「放課後の崇乃・5」日常編Pa−To2 投稿者:八塚崇乃



 苦手な人はいますか?


――キーンコーンカーンコーン……
 6時限目の終了を告げるチャイムだ。
「さてと、帰るか……鈴花。帰るよ〜」
「はいでし!」
 MHMの鈴花を頭の上に乗せ、廊下に出る八塚崇乃。
(……あれ?)
 ふと、足を止める。
「どうしたんでしか?」
 鈴花の問いには答えず、周りを見回す。
(この感じ……)
 周囲の観察から、周囲への注意へと警戒を強める。
 崇乃にとって、久しく――『学園』に来て以来ずっと――忘れていた感覚がそこに、そ
の空間にあったからだ。
 『誰か』に、『何か』に、『見』られているという感覚。
 妖(あやかし)を『狩る』という家業――『影祓』――をしてきた崇乃にとって、懐か
しくもあり、嫌悪する感覚。
(誰だ? 誰だ誰だ誰だ……誰だ?)
 困惑する鈴花をよそに、後ろ、右、左、上、下へと視線を動かす。そして、前――
(っ!)
 前に、前方約15m辺りの場所にそいつは立っていた。
 痛くなるほどの――だがどういった類のものかは判らない『気』を崇乃にぶつけている
その男。
 彼の名は……
「確かよっしーと同じクラスの……秋山さん、でしたっけ? 何か?」



            Lメモ(5)「はいぱーにんじゃ」



「勝負だ、八塚崇乃!」
「嫌です」(0.000001秒)
――ぴしっ
 何やら変な音を立てて固まる秋山登。
 崇乃にしてみれば、初対面の人間にいきなりそんなことを言われると断わるのが当然な
ので即答したのだが。
 膠着している登を無視し、横を通り過ぎようとする崇乃達。だが――
――ガシッ
「あのですね……手を離してくれませんか?」
「嫌だ。離してもらいたいのなら俺と勝負しろ」
 初対面――と言ってもYOSSYの教室に遊びに行った時に何度か顔を見てはいるのだ
が――なので丁寧な口調で会話をする崇乃。けれどそんなのはまるっきし無視の登。
「聞くところによると……よっしーといい勝負をし、ティーと一緒に暴走したDガーネッ
トを無傷で止めたりとしたそうじゃないか!」
(意外と……知られてるんだ。知らなかった……)
 世間とは狭いものなんだよ崇乃。


 前述の事件は《八塚崇乃:【Lメモ「放課後の崇乃・2&4」】》に書いてるよん♪


「? なんでしか今の?」
「さあ? なんか……『大いなる意志』ってヤツ?」
「こら、そこの2人。無視するな」
 ついつい『作者』の『宣伝』に耳を傾けてしまった崇乃と鈴花に対してツッコミを入れ
る登。
「さあ! 勝負だ!」
「……判りました。判りましたから手を離してください」
 溜息を吐きながら手を離してもらう崇乃。
(はぁ……今日は部活が休みだから家でゆっくりしようと思ってたのに……ま、降りかか
る火の粉は払わなきゃいけないか)
 登との距離を10mほど取る。
「鈴花。下がってて」
「はいでし」
 頭の上から鈴花を降ろし、手近の教室に避難させる。
 廊下には通行人が誰もいない。崇乃と登の後ろと教室のドアや窓から2人の闘いを今か
今かと待ちわびている見物人達はいるが。
「よしっ! かかってこい!」
 声を張り上げる登。
(………………)
 どうやって攻めていこうかと悩む崇乃。
 それもそのはず。登はノーガードだからだ。
「どうしたぁっ! 遠慮はいらんぞっ!」
(………………)
 ふと思い出す。
(まさかこの人……)
「どうしたぁっ!? かかってこい!!」
 業を煮やしてか、一段と声を張り上げる登。そんな中、崇乃が控えめに手を上げる。
「あの……ちょっと質問」
「……なんだ?」
 自分の想像がはずれて欲しいと願いながら、聞く。
「秋山さん。あなた……名前、『登』っていうんですか?」
「その通り。俺は秋山登だ」
「……あの『秋山登』ですか?」
「? よく判らんが……多分その『秋山登』だ」
「『エルクゥ同盟』っていう組織のメンバーで……一部の生徒に『マゾ忍者』って呼ばれ
てる……あの?」
「おう」
「………………」
「………………」
「………………」
「………………」
「………………」
「………………」
――ツカツカツカ……
 登の目の前まで歩いて近づく崇乃。
「お、殴るのか? いいぞいいぞぉ!」
――すぅぅぅぅぅぅ……
 登の頭に両手を添え、構成を編みながら大きく息を吸い込む。
 そして、胸の中に芽生えた『何か』――人はそれを『怒り』による『不快感』と言うが
崇乃には絶対に理解できないだろう――と一緒に息を、音を、声を、構成を解き放つ!
「我……叫ぶは、銀の、咆哮ぅぅぅう!!」

                    ・
                    ・
                    ・
                    ・
                    ・
                    ・

 その日、1人のSS使いが氷の彫像と化したのだが、誰も彼を助けようとはしなかった
のは、まあ余談である。

(ふ、うむ……この、冷た、さ加減……70点、だな……)
 ……マジ?


 試立Leaf学園は、一部を除いて今日も平和だった。


                                         99/01/09
                                         99/06/14改
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≪アトガキ≫

由美子「……なんで私がここにいるの? 今回の作品のどこにも登場してないのに……」
 崇乃 「ま、気にしないで。さて、やっと5作目です」
由美子「シクシク……」
 崇乃 「ホントは別のLメモを書こうと思ったんだけどねぇ……。
    実際、書きかけのLメモが4作品もあるし」
由美子「(立ち直る)どういったのが?」
 崇乃 「暴走八塚の話、『部活編その弐』の後始末的な話、風邪ネタな話、そして『過去編』」
由美子「ふ〜ん。キロバイト(KB)で換算するとどれくらい書いたの? 」
 崇乃 「左から14.2KB、8.54KB、13.5KB、4.41KBだね」
由美子「結構書いてるのね」
 崇乃 「まだまだでしょ。
    Lメモの先輩達に比べると……俺、頭の中のイメージを文章にする力、貧弱だから」
由美子「その割にはこのLメモ、早く書けたじゃない。最短執筆記録?
    だいたい3時間でしょ? 骨組みメモしてそれを清書で書きあがげた時間」
 崇乃 「ああ、これ? この時俺、頭が普通じゃなかったから」
由美子「どういうこと?」
 崇乃 「先日までインフルエンザだったから(苦笑・マジです)」
由美子「へぇ」
 崇乃 「今回の生贄作家さんは1人。
    秋山登さんごめんなさいいいっ!(深々・謝×3)」
由美子「ま、凍らせちゃったら秋山くんも止まるわよね……」
 崇乃 「……とにかく、抗議のメールはいつでも受け付けてます」
由美子「はは……次はどうするの?」
 崇乃 「↑で書いてるやつのどれかか……『部活編その参』を書きたいなぁって思ってる」
由美子「『部活編その参』? どうして?」
 崇乃 「チャット友達のくまさん出演させたいから!」
由美子「なんだかなぁ……」
 崇乃 「あ、なにその眼差し――」

――ストン
 と幕が下りる。