審判の門、くぐる刻 投稿者:SOS
 りーふ学園は今日の授業を終え、放課後に入っている。みな、クラブに行ったり、友人
同士遊びに行く相談をしている。
SOSはと言うといつも通り暇を持て余し、いつもの木の上で欠伸をかみ殺している。
「あふぅ、いつもながら暇ですねぇ。なにか、クラブにでも入りましょうか……。」
などと言いつつそんな気は更々無く、ボーっと周りの景色を眺めている。ふと校舎の方を
見るとちょうど教室から見知った人物が出てきた。
「おや、あれは藍原さん。そういえばあれ以来一度も挨拶していませんね。」
そう言うとSOSはふよふよと校舎の方へ移動を始めた。

コンコン  コンコン

「え?ああっ!?」
瑞穂が何か叩くような音に気づいて窓を見やると、SOSが外に居た。
「な、なんでそんな所にいるんです?ここ3階ですよ?」
「いや、とりあえずここ、開けていただけませんか?入ろうと思ったら鍵がかかっていた
もので……。」
「はあ……」
何か釈然としないものを感じながらも、このまま窓越しに話し続けるのもおかしな話なの
で、瑞穂は窓を開け、SOSを中に入れた。

「ははは、すいませんねえ。お手数おかけしまして。」
「いえ……、それで一体何をしていたんです?」
「はあ、ただそこの木の上で寝転がっていたら貴方の姿が見えたんでご挨拶でもと思い、
こっちに移ってきたんですが……、またご迷惑をかけてしまいましたね。」
「って、どうやってあんな所からここまで来れたんです?」
「先程貴方が見た通り空を飛んでですが……?」
あくまで気楽に答えるSOS。
「だからなんで飛べるんです!?」
「………、さあ?気がついたら飛べるようになってましたから………」



なにやら完全に脱力しきった様子で瑞穂が項垂(うなだ)れている。
「あの、どうかしましたか?」
どうやら、自分の言葉に原因があるのに気づいてないらしく本当に心配しているらしいS
OS。
「いえ、大丈夫です。何でもありませんから。」
どうやら今の話はなかった事にするらしい。
「ところで、こんなところで何をやっていたんです?」
瑞穂の出てきた部屋を指差して訊ねる。ドアプレートには『生徒会』の文字が見える。
「ああ、今丁度生徒会が終わったところなんです。私は今、生徒会書記を務めています。」
「へえ、そういえば生徒会のことは全然知らないなあ。」
「ふむ、少しくらいは知っておいて欲しいね。」
生徒会室のドアが開いたかと思うとそんなセリフとともに一人の男性が出てきた。
「あ、信さ、……岩下さん。」
出てきたのは3年生、岩下 信だった。
普段通りの呼び方をしようとしてSOSが居るため、言い直す瑞穂。
「やあ、君は転入生だね。自分は3年の岩下信という。よろしく。」
長身の、温和そうだが強さも伺える顔つきをした男はそう自己紹介をした。
「1年のSOSと言います。どうぞよろしくお願いします。」
「おや、珍しいですね。」
いきなりそんな声が後ろからかけられた。見ると一組の男女がこちらにやってくる。
どうやら岩下たちの知り合いらしい。
「やあ、冬月君、何が珍しいんだい?」
岩下が話し掛ける。どうやら男は冬月と言うらしい。自分よりも頭半個分は背が高いなか
なかに人当たりのよさそうな顔つきをしている。
「岩下さんと、藍原さんが他の人を交えて話しているのがですよ。」
そういって冬月は冷やかすようにして笑った。
「えっ、そっそんな。」
瑞穂はいきなり真っ赤になって慌てている。
「冬月君、何を言い出すんだい。いきなり。」
平静を装っているが赤面しているのは隠し切れていない岩下。
「おや、見ない顔だね。私は2年の冬月と言う、よろしく。後ろに居るのは同じく2年で
私の付き人の綾波です。」
そう言うと、綾波は一歩進み出て一礼をするとまた冬月の後ろに戻った。どうやらあまり
人と話すのは好きではないらしい。
「はじめまして、冬月先輩、綾波先輩、1年のSOSといいます。」
SOSもまた挨拶をすると、ふと気がついたように訊ねる。
「藍原さん以外の皆さんは『使い人』なんですね。」
「ああ、よく分かったね。確かに私たちは『使い人』だ。」
「やはりそうですか、ならすみませんが一つ、お聞きしたい事があるのですが。」

