今日も天気がいい…… 今日も学生が、登校していくのが見て取れる。 早速暴れている者もいる。 友達と、恋人と語らいながら来る者もいる。 さて……今日は、何が起こるか…… Lメモ 「老樹先見・前編」 「おい、東西」 「ン〜?」 東西は、読んでいる本から目を離さずに返事をする。 「眠ってる『命』ちゃんはともかく、男に枕にされても気持ちよくないんだが………」 「気にするな……僕は気持ち良い………」 「あのなぁ………」 大きな木の下、東西と、JJ、『命』が居る。 JJは、東西と『命』に枕にされている。 『お前達……そろそろ授業が始まるのではないか?』 東西達の頭の上から声が響く、 「おお、ご老体の言うとおりだ!そろそろ行かないと」 「ン〜……『命』も寝てるし……さぼる。」 東西は、JJの目から逃れるように、身体を捻る。 「ご老体〜〜なんとか言ってやってくれよぉ〜〜」 『ふぉっふぉっふぉ、それもまた良し』 JJは、情けない声で、大木に援護を求めるが、老人独特の暢気さでかわされる。 先ほどから「ご老体」と呼ばれているのはこの大木、節くれ立ったとても大きな、歳経た木…… 東西の術により、しばしの間だけ言葉を操れるようになっている。 本人曰く、学園設立当時、大きな何かが欲しいと言うことで、自分に白羽の矢がたった、のだという。 以来、この「ご老体」は、毎日学生達の一喜一憂を見てきたらしい。 「はぁ〜〜〜〜」 「身体を揺すらないでくれる?頭の位置がずれるから………」 「起きて読め!」 『ン〜〜〜〜』 『命』がJJの身体の上で五月蠅そうに寝返りをうつと、JJは、大人しくなる。 「はぁ〜〜〜〜、留年しても知らないからな………」 「何とかなるでしょ?」 東西は、本のページを捲りながら、JJの最後の抵抗をかわす。 校長室…… 「やはり危険ですか?」 「はい」 この学園の校長、柏木千鶴、彼女は窓の外を見ながら、話を聞いている。 「ご苦労様でした……」 千鶴のその言葉を聞くと、報告をしていたらしい人間は礼をして校長室を後にしていった。 ふうっ 気丈に振る舞う人の溜息を聞きながら……… 「東西さん、またさぼったでしょう?」 「ははは」 オカルト研究会部室、東西は、クラスメイトである神凪 遼刃から本日最後の授業を休んだことを追求されていた。 「また休んだんですか?」 これは、同じく、一年の、神無月りーず、 口を出したのは、りーずだけだが、既に東西のサボり癖を公然の事実となっている。 「休んだなんて………ただ、「ご老体」と、話をしていただけですよ」 「またですか?」 既に皆呆れ口調である。 オカルト研究会のメンバーの大半は、あの「ご老体」と面識がある。 来栖川芹香に連れられて息抜き、御茶の時間などと称して遊びに出る、 「ご老体」には、よく古い話を聞きに行く、時に昔の話を聞くことは魔術に関係ないが為になることが多い。 「まったく……あの「ご老体」も甘いんですから………」 クラブ中、一番歳が上な、T−star−reverseが呟く。 「今度ティーさんを連れてこいとも言われました」 東西が、にこにこしながら、伝言を告げる。 ティーは、やれやれ、と言いながらも喜んでいるようだ。 なんだかんだ言いながら、ティーが一番、「ご老体」に気に入られている。 時には説教臭くなる、「ご老体」の話を上手にいなせるのは彼ぐらいである。 『すいません………私がついていながら…………』 「『命』ちゃんのせいではありませんよ……悪いのはこの人なんですから」 「ははは」 『命』の言葉に、りーずが東西を責めるが、本人は、「馬の耳に念仏」である。 「でも………「ご老体」、切られるとか言う噂を聞きましたが?」 「え?」 トリプルGの、いきなりな言葉に皆息を飲むが、ティーだけが、ギクリとしたような感じである。 