Lメモ、図書館に潜む闇 投稿者:TaS

試立Leaf学園。
広大な敷地と、それ以上に広大な地下空間を有する謎の学園である。
しかしその全貌を把握する人間は、教師を含めても数えるほどにしかいない。
そんな学園の、ある意味最大の謎の一つである図書館。
そこへ、一人の生徒が訪れる所から話は始まる。


こんなんでほんとに良いのでしょうか?まぁとにかく書いてみましょう。後悔には慣れっこです。

『Lメモ、図書館に潜む闇』

でもホントはTaSの自己紹介SSのような気がしないでもない。


ぎぃぃぃ・・・
しっかりと整備されているはずなのだが、何故か図書館の扉はいつもこんな音を立てる。
だが、その扉の影から出てきた人影はそんな音にひるむ様子も無く歩を進める。
そして入り口近くのロビーで午後のティータイムを満喫しているまさたに声をかけた。
「こんにちは、館長さん。」
「ああ、松原さんでしたね。こんにちわ。今日はどういったご用件で?」
その人影、松原葵はまさたの近くまでよってから彼の問に答えた。
「はい、ここに格闘技の本も置いてあるって聞いたもので・・・」
「相変わらず研究熱心ですね。えっと・・・格闘関係の本ならあそこを入ってずっといっ
た所にあるはずですよ。」
そう言ってから、まさたはまるでたった今思い付いたかのように言葉を続ける。
「あ、そうだ。これからお茶を入れ直そうと思ったんですが松原さんもいかがです?」
「い、いえ、いまはちょと・・・」
多少世事に疎い所のある葵だが、だからと言って自らの命に直接関わるような事ぐらいは
心得ている。この学校で生き残る為の知恵、といっても良いだろう。
礼儀正しい彼女が、挨拶もそこそこに先ほどまさたが指した方へと消えていった。
「せっかくのお手製なんですがねぇ。」
だから嫌なんだって。


「えっと、この辺りかな・・・?」
先ほどまさたが教えた通りにやってきた葵。だが、そこには本、それもどう見ても製本か
ら200年以上立っているような古文書と呼ぶべきものばかりが大量に並んでいる。
「でも・・・どれ?」
そう、『大量』に並んでいる。
いや、並んでいるというのは正しくはないだろう。この図書館の本は、ほとんどがきちん
と整理されているのだが何故かこの場所だけは例外らしい。
本棚はあるものの、その棚に乗っているのはほんの一部、あとは床の上に山積みになって
いるという有り様である。
「うーん・・・」
まさたに手伝いを頼む、という案もあったが何故かあまり良い予感がしない。
しょうがない、か。そう呟いてから本の山に向かい合う葵。
どうやら自力で捜す事にしたようである。
とりあえずは・・・そんな事を考えている時。
突然目の前の本の山が崩れた。
崩れた中から最初に見えたものは・・・『毛玉』だった。


「Hi!始めマシテ!ないすトゥミィツゥゥゥゥッッ!!!」
「嫌ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっっっっ!!!!!」
ずげしっっっ!!
葵の華麗なるハイキックが決まる。
いきなり目の前に『毛玉』が現れてしかも怪しげな日本語で話し掛けられた時の対応とし
てはまぁ一般的なものであろう。
少なくとも「怪しいものは壊しても良い」と校則に明記されているLeaf学園にはおい
ては、彼女の行動は正当なものである。
・・・この学校の校則を一度全部見せてもらいたいと思うのは私だけですか?
それはともかく。
『毛玉』は悲鳴すら立てる事無く空の本棚へと飛んでいった。
「えっと・・・今のは・・・」
我に帰った葵は今自分が蹴った物体の感触が人間のそれに似ている事に気づく。
それが飛んでいった方向は、しかし闇に包まれていて此処からでは良く見えない。
葵は恐る恐るその方向へと近づいていった。
すると。
むくっ
『毛玉』があっさりと起き上がる。
「Oh!ないすきっくデスね!!Youぐれーとデスぅ!!」
『毛玉』にはあまりダメージはないようだ。
いや、落ち着いて見るとそれは毛玉でもなんでもない、ただの人間の男だ。
中肉中背、というには多少痩せているが、それにした所で大した特徴ではない。
一応L学園の制服も着ている。どうという事のない姿だ。
ただ・・・
「あ・・・アフロ?」
そう、その男はほぼ真円に形どられた立派な「アフロヘア」をしていた。
その中央に収められた顔には丸縁のサングラス。顔は靴墨で黒く塗られ、塗り残した首筋
とのコントラストがひどく眩しい。
きっちりと着こなしている制服がかえって怪しかった。
こんな姿を町中で見掛けたのなら良くて大道芸人、普通ならばそのまま黄色い救急車を呼
ばれる所である。
しかしそこは葵もLeaf学園の一員、外見が怪しい人間なんぞ見なれている。
「えっと・・・」
おや、それでもやはり戸惑っているようだ。まぁ、いたしかたあるまい。
しかし、当のアフロはそんな事は気にも止めず葵を絶賛し続けている。
「ふぁんたすてぃっくデス!こんぐらっちゅれーしょんデス!まーべらすデ・・・ぎゅは
ぁぁぁぁぁっっっっ!! 」
「あ、つい・・・」
ついで崩拳出すんじゃありません。
アフロは葵の必殺技をまともに鳩尾に受け、先ほどと寸分違わず同じ所へと飛んでいった。


