Lメモ「合い言葉はTeam Spirits!」第二話  投稿者:川越 たける
 <前回までのあらすじ>
 Leaf学園運動部において、弱小勢力として知られるバレー部。
 だが今、一人の女子部員によって大きく変わろうとしていた!
 彼女の名は新城沙織。
 沙織は、「バレー部強化計画」を掲げ、新たな部員の獲得に乗り出す。
 そして遂に、謎の覆面コーチXの一番弟子のメイドロボ、電芹と
 彼女の親友である川越たけるを部員としてスカウトすることに成功したのだ!

 これは、彼女達バレー部員による、熱き愛と友情の物語である!!


 ……うん、多分嘘は言ってないね(笑)


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 Lメモ「合い言葉はTeam Spirits!」第二話

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「と、言うわけで、新入部員が二人も入って来てくれたの!」
 昼休みの屋上。
 新城沙織は、ここで親友の藍原瑞穂と一緒にお昼の一時を過ごしている。
「へえ……じゃあこれで練習とか試合とか出来るんですね。よかったじゃないですか」
 瑞穂の言葉に、沙織は残念そうに首を振る。
「それがね……やっとこれで三人なの……幽霊部員を除けばだけど。
 だから試合をするっていうのは、夢のまた夢の話だったりするのよね、これが」
 頭を掻きながら困ったように言う。
 その言葉通り、6人制のバレーボールの試合をするのに最低限必要な
 6人には到底達してないし、試合中の選手の交代も考えると、補欠も必要になる。
 それに、新入部員の川越たけると電芹も、バレーの経験が全く無い為、
 ルールを教えたり、基礎練習をさせたりと面倒を見ていかなければならない。
 沙織に掛かる負担は大きい。
 でも、そんな苦労を吹き飛ばすかのような笑顔で、沙織は答えた。
「だから大変だけど……でも、とっても楽しいよ!」
 そう、まだ彼女のバレー部再建は、始まったばかりなのだから。

 そして放課後。
 ぺたぺたぺた……。
「はい、これで全部です」
 セリオタイプのメイドロボ、電芹は最後の一枚のポスターを貼り終えると、
 親友であり同じバレー部員でもある、川越たけるに声を掛けた。
「うん。こっちも終わったところだよ」
 たけるはにっこりと笑ってそう応えた。
 ちなみに二人とも一年生なので、沙織の後輩ということになる。
 
 二人が今いるのは、学園正門から校舎へと続く並木道の途中にある、
 学園専用の掲示板の前。
 『期末テストは7月12日〜15日』
 『テニス大会開催中!!』
 『第二購買部では、ただいま夏に向けてのバーゲンセール実施中』
 『君もダーク13使徒で充実した青春を!』
 『緒方理奈教諭アフロ同盟顧問就任記念、アフロコンパ開催決定!』
  ……などなど、様々な告知が貼られている場所である。
  そこに、二人で作った『バレー部員募集中!!』のポスターを貼りに来たのだ。

「沢山人が来てくれるといいねっ☆」 
 たけるが貼ったばかりのポスターを見ながら言う。
 この部活に入ってから知ったこと。
 体を動かすこと、練習して自らを高めていくこと。
 誰かと一緒にそれをすることの楽しさ。
 もっと沢山の人にそれを知ってもらいたい。
 もっと沢山の人と一緒に楽しみたい。
 そんなたけるの気持ちが込められた一言だった。

「大丈夫です。二人で一生懸命書いたポスターですから、きっと来ますよ」
 そう応える電芹も同じ気持ちだった。
 何をするにもサテライトサービスに頼っていた、かつての自分からは、
 とても今の姿は考えられなかっただろう。
 今までたけるや、秋山登がそうしてくれたように、沙織とバレー部もまた、
 電芹に自分を変えるきっかけをくれたのだ、と思う。
 だから、その恩に少しでも報いたいし、このバレー部を大切にしたい。
 だからこその言葉だった。
 