「いえ、あくまでも噂です!噂!」 トリプルGが、噂という部分を強調する。 …………噂? その言葉を聞くと皆一様に一人の人間を思い浮かべるが……今その人物は近くにいない。 よって、一番接点を持っている人間に自然と詰め寄る感じになる。 「ティーさん?」 ティーは、窓から遠くを眺めている、その視線の先には、「ご老体」の頭が覗いている。 「…………あくまでも、「志保ちゃんニュース」ですよ?」 そう前置きすると、話を始めた。 今、ご老体に関する噂は幾つかあるが、そのどの噂も「伐採する」と言う一面で集約される。 曰く、空洞が大きくなってきた、 曰く、虫による浸食が大きくなりすぎた、 等、目に見えるようで、見えにくい原因ばかりであった。 「専門家でもないと、わからないことだらけな噂ですよ」 ティーが、肩を竦めて話をしめる。 「原因がそう言うモノばかりということは………」 「もちろん、ガセネタという線も濃いですね」 皆、それを聞き息をつく。 「ま、本当に切るというのなら、学園側から何かお達しがありますよ」 その言葉を最後に、話題をうち切った。 クラブ活動が終わり、皆学園を後にする。 しかし、「ご老体」の方へと向かう影が一つだけあった。 「なにも、本人に聞いて見りゃいいことだよな?」 『まぁ、その通りですが………』 東西と、『命』である。 結局、あの話が気になり、本人に何処か悪いところがあるのかどうか聞きに行くつもりの様だ。 「?」 東西が、「ご老体」の近くまで来たとき、「ご老体」に触れる一つの影を見つける。 『あれは………千鶴校長?』 柏木千鶴、この学園の最高権力者の一人、その彼女が「ご老体」に額を押しつけて何事かを呟いている。 「校長………どうしたんですか?」 東西が声をかけると、初めて、東西に気付いたのか驚いたように、声の方を向く。 「え〜と………確か、東西君だったわね?私はちょっと立ち寄っただけだけど………あなたはどうしたの?」 先程の様子は、ただ立ち寄っただけのようには見えなかったが、 あえて言及せずに東西は噂について、そして、今回の自分の目的を告げる。 「……………」 「噂の真偽を本人から聞こうと思いましてね」 そう言いながら、「ご老体」に、東西は近付いていく。 「ご本人?」 千鶴が訝しげに尋ねる、 「はい、ご本人に」 東西が、老木に、触れる。 老木が鈍い光を一瞬纏い……… 『成る程………そんな噂が流れておるか』 言葉を発した。 千鶴は惚けている。 「そ、で、どうなの?どっか悪いの?」 『…………』 「ご老体」が沈黙する………… 「……ホントに何処か悪いの?」 「東西君………この木は………」 千鶴が、呆気にとられた状態から抜け出し、東西に何事かを語ろうとするが……… 『千鶴嬢、儂から話すよ、本人からきかんとこの坊も納得せんじゃろうしの………』 千鶴が押し黙る。 『その噂は本当の事じゃ、根の方が大分傷んできたからのう、このまま放っておくと、周りの木々も危険になる』 「な!?」 話の内容もさることながら、自分の「死」を他人事のように話す「ご老体」に、東西は驚いた。 『残念ながら手はない、傷みが激しくての、千鶴嬢も、色々と手を回していてはくれたんじゃが………』 千鶴が、俯く。 「でも、何とかならないの!?ここにはいろんな人もいるのに!!」 東西がなおも食い下がる。 『まぁ、柳川先生あたりに頼めば………補強というか、改造でなんとかはなるじゃろうが………… そんなことは儂の本意ではないし………』 「ご老体」が、そこで一拍おく。 『何よりも、もう十分に生きた………これ以上は周りの邪魔になる』 「そんなことはありません!!」 叫んだのは東西ではなく、千鶴…… 「あなたには、まだ沢山の物を見て貰いたい!