Lメモ/VSアフロ 『謝ればすむと思ったら大間違いだよな、いやマジで』 投稿者:TaS
 薄暗い部屋の中、一筋の紫煙だけが微かに動いていた。
 光が無い訳ではない。
 窓にはカーテンすら掛けられてはいないし、そこから洩れているのは紛れも無く春の日
差しだ。
 なのに、必要以上に明るくなる事を拒否している、入る者にそんな印象を与えるような
部屋だった。
 そんな部屋の一隅に置かれた椅子に、男は腰掛けていた。
 顔は、逆光になってよく見えない。ただ、笑っているようにも感じられた。
 女は、立ち尽くしていた。
 窓の隙間から零れる光が、彼女の顔に紫煙の影を落とす。
 それが、まるで涙の筋のようにも見えた。
 ……涙。
 馬鹿馬鹿しい。
 それが、男の持った正直な感想。
 彼女が涙を零す事などありえない、彼はそう思っていたから。
 それに……
 そこまで考えた時、彼女──広瀬ゆかりはその重い口を開いた。
 そして、宣告する。
「喫煙の現行犯逮捕ね。覚悟しなさいよ、デコイ君(はあと)」
「頼むぅっっ!! 見逃してくれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっっっっ!!!!!」


 デコイ、停学一週間




   Lメモ/VSアフロ『謝ればすむと思ったら大間違いだよな、いやマジで』




「とユー訳デッ!!!!」
 いつもながら、無意味なテンションの暴走。
「アフロ同盟最大のぴんちが今更ナガラにやってきてシマッタよーな気がしたりもスルン
デスがその辺イカガ思われマスカそこのおにーサンッ!?」
「……何がです?」
 冷静なとーるの声にも、アフロの暴走は止まらない。
 まぁ、今この場にいる中で、そんな事を気にするような柔な人間はいないが。
「つまりデス。デコイサンが停学になってシマッタって事は、ワレワレアフロ同盟の収入
源がなくなってシマッタって事なんデ〜ス」
「収入源?」
 と、これはYin。
 ここは、アフロ同盟秘密の小部屋と呼ばれている場所……らしい。
 毎日のように邪悪なアフロどもが出入りする学園最大の秘境、とか言われているような
場所だったりもするが、実際にそれがどこにあるのかは誰も知らないでいる。多分、中に
いる当人達でさえ。
 そんな部屋にアフロどもが揃って毎日何をしているのかといえば、何もしてなかったり
するから質が悪いのだが。
 それはともかく。
 TaSの演説はまだ続いていたりもする。
「アー、つまりデス。アフロ同盟の資金源は、ジツはデコイサンの写真を別るーとカラ第
二購買部に横流しスル事で生まれていたンデ〜ス」
「「………………………………………………………………………………………をゐ。」」
 さすがに二人揃って冷や汗を流してしまう。
「一週間トハ言え、ソレが無くなってシマウとゆー事は、この先どんな事が起こるのかわ
かりゃシナイ現状と致しマシテは……」
「ねぇ、TaSちゃん?」
 横で粘土をこねていた瑠璃子が、唐突に呼びかける。
 彼女の前では異世界の邪神でも召喚できそうな謎のオブジェが出来上がっているが、と
りあえず誰も気にはしていない。
「ハイ、なんデスカ?」
「お金って、何に使ってるの?」
 あまりにも素朴な疑問に、Yinととーるの動きも止まる。何故かは知らないが、今ま
でその疑問に至らなかったらしい。
「そういえば、お金なんて使いませんよねぇ」
 とーるが小首をかしげる。あまり可愛くはない。
「トウゼン、アフロの維持、改造の費用デスッ!!」
「「デコイさん……」」
 何故か二人揃って涙を流すとーるとYin。
「トまぁ、そーイッタ訳でまともな活動はシバラク出来そうにナイノデ、今日はスペシャ
ルメニューデ〜ス」
 当然のように無視するTaS。
 結局の所、ここは意外なほどに平和なのかもしれない。
 あまり意味もないけど。