「さて、そろそろ練習の時間ですね。遅れないように行きましょう」
「うんっ!」
 そして、二人は体育館に向かって走り出した。

 それから数時間後。
 二人が去った後の掲示板前に、一人の男がいた。
 『只今バレー部では新入部員募集中!! 男女問いません
 連絡は2−Cの新城か放課後の体育館まで(←誰かいるよ)』
 そう書かれたポスターをじっと食い入るように見ている。
 そして、
「バレー部、か……興味がありますね。貴方もそうは思いませんか?」
 その男は、何故か掲示板に向かって話し掛けている。
  特に目が悪いというわけでも無いようだが……。
「そうですよね、じゃあ、行って見ましょう」
 一通り話終えると、男はそのまま体育館へと足を向けるのだった。 
  
 その日の放課後の体育館。
 試立Leaf学園の運動部では、ここを使用するのはバレー部の他には
 バスケット部だけであるので、いつでも好きな時に練習をすることが出来る。
「電芹ちゃんっ! もっと良くボールを見てレシーブするっ!」
「たけるちゃんはもっと指をよく使って! 10本全部の指じゃないと、
 ボールはちょんと上げられないよ!」
 沙織は今日も時間の許す限り、新入部員達の基礎訓練の指導をしていた。
「はーい、じゃあ今日の練習はここまでっ!」
  沙織のその声で、練習をしていた二人は、彼女の元へ駆け寄ってくる。
「はあ、はあ……疲れた〜」
 手を膝につけて息を荒くしているのはたける。
「私も……ちょっと放熱しないと……」
 そう言って同じく手を膝に付けているのは、電芹。
 今は部活中ということで耳カバーを外していたりする。
「こーら。 二人とも、これくらいでそんなこと言うなんてだらしが無いぞっ」
「あう、すみませ〜ん」
「……申し訳ありません」
 二人とも、言われて慌てて姿勢を直そうとする。
「試合ではずっと動き回ってるんだからね、もっと体力を付けないと駄目だからね!」
「「はいっ!!」」
(とは言ったものの……練習にちゃんと最後まで付いて来ているんだから、
 これからが楽しみね)
 沙織は心の中で、二人の素質に感心していた。

「さてと、そろそろ時間だから、片付けしなきゃね」
 沙織がそう言って二人に指示を出そうとした時、
「あの〜、バレー部ってここでしょうか?」
「え?」
 何時の間にやってきたのか、一人の男子生徒が体育館の入り口に立っていた。
「あ、makkei君やっほ〜」
 沙織よりも速く、たけるがその人物=makkeiに話し掛けた。
「あ、川越さん、こんにちは」
 条件反射的に一定の距離を取ろうとするmakkei。
「……」
「どうしたんですか?」
「makkeiく〜ん、私この間、名前で呼んでってお願いしたよね〜」
「え、ええ……」
「もう忘れちゃったの〜?」
「えっと、そ、そんなことは……」
「それじゃあ、もう一回、名前で言い直しして欲しいな」
「え、でも……」
「……」
 たけるの目に「名前で呼んでくれないと呪っちゃうぞ」という意思を
 感じ取ったmakkeiは、慌てて言い直す。
「……た、たけるさん」
「はいっ、良く出来ました☆」
 笑顔で応えるたける。
(うう……)
 makkeiは、ようやく針の筵から逃れたような気分を味わっていた。
 