もう少しだけ私に付き合って貰いたい………」 千鶴の言葉に嗚咽じみた物が混じる。 東西は何も言えなかった、と言うより目の前のことが信じられなかった。 校長という役職に就き、それを見事に成し遂げながら、明るく、皆に慕われる女性が今目の前で泣いている。 『もう大丈夫じゃろう………最初は確かに慣れぬ事で危なっかしいようにも見えたが、 今は、十分に生徒に好かれ、仕事をこなしておる……… これからは、儂ではなく、信頼できる人間に弱さを見せる方が良い……』 千鶴が再び黙り込む……… 『儂では、愚痴を聞くことしかできん、これからは、協力できる人間の方が良かろう。さっさと、婿でも取ってな』 そういうと、「ご老体」は、大きく笑う。 その言葉に、千鶴も真っ赤になるが、涙を流しながらもくすくすと笑い出す。 東西と『命』だけが蚊帳の外………… 『さて………明々後日じゃったな?』 「ええ、明々後日のお昼からあなたの伐採を開始します」 双方とも、既に何の躊躇もなかった、毅然とした態度で勧告し、その勧告を受ける。 「「ご老体」!」 『東西!』 なおも言い募ろうとする東西を、『命』が珍しく声を荒げて制止する。 『「ご老体」は、もう良いと言っているのです。』 「……………」 『命』の、先の荒げた声とは違う、優しくも、抵抗を許さない声…… 『まぁ………若い者にはわからんじゃろうのう………』 「…………わかりません………おやすみ」 東西がきびすを返す……… 『なぁ、坊………』 「ご老体」が、東西を呼び止める。 『多分、千鶴嬢は、明日の朝……儂の伐採の話を連絡すると思う。 そして………もし、ここに来てくれる人間が居るのなら………話をさせてくれんか?』 「………それだけで良いんですか?」 『伐られるまで暇じゃから………話し相手になってくれると嬉しいのう』 「わかりました」 東西は、再び歩を進めていった。 去る間際に、『命』だけが礼をしていった。 ・翌日 案の定、朝の連絡事項として、老木の伐採のことが皆に伝えられた。 反応は人それぞれだったが、幾人かは、哀しそうな顔になっているのを東西は確認した。 (………結構いるんだ、忙しいかもな………) 『がんばりましょうね?』 『命』の言葉に、東西はただ頷いた。 ・放課後:仮眠館 「………泊めろ………だと?」 「はい」 幻八の確認に、東西がにこにこと答える。 「ご両親の了解は?」 「ほら、ここに」 そう言って、東西は、懐から封筒を取り出す。 「………何枚入ってる?」 『たしか………二枚だったと………』 書いている様子を見ていた、『命』が答える。(母親は、彼女をいつも肩に乗せて離さない) 「二枚目だけでいいから見せろ」 「じゃ」 そう言うと、東西は封を破り、手紙の二枚目を差し出す。 カサッ 幻八がそれを広げて……… 「やっぱり一枚目も頼むわ(汗)」 「はい………二枚目、何が書いてありました?」 東西が一枚目を手渡すと、幻八が二枚目を手渡す。 【ね。】 二枚目にはそれだけが書かれていた。 (幻八さんの行動を読んでるなぁ) 幻八は、多分、世間話を長々と書かれて居るであろう手紙を、律儀にも最初から読んでいるようだ。 数分後 「………お前の母さん………腕を上げたな」 少し疲れたように、幻八が言う。 「はぁ(汗)」 「ま、良いだろう………で、土産は?」 「もちろん」 東西がにこりと笑う。手には、一本の綱……… 「食材にどうぞ!」 「食材じゃねぇえぇぇぇぇえええぇ!!!!」 その綱の先にはJJが居た。 「ほう………活きのいい馬だ」 「馬でもねぇえぇぇえぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!」 JJ、血涙 「東西!「ご老体」の話を聞きに行くという目的で俺を誘ったんじゃないのかぁぁぁ!!!???」 