「むぅ・・・Oh!ワタシは一体!?」
今度はアフロが目覚めるまで幾分かの時を要した。
だがそれとてそう長い時間ではない。この辺の打たれ強さは彼がL学園の生徒であるとい
う何よりの証だろう。
葵もそう判断したのか、すまなそうな表情で話し掛けた。
「すみません。あの、私・・・」
「No,No,アナタがアヤマル事じゃないデスよ。」
アフロは葵の言葉を遮ってから、ゆっくりと立ち上がる。
「ワタシも久々に人間に会って少しハイになってマシタ。あいむそーりーデス。」
「あの、久々にって・・・」
「ソウだ!アナタお名前教えてクダサイ!」
葵が疑問を口にだそうとした時に、それに倍する声でアフロが遮る。
「え、名前ですか?」
「Yes,アナタのお名前なんてーの?」
質問を無視された形になった葵だが、そんな事は気にせず姿勢を正してから
「はい、私は1年生の松原葵と申します。」と答える。
「アオイ・・・ウン、イイ名前デスねぇ。私はTaS(たす)と申しマス。ヨロシク。」
「はい、よろしくお願いします。」
二人そろって頭を下げる。
広大な図書館の片隅で行われた挨拶は、何処か怪しげだが、何処かほのぼのとするような
光景だった。


「で、捜してイルのはドンナ本なんデスか?」
その後、TaSは葵の本探しを手伝う事に決めたらしく、彼女にそう話し掛けていた。
「えっと、たしか民明書房って出版社が出した本なんですけど。」
その時点で怪しいとは思わないんですか?
「最強流伝説、ってタイトルです。筆者は火引・・・何とかって人です。」
やめなさいって。個人的には読んでみたいと思わせるタイトルではありますが。
「フム、ソレならこの前柳川サンが借りていきマシタよ。」
「え・・・それじゃ、仕方ないですね。」
明らかに気落ちした様子の葵。
その姿を見て、何か面白い事を思い付いたかのようにTaSが笑みを零す。
「ソレじゃ柳川サンの所に行ってみまショウ。」
「え、でも・・・」
「ソロソロ返却期限デスし、私も久々に柳川サンに会ってみたいデスしね。」
そこでTaSが柳川教師の事を「柳川サン」と呼んでいる事に葵は気づいた。
仮にも教師である柳川に対し、妙に親しげな口調だ。
「あの、TaSさんは柳川先生の事をご存知なのですか?」
疑問を口にしてみる葵。
しかしTaSは「先生の名前クライは知ってマスよ。」などと明らかに何かを隠している
ような口調で平然と言う。
問を続けようとした葵を置いて、TaSは歩き出した。
おしゃべりは終り、という意思表示なのだろうか。葵は仕方なくその後についていった。


