Lメモ 「集力一志」 投稿者:東西
「さぁ! 今日こそ決着付けてやるぜ! Dセリオ!」
 今日も今日とて元気な声が響く。

 しかし、声を掛けられたDセリオはきょろきょろしていまいち集中しない。

「こっち向けぇぇぇぇぇ!!!!!!!!
 お前の相手はオレだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」

 全身重装甲の男、Leaf学園の名物男=ジン・ジャザムが吠える。


     Lメモ 「集力一志」



「あ、Dセリオさん気になさらないで、ジン先輩にかまってあげて下さい」

 ビデオカメラを構えながら、ゆきが言う。

「オレはかまってもらえなくてむくれてるガキじゃねぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!
 第一お前ら何のつもりだ!! 何でDセリオばかり映してオレを映さん!!」

 それでむくれてるんでしょうか? 地団駄踏みながら吠えなくても……

「はいはい、ジンさんは僕が映しますから」

 東西が、同じくカメラを構え宥める。

「ええい! それはいい! 何でお前らはビデオを回している!!!???」

 きっちりカメラ目線で指を指す。

『ジンさんの勇姿を残すためです』

 何処か事務的に、ゆきと東西が応える。

「てめえらぁぁぁぁぁ!!! なんかむかつくんだよぉぉぉぉぉ!!!!!!」

 ジン暴走………



 数分後……

「――私も暇ではないので帰って良いでしょうか?」

 ぼろぼろになった、ゆきと東西を目の前にして、Dセリオが淡々と尋ねる。

「よくない!! 勝負だ!!!」

 ジンが右に走る。

 それに応じ、Dセリオは左側へと走り距離をとる。

「喰らえ! 十段階改造バスターライフル!!」

 バシュゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!!!!

 閃光が轟音を立て、Dセリオに迫る。

「――当たらなければ……どんな威力も意味がありませんね……」

 姿勢を低くし閃光をやり過ごした後、ジンに接近する。

「こいやぁぁぁ!!!!」

 バスターライフルを投げ捨て、ジンが鋼の拳を構える……



 その様子をいくつかの視線が眺めている。(ギャラリーもいるがこの際無視させていただく)

『あ〜あ、いきなり、あんな高威力の物かましちゃった……』

『あれが、ジンさんですから……』

『暢気に話してないで、現場担当、それぞれの受け持ちを絶対にフレームから逃さないように』

 現場担当……

 そう呼ばれた二人、ゆきと、東西……
 先程の満身創痍状態から脱出した二人はジンとDセリオにそれぞれレンズを向けながら、
屋上で同じくカメラを構えている人影に多少憎々しげな視線を送る。

『ほらほら、僕を見てる暇があるなら、撮影して下さい』

 屋上の人影、来栖川 空が、二人にインカムを通した声を送る。

『くじですよ……くじ』

 空は、自分の幸運を天に感謝しながら、ジンとDセリオの動きをカメラで眺めていた。



「そう、くじですね……」

 屋内であるにも関わらず、黒い帽子を被った青年……T−star−reverseが、
同じく、カメラを構えながら……しかし、こちらは、直接科学部のコンピュータに直結されている物を、
ジンとDセリオに向けている。

「ぼくは、適材適所だと思います……ぼくに限ってですけど」

 くすくすと笑いながら、ディスプレイから目を離さない作業用ゴーグルを頭に着けた少年―ひめろくは、
ティーのカメラから送られてくる画像情報に処理を施していく。

「君はね……」

 ティーが苦笑をひめろくに送る。

  ドゴォォォォォォォォン!!!!!

「さて……」

 ティーがカメラのスイッチを切る。

「もう終わりですか? 十四分、こんなもんですか……」

 ひめろくが今までとは違うウインドウを開き、作業に取りかかる。

「ま、後数回サンプリングしましょう……」

 窓の外、巨大なクレーターが出来上がった校庭……其処に転がる幾つかの人影を眺め、
カメラが損傷なさそうであることを確認し満足そうに頷く。

「ゆきさんと、東西さん身体持つでしょうか?」

「エルクゥと、半不死人……この面だけを見るなら適材適所ですよ」

 ディスプレイと窓の外の風景……違う物を眺める二人、その表情はまったく同じであった。





 ドカッ!