「いや、だから立派にここに泊まる役に………」 「晩飯のレパートリーを増やすために呼んだんじゃないんだよな!?」 「俺、馬捌いた事無いんだが………」 「ティリアさん達なら知ってるんじゃ?」 「お、そうか!おーいティリア、サラ、エリア〜」 「ちょっとは話聞けよ!!」 「なに?」 呼ばれて奥から三人が顔を出す。 「馬刺が食いたいんだが、捌けるか?」 「うーん………馬は、ねぇ」 「捌いたことないしなぁ」 「主に移動手段ですからね」 三人が順々に答える。 「本人の前で捌く相談するなぁああぁぁぁぁっぁぁ!!!!」 「冗談だよ、冗談」 「はっはっは」 「……なんだ冗談だったのか……」 「エリア、冗談だって、本しまって良いよ」 「折角見つけたのに………」 東西と、幻八とは対照的に、声を潜める御三方……… 「ちっくしょおおぉぉぉおおぉぉぉぉ!!!!!!!」 JJ、再び血涙。 「ちくしょう………みんなして俺を………」 「冗談だったんだから良いじゃないか………」 『JJも、肝の小さいことじゃのう』 『流石にアレは…………』 「ご老体」の元、さっきの事をひきづるJJを、皆が慰めている。 「『命』ちゃんだけだよ………俺の味方は………」 涙まで流している……本気で恐かったようだ。 「友達を食べるはずないじゃないか」 東西が嫌に爽やかな笑顔で言う。 『儂はくえんから関係ないのう』 「ご老体」が、声を上げて笑う。 みんなホントに冗談が好きだ。 「さて………そろそろお客さんが来るはず………」 『ほう……一番手は誰じゃ?』 「言わぬが華でしょう?」 坊が、来客を宣言してから二分ばかり……人の足音が聞こえてくる。 なにやら、軽い口げんかをしているようじゃな? ほう……あの光沢ある身体は、ジン・ジャザムか……その隣を歩くのはセリスか……… 聞こえる内容からすると、ジン坊の方が誘ったようじゃな……… 「よう、東西じゃねぇか?どうしたこんなところで?」 ジン坊が、坊に声をかける。 「お二人が来るのを待ってたんですよ……では、一旦僕たちは消えますから、ごゆっくり」 「? おう」 坊と、JJが、二人に礼をして離れる……どんな話をしても聞こえないように、との配慮じゃろう。 味な真似をする。 さて、折角貰った機会じゃ……有効に使わせて貰うかのう……… 「誰だ?あいつらは?」 「馬の方はしらんが、人間の方は東西と言って、科学部の後輩だ。馬の方は………千鶴さんがなんかいってたような…」 『あやつらの詮索は後でも出来よう………それよりも、よく来てくれたのう、ジン坊、セリス坊』 「「!?」」 驚いておるか………ま、しょうがなかろう。 『なんじゃ?おんしら、儂に会いに来てくれたのではないのか?』 声に少しからかいが入ったか………楽しいからのう。 「ジン、この木………喋るのか?」 「いや………俺も初めて聞くが………」 『ふぉっふぉっふぉ、東西の坊のおかげでのう、話せるようになっておるんじゃよ』 「あいつ………色々と芸が出来るな」 ジン坊が、顎に伝った汗を拭う真似をする。 『二人とも、来てくれて嬉しいぞい』 「僕は、面識ないんですけど………ジンに連れてこられたんだし………」 『あんたはしらんでも、儂はよくしっとるよ………ジン坊と、仲がいいのう』 「「こいつは宿敵!!」」 『ふぉっふぉっふぉ………良きかな良きかな。 じゃが………もう、休ませてやれんのう、ジン坊』 「………正直驚いた、あんたの大きさには憧れてたのにな」 『老いれば、何時かはこのような日が来るものさ………』 「なんだ、ジン、お前この木に愚痴りにでも来てたのか?」 セリス坊が、からかい口調で言う…… 『ジン坊は、弱気なことを言いに来ることはなかったよ………ただ』 「ただ?」 