「ねえ電芹ちゃん、彼ってたけるちゃんの知り合い?」
 二人の会話を聞いていた沙織は、となりにいる電芹に訊ねてみた。
「はい、この間たけるさんが屋上から落ちそうになった時に助けて頂きまして……」
「あ、この間言ってたお金で魔法を使うって言う彼?」
「そうです。 あ、その後一緒に校舎を案内してあげて……」
「成程、気に入られちゃったんだ」
 そう言いながら沙織は、ニコニコと笑っているたけると、対照的に油汗を
 だらだらと流しているmakkeiの姿を見る。
(……緊張している、って訳じゃないよね ……)
 そんなmakkeiの態度に、何か違和感のような物を感じる沙織。
 何となく、蛇に睨まれた蛙のようにも思えなくもない。
「あ、その時に聞いたんですけど……彼は前の高校で
 バレー部に所属してたそうですよ」
「ええっ、それ本当?!」
 電芹の口から出た思わぬ情報に、沙織は驚く。
「ええ、そうです。 だからこの学園でもバレー部に所属したいと思いまして……」
 そこに、何時の間にか側に来ていたmakkeiが口を挟む。
 どうもたけるから逃げてきたらしい。
「新城沙織先輩ですね。はじめまして、一年のmakkeiと言います。
 前の高校ではライトアタッカーをやっていました。
 この学園でもバレーボールをやりたいと思いますので、入部を希望します!」
 根が真面目な事もあって、きびきびとした好感の持てる挨拶。
 やる気充分である事を主張するかのような鋭い瞳。
 そこには、何事かに打ち込む人間なら誰もが持っているオーラのようなものがあった。
(なるほど……) 
 そんな彼の様子を見て、納得する沙織。
(この人は……本当にバレーボールが好きなんだ、私と同じで) 
 沙織が彼の入部を認めるのに、時間は掛からなかった。
「うん、歓迎するよ、makkei君、バレー部へようこそ!」
 かくして、女子以上に悲惨な境遇である男子バレー部にも、
 ようやく希望の光が見えてきたのであった。

 その後。
 makkeiの実力を試す意味も兼ねての練習が終わると、
 女子部員達は着替える為に更衣室に行ってしまい、体育館には
 今日は入部するだけ、というつもりで、
 普段の学生服のまま来ていたmakkei一人が残される形となった。
 今は、女子が戻ってくるまでの間に、力仕事ということで頼まれた
 ネット運びをしている。 
「ふう……」
 ようやく周りに女の子がいなくなったことに安心したのか、
 大きく息を吐くmakkei。
「しっかし、男の部員が一人もいないなんて……
 毎日女の子に囲まれてばかりっていうのはちょっとなあ……どうしたものか」
 女の子が苦手な彼にとって、現在のバレー部の環境はやや厳しいものがある。
 沙織から男子のバレー部の現状、すなわち現在の部員が2年の城下和樹一人であり、
 しかも彼は幽霊部員同然である、ということを聞かされた時は、
 思わず絶句してしまった。
 彼が今後バレー部の活動を続けて行く為には、まずは活動出来るだけの男子部員を
 集めなければならない。
 その道のりを考えると、頭を抱えたくなってしまうのは仕方無いだろう。
「とりあえず、明日から部員探してみるかな? まずは城下という人に会って、
 相談してみよう」
 そう言いながら、ネットを用具室に運び込む。
「よし、これで終わり……あれ?」
 ふと見ると、女子部員達が入っていった更衣室の扉の前に男が一人。
「あれは……YOSSYさん?」
 YOSSYFLAME。
 学園屈指の女好きで、ナンパ師でもある彼の名前は、転校して間も無い
 makkeiでも何度か耳にしている。
 また、makkeiが「小さな悪事でも見逃せない」という性格である為、
 YOSSYが軽犯罪をおこして逃げる現場にたまたま居合わせた時に、
 追いかけて捕まえようとした事もある。
 その時は、彼の逃げるスピードに到底追いつけなかったのだが……。
「あのー、そんなところで何をしているんですか?」 
 実に間抜けな質問だが、makkeiはYOSSYFLAMEに声を掛けた。
「はわっ!?」
 声を掛けられたYOSSYは、 まるで死んだ筈の宿敵に会ったかのような顔で
 後ろに飛びすさった。そして、思わず更衣室の扉にぶつかりそうになったところを
 何とか踏み止まる。
「っと……お、脅かさないで下さい」
「あ、すみません……でも、こんなところで何をしているんですか?」
「ん? 知りたいんですか? って、えーと……」
「あ、makkeiです。一年の」
「そうですか、僕はYOSSYFLAMEです。YOSSYと呼んで下さい。
 ……で、何の話でしたっけ」
「何をしているんですか? っていう話ですよ」
「……あー、そうでしたね。実は、ちょっとした探求みたいなものです」
「探求……ですか?」
 いぶかしげに訊ねるmakkei。
「そう、探求なのです……いいですか、この扉の向こうには、未だ人の知り得ない、
 とても素晴らしいものが隠されているのです」
 そう言って女子更衣室の扉を指差すYOSSY。
「ところで質問ですが……登山家は何故山に登ると思います?」
「えっ?! そ、そこに山があるから……かな?」
 唐突な質問に、makkeiは戸惑いつつも返答する。
「そうです、そして、この向こうにあるものは登山家にとってのエベレストに
 匹敵するのです。漢なら誰でも魂を惹かれてやまぬものでありながら、
 そこには並大抵の苦労ではたどり着けない……だからこそ僕はこの扉に挑み、
 その謎を解き明かさないとならないのです!!」
 拳を握り締め、力説するYOSSY。
 makkeiはそこに、己の信念の為に生き、信念に死すことを
 史上の喜びとする漢の姿を垣間見ていた。
「でも……つまるところ更衣室を覗きたいだけなんじゃないですか?」

