Lメモ「合い言葉はTeam Spirits! 第一話」 投稿者:川越 たける
「うむむむむ……」
 新城沙織は悩んでいた。
 この元気娘にしては珍しく、黙り込んで何かを考えているようだ。
「沙織ちゃん、早く食べないとお昼休みが終わっちゃうよ?」 
 一緒にお昼を食べていた藍原瑞穂が、いつもと様子の違う友人に声をかける。
「どうして……なのかな? うーん……」
 だが、沙織は瑞穂の言葉に答えること無く、思考を巡らせているようだ。

 ここは、昼休みの屋上。
 この時間は、仲の良いグループ同士が集まって昼食を食べに来ることが多い。
 もちろん沙織と瑞穂もそうである。
 いつもなら、月島瑠璃子や長瀬祐介、風見ひなたや赤十字美加香が一緒にいて、
 楽しくお喋りしながらの一時となるのだが、今日は、いつも話題を切り出す沙織が
 こんな様子であるし、瑠璃子はいつも通り口数が少ないので、
 なんとなく寂しい昼食となってしまっている。

「沙織ちゃん、沙織ちゃんってば……」
 で、いつまでも同じ調子の沙織に、もう一度瑞穂が呼びかけようとした時、
「わかったあああああああああああああああ!!!」
 突如大声を上げて沙織が立ち上がった。
「わっ、きゅ、急に大声出さないでよっ!」
 突然の事に驚く瑞穂。ちょっと眼鏡がずり下がっているようだ。
「沙織ちゃん、どうしたの……?」
 さっきまでマイペースでお弁当を食べていた瑠璃子が、全く動じた様子もなく、
 沙織に尋ねる。
「うん、聞いてよ! 何で私達のバレー部に、全然人が来ないのかなって考えてたの」
 さっきまで黙ってた分を取り返すように、一気に捲し立てる沙織。
「で、これじゃあいけないから、どうしようかなってずっと考えてたんだけど、
 やっぱり待ちの姿勢って良くないと思ったのよ。誰か来てくれないかな〜って、
 待っているよりも、こっちからアピールしていかないといけないのよ、うん」
「は、はあ……で、具体的にはどうするの?」
 瑞穂は沙織の勢いにちょっと引きながらも、聞いてみた。
「よくぞ聞いてくれましたっ! まず、学園内で才能のありそうな人にかたっぱしから
 声をかけてスカウトしていこうと思ってるの。千里の道も一歩からってことで、
 一人一人部員を増やして、練習したり試合したりしていけば、そのうち人気も出て、
 部員も集まって来てくれるはずよ!」
 両手を胸元で力強く握しめて力説する沙織。
 こうなると、誰が止めても聞きそうにはない。
「沙織ちゃん……頑張ってね」
 そんな沙織に、瑠璃子はにっこりと笑いかけた。

 そんなこんなで、その日の放課後から、
 沙織の「バレー部新入部員獲得計画」が始まったのだった。 


 <その1:柏木梓の場合>

「え?あたしに女子バレー部に入ってくれって?」
 梓はちょっと困った顔をしながら言った。
「はいっ! 柏木先輩が入れば、絶対チームの戦力アップになります!」
 沙織は自信たっぷりに言うが、梓はすまなそうに首を振って、
「悪いね……私はもう三年だし、それに、陸上部だけで手一杯なんだ。
 両方に手を出して、中途半端な結果を出すってのは嫌だからね」
「そうですか……無理言ってすみません」
 いきなり大本命に断られた為か、ちょっとショックを隠せない沙織。
「そんな暗い顔するなって、大丈夫、ここにはあたしじゃなくても、
 一緒にやってくれる娘は沢山いるさ!」
 そう梓に励まされて、次の目的地へ向かう沙織。
 でも、その次の目的地の「格闘技同好会」でも、
 同じような理由で断られてしまうのだった。なかなかに前途多難である。