『ずたぼろになってここに休みに来るときがあった』 「ほう、誰だ?お前をずたぼろにまでするような相手は?」 セリス坊の顔はにやけて居る………儂の声も笑って居るし………相手も分かって居るからな。 「う、うるせい!!」 ふ、そっぽを向くか、ジン坊…… Dセリオの嬢ちゃんの時はそんなに酷くなく、『いつか完勝してやる』とか、良いながら寝ていくときもあったな。 手を上げられん相手というのは難儀なものじゃ。 その相手を巡るライバルもなかなかに強力じゃしのう。 「しかし、坊とつけられてるとは思わなかったぜ………話なんかしたことなかったし、大抵休みに来てただけだからな」 『儂にとっては、ほとんどの人間が坊じゃわい』 「そうだな………ふぅ、話せると思わなかった、達者でな」 「達者でなってのは少しおかしくないか?ジン」 『違いない………お前達こそ元気でな、千鶴嬢ちゃんと、マルチ嬢ちゃんと仲良くな』 「言われるまでもねぇ!」「言われるまでもありません!」 ふぉっふぉっふぉ、顔を真っ赤にして怒鳴るな……… 二人ともが、去っていく………お互いを大事にな……… 「終わったようですね」 『おお、終わったぞ………』 話が終わり、ジンと、セリスが去ると、東西達が現れる。 「あのジン先輩が来るとはな」 『大きな物には憧れる物………特に、ジンさんはそれが強いようにも思われますから』 JJと、『命』が感想を述べる。 『強い坊じゃ………これからもっと頼りになる人間になるじゃろうて………二人ともな』 「さて………そろそろ時間ですね………術の更新をしておきましょう」 『なんじゃ?すぐに誰か来るのか?』 「ええ」 サク、サク……… 柔らかい足音………草花にまで気を配るような、そんな優しい足音 既に、坊達は遠くに移動している。 「はぁ」 澤倉美咲………気弱な、優しい嬢ちゃん……… 『二人目……はお主か……美咲嬢ちゃん』 一瞬、驚いた表情を見せる、しかし……… 「ええ、こんにちは」 ほう……すぐに持ち直すか……… 『お主も、強くなったようじゃのう………』 美咲嬢は、クスリと笑う。 「ええ、色々と聞いて貰いましたから………」 『色々聞かされたのう』 思わずわらい出す。 「お礼を言いに来ました……有り難う御座いました」 そう言って、頭を下げる。 『礼を言われるようなことは何もしておらんよ………なにがしかを乗り越えたのは嬢ちゃんの力じゃ』 儂の言葉に、はにかんだような笑みを浮かべる。 『ためこまんようにな………嬢ちゃんみたいなのは笑っている方が良いんじゃからな』 「くすくす………」 やはり、わらっとる方が映えるよ………嬢ちゃんもな………… 『さて、儂から話すようなことは特にないが………嬢ちゃん何かあるか?』 「いえ、話せるとは思っていませんでしたから………お礼を言うことだけ考えてきました」 『まぁ、多くを語るだけが会話ではないしのう』 「ですね………本当は言いたいことあった筈なんですけど、驚いて忘れちゃいました」 照れた笑いを浮かべる。 『ふぉっふぉっふぉ、嬢ちゃんらしいよ』 「ですね………今まで本当に有り難う御座いました」 『何度も言うな、照れるわい』 美咲嬢がまた、鈴が鳴るようなすんだ声で笑う。 「では………おやすみなさい」 『ああ、おやすみ……美咲嬢ちゃん』 「日が沈んだな」 JJが、言う。 「晩御飯は幻八さんが何とかしてくれるから、僕たちはここにいようか?」 「かまわんよ、俺は」 『私は東西に従います』 各々が楽な姿勢をとる。 JJが言うとおり、周りは、既に暗くなっている。 しかし、JJが、座り込むと、東西と『命』は移動をはじめる。 「どうした?二人とも」 JJが、疑問を口にすると、 「いや」 東西が、JJの、腹の辺りにもたれかかる。 