Lメモ ある日常のエトセトラ 下 投稿者:u.g
きーんこーんかーーんこーーーん

「あ、お昼休みですね」
昼食を求めての戦闘が、あちこちで起こる時間である
それに比べてこの平穏な空間は、何という天国か・・・
「そういえば・・・当たり前すぎて気がつかなかったけど」
勇希が思い出したように問いかける
「あなた達、授業は?」
そう言うことは最初に気づけ
「頭痛がしたので保健室へ行くところだったんで〜〜す」
日吉かおりが思いっきり元気よく宣う
「ふははははははははははははははははははははははは
ははははははははははははははははははははははははは
ははははははははははははははははははははははははは
ははははははははははははははははははははははははは
ははははははははははははははははははははははっ・・・・」
肺活量を見せつけるが如く高らかに笑っているのは秋山である
多分意味などないのだろう
「ふぅ・・・」
ため息を一つついて、丁とRuneの方を向く
「君たちは?」
「大丈夫ですよう。ちゃんとしておきましたから」
「何が大丈夫でちゃんとしてるんだよ・・・?」
「ええっ、そんなぁ」
梓が問いかけに、丁は何故か頬を赤らめる
「言わなきゃ・・・・、ダメですかぁ?」
しなをつくって伏し目がちになる
「きゃきゃっっ。や〜〜んや〜〜ん」
手をほっぺたにつけて頭を横に振り出した。
その仕草にそれ以上深く追求する気力は
ことごとく消え失せたらしい
「・・・いい・・・言わないでも・・・・」
梓の返答は冷たかった
「・・・まぁ・・・いいけどね・・・・」
口ではそう言いつつも、嫌な予感を覚える勇希
(生徒を信頼すること、それが教育だから・・・・
何かあっても私には一切の責任はない・・・はず・・・よね・・・・)
切実に、願いを込めて祈る
いや、確かに関係ないと言えばそうなのだが・・・
どこか間違ってるような気もしないでもない。
・・・大変だね、先生って・・・


授業を終え、廊下に出た源一郎の目に入ったのは
壁にもたれかかるようしている丁の姿
体育館座り、或いは三角座りと呼ばれる座り方が粋である
「おい、宇治。るーんはどこへ行ったんだ?」
返事は無い
「寝てる・・・のか?」
叱られて
その様子に不機嫌になる源一郎
(立ってろと言ったのを・・・)無視したばかりか・・・」
彼にしてみれば、言ったとおりにしてないまでも、反省の色をみせ
それなりにしおらしくしていれば大目に見ようと考えていたものを
反省の色をみせるどころか、安眠しているのだ
怒るのは無理もないことである

「ほら、起きろ」
やや乱暴にゆする
それでも、丁の目は覚めなかった
「お〜き〜〜ろ〜〜〜っっ」

ゆさっゆさっゆさっっ

「起きろといってるだろぅがっっ」
ついには、堪忍袋の緒がきれたのか
振り回すようにして乱暴に揺する源一郎

と、そのとき

ぽきっ

こん・・・こん・・・・・こん・・・・・

ころころころ・・・・・

一瞬、源一郎は目の前で起きた事が理解できなかった
違和感は感じる。それも、たとえようもないほどに
だが、その正体が分からない
まるで脳が考えることを拒否するかのように
思考が止まってしまったのだ
そして、彼はしばしの時間、丁と床に転がった”それ”を交互にながめる