「ちっくしょう!!!!!」

 ジンが部室で荒れている……

「センセよぉ、何でオレはDセリオに常勝できないんだ!!!!!!!」

 気持ちは分かるけど……壁を殴らない方が良いと思う……

「詰めが甘いんだろう……」

 ページを捲る音がする。

 音を立てた主は白衣を纏った男、柳川祐也。

 壁にもたれ掛かり、本から視線を外さずに、ジンの問いかけに興味なさげにそう応える。

「えらく抽象的だな……」

「しょうがなかろう、所詮勝負などという物は、本人以外に勝敗に繋がる原因はわからんものだ」

 そう言ってまたページを捲る。

「…………ところで、何読んでるんだ?」

「哲学書だ……読むか?」

「………寝る前に貸してくれ………それともう一つ……」

「なんだ?」

 はじめて、柳川が視線を本から外す。

「何で壁にもたれ掛かって哲学書なんて読んでるんだ?」

 ぱたん、柳川が本を閉じ、視線を部屋の一角に向ける。

 そこには、科学部男子勢が珍しく集合して、柳川と、ジンに見向きもせずに何か作業をしている。

「なにやってるんだ? あいつら……」

「しらん、私も聞いてないからな……」




 ―翌日

「勝負だぁぁぁぁぁ!!!!!!」

「――懲りませんね………」




 ―その翌日

「往生せいやぁぁぁぁぁ!!!!!!」

「――任侠映画でも見ましたか?」




 ―またその翌日

「先に抜けいぃぃぃぃぃぃ!!!!!」

「――西部物ですか………」





 ―科学部部室

「……………まぁ、こう言うときもあるだろう……気を落とすな」

 流石にヤバ目の雰囲気を醸し出したジンの暗い背中に柳川が声を掛ける。

「でもよぉ、でもよぉ……連敗だぜ?
こんなに勝てないのはよぉ……初めてだからよぉ……………
 ふふふ、
 ジン・ジャザムか、俺?
 本当にジン・ジャザムか、俺?
 本当にジン・ジャザムかよ、俺ぇぇぇぇぇ!!!????」

 壁に頭をぶつけ出す。

「落ち着け! ジン!!!」

 慌てて柳川がジンを羽交い締めにする。

「こんな情けない俺が俺であるはずがない!!!!
 死なせてくれ! センセーーーーーー!!!!!!」

「お前達も止めろ! オイ! 聞いてるのか!?」

 最近、コンピュータの前に陣取っている男子勢に助けを求める。

 反応は………

「よし! これでデータをインプットすれば終了!!!」

 ひめろくが、ウェストポーチ型の装置を前に作業の終了を告げる声。

 そして、歓声……

 呆気にとられる柳川とジン……

「では、ディスクを……」

「はい」

 健やかがCDをひめろくに手渡す。

「あ、有り難う御座います」

 ひめろくが小型の装置の挿入口にそのディスクを入れる。

 再び歓声。

「…………おい」

 柳川は、ジンが不穏な行動を起こしそうにないことを確認してから解放し、
男子勢に声を掛ける。

「完成しました! 柳川先生!!!」

 ゆきが感極まったように柳川に飛びつく。

「まぁ、それは大体察しが付くが………何を作ったんだ?」

 柳川が片手でゆきをはたき落とす。

「対Dセリオさん専用戦略システムです」

 ティーがジンを見据えながら告げる。

「Dセリオ……の、戦略プログラム?」

「この数日の戦闘を元にした物です、多少データ不足もありますが、
突発的戦略以外なら予測可能なはずです。
 また、Dセリオさんの回避パターンも予測できるようになってます」

