Lメモ・ショートショート集4「大地に蠢く毒の花」 投稿者:T-star-reverse
 やっほーみんな。てぃーくんだよー!

 今日もまた、僕が遊んでたときのこと、みんなに教えるからね。

 それじゃー、聞いてってね!



Lメモ・ショートショート集4「大地に蠢く毒の花」



「うわぅわわぁぅわぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
 えーと、目が回って自分が何を言ってるかよくわかんない。
 あ、僕って叫んでるんだっけ……とか、なんとなく考えてみる。
 僕の右足にからみついたものが、僕をぐるぐる振り回す。
「あうぅぅぅぁうぁぅぅぅぁぁぁぁにぇぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
 しゅるしゅるしゅる……ぴたっ。
 僕の首にまた何かが巻き付いて、僕の動きがぴたりと止まる。
「あーーーー、うーーーーー」
 でも、僕は目が回ってて、妙な声を漏らすばかりだった。
 ……で、そんなときだった。
「葉新陰流・風車ぁっ!!!」
 突然飛び出してきた人が、僕を捕まえていたものをすぱっと斬り飛ばした。
 そして、僕を抱えてその場を離れる。
 僕はよく解らなかったけど、何故か眠かったからそのまま眠った……



「……だーかーらー、何度も言ってるでしょう?」
 僕が目を覚ましたとき、聞こえてきたのはそんな声だった。
「確かに、こんな所に飛び込んだのは俺が悪いですけど、だからといって
この子を見捨てていくことはできなかった……」
「……僕がどーしたって?」
「……って、起きたか少年。……運命、話はまた後ほど」
 その男の人は、刀を鞘に戻しつつ、僕の方に向き直る。
 そして、僕に話しかけてきた。
「俺の名前は佐藤昌斗。少年、君の名前は?」
「僕はてぃーくんだよっ!よろしくね、昌斗にーちゃん!」
 僕がそう返事すると、昌斗にーちゃんは笑って、僕の頭をがしがしと
荒っぽくなでた。
「はははっ、元気でいいぞ、てぃーくん!」
 それから僕は、改めて周囲の様子を確認した。



 そこは、ジャングルだった。



「……で、僕は何でこんな所にいるの?」
「こっちが聞きたいぞ、それ……」
 首をひねる僕に、昌斗にーちゃんの声が痛い。
 ぽんっ。
 僕は、ふと思い出して手を打つ。
「そうそうそう。図書館に遊びに来たら、なんだかでっかいレンゲに
捕まっちゃって、ぐるぐる回されてたような気がする」
「遊びに……って、危ないだろ、ここ。親はどうした?」
「親?」
 首を傾げる僕に、ぽりぽりと頭を掻きつつ、昌斗にーちゃんが言い直す。
「親って言うか……うーん……保護者とか、親戚とか……」
「保護者なら一応ティーだけど」
「ティー……T-star-reverseか?」
「うん」
「なるほど……彼にはあとでチョコくらいおごって貰いましょう」
 そう言うと、昌斗にーちゃんはすらりと刀を抜いた。
 そして、僕に聞く。
「てぃーくん、走れるか?」
「うん」
「なら、ついてきてくれよ。ここから一気に脱出するから」
「わかった!」
 そして僕と昌斗にーちゃんは、草木生い茂る密林を駆けはじめた……



「リーフ・ストラッシュ!」
 巨大食肉樹をまた一本切り倒し、昌斗にーちゃんがその上を駆け抜ける。
 そして、僕もそれに続く。
 けど、きりがない。
 いくら斬って、いくら進んでも、あとからあとからツタが迫ってくる。
 僕も、背中の鞄から一本の宝貝の刀を取り出して、ツタを払いながら
なんとか昌斗にーちゃんのあとに続いていた。
「あああっ!一体、この密林はどこまで続いているんだっ!?」
 そんな時。
「…お困りのようですねっ!?」
 突然、そういう声がしたかと思うと、木の上から何かが降ってきたんだ。
 その数は、3つ。
 ひとつは、変な色をした着ぐるみを着ている男の人。
 ひとつは、色眼鏡をかけ、ちびっこい竜を抱えた男の人。
 そしてもうひとつは、小柄な、髪の長い女の人だった。
 何故か3人とも、逆さまの状態で、しかも宙に浮いていた。
 ……よーく見ると、足にツタが絡まっているのが見えた。
 ふと横を見れば、昌斗にーちゃんが冷たい目をして3人を見ていた。
「…あなた、今、とても困っていますね?困っているでしょう?」
 着ぐるみの男の人が、そう言ってびしっ、と昌斗にーちゃんを指さした。
 そして、大げさにポーズを取って、続ける。
「…そんなあなたに朗報ですよ!…いま、この僕の足に絡まったこのツタ!
これを斬ってくれるだけで、きっとあなたにいいことが!」
「……たとえば?」
「…この幸せの壺を普段の半額の3万円で…」
「素直に助けてくれと言ったらどうですかぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
 その叫び声と共に、昌斗にーちゃんの一撃が3人を吹き飛ばした。
「…ネックレスの方が良かったですかあぁぁぁぁぁぁっ!?」
「どうして俺までぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!?」
「何でこうなるのぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!?」
 合掌。