突如として、浮かぶひらめき
そして全てを理解する
「そうか・・・首が外れたのか・・・・」
ようやく思考がまとまり納得の表情を浮かべ・・・








「あがはっっっっっっ」
次いで、驚愕に目と口を限界まで広げる
いつもの3倍くらい濃いリアルな顔で硬直する源一郎は
はっきり言って・・・怖かった・・・
「電芹電芹生首だよ
ゆうれいだよお化けだよたたられちゃうよ
ああ、それより早くくっつけないとたいへんだよ
のりがいいかな接着剤がいいかなそれともごはんつぶかな
頭部と腕と足と体とか3体合体とか六神合体とか
あまつさえ、中に人が乗り込むようになってて
変形するんだよ電芹そんでそんで空を飛んだり
地面に潜ったり深海一万メートルでも水漏れしないんだよ
すごいよねすごいよねそのまま大気圏を脱出して
地球の重力からも離れ光の早さより早く
遠く遠くM78星雲の彼方までいって
変な太陽の光を浴びちゃったら巨大化しちゃって
しゅわっちで地球で3分間しかいられないんだよ
カップラーメンも食べられないんだよ
うう
ぐす
ひっく
可愛そうだね可愛そうだよね犬さん助かって良かったね
ってどうして犬さんがでてくるんだろこれって
電波なのかななのかなああもしかして記憶にないけど
宇宙人につれさられて去られて変な円盤の中で
体に何か埋め込まれちゃったりしてて自分では気づいてないけど
ときどきぴぴぴーーんってなってネジはくようになっちゃったり
するんだよどうしようどうしようどうしよう電芹」
「あ、あの・・・たけるさん・・・・」
「ひーん怖いよ怖いよぉ助けて助けてよぉ
ああそうだ確かジンさんも宇宙人に連れ込まれて
あんな事やこんな事をされて地球に攻め込む悪の巨大ロボットに
改造されちゃったことがあるんだよね噂に聞いたことがあるだけだけど
だからどうやって立ち直ったのか今のうちに教えてもらおうよ
でも柳川先生にさらに改造されたからとかだったらどおしよ
でもでもアンドロメダの彼方に行かないでも機械の体に
なれちゃうんだから文明の進歩ってすごくはやいよね
あっそうしたら電芹と同じになれるんだよね
だったらそれもいいやそしたらそしたら
黒ひげさんみたいにボタンを押したら首がぽーんって
なるようにしてもらおうよ楽しいよね
そうだ電芹も一緒にやろうよ二人でぽーんぽーんって
やった方がもっともっと楽しいよきっとだから
いますぐ科学部にいっってみようよ電芹っっ!!」
いつものことなのでしばらく
コロコロと変わるたけるの表情を眺めていた
電芹であったが、自分の名(迷?)案に今にも駆け出さんとするのを
見て、慌ててひきとめようとする
「た、たけるさんっっ」
「・・・・はにゃ?」
「あの・・・落ち着いてください」
「え〜、どうして電芹善は急げだよ時は金なりだよ
急がば回れだよ車は急に止まらないから棒にあたるんだよ」
前の方はともかく後ろの二つは間違ってるような・・・
どことなくあってるような気もする
「もっと自分の体を大事にしてください。一時の感情でそんな・・・」
「でもでもでもぉ、首がぽーん、なんだよ電芹」
なんだか妙に気に入ったのか変なところにこだわっている
(ああ・・・誰か・・・助けて・・・)
無邪気に見つめられ、電芹は何となく泣きたくなった
気持ちは分からなくもない

「知っているかっっっっっ!!!!!」
突如として一人の男が現れた
たけるを指さし、大音声にて叫ぶ
バックに流れるは
ベートーベン交響曲第9二単調 作品番号125 第2楽章
「あなたは・・・」
そこにいたのは仮眠室の主、幻八である
「時は平安時代、己が王たらんと欲し反乱を企てた平将門は
無念にも夢破れ、斬首の刑に処せられた・・・。
しかしその首は、胴体を求め、遥か京の地より東の野まで
怪光を発し飛んできたという!!!」
「は・・・はぁ・・・」
言葉に詰まる電芹
「そしてっっっ」
おもむろに通行人のそーしゅに最強奥義神音(カノン)をぶちかます幻八
『危険です。爆発のおそれがあります。本体、強制離脱します』