「「『氷の使い人』?」」
岩下、冬月の二人はそろって問い返した。
「ええ、そうです。知りませんか?」
SOSが言うと、
「『氷の使い人』というものは存在しない。」
「『使い人』は、地水火風の四種に大別されるものです。」
「したがって可能性があるとすれば、おそらくは『水の使い人』だろう。もちろんこれは
我々の考えだが。」
岩下、冬月が交互にSOSに答える。
「『氷』ではなく『水』……ですか。」

数瞬間SOSが黙り込んでいると、
「ところで、こちらからも一ついいかな?」
岩下がSOSに対し問い掛ける。
「ええ、なんでしょう?」
「君に我々の組織、『ジャッジ』に入ってもらいたいんだが。」
「『ジャッジ』?なんでしょうか、それは?」
「学園の正義を示すため私達がつくった組織だ。ここに居る冬月君ら三人も『ジャッジ』
のメンバーだ。」
「彼女たちもですか?」
瑞穂、綾波を見ながら問うSOS
「ああ、彼女たちも情報収集などの後方支援をやってもらったりしている。」
「へえ、そうなんですか。」
「で、どうだい?入ってくれないか。」
「その前に聞きたいのですが、なぜ私なのです?他にも適役の方が居ると思うのですが。」
SOSは素直に自分の疑問をぶつけてみた、それに対し岩下は、
「君も十分に適役だよ。空を飛んだり、瞬間移動したりってのは存外役に立つものさ。」
「あれ?なぜご存知なんです。そんな事。」
「ははは、そのくらいは知っているよ。多少なりと噂を聞いていればね。」
「そうなんですか、しかし、本当に私なんかでいいのですか?」
「ああ、だがもちろん強要はしない。君の意志に任せる。」
「すみません、少し考えさせてもらえますか。」
「別にかまわんが、いい返事を期待しているよ。」
「では失礼します。また後日、私の方から伝えに行きますので。」
言うとSOSは、廊下からいずこかへと空間を跳んだ。


残された四人は廊下を歩きながら話している。
「どうですか、岩下さん。彼、入ってくれそうですか。」
「さあ、どうだろう。結局は彼次第だからね。」
「ふふ、信さん、そんな自信たっぷりの顔で言ってたら入ってくれるのが分かっているみ
たいですよ。」
「え?そんな自信有りそうな顔してたかな。」
「はい、してました。」


一方、その頃学園上空約500mの地点ではSOSが空に寝そべり考えにふけっていた。
「『使い人』………、『ジャッジ』………か、………………。」


二日後、3年教室棟『アズエル』にSOSが現れる。そして、『ジャッジ』にまた一人
メンバーが増える事になった。




========================================
と、言うわけで私ことSOSはジャッジに加えさせていただく事になりました。
岩下さん、冬月さん、このLメモに関するご指摘、ありがとうございました。(ぺこり)

さて、私の設定にあった『氷の使い人』、みごとに『水』になりました。(爆)
もともとが私の無知と勘違いの産物なので、元ネタを知った後だと書けなくなってしまい
ました(知らずに使うな、自分)。すみません。(自爆)

感謝〜☆
岩下さん、冬月さん、ご出演、ご指摘どうもですっ。
悠さん、ひなたさん、私なんぞを使って下さってありがとうございますっ

さあ、次は・・・なに書こう(^^;
期待せずに(嘘です、期待してくれるとうれしい(笑))待ってて下さい。
今度こそ、もっとリーフキャラを出そうと心に誓うSOSでした。