いつの頃からか、このLeaf学園には、 学園七不思議と言う物が存在していた。 …まっ、学園モノのお約束ですよね。 とにかくそれは、その七不思議のうちの一つにあたるお話…… 新参入L 『こういうキャラでもいいのかな?』 それを最初に目撃したのは、 藤田浩之、戦場拓壬の両名であった。 小テストで見事に成績の悪かった彼ら二人は、 揃って補習を長々と受けていた。 やがて長い長い補習も終わり、二人は帰ろうと、 荷物(鞄)を置いてきた教室、2−Bに戻ると、廊下を歩く。 「ったくよぉ、あの先公ふざけてんのか!?もう7時前だぜ!」誰かは秘密。 太陽はすでに沈み、 外はすっかり暗くなっている。 「はぁー、筋トレする時間無いなあ…」 補習のせいで日課の筋トレの時間を潰された戦場がぼやく。 やがて二人は長い廊下を歩き、 自分たちのクラス2−Bが見えるところまで来た。 そのときだった。 ……。 「?…藤田、待て」 戦場の言葉に、浩之は歩みを止める。 「何だよ戦場、とっととカバンとって帰ろ…」 浩之は突っかかったが、その口を戦場が塞いだ。 そして戦場は浩之に言った。 「……音が聞こえるぞ…ギターだ」 …じゃんじゃじゃじゃじゃん、じゃんじゃじゃじゃん… 言われてみれば浩之の耳にも、 確かに小さくはあるがギターの音が聞こえた。 だが浩之は別に気にもとめない。 「どっかの部活で演奏でもしてるんじゃねーの?」 戦場は首を軽く横に二回振ると、 「この学校に軽音部なんて、無いよ」 そう浩之に言った。 「いいじゃん、誰が弾いててもよ。俺らは帰る、それだけだ」 浩之は早く帰りたがっているようだ。 「……藤田、お前俺より全然前からこの学園居たくせに、知らないのか?」 「何を」 戦場は小声で語る。今だギターの音色は廊下に響いている。 「七不思議だよ、七不思議。その中の一つにな、一番新しく出来た奴らしいんだけど、 夜になると誰も居ない教室でギターの音が聞こえる、ってのがあるんだよ」 七不思議ってやつもどうやら随時更新されるらしい。 「…お前それ誰に聞いた?」 浩之は目を細めて戦場に言った。 「え?長岡さんだけど」 浩之ははぁ、と溜息をつくと、 「あほらし」 と吐き捨ててずいずいと教室へ歩いて行った。 「あ、まてよ藤田」 仕方ないので戦場もついて行った。 2−Bの教室前。 二人はドアを開けず、ただ立っている。呆然と。 「…なあ」 立ちすくんだ浩之が戦場に話しかけた。 「何だ藤田」 戦場は質問の内容は大方予測はついてはいたが、一応聞いてみた。 「なんで…この教室から例のギターの音が聞こえてくるんだ?」 戦場にも、判るわけが無かった。しかし、 「さあ…ね。でも関係無いんだろ?あほらしいんだろ?」 戦場はそう言うと藤田の背中を軽く押し、意地悪くにやぁ、と笑った。 浩之はしまった、といった顔つきになってから、 「ええい分かりましたよ!開けますよ俺が!」 なんだかヤケクソ気味にドアを勢い良く開けた。 びょい〜ん♪ 教室では、一人の男がギターを弾いていた。 浩之はほっと胸を撫で下ろし、戦場のほうを向いた。 戦場もすでに教室内に入っていた。 男は浩之達の存在に気付いたのか、ギターを弾く手を止めると、 二人のほうを向いた。 そして、 「よう、どうしたんだい?こんな時間に」 またずいぶんと気さくに話しかけた。 「ああ、いや補習でな、ちょっと遅くなったんだ」 意表を突かれちょっと驚きながらも戦場は普通に話した。 しかし浩之は、 「……誰だ、お前?」 遠慮も何も無い。 「俺か?俺は闘魂秋吉。この学校に居た奴だ」 その男…闘魂秋吉も気兼ね無く答える。 「居た…奴?じゃあOBか?そんな年には見えないけどなぁ」 浩之の言う通りなのだ。 背は150cm程度、顔つきもまだ多少幼げだ。 これではとてもOBには見えず、むしろ中退者といった感じである。 「いやいや、ちょいと訳があってさ、来たくても来れなかったのさ」 闘魂は続けた。 「ん?どうしてだ?」 藤田が聞こうとするが、戦場がそれを止めようとする。 「藤田、ちょっと失礼じゃないか?人にはそれぞれ言えない事情ってのがあるんだ」 「…いや、いいんだよ。聞いてくれるかい?」 「はあ、まあ聞いたからには…」 浩之はそう答えざるを得なかった。 戦場もそこらの床に座り、闘魂の話を聞いた。 「俺はな…1年前にこの学校の二年に編入してきた。 だがよ、入ってからまだちょっとしか経ってない内に交通事故に巻き込まれてよ、 そのまま死んじまったんだよ。いわば俺は幽霊なんだなぁ、これが」 一寸の沈黙。 その後。 「まっさかぁー?」 浩之は信じようとせず、闘魂の頭を軽く叩こうとする。 するっ。 しかしその手は、闘魂の身体をすり抜け、空を切った。 浩之は何にも触れなかった自分の手を見て、信じられない、といった顔つきになった。 