 <その2:神岸あかりの場合>

「バレー部?」
「うん、あかりちゃんやってみない?」
「そいつは無理だって新城、こいつスポーツとか全然駄目なんだから」
 あかりと一緒に話を聞いていた藤田浩之が横やりを入れる。
「こら、浩之くん。そんなこといっちゃ駄目だよ! ……で、どう?」
 そんな浩之を嗜めながら、沙織はあかりに聞いてみる。
「うん……沙織ちゃんには悪いけど、私は遠慮しておくよ。ごめんね」
「うーん、残念だな〜」 
「ははは、やっぱり無理だってことだな。まあ、自分で運動音痴だって
 自覚してるんだから仕方ないよな」
 あかりが断ったところに、浩之がからかうように言った。
「浩之くんっ!」
 そんな浩之を沙織がたしなめようとすると……。
「違うよ、浩之ちゃん。私が断ったのは、浩之ちゃんの為だよ」
 あかりが答える。
「ああ? どういうことだ?」
「だって、私がバレー部に入って、毎日練習が忙しくなっちゃったりしたら、
 浩之ちゃんと一緒にいる時間が少なくなっちゃうでしょ? 
 そうしたら浩之ちゃん、只でさえ影が薄いのに、ますます目立てなくなって、
 本当に男子生徒Aになっちゃうから。……あ、でもその方がいいかな?」
 そう言ってにっこりと笑うあかり。
 同時に浩之は顔から一気に泣きたいような怒りたいような顔になったかと思うと、
「ち……ちくしょーーーーーーーーーーーーっ!」
 そのまま黄昏丘を目指して走り去る。
「と、いうわけなの、ほんとにごめんね」
 あかりもそう言い残すと、浩之を追いかけて行く。
「うーん、何か変わった関係なのね……」
 一人残された沙織は、妙に納得するのだった。
 結局、またもや勧誘失敗なのだが。
 
 <その3:バレー部員(休部中):城下直樹の場合>

「城下くん、バレー部の部員になってくれそうな人を
 スカウトしようと思うんだけど……」
「わかったよ、沙織ちゃん! 俺にまかせといて!」  
「あ、城下くん……って、もう言っちゃった……」
 沙織が止める間もなく、城下は走り去ってしまった。
「あ〜あ、ああなったら何言っても無駄なんだよね……。
 仕方ないから自分で何とかしよっと」
 その後、城下は『相応しい人材』を片っ端から捕獲しようとして、
 Dセリオの『治安を守る為の正当な行動』の犠牲になったらしい。
 合掌。

 <その4:……えーっと> 

「ヤリマス、ヤリマス」
「えーと、気持ちは嬉しいんだけど……」

 <その5:……んーっと>

「あんたには無理よ! お・ば・さ・ん」
「きぃーーーーっ! 言ったわね小娘!」
「あのー……」


「ふう……上手くいかないな〜」
 沙織は一人溜め息をついた。そろそろ下校時刻だが、今日の勧誘は成果は今の所ゼロ。
 良さそうな人材はみんなそれぞれに都合があるのだ。
 それに、もともとバレー部は人気が無い。
「ふう……」
 さすがに困り果てて、思案にくれる沙織。
「あれぇ? 沙織ちゃん、こんなところでどうしたの?」
「あれ? YOSSY君?」
 そんな彼女に声をかけてきたのは、
 学園一のナンパ師として名高いYOSSYFLAMEだった。
「どうしたんだい? 元気が取り柄の君らしくないじゃない?」
 ちょっと歯が浮くような台詞をさらっと言ってしまえる辺りは流石である。
「もう、私だって悩んだり落ち込んだりするよ〜。実はね……」
 これまでの経緯をYOSSYに話す沙織。
「なるほど……女子バレー部に相応しい人材ねえ、一応心当たりがあるけど?」
「ええっ! 本当?」
 それはもう、この学園の全ての女子の顔、名前、スリーサイズその他諸々のデータを
 脳に焼き付けていると噂される彼の事だから間違いはないだろう。
「んー、まあね。その代わりと言っちゃなんだけど、その娘が部員になってくれたら、
 お礼ってことで、今度デートしない?」
「え? デート? うーん……じゃあ、ほんとに部員になってくれたらね」
「いやったぁ! よし、そうと決まれば善は急げ! さ、行こう沙織ちゃん!」
 喜び勇んで沙織の手を引いて駆け出すYOSSY。
「あ、ちょっと、引っ張らないでよ、もう……」
 ちょっと苦笑しながらも、部員獲得の可能性が出てきたので、嬉しそうな沙織だった。


「ほら、沙織ちゃん、ここだよ」
 YOSSYが連れてきた場所は、学園の裏山。
 身近な場所でありながら、全くと言っていいほど人気が無い。
 それは、生徒の殆どが、放課後も学園内で様々な活動に勤しんでいる為である。
「ええっ?! こんな所にほんとにその……『バレー部に相応しい人材』がいるの?」
 さっきから沙織の声がちょっと小さくなっている。
 それもその筈、静かで人気が無くて、しかもそろそろ
 薄暗くなっているとくれば、彼女の苦手なお化けの出そうな雰囲気そのものだ。 
「大丈夫だって、女の子に関する情報を間違うようでは、
 学園一のナンパ師の名折れってもんだからね……ほら、何か聞こえてこない?」
 そんな彼女を気遣ってか、明るく振る舞うYOSSY。
 彼の言う通り、ふと気が付くと、何かがぶつかり合う音と、
 掛け声のようなものが聞こえてくる。
「ななな、何? まさかラップ音とお化けの声じゃ……」
「違うって、ほら、あそこを見てみてごらんよ」
 YOSSYが指差した先では一組の男女が戦っていた。