 その3人が、戻ってきたのはそれからすぐ後のことだった。


 話によると、変な着ぐるみを着ていたのが葛田玖逗夜にーちゃん。
 つぎに、ちびっこい竜を連れた男の人が、Yinにーちゃん。
 そして、髪の長い女の人が、赤十字美加香ねーちゃんとのことだった。
「で、どうしてこんなところにいるんです?」
「…ま、簡単なことですよ…」
 玖逗夜にーちゃんが、昌斗にーちゃんの問いに答える。
「(鬼畜ストライク+巻き添え+爆薬)×図書館の近く=?」
「……よくわかりました……」
 僕にはよく解らなかったけど、美加香ねーちゃんが教えてくれた。
 なんでも、ひなたにーちゃんが「鬼畜ストライク」と言う技で、
美加香ねーちゃんを玖逗夜にーちゃんにぶつけ、その勢いをそのままに
すぐ後ろにいたYinにーちゃんを巻き添えにして、3人まとめて
地面に叩きつけられたところで、そこに埋めてあった爆薬が爆発したとの事。
 それで、ここに飛んできたんだって。
 ……よく生きてたな、と思うよ、僕は。



 ……さて、すっかり日も暮れて、総勢5人になった僕たちは、ようやく
出口のよーな空間に辿り着いた。
 ただ、目の前に、滅茶苦茶おっきな花がうねうねと動いていた。
 どうやら、この花を倒さなければいけないらしかった。
「それじゃ、みなさん、行きますよっ!!」
「「「「おー!!」」」」
 昌斗にーちゃんのかけ声と共に、僕たちは一斉に攻撃を仕掛けた。
「宝貝の一振り!薙払刀!」
 まず僕が刀をふり、僕たちに寄ってくるツタを全て薙ぎ払う。
「メガリーフ・ソードっ!!」
「えい、やぁっ!はぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
 んで、開かれた道を通って昌斗にーちゃんと美加香ねーちゃんが同時に
でっかい花の太い茎に、同時に攻撃を加える。
「アイラナ、かもーんっ!!」
「はぁーいっ!!」
 Yinにーちゃんのかけ声で、突然、天使のような女の人が姿を見せた。
「二人とも、下がってください!!」
 そのアイラナねーちゃんの声で、二人が下がる。
 美加香ねーちゃんは、いつのまにか爆薬を仕掛けたみたい。
「プアヌークの邪剣よ!!」
 玖逗夜にーちゃんの魔術が花に突き刺さった。
 その瞬間、Yinにーちゃんが、丸めた布を目の前に放り投げたんだ。
「白き影よ!」
 そして、それに一瞬遅れて、アイラナねーちゃんの声が響く。
 Yinにーちゃんの投げた布が広がって、爆発の閃光で影を作った。
 すると、布の影が白くなって起きあがって、美加香ねーちゃんの爆薬が
誘爆した衝撃を、完全にシャットアウトした。

 どっがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁんっ!!!

 やたらと耳に響く衝撃だけ残して、爆発の衝撃は完全に消えた。
 ……けど……。
「な、な、なんで効かないのぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!?」
 そう。美加香ねーちゃんの言葉の通り、花はまだそこにあった。
 なにやら、怪しげな花粉を飛ばしつつ……



「……おや、そこに誰か倒れてますね」
 そんな声が、どこからともなく聞こえてきた。
「ああ、この花の毒花粉は効きますからね。よっ……と」
 がらがらがら、と、何か車みたいなものを引く音が聞こえる。
「ゆかた、この子も載せてください」
「はい、館長」
 ……そんな声を聞きながら、僕は、

 ……もう、二度とここには来るもんか……

 そう、思っていた。



 おしまい。



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T「T-star-reverseです。今回は、てぃーの方がまだダウンしてるので、
 あとがきは私だけでお送りします。
  えーと、出演して貰った方に、再び、ごめんなさい。
  今回、みんなしてやられちゃってます。
  まあ、てぃーの奴も例外なく、ですが。
  えーと、謝ってばかりですが、とにかくすみませんでした。

  ……それでは、次回作もまたよろしくお願いいたします」