Lメモ『これからは定冠詞を付けて「THE・アフロ」と呼んで頂きたい、嘘だけどな』 投稿者:TaS
「やあ、みんな! 俺の名はジン・ジャザム。燃える炎のクソゲーハンターにしてたった
一人で最凶ロボ軍団、しかしてその実態は〆切と言う名の悪夢に敢然と立ち向かう熱き勇
者王の物語だ。え? このネタ洒落になってませんか? だいじょうぶ、どうせ作者にし
てみりゃ他人事だし。」
「ジン先輩……どっち向いて喋ってるんです?」
「HAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHA!!!!!!!!」
 ジンはいつものようにただひたすらに喋っている。
 その横では東西が少し冷や汗などを垂らしながら油断無く周囲を見まわしていた──要
するに逃げようとしているのだ。
「ところでどうも最近俺が出る時はDセリオとワンセットになってるようだが、今日はそ
んな世間の風潮を覆すがべく違う相手だ。それは……っておいっ! 踊ってないでこっち
向けッ! お前だよ、このアフロッ! 柳川先生のライバルだとかって誰も覚えてないよ
うな設定たまぁに利用してやろうってんだから少しは大人しく俺に殺されろッ!!」
「HAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHA!!!!!!!!」
「くっ、この男はぁ……って、なんだッ!?」
 異様な気配を感じてジンが振り向く。
 その先に立つ一本の木。そこには……
「Dセリオ……なにやってるんだ?」
「──コアラの真似です」
 Dセリオが木にしがみついていた。
「……こあら?」
「──はい」
 その姿をなるべく目に入れないように努力しながら尋ねるジンに、木の皮をついばみな
がらDセリオは答える。
「……それってコアラか?」
「──あの……ジンさん……」
 妙な汗など流しながら尋ねるジンを無視して、Dセリオは言葉をつむぐ。
「──私……さ……」
 よく見ると、頬が少し赤くなっていたりもするかもしれない。
「ん? なんだ?」
「──さ……さ……」
「さ?」
 そこまで言って、Dセリオは決心を固めたかのようにいきなり顔をあげる。
「──さ……サウザウンドミサイルッッッッ!!!!」

 爆音

「やっぱりかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっっっっっっっっっ!!!!!!」


   本日の報告
     死者    0名
     重傷者   2名
     軽傷者 326名

 報告書から顔をあげた岩下信に、瑞穂はにこやかに笑いかけてから淹れたばかりの紅茶
のカップを机の上においた。
「今日は平和だったみたいですね」
「ああ、毎日こうだといいんだけどね」
 そう言って、岩下は報告書の束を横に置いてからカップに手を伸ばした。
 こんな平穏が少しでも長く続きますように。
 そんな祈りにも似た言葉が、ふと脳裏をかすめていた。
 
 
 以上、この話とはまったく関係ありません。
 ジンさん、すまん(爆)