「せいっ! 電柱十文字斬りっ!」
 電芹は片手に持った電柱を縦横に薙ぐ。
「ぐはあっ! ……良い攻撃、と言いたいところだが、電柱に頼り過ぎだっ!
 戦いの基本は格闘! 己の体を武器とせよ!」
 電芹の攻撃をもろに食らい、体中から血を吹き出しながらも秋山登は力説する。
「はいっ! では行きます……たぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
 掛け声と共に電芹は全力で走って、頭から秋山に突進する。

 がつん☆

「おおう、そうだ、それで良いぞ! この感覚がたまらん……」 
 電芹の頭突きを食らって、頭蓋骨が陥没している上に
 血が吹き出ているにも関わらず、妙に元気な秋山。
 対する電芹は……、
「くあ……」
 頭を押さえてうずくまっていた。涙目になってるようである。
「よーし、よくやった。ジンやDセリの攻撃に比べればまだまだだがな」
 秋山はそう言いながら、電芹の頭をわしわしと撫でてやる。
「え、さっきのは合格ですか? 」
 まだぶつかったところが痛いのか、うずくまりながら電芹が聞く。
「んー、まあ何だ、お前の常に前向きに努力する姿勢、それを評価したと言う事だ。
 これからもその姿勢を忘れぬやうに」
「は、はい! 頑張りますね!」
 電芹は嬉しそうににっこりと笑うのだった。

「……えーっと、YOSSY君、あれは一体?」
 頭の後ろに大きい汗マークを付けて、やや固まっている状態ながらも、
 沙織はYOSSYに聞いてみた。
「ああ、秋山さんと電芹ちゃんは、たまにこうしてここで秘密の特訓をしているんだよ」
 知られている以上、秘密の特訓とは言えないが。
「特訓て、何の?」
「さあ? そこまでは……」
 実は、秋山にとって娘のような存在であり、電芹にとっては大切な親友である、
 川越たけるを守る為の戦闘技術を秋山が電芹に教えているのだ。
 『安心してたけるを任せられるようになってくれ』という秋山の願い。
 『どんな時でもたけるさんを守れる強さを身に付けたい』という電芹の思い。
 その二つから、二人は、週に数回の特訓をしているのである。
 断じて秋山が、『攻撃を食らうのが好き』という欲求を満たす為ではない……多分。

「とにかく、呼んでみよう。おーい、電芹ちゃ〜ん」
 そう言って声を掛けてみるYOSSY。

「……え? あ、YOSSYさんと……それに新城先輩」
 うずくまっていた電芹が、二人の声に気付いた。
「む? YOSSYじゃないか……なんだ、また俺に挑戦したいのか?」
「お断りですっ! 貴方とは二度と戦わないって言った筈です!」
 顔を引き攣らせながら、きっぱりと否定するYOSSY。
「馬鹿者! 男は常に命を懸けて戦を挑むものだろうが!」
「世の中には、死ぬよりも恐ろしいことがあるって学びましたから」
「そうか、では今回も俺の防衛ということだな」
「はいはい、防衛でも何でもいいです
 とにかく、二度と戦いませんから!」
「それは残念だな。俺はお前の攻撃を高く評価しているんだが」
「貴方に誉められても素直には喜べないんですが」
「ふっ、物の有り難味というもののわからん奴だ。
 ……まあいい、では俺はここで去るとしよう。
 電芹、次までに更なる修練に励むやうに」
「はいっ! ありがとうございました!」
 秋山に深々と例をする電芹。
「……しからば御免! 忍法小麦粉粉塵隠れ!」
 秋山は煙玉を地面に投げつけると、出てきた小麦粉の煙と共に消えた。