「トイッタ訳でやってまいりマシタ邪悪の国ヘ」
「実は場所移動してないけどな」
「えーっと……」
 なんだかとーるが困っているようだが、誰も気にしない。
「サテ、ここでくえすちょん。アフロ同盟の最大の問題点って何だと思いマスカ?」
「んー……存在している事?」
 結構歯に衣着せない男、Yin。
「ンー、惜しいッ! デモ狙いは悪くないデスヨ〜」
「……惜しいんですか?」
「ワレワレの最大の問題点。ソレは、ワレワレが公式な団体でないとユー事デスッ!」
「それ以外にも直すべき点は山ほどあるような気もするんだけどねぇ」
 もしかしたら、仲が悪いのかもしれない。
「テナ訳で問題解決の為にれっつごーデ〜ス」
「あ、俺パス」
「私も逃げさせてもらっていいですか?」
「HAHAHAHAHAHAHAHAHAッ! トウゼンながら不許可デ〜〜スっ!!」
「なんでぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっっっっっっっっっっ!!!!!!!」




「とゆー訳でッ!! 行くわよ由綺ッ!!」
「……どこに?」
 今までの前振りと一切関係なく登場したのは、緒方理奈と森川由綺の二人。
 何故だか血相を変えている理奈を、由綺がさっきから何とかなだめようとして失敗して
いる。もしかしたら煽っているのかもしれないが。
「そんなの決まってるでしょ!? PS版ではついに存在すら削除されたくせにのうのう
と「女優」とか言い張ってるあの女を成敗しによッ!!」
 ひょっとしてネタバレですか?
「とにかくっ! 誰がなんと言おうとスクリーンのヒロインは私以外にはありえないと言うかあってはならないのよっ!! それなのにあの女ったら……ああ羨ましいっ!!!」
「理奈ちゃん理奈ちゃん、本音が出てるよぉ」
「と、とにかくっ! 今日こそはどっちが主役なのかって事をあの女に……」
 そこで、理奈の台詞が途絶えた。
 代わりに聞こえた物は──爆音。



 ちゅどぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉん…………



「ううう……負けて……負けてたまるかぁ」
 瓦礫の下から這い出した理奈が見た物は、やっぱり瓦礫だった。
 瓦解した校舎の上に佇む美女。絵になるといえば、なるのかもしれない。
 意味はないけど。
「何で……なんでなのよ!! 私はただ、もうちょっと出番が欲しいだけなのにっ!!」
 人によっては笑ってしまうような、だけども切実な叫び。
 だが、それに答える声は……いや、あった。


              力が欲しいか?


「え?」
 見回すが、何もない。
 瓦礫の下から由綺の物らしき服の切れ端と、小さな血溜りが覗いているのが見えたが、
とりあえずそれは無視する。


              力が欲しいか?


「誰っ!?」
 見回すが、何もない。
 ただ、圧倒的な存在感だけが感じられた。


              力が欲しいなら……


 邪悪、そう感じる。
 だが、理奈はその言葉に言い知れない魅力を感じていた。
 望みが……叶う?


               くれてやる!


 微かに頷く理奈。
 彼女の顔に迷いはない。
 その時、瓦礫が舞い上がった。
 理奈は、微動だにしない。
 舞い立つ粉塵が僅かに収まった時、それが、見えた。

「何の因果か気が付いたらアフロ!! 俺に未来はあるのだろうか、ってゆーかいい加減
誰か助けてくれよっ!! アフロイエローッ!!」
「どっちかと言えば良識派に属するような気がするけど、それはつまり苦労が多いと同義
語っ!! でも自分から入った以上、この地獄から抜ける道は無いのが悲しいっ!! ア
フロブルーッ!!!」
「おいしいよね、この麻婆豆腐」
「アフロブラックは所要にヨリ本日欠席ッ!! ソレはトモカクとして今日も今日とて日
は昇るっ!! 明日の朝日は拝めネドモ、邪悪の影はれっつごーつーへるっ!! ナンカ
このあふろを地毛だと思っテル人が結構多いのが最近悩みダッタリもしマスがソレはソレ
としてあふろれっどっ!!!」
 それぞれバラバラのキメポーズをとりつつ、4人の変態が現れた。
 全身タイツのアフロヘアの集団。変態以外の何物でもあるまい。
「5人ソロって!! アフレンジャーッ!!」
 そんなポーズを見ながら。
 理奈は、永遠の世界へと旅立った。