「あ、松原さん。お探しの本はありましたか?」
TaSと共に歩いていた葵は入り口の近くに来てそう声をかけられる。
ティータイムはもう終ったのか、館長らしくデスクワークをしているまさたである。
「コレから柳川サンの所に行くんデス。」
葵が答えようとするよりも早くTaSがその口を開く。
もっともこの図書館の館長たる者その程度でうろたえはしない。
「おや、柳川先生が持っていたんですか。」
あの説明で良く分かりますねぇ。
「ところでそちらは?」
「TaSさんといいます。さっき奥で知り合ったんです。」
まさたの問に葵が答える。
だが、それに対するまさたの反応は少々意外なものだった。
「TaS・・・さん?」
葵にしてみれば、自分の発言がこの冷静(冷徹、かも知れないが)な館長を僅かにでも動
揺させるものだとは思いもしなかっただろう。
「あの、なにか?」
そう館長に声をかけるが、その声にも動揺の色が見える。
TaSはそんな二人をにやにやと見つめ続けているだけだ。
「あなたは・・・あのTaSさんなのですか?」
動揺を押し殺すかのような声が辺りの空間に溶けてゆく。
だが、声の揺らぎを完全に消す事は出来ないでいる。
「ナニを言っているのか良く解りまセンが、私の名前はTaSデスよ。」
そう答えるTaS。
口許こそ楽しそうだが、肝心の瞳は色のついたガラスの向こうに隠れて見えない。
若干の緊張が走る。
しかしそれも長くは続かなかったか。
どちらが折れた、という訳でもない。
ただ両方がその無意味さに気づいたという事だろう。
そしてまさたは近くの椅子に腰掛けるてから声をかけた。
「よろしければ帰りに寄ってください。おいしい紅茶をごちそうしますよ。」
「さんきゅー。」
葵の背中を軽く押しながらTaSは嬉しそうに答えた。


二人の足音が聞こえなくなる頃、まさたは一人呟く。
「何故、今ごろ・・・」
そう言って近くの本棚から本を取り出す。
『Leaf学園正史』
表紙には金箔でそう押されている分厚い本だ。
まさたは、それをゆっくりとめくっていった。


「サテと、柳川サンは何処デスかねぇ?」
葵はもう質問を諦めたかのように一緒に歩いている。
嫌々、という風ではない。
その証拠に先ほどからTaSの質問に対し、明朗に答えている。
ただ、その質問の多くが最近の学校の様子についてなのが気にかかった。
TaSは最近に起こった事件についてあまりにも無知にすぎた。
特にここ5年ほどの間に起こった事件についてばかり質問を繰り返すのだ。
気にはなるものの、葵にもそれを断る理由もなく、聞き返した所で答えてくれるとも思え
ないので答えていた。
そんな葵に満足しているらしく、TaSは機嫌良く口を開き続ける。
そして大体の所を話し終えたころ(葵も1年生なのでそんなに詳しくはなかったのだが)
TaSの口から出たのが先ほどの声だった。
「さあ・・・」

ちゅどぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉん!!!!!!!

葵が答えようとした瞬間に鳴り響く轟音。
いつもの騒動であるのだが。
「あ、きっとあっちですよ。」
こんな時には役に立つものである。
「柳川サンも相変わらずなようデスねぇ。」
TaSの苦笑は葵には届かなかったようだ。


まぁその騒動は、いつもの面子がいつもの経過でいつもの通りに行われているものだ。
平たく言ってしまえば要するに ジン対Dセリオ in校庭 である。
だが、今回に限ってはそこは問題ではない。
その横でジンを見守っている男。
「はて・・・このネジは何だったのだ?」
あ、見守ってない。しかもなんか妙な事口走ってませんか?
「むぅ・・・まぁ良いか。」
そう言ってそのネジを捨ててしまった男。柳川裕也教師である。


「あの、柳川先生。」
葵のそんな声に振り向く様子すら見せずに柳川は答える。
「・・・何のようだ?私は忙しいのだが。」
そうは見えませんでしたけど。
そんな心の声はおくびにも出さずに葵は言葉を続ける。
「あの、図書館から本を借りたと聞いたんですが、その本お持ちでしょうか?」
あくまで丁寧な態度を崩さない。
素晴らしいことだが、目の前の教師はそんなことで心を動かすような人間ではなかった。
「今忙しいと言ったろうが。二度目はないぞ。」
そんな事を言いながら教え子、あるいは実験体の活躍を観察している。
ふと、葵はその柳川の隣にいつのまにかTaSが座っていることに気がつく。
「あ、あの・・・」
「やかましいっっっっ!!!二度目はないと言っただろうがぁぁぁぁぁっっっっ
っ!!!!!!」
TaSに話し掛けようとした葵に、勘違いした柳川の爪が襲いかかった。