 ぴた。

 makkeiの実に素直なツッコミで、YOSSYの動きが止まる。
 一瞬の静寂。

「ではさらばっ!!」
 そう言い残すと、YOSSYはシロテテナガザルもかくや、という素早い動きで
 跳躍し、何時の間にか外されていた天井の板から屋根裏へと消えた。

「……」
 あまりの唐突な出来事に、しばし呆然としていたmakkeiだが、
「はっ、銭形の名に掛けて、小さな悪事でも見逃すわけにはっ!」
 はっと我に返ると、急いでYOSSYの消えた穴の下へ向かう。
「一円玉よ!」  
 そして、彼の得意とする代償魔術を発動させる。
 普段なら敵にぶつける光球となる一円玉をまとめて床に叩き付け、
 それによって生み出されるエネルギーを反動として、一気に跳躍しようとする。
「急がなくっちゃ、更衣室の中ではまだ新城先輩とたけるさんと電芹さんがっ!」
 そう言った瞬間、ふと、今の彼女たちの状態(平たく言えば着替え中)を
 つい想像してしまう。
「ぐはっ……」

 ぼて。

 跳躍失敗。
 若さ故の過ちであった。

 とりあえずもう一度代償魔術を使う事で、無事天井裏に到達したmakkeiは、
 YOSSYの姿を探した。
「いた……!」
 そこには、YOSSYともう一人、男の姿があった。
 個性と言うにはあまりにインパクトの強すぎる髪型。
 その手にしっかりと握られたいかにも高そうなカメラ。
(あれは……2年のデコイさん?)
 アフロチックストーカーにして盗撮大魔王として名高い彼の名前もまた、
 転校して間も無いmakkeiでも何度か耳にしている。
「YOSSYさん、どうです、この圧巻とも言える光景、素晴らしいでしょう?」
「……くううっ! やっぱり生で見るのは写真と違った感動があるなあ」
「最近校舎の更衣室は警備が厳しくなる一方ですからねえ、
 こういった素晴らしい作品が撮れる穴場を探すのには苦労しましたよ」
「すごいぜデコイさん、アンタ漢だよっ!」
 なにか怪しい会話をしている二人の男。
 makkeiは、そんな彼らに気付かれないようにゆっくりと静かに近付いて行く。
(ここの天井の板は脆いから……あんまり派手なことは出来ない。
 50円玉の「縛」で動きを封じて一気に肩を付けるっ!)
「うおおっ、沙織ちゃんってやっぱり噂通りに……」

 ぐらっ。

 YOSSYの言葉でいきなりダメージを受けて、バランスを崩すmakkei。
(くっ……平常心平常心……今は魔術に集中するんだ……)
「電芹さんも、セリオタイプだけあってなかなかのプロポーションですよね」