「とユー訳で。」
 なんか、そんな始まり方ばっかりだな。
「アフロ同盟の顧問になってクダサイ」
「単刀直入ですね〜」
 無視されるとわかっていても、つい言ってしまうのが悲しい習性のアフロブルー。また
の名をとーる。
 その横では、アフロイエローとアフロピンク(Yinと瑠璃子)が棒倒しをしている。
 当の理奈はと言うと、小さな肩を落したままに俯いていた。
「イマならサービスの洗剤も大量50パックぷれぜんと中デスシ、その他にもいろんな特
典が山盛りのような気がシナイでもないようなソンナふぃーりんぐはーと」
 TaSの語り口調を聞きながら、メンバーの間に早々と流れ始める諦めムード。
「夢見れば夢も夢じゃナイとイダイな先達もオッシャッテル通りにヤハリ世の中というも
のはデスネ……」
「それよっ!!」
 いきなり、理奈が大声を上げる。
 しかし、誰も驚かずに演説は相変わらず続いていたりもする。
「そもそも、タイセツな3つの袋という物がアリマシテ、スナワチ……」
「……なんで私、ここにいるんだろうか」
「あ、瑠璃子さん失敗〜♪」
「あ〜あ」
「いいわ、アフロ同盟の顧問にでもなんでもなってあげるわっ!! こうなったらもうな
りふりかまってられないのよっ!!」
「イイデスカ? 人という字は、人と人とがささえあってデスネェ……」
「あ、美加香母さん、もう帰っちゃったかな?」
「それじゃ、もう一回ね」
「うん」
「勝てる、これならあのくそ生意気な小娘に勝てるわっ! まってなさいよ広瀬ゆかりぃ
ぃぃぃっ!!!!」

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                 未完っ!!


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 てな訳で。
 アフロ同盟人員増強計画その3だったりもしますが……このままだとまた誰かに殺され
かねないので(笑)

 特別企画「VSアフロ」開催っ!!
 理奈先生のアフロ同盟入りを、皆さんの手で何とか阻止してください。
 シリアスに説得するもよし、ギャグで落すもよし、もちろんただ暴れたいだけでも全然
オッケー(笑)
 ルールは以下の通り。

 1、それぞれの投稿作品は基本的に干渉しあわないこと。
  つまり、Aさんの作品で無事解決してしまったとしても、Bさんの作品のスタート時
  には、それはリセットされるものと思ってください。
  大仰な言い方をすれば、それぞれ別時空って事だと思ってください。

 2、タイトルに「VSアフロ」と書くこと。
  単に、あたしが見逃さないようにってだけです(笑)

 3、意見は、これを題材にして書いた作品でのみ受け付ける。
  って、偉そうですか?(笑)
  ICQ、メール、チャットなどでいくら言っても無駄って事です。
  理奈先生を救いたかったら、このLメモ掲示板に「VSアフロ」と銘打って書いてく
  ださい。それ以外では一切不可。
  それと、同一の人による複数の投稿は可とします。

 4、〆切は4月30日の24:00。
  それまでに出された作品のみ受け付けます。
  その時点で、
  理奈先生がアフロ同盟入りしてしまうEDの作品の方が数が多い。
  作品の投稿が全然無い(嫌ぁぁ(汗))
  などの場合には、”正式設定として”理奈先生をアフロ同盟の顧問にします。


 っと、この作品の中でずいぶんと性格が壊れてるような気がする理奈先生ですが、もち
ろんこれに準ずる必要なんて全然ありません(笑)

 それでは、皆さんの投稿をお待ちしてます。であ〜。