「とゆー訳でだ諸君ッ!! ついに我々の決起の日が来たのだァッ!!」
「おーい……いくつか質問してもいいか?」
「ん……なんだね? 安心したまえ、私は”あの男”とは違って人の意見を受け入れるく
らいの度量は持っているぞ」
 部屋の中は薄暗かった。
 そのせいで目に映る映像からはシルエット以外の情報は得られなかったが、それでもそ
こに立っているのが男であるのはわかった。
 もっとも、声を聞けばすぐにもわかる事ではあるが。
 そんな事を、男は──Yinは一瞬だけ考えたが、すぐにそれを頭から消した。
 その代わりに、今、もっとも必要ないくつかの情報を得るための質問を舌に乗せる事に
する。
「まず……ここはどこだ? あんたは誰だ? ”あの男”ってのは? それから……」
 そこまで言って、一瞬口を閉ざす。
「それから……なんで俺は縛られてるんだ?」
「気にしないでください。特に最後のは」
「ちょっと待ててめえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっっっっっっっ!!!!!!」
 椅子にがっちがちに縛られたままにYinが吼えるが、これっぽっちも聞こうとせずに
目の前の男は何かを用意する。
 そしてそれを、Yinの頭に強引に押しつける。
 薄暗い中でも、それが何かフワフワとした繊維の塊である事がYinにはわかった。
「…っ! まさか……お前、アフロかッ!?」
 なにか、ひどく絶望的な物がYinの脳裏を占める。
 だが、目の前の男があっさりと首を横にふるのが、暗い中でも何故かわかった。
「アフロだと……あんな物と一緒にしないでもらいたいな。我々は……」
 瞬間、部屋の蛍光灯が急に光を放った。
 目の前の男の姿が、煌煌と照らし出される。
「我々はッ! ”ドレッド協会”の者だぁッ!!!」
 しばし、黙考。
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           (しばらくお待ちください)
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「……どれっど?」
 少し嫌な汗が頬を伝うのを感じながら、やっとの事でそれだけを口にする。
 確かに、目の前の男の頭は、棒状に編まれた幾つもの房が垂れ下がると言う、いわゆる
『ドレッドヘア』の形状をなしていた。
 ついでに言うなら、Yinもまったく同じヅラを被っている。
「えと……あの?」
「はい?」
 Yinには、目の前の男に見覚えがあった。
 その記憶が確かなら、この男はドレッドなどであるはずはないのだが……
「デコイさん……ですよねぇ? アフロ同盟の?」
「違うッ! 昨日までのアフロだった私はすでに死んだッ!! ここにいるのは……そ
う、デコイを超えたデコイっ、言わば”真・デコイ”だぁッ!!」
 デコイは……いや、本人の弁を借りるなら真・デコイは、硬く握った拳を天に掲げなが
ら涙など流しそうな顔つきで宙を見あげている。
「はぁ……それで、その真・デコイさんがなんで俺を縛ってるんです?」
「うむ、現状では”あの男”に対抗するには戦力不足である事が判明してな……ようする
に、スカウトだ」
「こっちの意思は無視かいっっっっっっ!!!」
「気にするな、私は気にしないぞ」
「毒されてるッッ!!! あんた絶対に毒されてるぞぉっっっ!!!」
「よおしっ! これでドレッド協会は本日より正式に発足だッ! 言うまでも無いがメン
バーは全2名ッ!!!」
「ああっ! なんだかとっても予想どおりぃぃぃっっっっっ!!!」


   画面暗転&場面変更
   出来ればBGMの変更もあるとありがたい


 それから30分ほどの時間が経過しただろうか。
 威風堂々たるドレッドヘアの二人の男は、廊下を全力疾走していた。
「勝てるんじゃなかったのかよぉっっ!!!」
「だってだってっ! いきなりあんな物が出てきたら勝てる訳ないでしょうがぁッ!!」
「HAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHA!!!!!!!!」
 なんだかとってもボロボロな二人を巨大なアフロが追いかけていた。
 アフロ、である。
 要するに、髪の毛”らしき物”が二人を追いかけていたのだ。
 ちなみに、前を走る二人の服が何故か少し溶けていたりするが、それがいかにしてそう
なった物であるか、説明するのはまたの機会に譲るとしよう。
 とにかく、二人は逃げているらしい。
 その時アフロの一部が伸びて、Yinの足を掴もうとする。
「ひやぁっっっっっ!!!」
「危ないッッ!!!」
 ぎりぎりでその手(?)をデコイが払い、目の前の扉に飛びこむ事ができた。
 鈍い音を立ててその扉が閉まる。
 その先は屋上。今閉じた鋼鉄の扉は、さすがにそう簡単には開きそうも無かった。
「ふぅ……危ないところでしたね」
「なんで俺がこんな事にぃぃぃぃ……」
「まあまあ、世の中ってのは不条理にできてる物ですよ」
「100%あんたのせいだろ−がぁっっっ!!! ……っておい、この扉……」
 閉めた扉に背を当てていたYinが、何かに気づいたかのようにそこから離れる。
 そこは……
「溶けてるぅぅぅぅっっっっっ!!!!?」
「に、逃げろぉぉぉぉぉっっっっっ!!!」
「逃げろってどこにぃぃぃっっっっ!!!」