「え?! 私をバレー部に?」
 驚いて目を瞬かせる電芹。
「うん、YOSSYくんの推薦なんだけど……」
「電芹ちゃんなら、良いアタッカーになれると思ってね。
 運動能力、背の高さ、パワー、どれも充分合格だと思うよ」
 沙織の言葉に続く形で、YOSSYが理由を言う。
「そういうわけなの、で、どうかな?」
 期待に目を輝かせながら沙織は訊ねたが、電芹はすまなそうな顔をする。
「ごめんなさい、誘って頂いたのは嬉しいんですけど……」
「どうしたの?」
「私はカフェテリアの仕事や、幾つかの部活動に参加しています。
 主任の工作部も手伝わなければいけません。
 バレー部の為にそれらを休むわけには……」
「えー、そこをなんとかならない?」
 沙織もあっさりとは引き下がらない。せっかくの人材を
 何とかしてバレー部に迎え入たいのだ。
「何なら、カフェテリアは僕が助っ人しようか?」
 YOSSYもそう口添えする。彼としても、沙織を助けてあげたい
 という気持ちがあるし、何よりもデートが掛かっているのである。
「うーん……」
 それでも電芹は悩んでいる。もともと生真面目な性格であるので、
 なかなか割り切れないのだろう。

「未熟者め……」
 すると、いきなりどこからか声が聞こえてきた。
「えっ……今の誰?」
「どこから聞こえてきたのでしょうか?」
「いたぞ! あそこだっ!」
 YOSSYが指差した先には……
「ふははははははははははは……はーはっはっはっはっは! 話は聞かせて貰った!」
 木のてっぺんで腕組みをして高笑いしている覆面を被った一人の男の姿があった。

「……何やってんですか? さっき去っていった筈の秋山さん?」

 ずるっ。ひゅううううううううううううう。ぼて。

 YOSSYの冷静なツッコミにその男はバランスを崩して、頭から地面に激突する。
「おおっ。攻撃ではなかったが、今の感触はなかなか……って違うっ!」
 頭から血を流している上に、首があさっての方向に曲がってしまっているのだが、
 そんなことは全くお構い無しに、その男は再び木の上に登る。
 そして、さっきと同じ ポーズを取ると、太い眉毛をぴくっと動かすとこう言った。
「我が名は覆面忍者バレーコーチX! エックスではなくてエーーーーーーックス!
 断じて爽やかナイスガイ秋山登では無いっ!」
 ちなみにX仮面とも何の関係も無いので誤解しないように。
「はあ……で、秋……じゃなかった、そのエックスさんがあたし達に何か用ですか? 」
 ちょっとめげながらも、沙織は自称謎の男に聞いてみる。
「エックスでは無い! エーーーーーーックスだ! 
 ……っと、それは置いておいて、と。別にお前達全員に用がある、という訳では
 ないのだ。この私が用があるのは…… お前だっ!」

 びしっ!!
 
「えええええっ! 私ですかっ?!」
 Xが指差したのが自分だということが分かり、ちょっと怖がっている電芹。


「その通り! よいか電芹。人は誰しも、己にしか務まらぬ役目があるもの。
 だがそれを自覚するのは容易なことではない」
「は、はあ……」
『だからこそっ!』(くわあっ!! )
 またもや眉毛をぴくっと動かして、Xが叫ぶ。
「ひえっ!」 
「チャンスを逃すな! まず行動せよ! うだうだ考えるのは後でいいっ!」

 どどーん!
 
 Xが言い終えると共に、木の上に雷が落ちて、絶好の演出効果を作り出す。

「はははははいっ! わかりましたっ!」
 そんな謎の男Xの勢いに、完全に押されてしまっている電芹。
「うむむむむむむむむ、わかればればればればれば、よよよよよよよいいいいいのだだ」
 一方X。さすがに先刻の雷の直撃で帯電しているらしい。
「秋山さん、楽しそうだなあ……」
 半ば感心して、半ば呆れたようにYOSSYが呟く。
「ねえ、YOSSYくん、もしかして、電芹ちゃんはあの人が秋山さんだって
 気付いてないんじゃないの?」
「多分ね。 電芹ちゃんも変わったよなあ……」
 おそらく同居人の常日頃の天然ボケっぷりに影響されたせいだろう。
「とりあえず、電芹ちゃんは入部してくれそうだね。よかった〜」
 沙織は嬉しそうに言う。何はともあれ、これで新生女子バレー部が
 第一歩を踏み出せるのだ。
「電芹ちゃん、それじゃ、詳しい話をするから部室まで……」
 そう言って沙織が電芹に声を掛けようとしたその時……。
「よしっ! では今日は特別に、バレー部に入部する為の特訓メニューを施してやろう!
 さあ、私に付いてこい!」
「はいっ! 特訓は大好きですから行きますっ!」
「よしっ、では行くぞっ! 皆の衆、また会おう……然らば御免!」
「あ、待って下さ〜い」
 風の如き勢いで、Xと電芹は山の奥へ行ってしまった。
「……」
「……沙織ちゃん?」
「はあ……。せっかく部員獲得出来ると思ったんだけどなあ……」
 残念そうに肩を落す沙織。
「大丈夫、電芹ちゃんなら後で来てくれるよ。だから、今日は帰ろう。
 あ、そうだ……帰りにヤックで何かおごるよ。約束は果たせなかったから、
 デートの代わりってことでどうかな?」
「……うん、それじゃ、ご馳走になろうかな?」
 そうして二人は、来た道を戻っていくのだった。