ガシュゥッッ

柳川の手が空間すら断ち切ろうかという勢いで葵に迫った。
最近どうも単なる変態としか見られていないようだが、柳川の攻撃能力はこのL学園の中
でも間違いなくトップクラスと言えよう。
その柳川が血迷ったとはいえ本気で攻撃を繰り出すのだ。
この時点で葵の命運は尽きたと言っても良いだろう。
だが。
その爪が葵の身体に届く寸前、柳川は自らの手を止めた。
いや、それは彼自身が望んだ事ではないようだ。その証拠に彼の顔は苦渋に満ちている。
その視線の先にあるのは・・・TaSの顔であった。
「Hi、柳川サン久しぶりデスねぇ。」
能天気、と言う言葉どおりな台詞と顔。
しかしその存在が柳川の手を止めさせたのは間違いないだろう。
それは柳川の表情を見れば分かる。
「貴様はTaS・・・こいつは貴様の連れか?」
「Yes、デモその前に自分の教え子でショウ?アンマリ苛めてはいけまセンヨ。」
「ふん、知ったことではない。それよりも、貴様との決着今こそつけてくれる!!」
「チョット待ってクダサイよ。ワタシは別に戦うために来たのデハ・・・」
「やかましいっ!!」
TaSの意見などまったく聞いていない柳川はその両腕を鬼のそれへと変化させ、TaS
へと襲いかかる。

ズシャァッッ

「のぉぉぉぉぉぉぉぉ!」
派手な悲鳴。
しかしその割には顔には真剣味が無い。
次々と繰り出される柳川の攻撃をTaSはあっさりと躱していく。
「待ってクダサイって。」
「やかましいっっっ!!!」
「すとっぷすとっぷ。」
「うるさいっっ!!!」
「ダカラ止めましょうッテ。」
当然の事ながら柳川の攻撃には容赦が無い。
しかしTaSはその攻撃を躱し続ける。それも汗の一つも浮かべずに、である。
「だぁぁぁぁぁっっっっっ!!!!貴様はかわすばかりなのかっっっ!!」
「ナニを今更。ワタシは昔からソーだったデショウ?」
つまり昔からこんな事ばかりやっていたんですね?
「ええいっっ!!うるさいうるさいうるさいうるさいっ!!ならば、先ほどの本がほしけ
れば俺を倒してみろ!!」
「イヤ、デキレバ平和的な解決ホーホーを取りたいんデスが。」
「やかましいっ!!どうした、俺を倒してみろ!!」
ほとんど駄々っ子である。
ふうっ
TaSは大仰な身振りで肩をすくめてから柳川に向き合う。
「しょうがないデスねぇ。OK、デハ行きマスよ。」 
そう言って人差し指と中指をそろえて柳川を指した。
「Summon!」
その指を掲げるようにしてから言葉を続ける。
「ショウライ!!あーすどらごん!!!」
その声に導かれるかのように地面にひびが入ってゆく。
そしてその中から東洋の龍をかたどったような巨大な土の固まりが現れる。
このL学園でもっとも大きな木よりも二回りは太い胴を持ち、それにふさわしいだけの全
長を備えるであろうその龍は、今は体の下半分は地面に埋めたままで柳川を、いや校庭全
体を見下ろしていた。
「ふふふふ・・・ふは、ふははははっっっ!!面白い、こうでなくてはなっっ!!!!」
目の前の巨大な龍を見て、柳川はえらく嬉しそうに笑う。
「さあこいっ!その龍の力、見せてもらおうかぁっ!!」
地面から出ているだけで自分の体の5倍はあろうかという相手に対してもひるむ様子すら
見せずに柳川が吠えた。
そんな柳川に何か言おうとしたTaSだが、諦めたかのように顔を落とす。
「ごー!」
そしてたいして大きくもない声で龍に指令を与えた。
唯一の、そして絶対の指令を。
今までまったく動きを見せなかった地龍が声と同時に疾風と化し、目標に向かいその顎門
を広げる。
不意をつかれたのか、目標はよける事すら出来ずその牙に捕らえられていた。
目標、ジン・ジャザムが。
「俺かいっっっっっ!!!!」


「な・・・・・・」
さすがに呆気に取られたのか、柳川は呆然としている。
いや、柳川だけではない。
葵も、ジンとDセリオの対決に集まった野次馬も呆気に取られている。
冷静な顔をしているのはTaSとDセリオの二人くらいなものだ。
「貴様、何のつもりだ・・・?」
やっとの思いで柳川が口を開く。
TaSは、何かをさげすむような、そんな笑みを浮かべた顔で口を開く。
「タマに、あるんデスよね。」
「・・・?」
「気づきマセンか?」
「何を・・・だ?」
「アノ、龍デス。」
その言葉につられるように地龍を見上げる柳川。
ジンを口にくわえたまま動きらしいものは見せない。
「誰か助けろぉぉぉぉぉぉぉっっっっっ!!!」
そんな声が聞こえないでもないが、気にするほどの問題ではない。
「だからあれが何だというのだ?」
「ええ・・・」
TaSの口調ははっきりとしない。
「はっきりと言えっ!」
「・・・おーゔぁーどらいぶ・・・暴走って言うんデスかね?」
「なっ!!」
そのTaSの言葉が新しい指令であるかのように。
次の瞬間、地龍は目覚めた。
その日Leaf学園に新たな災厄が訪れた事を、すべての生徒が理解した。