 ゴトンッ

 先ほどよりも更に鈍い音を立てて、扉が倒れた。
 その先には一つの影が立っている。
「た……TaS……さん?」
 デコイが必死に声をつむぐ。
 だが、それを聞いているのかどうなのか、TaSはニタニタと笑ったまま「はろぅ」と
だけ答えた。
「あ、あのぉ……俺、帰ってもいい……よね?」
 雰囲気に耐えかねたのか、Yinが必死に顔を歪ませてそれだけを言う。
 だが、
「「駄目」」
 二人そろってあっさりと答えてくれる。
「だって俺は元々関係無いだろうがよぉぉぉぉっっっっっっっ!!!!」
「今更逃げるなんて……あの日二人で交わした友情は偽りだったと?」
「ソーソー、友情は大切デスよネェ」
「知らねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっっっっっっっっっっ!!!!!!」
 叫びながら必死で駆け出すYin。
「あ」
 残ったどちらが出した声なのかはわからないが、それが聞こえた頃にはYinの姿は消
えていた。
 フェンスを乗り越えて、飛び越えていったらしい。
 見下ろしてみると、さして怪我もない様子で気絶していた。
「……丈夫な人デスネェ」
「……ほんと」


「……とまぁ、こういった経緯で俺はアフロ同盟に入ったんですよ」
「…………」
 アフロ同盟の部室(どこにあるのかは誰も知らない)の中、Yinは瑠璃子を相手に話
をしていた。
 久しぶりに暖かい日溜りのに包まれながら、Yinはそう言って指を一本立てる。
 だけど目の前の瑠璃子は、少し納得がいかないように首をかしげた。
「でも……Yinちゃんはなんでアフロ同盟に入ったの?」
「だから……」
 根気よく説明しなおそうと、Yinが口を開きかけて止まる。
「よく考えたら……俺がアフロ同盟に入る理由はなんにも無いじゃねえかぁぁぁぁぁぁぁ
ぁぁぁぁぁぁぁっっっっっっっ!!!!!!」
「……今まで気がつかなかったんですか?」
「どじだね、Yinちゃん」
 どじとかどーとかって問題でも無いとは思うが、当のYinにそんな言葉が聞こえるは
ずも無く、ただ何やら叫んでいた。



                              とっぺんぱらりのぷう




  おまけ

「やあ、みんな! 俺の名前はシン・シャサム。今日は本っっ当に久しぶりにマルチをさ
らってみたぞ。理由は当然セリスと決着を……ぐほあっっ!!」
「ジ、ジンさんが二人ッ!?」
「てめえ、よくも人の名を騙ってくれたな……覚悟は出来てるんだろうなぁッッ!!」
「ふ……ようやく現れたな、オリジナルッ!!」
「ああっ! よく見ればこっちのジンさんはマフラーと手袋が黄色いッ!! 一体どっち
が本当のジンさんなんですか!!?」
「ふっ、生き残った方が本物だ……そうだろうッ!?」
「いいだろう、勝負だぁっ!!」

(しばし決闘シーン、省略(笑))

「ふう……さすがは俺のコピー、手強かったぜ」
「あ、あの、ジンさん……大丈夫ですか?」
「ああ、しかし俺ともあろう物が1ヶ月も閉じ込められているとは……その間、迷惑かけ
たな」
「いえ、全然気がつきませんでした」
「何故だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっっっっっっっ!!!!!!!」


 ジンさん、つくづくすまん(爆すぎ)




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 えっと……ごめんなさい(笑)
 しかし久々に書いたLメモがこれってのはさすがに問題あるかもしれん。
 みんな、怒らないでね(笑)