テニス大会練習L:今日の放課後は練習の時刻  投稿者:SOS
暗躍生徒会主催のテニス大会まで後数日に迫ったある日の放課後。
SOSと瑞穂、そしてなぜか東西がテニスコートに集まっていた。
「と、いうわけで練習相手を連れてきましたよ、藍原さん」
「は、はあ」
「待って下さい。SOSさん」
「どうかしましたか、東西さん」
「いきなり来てくれって言って問答無用でここまで転移して連れてきたのをまるで僕が同
意した上で連れてきたみたいに言わないで下さい」
「同意してくれたじゃないですか、来て下さいって言ったらいいですよって言いましたよ
ね」
「いいとは言いましたがこんな所に連れてこられるなんて聞いてません。それに今日は琴
音ちゃんと一緒に帰る約束があるんです」
「あ、その事でしたら御心配無く。誰か練習に付き合ってくれそうな人がいないか神凪さ
んに相談したら、東西さんがいいと言ってくれまして、その時側にいた琴音さんがそれじ
ゃあ今日は一緒に帰れませんね、と言って。・・・」

(この後数分間に渡りSOSによる事細かな解説されるが長いので割愛(笑))

ちなみにSOSは気づいていないが東西はこめかみを震わし、怒りをこらえている。
「で、結局神凪さんが東西さんの代わりに琴音さんと帰る事になりました」
「あ、あんたはあ!!なんで当事者のいない所でそんな事決めるんですかあ!!」
「琴音さんは当事者じゃないんですか?」
「うううううううう」
「さて、では納得してもらった所でテニスの練習を始めましょうか」
「いいんですか、ずいぶん落ち込んでますけど」
「今は時間もありませんし、細かい事は考えないで練習を始めましょう」

そのころ、学園の校門を出た所では・・・
神凪遼刃がにっこにこしながら琴音と帰宅の途についていた。

「で、ダブルスの練習をするのに僕のペアはどうするんですか」
どうやらすでに琴音が帰ってしまったので諦めてしまったらしい東西が言ってきた。
「あ、それなら神凪さんに一人紹介してもらいました。オカ研の方ですけど」
「え、誰ですか。まさか芹香先輩じゃあないですよね」
「ええ、もちろん違います。幽霊部員の方で名前は聞いていませんが、もう東西さんの横
に来てますよ」
『どうも』
いきなり東西の横手の何も無い所から声がする。
「待って下さい。なんで生きている人を連れてこないんですか」
「神凪さんが連れてきてくれたんです。私は誰でもよかったのでOKしましたけど」
「どうやってこの人がテニスをするんですか」
「『命』さんに頼めばいいんじゃないですか?以前にも『命』さんが憑いて実体化してい
た方がいましたよね」
「だからって・・・」
『よろしくお願いしますね』

なお、この後幽霊部員の登場で気絶していた瑞穂を起すのに10分くらいかかったのは
言うまでもない。

「ふう、どたばたしちゃいましたがようやく始められますね」
「ほとんどSOSさんのせいじゃないですか」
「私は最善を尽くそうとしただけですよ」
「その方向性が間違ってます」

とにかくコートに分かれた二組はそれぞれ配置に着いた。
SOS、瑞穂側。前衛、SOS、後衛、瑞穂。
東西、幽霊部員側。前衛、東西、後衛、幽霊部員。
サーブは瑞穂から、
「それっ」
パコンッ
「はいっ」
ポコンッ
「よっと」
パコッ
『はいっ』
ポンッ

数回のラリーの後、東西にチャンスボールがまわってきた。
「(琴音ちゃんと帰れなかった恨み。この一球に!!)それっ!!」
まだ根に持っていたらしい・・・諦めの悪い・・・
パコォッ!!
「あっ」
渾身の力をこめた球は瑞穂の足元でバウンドし、そのままその後ろに転移したSOSの
もとに・・・
「はい??」

「それっ」
パコッ
そのままボールは東西の横を通り、コートで跳ね、幽霊部員のラケットの先を通過し、
コート奥に転がる。

「よし、まずはこちらのポイントですね」
「え、ええ、そうですね」
「待って下さいっ」
ネットを引っつかんで抗議を始める東西。
「どうしました、東西さん」
「なんですか、今のは」
「え、なんですかって。私たちのポイントでしょう?」
「そうじゃありません、転移の事です。あんなの反則じゃあないですか」
「別にルールに転移は駄目だって書いていませんし、いいんじゃないですか」
「普通はそんな事書きませんっ」
「でも、この学園には色々と訳のわかんない能力を持った人が居ますから、禁止するなら
書いてあるでしょう」
「うう、確かにそうかもしれませんけど」
「納得できましたか?それに東西さんだって精霊の助けを得られるんでしょう、その力を
使えば同じ条件ですよ」
「わかりました・・・」
「あ、わかってくれましたか」
「いえ、あなたに口では勝てそうに無いのがわかりました」
「は??」
「『『(東西さん(東西)、かわいそう)』』」
後ろでこのやりとりを聞いていた瑞穂、『命』、幽霊部員の3人がまったく同じ感想を
持ったのを誰も知る事はなかった。


一時間後。もう辺りも暗くなり始めた頃、四人はコートの後片付けをしていた。
「今日はありがとうございます。東西さん」
「いえ、いいですよ。僕もいい練習になりましたし、って考えてみれば琴音ちゃんを連れ
てくれば私も大会の時のペアで練習できたんじゃないですか」
「あ、気がつきましたか」
「なんで知ってて琴音ちゃんを連れてこなかったんですかっ」
「なんでも今日はラ・トゥリーズだったかな。まあそんな名前のケーキ屋さんがサービス
ディらしくて、早く行かないと売り切れそうだから練習は出来ませんと言ってました」
「あああ、ケーキに負けた・・・・・・」
『(とどめをもらいましたね、東西)』
「(SOSさんって、もしかしてかなりきつい性格なのかしら)」

なおこの頃、神凪は琴音とのティータイムの真っ最中だった。

こうして、練習は終わった。

次の日、東西は朝から元気が無く、打って変わって神凪は有頂天になっていた。
どうやら昨日、琴音と一緒に帰った時、家に呼ばれケーキをご馳走になったらしい。
それを聞いて東西が暴れ出したがやって来た柳川教諭にあっさり取り押さえられ、さらに
補習を言い渡されるとおとなしくなった。
そのころ、SOSは騒ぎに乗じて授業を抜け出し、いつものように木の枝でボーッと過ご
していた。

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ふむ、読み返すとテニスの練習よりも東西さんへの報復に重点を
置いた作品になりましたね(^^;
まあいいか(いいのか??)
なお、細かく説明してしますのは本体の癖です(笑)
神凪さん、どーです。いい目を見たでしょう。別バージョンも考えてますけどね(笑)
なお、本文中にある以前『命』が憑いたと言うのは東西さんの「一期一会」に出てきた
「武上 佐久夜」の事です。

ちなみに転移でボールに追いついても、出現してから反応するので早い球や、変化球は
対処しきれません(笑)
(ケーキ屋の名前、見た事がある人がいるかもしれませんが、
気にしちゃいけません(謎笑))

それでわーー