 空がジンの腰に、装置を取り付ける。

「そして、これがジンさんの瞳に直接画像を投影します。
 スタートを、声で命じてくれれば以降は勝手に分析、出力してくれます」

 東西が、インカムのように突出した小さな投影機付きのヘッドセットをジンにかぶせる。

「お、お前ら………」

「情報収集のときに勝ってもらえなかったのは残念ですが、頑張って下さい!」

 復活したゆきが、激励を飛ばす。

「試運転、やってみましょうか………って、ジンさん!」

 装着を終えたジンは、駆け出していった。

「まだ、実験を行ってません!」

「行かせてやれ……例え装置が正常に作動しなくても勝ってくるさ……今日のあいつはな」

 後を追おうとしていたひめろくを、柳川の笑みが止めた。



「――ジンさん、まだ懲りないんですか? このところ連敗続きですよ……」

「ぬかせ! 今日のオレは負けん! 負けるわけがないんだ!!」

 今日のジンは、自信に満ちあふれている……

 そこから溢れ出して来るであろう闘気は昨日までの彼とはまるで別人のようである。

(――昨日までと一緒にしていては痛い目を見る……)

「いっくぜぇぇぇぇぇ!!!!!!!」

 ジンが動く。
 Dセリオが迎え撃つ。
 ジンが拳を突き出す。
 Dセリオが、掌で受け止め、右の蹴りを放つ。
 ジンが、横腹で、腕を使って絡めるように蹴りを受ける。

「楽しいじゃねぇか………やっぱこうじゃなくっちゃよぉ!!!!!」

 ジンが、握られている拳を振りきり、Dセリオの足を抱え振り回し放る。
 鮮やかにとんぼを切り着地を決めるDセリオ。



「すごい……情報収集の時とは全然違う……」

「でも、まだ、使ってくれてませんね……」

「やっぱり、ジン先輩の性にあわなかったんでしょうか?」

 沈黙………

「使うさ……」

 柳川に皆の視線が集まる。

「皆の苦労を無駄にするほどあいつは野暮じゃない」

 壁にもたれ掛かり、本を読む姿勢のまま柳川が断定する。



「――昨日までとは本当に違いますね……」

 見ようによってはDセリオの顔に笑みが浮かんでいるようにも見える。

「へっへっへ、こっからだぜ、驚くのはよ………」

 不敵に笑うジン。

「見せてやるぜ! システムスタート!!」

 腰の装置が低くうなり出す。

「いっくぜぇぇ!!!!! 断・空・剣!!!!」

 ジンが何処からともなく出した剣を構え突進する。
 Dセリオはそれを右に跳ねてかわそうとするが………

「見える!! そこぉ!!!」

 ジンが左のロケットパンチを飛ばす。

「――ソウルフィスト!」

 かわせないと判断したDセリオは、ロケットパンチを迎撃、弾き返す。

「流石に良い反応だ! だが!」

 突進の勢いを殺さぬまま、弾かれたロケットパンチを回収し、
まだ空中にいるDセリオに襲いかかる。

 Dセリオが腰のサイファーに手をかける。

「うおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!」
「――やあぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

 お互い譲らぬ空中での十数合に及ぶ攻防………

 ザン!