 後日:放課後の体育館

「こんにちは〜」
 一人でバレーの練習をしていた沙織の元に、来訪者があった。
 その姿を見て、沙織はにっこりと微笑む。
「待ってたよ。電芹ちゃん……って、あれ?」
 来訪者はもう一人いたのだ。
「はじめまして、新城先輩! 川越たけるですっ☆ 私もバレー部に入部します!」 

 昨日、謎の男Xとの謎の特訓後、部屋に戻った電芹は、
 たけるにバレー部に入部することを相談した。
 すると、たけるは喜んで賛成した上に自分も入部すると言ったのだ。
 そして、今日一日で工作部部長の菅生誠治の説得、
 レミィとのカフェテリアのシフトの調整、
 (「困った時はお互い様ネ!」)
 ジン・ジャザムに科学部メカニックのスケジュールの相談、
 (「っていうか、メカニックの活動があると俺的に不幸ぅぅぅぅぅぅぅぅっ!」)
ハイドラントに13使徒での活動の相談をして、
 (「君達……ちゃんと『一日一悪』やってる?」)
 二人が何とかバレー部に参加出来るだけの時間を作り出したのだ。
 たけるにしてみれば、電芹が初めて自分から「やりたい事」を言い出してくれた事が
 とても嬉しかったようである。
 それから……電芹と一緒にいたいという彼女の気持ちが入部の動機となった。
「私と電芹の、愛と友情のツープラトン攻撃があれば怖い物無しですっ!
 ダブルドロップキックでどんな敵も一撃で倒しちゃいますっ☆」
「たけるさん、それをやったら反則です……」
「ええっ? じゃあバレーってどうやってやればいいの私良く考えたらスポーツ
 なんてやったことないからルールとか知らないんだよでも電芹がやりたいって
 言ってるんだからきっと面白いんだろうなでも私運動神経無いしそれで
 入部しちゃ駄目って言われたら電芹と一緒にいられなくなって寂しいよ〜」
「た、たけるさん、落ち着いて下さいってば」
「あ、あははははははは……大丈夫だよ、駄目なんて言わないから」
 沙織の脳裏に一抹の不安がよぎったが、
 それを振り払うようにして、二人に話し掛ける。
「よろしく、電芹ちゃん、たけるちゃん。でも、二人とも、練習は厳しいからね。
 それは覚悟しておいてよ」
「「はいっ!」」
 二人の声が重なる。
「それから……」
 沙織はとびっきりの笑顔でこう続けた。
「私の事は新城先輩じゃなくて、沙織ちゃんって呼んでね! 」


 とりあえず、新戦力となる部員を二人獲得出来た。
 でも、まだまだこれからだ。幽霊部員を除いてあと3人、それだけを集めないと
 試合すら出来ないぞっ! 
 頑張れさおりん! 
 負けるな! 試立Leaf学園女子バレー部!

 <続く……かな>
 
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 たける:というわけで、バレー部Lメモ、始動です!
 電芹 :……ちゃんと続くんですか?
 たける:……あう。だ、大丈夫だよ〜だってたとえ部員への立候補が無かったとしても  
     メンバーが集まるまでのプロットは一応出来てるし(汗)
 電芹 :試合が無いと、誰もバレー部Lメモだって認めてくれませんよ?
 たける:うう……が、頑張るもん。
 電芹 :でも、次はOOOOLメモっだって言ってませんでしたか?
 たける:はうっ、それは……。
 X   :チャンスを逃すな! まず行動せよ! うだうだ考えるのは後でいいっ!
 たける:わああっ!
 電芹 :いきなり出て来ないでくださいっ! 雷光サーブっ! (ちゅどーん)
 X   :ぬおっ……新しい攻撃だな、よいぞ電芹っ!
 たける:Xさん……一体誰なんだろ?
 電芹 :どこかで会ったような気がするんですけどね?
 沙織 :本気で言ってるの?