Lメモ・ショートショート集7「浮気男のゆううつ」 投稿者:T-star-reverse
 あははははは!てぃーくんだよー!

 今日も、いーっぱいお話するね。

 それじゃあ、スタートっ!



Lメモ・ショートショート集7「浮気男のゆううつ」



 僕は、ある人物を尾けていた。
 挙動不審者……といえば聞こえは悪いけど、なんとなく気になったからだ。
「なー、てぃーくんさぁ、あの人誰だか知ってんの?」
 僕の隣で、僕と同じことをしているのは雛山良太くん。
「知らない。だから面白いんじゃないの?」
 僕がそう言うと、
「ん」
 と言うだけで頷きもせずに追跡に戻る良太くん。
 僕もまた、同じように追跡を続けた。


 その人物を見かけたのは、高等科、文化系クラブハウスのあたりだ。
 なんとなく気になって、一緒にいた良太くんと一緒に尾け始めてから
すでに30分くらい経っている。
「やあ、○○さん」
「こんにちわ○○さん」
 と、その人物、すれ違った女生徒には欠かさず挨拶をしているのに、
男子生徒には一切挨拶をしていない。


 そして、その人物は、目的の場所にたどり着いたようだ。


 少し高い位置にある窓枠に手を掛けて、ぐぐっ、と懸垂する。

 そのとき、いきなり後ろから声を掛けられた。
「ねぇ、てぃーくん?」
「わっ……」
 すんでの所で悲鳴を上げるのだけは我慢できた。
 慌てて振り返ってみると、そこにいたのは……
「なに……?」
「え?」
「なに、してるの?」
 このぼーっとした口調……河島はるかねーちゃんだった。
 高等科の先生のはずだけど、よく初等科に来てみんなにチョコなんかを
配って歩いている。
 ちょっとまえ「進駐軍じゃないんですから」と、カレルレンにーちゃんが
笑いながら言っていたのを思い出した。
「……たべる?」
 気づけば、はるかねーちゃんが、いつものごとくチョコを差し出していた。
「……うん。もらう」
 そう言って、チョコを受け取る。
 そういえば、良太くんは……あ、ウォークマンなんて聞いてるし。

「あれ、あそこ……」
「知ってるの?はるかねーちゃん」
「ん。女子更衣室の窓だよ」
 そして、ふぅ、とため息をつくはるかねーちゃん。
「めんどくさいなぁ。いちおう連絡……」
 そう言って、自転車に乗ってどこかに行こうとするはるかねーちゃんを
とどめて、僕は背負った鞄から一つの紙コップを取り出した。
「それじゃ面白くないよ。ほらほら、こんなのあるからさ……」


「あー、そこの男子生徒」
 はるかねーちゃんがそう言うと、懸垂している男の人が、一瞬びくっとして
あわてて周囲を見回していた。
 当然、誰の姿も見えない。
「とりあえず、学年と名前、教えてね」
 はるかねーちゃんの言葉に、その男の人はおとなしく答えた。
「えーと……そ、そうだ、3年の雪ちな……」
 ちゅどーんっ!!
 と、その時点で紙コップが大爆発を起こした。
 当然、それを持っていたはるかねーちゃんも吹き飛んだ。
 ついでに、紙コップの能力が作用していた、男の人がいたところも同じく
吹き飛んで……当然、女子更衣室も吹き飛んでいた。
 もちろん、僕と良太くんも例外なく吹き飛んでいた……


「嘘だったね」
「嘘だったんだね」
「嘘つき」
 僕たち三人は、覗いていた男の人に詰め寄っていた。
 あの紙コップ、嘘を話されると大爆発を起こしてしまうのが欠点だった。
「ごっ、ごめんなさいっ!!」
 その男の人は、ずざざざざ、っとあとずさり、こっちに向けて頭を下げる。
 そんな様子にふぅ、と溜め息をつく僕。
「まぁ、どーでもいいけど……頭を下げる方向が違うよ?」
「……え?」



 それからあとのことは、見なかったからよくわかんない。
 あとから聞いた話で知ったのは、その人の名前がYOSSYFLAMEと
いう名前で、それから1週間ほど入院していた、ということだけだった。



 教訓……リーフ学園での覗き行為は命がけである。



 おしまい。



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T「時間がないのであとがき省略ーっ!!」
て「おーい(汗)」