りがプレゼントを渡しているのを見て真藤は真面目に焦っていた。
(俺とした事が…弓矢しか持って来てねぇぇ!!!
  他の奴等は気を利かしてマシな物持って来てるのに平凡に弓矢はマズイ!)
 ちなみにその後ろでビデオデッキを持って来てダディに撃たれている者もいるが、 さして重要な
問題でも無いため詳細は省略する。

「マズイ…まずい…」
 その肩が叩かれる。
「何だお前は? ……確かRuneとか言ったな。何か用か?」
「あんたにプレゼントをやろうと思ってな」
 室内でも白のコートを着たままのRuneがそう話し掛ける。
「俺にか?」
「正確に言えばあんたがレミィにやるプレゼントをこちらから提供してやる」
「……本当か?」
「こんな所で嘘を言ってどうする?」
 疑る真藤を見て肩をすくめながら答える。
「貰えるなら有り難く貰うが…なんでだ?」
「……楽しそうだからな。品物はあんたがプレゼントするときに出してやる」
「そうか…悪いな」
「じゃあまた後でな」
(ふっふっふ…これで周りから一歩リードだな!)
 去っていくRuneを見て真藤は勝利を確信していた。
 ぬか喜びだが。

 5分後。
「レミィ、プレゼントの弓矢」
「Thanksセイジ!」
「あぁ…後もう一つプレゼントがあるんだが…」
「What? ドコにあるの?」
「えーっと…そのぅ…」
 (結局来ないのか? 裏切ったなRune!!)
 怒りを燃やす真藤の上方から突然ファンファーレが鳴り響いた。
「レディース&ジェントルメン! これからLeaf学園二年真藤誠二のプレゼントを公開するル
リコ!」
 何故かゴンドラに乗りながら叫ぶ月島兄(しかも瑠璃子のコスプレ)。
本人には可哀相だが不気味としか言いようがない。いや本望か?

「それではプレゼントだルリコ」
 その声と共にゴンドラから何か物が投げ落とされる。
 かなりの大きさを誇る「ソレ」は何人かを潰しながら落下してきた。
「も…もしかして…藤田か?」
「Hi! ヒロユキ!」
「ふがーーー!!!」
 それは…巨大な檻(浩之入り)だった。
「セイジ! コノ弓早速使ってくれってコトネ!?」

 レミィが浩之に向けて弓を構える。

 あかりが包丁を構える。

 四季が戦闘態勢を整える。

 雅史がどこから出したかサッカーボールを出して狙いを付ける。

 後の三人の狙いが誰かは書かずともわかるだろう。
「あ…これは色々あって…俺がやった訳じゃないんだ…聞いてる?」
 どもりながら必死に弁解をする。

 三人がじりじりと近づいてくる。レミィが矢をつがえる。
 レミィがまさに矢を放とうとした瞬間。それは起きた。

 「頭を冷やしなさいっ!」
 シンディがバケツを持ってその場にいた全員に水をかぶせる。
 レミィは毒気を抜かれたかのように矢を戻す。
 それを見て三人も構えを解く。
 
 皆がこれで終わったと思った。
 その場にいた佐奈田黒助はなんとなく気になって真藤の方を見た。



 マグロがいた。



 目をこすってもう一度見る。どう見てもマグロだ。
 マグロもこっちを見る。目がばっちり合った。
 マグロが手を振る。思わずこちらも手を振ってしまった。
(待て、何でマグロがいる? しかも手がある! おまけにコートまで着てるぅぅ!
 あぁっ! オレンジジュースなんか飲んでるっ!? コート…?
 もしかして…真藤? そーいえば水かけられると魚になるって話を聞いた気が…)

 黒助が魚になってしまった真藤と「未知との遭遇」をしている間に
 浩之の救出作業は着々と進められていた。
 ちなみに主犯である暗躍生徒会は既にターゲット(飯)をゲットし、
 騒ぎを起こすという目的も一応達成した為撤退している。

 檻がガチャンと音を立てて開く。
「浩之ちゃん!」
「浩之っ!」
「ダーリン!」
 三人(他にもいるが)が浩之を救出して檻の中から運び出していく。


 同時刻。
 真藤と黒助はジェスチャーによる意思疎通に成功。
 話せるのにそうしないのはやはり河童と魚だからだろうか?


「浩之ちゃんっ! ほらジュースだよ! 飲んでっ!」
 あかりが浩之にジュースを飲ませるが、
 一口飲んだ途端浩之は崩れ落ちる。
 ちなみにそのジュースの原材料の中に『まさたオレンジ』と書いてあった。


 同時刻。
 真藤と黒助は第二次接触、握手に成功。
 周りから拍手とフラッシュが巻き起こる。
 この写真が翌日の情報特捜部の号外で「魚と河童意思疎通に成功っ!」という見出しと共に出ることとなる。
 その三十秒後、レミィとダディに発見され、2人とも仲良く狩られる。




「結局…こうなって終わるのか…」
 人間に戻った真藤はついさっきまでパーティーが行われていた部屋を見て呟く。
 イスやテーブルは殆どが破壊され、中には天井に突き刺さっているものまである。
 それを殆ど一人で片づけさせられている黒助の姿が涙を誘う。
 矢が刺さったままというのは笑えるが、自分も同じなので笑えない。
 
「仕方無い…俺も手伝うかっ!」

 全て片付けるのに3時間以上かかったのは当然のことであろう。

「う〜ん…こんなもんでいいかな?」
「ありがとネ!セイジ」
 ちなみに横で黒助が疲労で倒れている。
「悪かったな…平凡なプレゼントで」
「ワタシは嬉しかったヨ?」
「そっか、良かった…」
「プレゼントって心を込めて贈るモノデショ? セイジのプレゼントには心があったヨ」
「ん…じゃ。改めて、ハッピーバースデー、レミィ」
「アリガト、セイジ」


 ちなみに黒助が家に帰りつけた時には既に日付が変わっていたらしい。

-------------------------------------------------------
ということで、レミィ誕生日Lメモでした。
急場で書き上げたのでミスは多いし、
意味不明な終わり方でつまらないかもしれませんが、
楽しんで読んでいただければ幸いです。

そして、佐奈田さん、kosekiさん。本当にすみませんでした。
復讐を心待ちにしています(笑)

後、承諾無しに使ってしまった皆様にも本当に申し訳ございませんでした。
それではまた次のLメモでお会いいたしましょう。