 ぐらぐらっ。

 今度はデコイの言葉でダメージを受ける。
(ええいっ、惑わされるな僕! 本物の銭形ならこんな事に動じない筈だろ!)
 強く念じて、再度集中を開始する。
 しかし。

 神様と言うのは、実にいたずらが好きである。
 次のYOSSYの一言。
「ぐぴっ……たけるちゃん、普段はそうは見えないけど
 ……結構育ってるじゃないか」
 その瞬間、makkeiの頭は真っ白になった。



「うおおおおおおおおおおおおおっ、見るなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」 


 言うなり、YOSSYとデコイに向かって飛び掛かっていく。
「うわっ、何ですか!?」
「ま……makkei君っ?!」
 突然のmakkeiの行動に戸惑う二人。
「見るな見るな見るなったら見るなーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!」
「ば、馬鹿っ、こんなところで暴れたら……」
 
 バキッ。

 ひゅーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ。

 どさっ。

「「「……」」」
「「「……」」」

 沈黙。
 
「ああ……私の貴重なアトリエが……」
 天井に空いた大穴を見て大きく溜め息をつくデコイ。
「makkei君、なんてことするんですかっ!」
 とりあえず元凶である、makkeiに詰め寄ろうとするYOSSY。
 が、彼の様子がおかしい事に気付いて、襟を掴もうとした手を止める。
「? どうしたんですか……?」
 そんなYOSSYの呼びかけにも応えず、
 makkeiは青ざめた表情で固まっている。しかも、顔中油汗だらけである。
「?」
 彼の視線がある一点を見ていることに気付いたYOSSYが、その先を探ると……。
「き〜み〜た〜ち〜」
「……あ」

 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ。

 そこには、着替え中であった為に下着姿のままの沙織が、仁王立ちしていた。
「これは私に対する新手の挑戦、ということですか……?」

 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ。

 同じく下着姿の電芹と……

「大変たいへん覗きだよ盗撮だよ恥ずかしい格好取られちゃったかもしれないよ
 みんなにばらまかれちゃうよ明日から学校行けないよどうしよ電芹」
 
(あたふたあたふた)
 
 たけるも勿論いたりする。まあ。この二人はちょっと方向がずれてるけど。
「はうっ……」

 ぱたり。

 女の子達のあられもない姿によって、一気に極限状態に追いつめられたmakkeiは、
 そのまま気絶してしまった。
「ああっ、ずるいですよ!」
 デコイがそう言ったところで、makkeiは既に、
 一人安全な場所へと旅立ってしまっているので、もはや戻ってくる様子はない。
 そんなわけでYOSSYとデコイにしてみれば、絶景とも言える光景を
 至近距離で拝めたのだから、まさに眼福を得た、と言う事になるが、
 それ以前に絶体絶命であるのは間違いない。
 YOSSYは、必死に頭を働かせて状況を打開しようとしていた。
(こういう時は下手に言い訳すると命取りだな……
 よしっ、ここはまずは場を和ませる為に……)

「おハロー」










 数秒後、体育館の女子更衣室に炎と電柱と呪いの嵐が吹き荒れた。






 

 

 下校時刻の後。
 生徒達がいなくなった後の掲示板前に、一つの物体があった。
 『只今バレー部では新入部員募集中!! 男女問いません
  連絡は2−Cの新城か放課後の体育館まで(←誰かいるよ)』
 そう書かれたポスターをじっと食い入るように見ている。
「ヤリマス、ヤリマス」
 そう言うと、そのまま体育館へとタイヤを向けるのだった。
 
 彼女が何を思うのか……それは誰にもわからない。


 <戦闘結果(?)>
 makkei:結局この出来事が元で、沙織にいいようにこき使われることに。
 YOSSYFLAME:
        簀巻きにされて風紀委員長の元に送られる。その後数日間行方不明。
 デコイ   :またも停学処分に。アフロ同盟の危機再び。


 <逃げる準備を整えつつ、続く(笑)>