『こちらの方が楽なので』 『命』は、東西の頭の上、同じく、JJの、腹にもたれかかるような形になる。 「俺は、お前達の簡易枕じゃないんだぞ?」 そう言いながらも、JJは、何もせずに、放っておく。 「ご老体」の表情はわからない、だが、雰囲気は微笑んでいるように思える。 しばらくして、 「お前らなぁ………預かっている形になっている俺のことも考えろよ!!」 幻八が、三人分の食事を持って、まずそう言った。 もう、かなりの時間ではあるが三人は、「ご老体」のところで話にふけっていた。 「幻八さん、美味いよ、これ」 幻八が持ってきたのはカレーであるが、JJと東西は、無駄な話をせずにそれを食べている。 「いや〜、幻八さんの料理ホントに美味しいですよ!!」 今回のカレーは、幻八がJJに合わせて、肉を入れない、ベジタブルカレーに仕上げてある。 「誉めても何にも出ないぞ!」 幻八が、がつがつと口に放り込む、 『相変わらずじゃのう………幻八』 「………やっぱりあんただったのか」 幻八がにやりと笑う、 『おお、既に忘れられとる物と思っておったが………覚えておったか?』 「枝振りが似てたからな………木の人相なんぞ、わからんから、確証はなかったがな」 「枝振りって………幻八さん、ホントにすごい記憶力だねぇ」 東西が呆れて言う。 「普通の人間じゃないからな」 幻八が自嘲気味に言う。 『人間じゃよ、身体がいくら普通と違っても、お主は人間じゃよ』 「ご老体」が、即座に幻八の言葉を否定する。 「あの時の言ったことを覚えているのか?」 『成長できることが羨ましい………じゃったかの?』 ふっ 「あんたも十分にすごいよ」 『なに、年の功じゃて』 「ご老体」が笑う、 『あの時には言えんかったがな………今ようやく言えたよ………お主が人としての自分を見失わんかぎり、人じゃ』 「ありがとう、爺さん」 幻八以外の周りの者は、幻八と「ご老体」を眺めながら、カレーを食べ続けていた。 いつの間にか、東西、JJ、『命』は、一つ所に集まって眠っている。 幻八が、食事を終えて、帰っていったが、毛布を持ってきたときには既に皆眠っていた。 「人の言うことききゃしない………お前らが風邪を引いたら俺の責任なんだからな………」 そう呟きながら、皆を毛布にくるませていく。 そして、何かを思いついたのか、一旦仮眠館に帰り、再び戻ってきた。 何か、看板のような物を持ってきて、東西達の近くに刺す。「ご老体」からは見えない。 その幻八も、老木をしばし眺めて、帰っていった……… (さて………あと、二日……… 何人の者達と言葉を交わせるのか………………) 刻は、既に草木も眠る時間になっていた……… ============================================== 東西 :えっと、前編でした。 『命』:なんか………ながいわね? 東西 :長くなってしまいました………今回イメージでチョイスさせていただいた方ばかりです。 『命』:設定見てから考えたのよね?それと、皆さん方のLメモを見て……… 東西 :思いつきです……おもいっきり……… 『命』:ところで………お母様からの手紙はどんな内容? 東西 :うーん、世間話の合間に、本題をちょこちょことはさむ形、最初から最後まで読まないと分からない。 『命』:嫌な手紙ね(汗) 東西 :………暇なんでしょ?いや、手間を惜しまないところから趣味かな? 『命』:………私には優しい方なのに……… 東西&『命』:では、後編で! Thanks:JJ、幻八さん、ジンさん、セリスさん、オカ研のメンバーの皆さん ご出演有り難う御座います。 Leafキャラ出演者:柏木千鶴さん、澤倉美咲さん、ティリアさん、サラさん、エリアさん 御出演、有り難う御座いました。 '99/02/12