ぱしゅん

無機質な合成音が頭の中で鳴り響く
「うぁぁぁぁぁぁっっっ」
と同時に、黒ひげ危機一髪の如く飛び上がるそーしゅ(頭部)
「わぁ、すごいねっ、電芹」
「・・・・・・・・・・・・・」
「そう、人間努力すればいかな困難とてのり越えることができるのだっっっ!!!」
あまりのことに呆然として声もでない電芹
対照的にたけるは目をきらきらさせて、大きく頷いた
「はいっっ、頑張ります。コーチ!!」
「うむ、いい返事だ。よし、まずはあの夕日に向かってダッシュだっ、ゆくぞ」
「はいっ」
青春スポ根ものよろしく燃え上がる二人
(まだまだお日様はとっても高くって、ああ・・・今日も良いお天気
お洗濯ものを干さなくちゃふふふきっとすぐに乾いちゃうね
後、お布団も一緒に。ぽかぽかとしてて何となく気持ちいいんです
HMの私がこんな事思うのは変でしょうか)
「あああああ・・・誰かぁ・・・助けてぇ・・・・」
そーしゅ(頭部)の叫びが空しくこだまする
「あ・・・あの・・・お二人とも、そういう意味では正確には人間じゃないんじゃ・・・・」
現実逃避に陥っていた電芹が、ようやく我を取り戻したのは
二人の姿はいずこへともなく消えさった後の事である・・・・


そうこうしてるうちに周りは野次馬でいっぱいになっていた
「これは・・・悪だな。いくぞっ、瑠香!!」
「はい、Hi−Waitさん。まずは犯人の確保ですね」
「ああっ、逃亡のおそれもあるからな」
さすが夫婦
息もぴったりだ

「おい、どうしたんだって」
「ああ、センセが宇治を殺っちまったらしい」
「しかも、るーんの方は行方不明らしいぞ」
「おいっ、マジかよそれっっ」
「だからあんなんなってんだろ」
「えええっっ、破廉恥教師昼間の御乱交ですか?
たいへんだっ、すぐ取材しないと
でも、ナマでそんな現場みれるなんて記者冥利に尽きますね、先輩」
どこでどうなるとそう言う話になるのか・・・
一人で数十人分の伝言ゲームを経たのと
同程度の正確さを誇と言われるだけのことはある
ともかく、城下が同意を求めたときには
「みんなぁ、聞いて聞いてっっ。最新の志保ちゃんニュースよ!」
隣にいたもう一人は、早くも仲間の元へと走り去っていた
次の時間までには全校中に話が広がっている事だろう

そして、当の犯人はというと・・・

「うぁぁぁぁぁぁぁぁっっっっっっっ」
頭を抱えて叫ぶ
思いっきり追い詰められていた

「・・・宇治くん・・・ルーン君・・・・」
ゆきがいくら声をかけても、当然の事ながら、返事はない
「いったい・・・どうしちゃったの・・・・?」
その背後で、初音がこわごわと様子を窺っている
奇人変人ぞろいで知られるこの学園のこと
どんな特異な人間がいても不思議はない
しかし、少なくとも彼の知る限り
この友人にはそのような性癖はなかったハズである
(なんでこんなことに・・・)
自問する源一郎
答えは・・・出ない
(・・・クビになったら・・・なんて言うかな・・・)
まず思い浮かぶのは妻の顔
(家のローンもまだまだだし・・・)
そして、家族のこと
(子どもだってこれからだってのに・・・)
これから先、どうなるのか、という不安
源一郎は絶望的な気持ちで、呆然と遠くの空を眺めていた
青くどこまでも澄んだ空を・・・

騒ぎに気づいたひなたと美加香も駆け寄ってくる
「美加香っ」
「わかってます、ひなたさん」
手際よく二人を看る美加香
「どうです・・・?」
ひなたの問いには答えず
「落ち着いてください」
後ろの源一郎達へ先に声をかける

「人形ですよ、これ」

「「「え・・・?」」」

美加香の言葉にぽかんとした顔になる一同
『・・・・ガガー・・・・』
ちょうどその時を見計らったかのように、
床に転がった丁の頭部からなにやら妙な音が聞こえてくる
『どぉ〜もで〜〜す。僕、お腹がすいちゃったんでるーんくんと
一緒にご飯を食べにいってきまぁ〜〜す』
録音状態が悪いのか、雑音混じりであったが
かろうじて内容は聞き取れた
「なっ、なっ、な・・・・?」
頭部を拾い上げたままの状態で
困惑している源一郎を余所に、
その調子っぱずれな声は続く
『なお、このテープは自動的に消去されますぅ
”ピー”ってなったら・・・』