カチャカチャ・・・
陶器のふれあう小さな音が部屋に響く。
それを楽しむかのように並べていた男が、急にその手を止めた。
振り返ってから一言、「お待ちしておりましたよ。」と言葉を出す。
声をかけられた男はにっこりと笑ってからすぐ側までやってきた。
「外は大変だったみたいですね。」
「Yes,柳川サンにも困ったものデス。」
そんな会話と、それに続く苦笑からまさたとTaSのティータイムが始まった。


「・・・見つかりましたか?」
TaSの手元に紅茶の入ったカップを出しながらまさたが言う。
「ええ、葵サンも喜んでマシタよ。」
紅茶の香りを楽しむようにしてから話す。
しかしまさたはその言葉にゆっくりと首を振った。
「そうじゃありませんよ。貴方が起きた理由が、ですよ。」
「・・・何の事デス?」
白を切るTaSにまさたは幼子に物語を聞かせるかのように、或いは出来の悪い教え子に
言い聞かせるかのようにゆっくりと話した。
「TaS、という名前はこのLeaf学園の校史に何度か出ています。その何れもが大き
な争いのあった時期です。」
「・・・・・・」
「最近では5年ほど前・・・柳川先生や耕一先生がまだここの学生だった時です。柳川先
生とお知り合いというのは、その時からでしょう?」
「60年前の記録にも貴方の名前は出ています。『神の拳』ゲン・ナガセや『始まりの
鬼』柏木耕平と共に・・・。」
そこまで言ってからまさたは相手の反応を見るかのように言葉を止める。
TaSは軽く息をついてから、あくまでも軽い口調で答えた。
「ふう・・・一年生にしてこの図書館の管理を任されたのは伊達ではない、という事です
か。」
しかしそこにはついさっきまでの怪しい外人なまりはまるで残っていない。
「私はこのLeaf学園の事で知らない事はないと思っていました。ですが・・・貴方は
何者なのですか?私が知り得たのは貴方がこのL学園の生徒であるという事だけです。」
まさたが一番単純な、しかしもっとも大きな疑問を口にする。
TaSはゆっくりと自らの髪を引っ張る。
するとその大きなアフロはあっさりと取れる。かつら、なのだろう。
「貴方は肉体を持っていない。それは気づいてました。幽霊に近い存在なのでしょう。」
「おや、何故解ったんです?」
かつらを弄びながらTaSは何処か嬉しそうな声でまさたに尋ねた。
そんな目の前の男を多少恨みがましい目で見ながら答える。
「その紅茶には即効性の痺れ薬を入れてあります。もっとも気がついていたみたいですけ
どね。」
「いえいえ、実際に飲むまで気がつきませんでしたよ。調合も悪くない。ただ少し香が濁
りましたね。」
たいして嬉しくもなさそうなまさた。
それを見て満足したのか、にこやかな顔で続ける。
「幽霊、というのは当らずとも遠からずと言った所ですね。もっとも完全に物質化してい
ますからメリットは毒物が効かないってくらいですが。」
「貴方は・・・何者ですか?」
先ほどの問を繰り返す。
それに対し、TaSはかつらを持ったままゆっくりと立ち上がった
「ごちそう様、おいしかったですよ。」
「TaSさん!!」
まさたが声を荒げる。
その声にゆっくりと振り向いてからTaSは口を開いた。
「貴方がおっしゃった通りですよ。」
「え・・・?」
解らない顔のまさた。
TaSは少し顔を歪めるようにして、かつらを頭にから乗せてから言った。
「ワタシはこのLeaf学園の生徒デス。ソレダケが間違いのない事実デスよ。」
それだけ言った後、その体は溶けるように消えていった。


TaSが一年生としてL学園のクラスに編入したのはそれから三日後の事だった。





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長々と書いてしまった・・・。
まずは、ジン・ジャザムさん、まさたさん、ごめんなさい。
とりあえず、これが私の試立Leaf学園への入学願書です。
アフロです。しかも幽霊です。その上怪しい外人しゃべりをします。
むぅ・・・わけわからんわ。
話事体も内容ないし。
とにかく、皆さんよろしくお願いいたします。