 お互い同時に着地を決め……互いから視線を外さぬように距離をとる。

「やっぱ、早い動きだと見てる暇はねぇか………」

 苦笑しながらぼそりと呟く。

「だが、これで勝たなきゃ男が廃るんだよ!!!! ブレストファイアー!!!!!」

 ジンの胸から赤光がほとばしる。

「――サウザンドミサイル!」

 Dセリオが前方に弾幕を張る。

 辺りを閃光と爆音、そして、爆風が支配する………



「――はぁ、はぁ、はぁ……」

「ぜぇぜぇ………」

 あれから、いくつもの攻防を繰り返してはいたが、
遠距離攻撃を予測、回避されるDセリオは苦手な接近戦を余儀なくされ、
徐々に追い込まれていた。

「は、ははは………上上下下左右左右BAって、感じだな……」

 余裕のつもりだろう、ジンがそう呟いた数瞬後………

  ゴウン………

 轟音を立ててジンが倒れ込む……

 遅れて、ジンを中心に真っ赤に大地が染まっていく……

「はぁはっはっは、お前ならそう言うことを言ってくれると思ったぞ! ジン!」

 突如響く、笑い声……

 声の主は屋上のようだ……其処には人影が二つ、声を発したのは目つきの悪い青年……

 彼の生活を知っている人がいれば、自殺と見間違うかもしれない………

「黙れ!!!」

 泣きながら言いますか………

「どうだ? オレからのプレゼントは喜んでもらえたかな?」

「るーちゃん、あのディスクの中身は何だったの?」

 Runeの隣に立つ青年、健やかが尋ねる。

「あれはな、科学部の連中が作ったディスクにちょっとした仕掛けをしておいたんだ……」

「仕掛け?」

「そう」

 Runeがにやりと笑う。



 ―科学部部室

「な、な………」

「また、暗躍ですか……」

「ああ……僕の作品に何を………」

「彼等は天災です………諦めましょう………」

 話題に上っている科学部男子一同は涙を流しながら隅に寄っている………



「て、テメェ………この千鶴さんの着替えシーン一体どうした!!!!???」

 ジンが投影機を握りつぶしながら叫ぶ。

 ジンの言葉にDセリオが真っ赤になって硬直する。



 ―とある場所……

  ぴし……

 茶飲みが小さく音を立てる……

 まぁ、置いておいて……



「ふ、特殊な入手経路としかいえんな!」

 Runeが、せせら笑う。

「るーちゃん、どうしたの? 第二購買部? よくそんなお金あったね? 身体売ったの?」

「売るか!!!」

 Runeの拳が飛ぶが、健やかは難なくそれをかわす。

「出所は、もちろんデコイ、穴場を教える変わりという取引だ」

 それを聞き健やかが少し退く……

「な、なんだ?」

「るーちゃん……覗きの趣味もあったんだ………」

「違う!! オレは!!!」

「大丈夫だよ、それでも僕は君の友達だからね………」

 雅史EDのような台詞を吐く……

「うがぁぁぁっぁあ!!!!!」

 Runeは頭に手を置き激しく振る。



「ふ………ふふふ………千鶴さんを汚した罪だ! 消し飛べぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!!」

 ジンが、屋上の二人に向かって、ブレストファイアーを放つ。

 ドッガァァァァァァン!!!!!

『うっきゃぁぁぁぁぁ!?』

 当然ながら、校舎の一角を破壊し、意識がとびかけていたDセリオの覚醒を促す。

「――ジンさん、校舎の破壊行為は許しません!」

「うるせい! 奴らを………破壊する!!!」

 なし崩し的に激烈バトル展開………



「よし、作戦終了、これより撤収する……」

「………ほっておいてもよかったんじゃ………名乗りでなくても……」

「馬鹿を言うな! こう言うことは自己主張が大事なんだよ!」

 瓦礫から抜け出し、そのまま逃走する影二つ………

「――ジンさん、往生しなさい!」

「テメエも見てンのか!? 任侠映画!!!」

 轟く爆音………

『はぁ………』

 静かに聞こえる幾つかの溜息……

 今日もLeaf学園は平和だ……………




 後日談:柳川祐也

「あ、柳川先生」

「beakerか、どうだ? 売れ行きは?」

「ええ、上々ですよ、柳川先生編集のジンさんとDセリオさんのバトルビデオ!
 スーパーロボットファン垂涎物で、いつも途中で気絶して最後まで見れないファンとかに売れてます」

「そうか………謝礼金、忘れるなよ?」

「もちろんです」

「さて、これでまた研究費用に回せるな………」


後日談:ジン・ジャザム
    Rune
    デコイ

 …………………………………

 吊し上げ………

 犯人? 何処かで聞いていた恐い方………




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 東西:今回酷い目にあった方々!
    本気で申し訳ありません!!!!(汗)
『命』:謝るくらいなら………(汗)
 東西:一度科学部がまとまって何かをするというのを書いてみたかったんです!
    (女子群は別にもう一つ考えてるから今回は除外と言うことで……)
『命』:それでも他にも………
 東西:…………(涙)
『命』:ああ、わかりました、もう言いませんから……(汗)
 東西:今回初めて戦闘シーン書きました。
『命』:ジンさん一方的ですね……
 東西:(涙)
『命』:いい大人が泣かないで下さい(汗)
 東西:今回色々と試してみたかったわけです……
    面白かったと言ってもらえれば身に余る光栄……
『命』:言ってもらえようが、貰えまいががんばりなさいな………
 東西:いわれんでも………
東西&『命』:では、みなさん、また〜

                         99/05/15