戦場も、心境は浩之と同じだった。 「な?分かっただろ?本当だって」 「…ああ…」 浩之は呆然としながら、それだけを短く答えた。 「じゃ話を続けるか。でな、ちょっと前まではよ、あっちにいたんだわ、俺」 そう言って闘魂は上を指差す。『あの世』ということだろう。 「でもなぁ最近、ここを上から見てると、何か賑やかになって楽しそうじゃんか。 じゃあやっぱりここは俺も戻るべきかなぁ〜って、そう思ったんだよ。」 「はぁ…」 浩之と戦場は、ただ黙って聞いているしかなかった。 「ちなみにギターとか弾けるのは、俺からなら物を触れられる、ってことね。 まあ他人は俺には触れられないんだが。なんせ幽霊だしなぁ。まあ例外もあるけどよ。 よーするに特別な幽霊なんだよなぁ、俺ってば。ハハハハハ」 「例外って?」 興味深そうに戦場が聞いた。 「おぅ、じゃあ触ってみなよ…ふん!」 そう言うと闘魂はちょっと気合を込めた。 戦場は恐る恐る近付き、闘魂に触ろうとした。 浩之のときは見事にすり抜けてしまったのだが…… ぴたっ。 「おお…触れた」 戦場は闘魂の身体に触れ、ぽそりと呟いた。 「つめてぇなぁ」 そりゃあそうだ。死んでいるんだから。 それを聞いた浩之が、 「え?マジ!?俺にも触らせろ」 触ろうと突っ込んでくる。 「ぶはぁー」 その瞬間、闘魂の息が切れた。 そして勢い良く触ろうとした浩之の手は空振りし、 勢いがとまらず自分の頬を叩く事となった。 べちーん! 「…いってぇー」 「ははははは」 浩之を笑ってから、闘魂は話した。 「な?分かったろ?俺が気合を入れればそっちからでも触れられるんだ。 まあ疲れて息が切れたら元に戻っちまうけどよ」 「…へぇー」 戦場が感心しているとき、先程のダメージから立ち直った浩之が 凄い剣幕で襲いかかってきた。 「てめぇ!わざとやってるんじゃねえだろうなぁ!」 「んなわけあるか!これは疲れるんだぞ!」 同様の剣幕で闘魂も怒るが、迫力はあまり無い。 「まあまあ」 戦場がフォローに入った。 闘魂は落ち着くと、「ふぅ…そうだな。 じゃあ1曲聞いてくかい?3人の友情の歌を」 友情はいつできたかは知らんが、二人はOKした。 そして、歌が始まる。彼の歌は… 「おおおぉぉぉ〜♪友情って素晴らしいなぁ〜♪ そうこの夜〜♪3人の出会いにかんぱぁ〜い♪いぇ〜い♪」 凄い音痴だった。ジャ○ア○以上の。 「ぐわあああああ!!」 「み、耳がああああ!」 どさり。 彼らは警備保障の巡回班(バイト)に発見されるまで気絶していた。 だがその時、既に闘魂の姿は無かった。 「…結局なんだったんだ、あいつ」 帰り道、浩之は誰に言うでもなく呟く。 「…学園生活の雰囲気…ってのを味わってみたかった、幽霊だろ?」 戦場も誰に言うでもなく呟く。 「あいつ…成仏したかな…?」 辺りには電気の切れかけた電灯が2つ3つ、ちかちかと光っているのみである。 翌日。 「幽霊って復学できますかね…?」 「…闘魂君、確か去年来てたのよね。」 「あ、はい。3日で死にましたけど…」 「ん〜、じゃ留年扱いでもう1回2年生をやるんだったらいいわよ?」 「本当ですかっ!?ありがとうございます(何でもアリだなこの学校)」 「ところで…私の手料理、食べる?」 「…幽霊ですんで…食べれないっす」 「う〜ん、残念」 始業ベルが鳴り、担任が入ってくる。 「きりーつ、礼」 「えーっと…今日は復学生というか…留年生というか…まあ転入生みたいなものだな。 まあいいや、とにかく入ってくれ」 そう担任が言うと、一人の男がドアを開け、教室へ入ってくる。 その男の名は…… 「おーっす皆さん始めまして!俺は闘魂秋吉! 年中背中にギター背負ってるけど、あまり気にしないでくれ! いちおう一つ上だけど、頭の程度は一緒だし、タメ口でいいぜ? それじゃまあ、これからヨロシク!」 転入生…闘魂はマシンガンのように一通り喋ると浩之と戦場の方を向き、にやりと笑った。 一瞬間を置いて、 「「何でじゃあああああああ!!!」」 浩之と戦場の悲鳴にも近い叫びが、朝の校舎を震わせた。 「うるさいぞ藤田!戦場!お前ら廊下に立ってろ!」 廊下。 「何でだ何でだ何でだ…」 そこにはうわ言の様に呟く戦場と、 「…………」 すでに放心した浩之が立っていた。 闘魂秋吉(幽霊)、2−Bに………復学。 ========================================= どーも、新参入の闘魂秋吉と申す者で申す(意味不明)。 こんなキャラになっちゃったけど、いいのかなぁ… もう普通の設定じゃ使ってもらえないしなぁ…いいかな? とにもかくにも、これから宜しくお願いします。 戦場拓壬様、いろいろとアドバイス&協力有難う御座いました! 皆々様この間抜けな幽霊野郎をどうか使ってやってくださいませ。 ではでは〜♪