ぼんっっ

さして間をおかず、爆発が起こる
どうやら、メッセージ中の音が引き金になったようだ
衝撃に巻き込まれ、源一郎の顔は真っ黒になっていた
そのまま、呆然と立ちつくす
『逃げて逃げて逃げてください逃げてくださいください・・・』
テープの方は半壊のまま、
とびとびにメッセージを繰り返している

「く・・・くっっくっっくっっっくっっっっく・・・・・・
あーーーっはっっはっっはっはっっっははっは・・・・・・・・・」
源一郎は、笑っていた
涙を流しながら、笑っていた
だがその目には、静かなる怒りに満ちている

「ひなたくん、どうしよう・・・・」
おびえた表情で問いかけるゆきに、
ひなたは肩をすくめてみせる
「どうしようもありませんね、あれは・・・」
「あの人も・・・時々洒落で済まないことをしますよねぇ・・・」
美加香が苦笑しながら言う
「・・・まったく・・・・・」
思わず、そろってため息をつく3人であった	




エピローグ1 Runeの場合

「あっ、る〜ちゃん。いいの? 呼び出しいかなくて」
「いいさ・・・。用件は分かってる」
「そう」
そこで会話は途切れた
しばらくして再び健やかが話しかける
「何だか嬉しそうだね」
「・・・そんな風に見えるか、俺?」
「うーん・・・単に顔色が良いだけかも・・・」
急に自信がなさそう口ごもる健やか
「ま、久しぶりに飯にありつけたしな」
(ったく、変なヤツだよな・・・)
今日一日を振り返ってのそれが一番の感想であった



エピローグ2 宇治丁の場合

「宇治くん」
生徒指導室から出てきた丁に声がかけられる
「あ、初音ちゃんにゆきちゃん」
扉のすぐそばで立ちどまる2人
「待っててくれたんですか?」
「そのつもりだったんだけど、ちょうど今来たところ」
鞄を差し出すゆき
「一緒に帰ろ」
初音も微笑みかける
「はいですぅ」
「でもホントびっくりしたんだから、ひどいよ宇治くん」
怒った顔でいうゆき
「ごめんね、ごめんね」
3人は並んで歩き始めた
「それにしても、はやかったね」
「うん、それはね」

「せんせぇ。本日はお招きにあづかり、光栄で〜す」
放課後、職員室へ呼び出された丁は
掃除が終わるとその足で放課後になるとすぐに
その教室へと向かったのである
そこには既に源一郎とそして何故か勇希の姿があった
「どうでした? 
購買部で売ってた1分の1スケールジオラマを改造したんですけどぉ〜
ちなみに、題名は『パトラッシュ、僕もう疲れたよ』
紀元前1世紀ごろ、時のローマ皇帝が寒さにふるえる市民のため
自ら率先して街中に火を付けて暖をとったと言う故事に基づいてますぅ」
どういう話じゃ?
「ちなみに人形制作は美少女フィギュアをつくって幾星霜の猛者
T-star-reverse 先輩で〜す
購買部で販売中なのでみんな買ってね」
誰にむかって宣伝しているのか、
嬉しそうに大声で宣う丁の視界の角では
青い髪の少女がそそくさと立ち去るのが見えた
「・・・ばかもんがっっ」
怒鳴る源一郎
憔悴のためか、むしろ普段より威厳が出てるのは、皮肉な事実である
「まったく。授業中抜け出した上にあんな悪戯を・・・」
「・・・・・・・・・・」
「どれだけ心配をかけたと思っているんだ」
実際、源一郎はやつれていた
年も十歳ぐらいは老けて見える
まぁ仕方はないが・・・
涙を浮かべる丁
「お前、泣いたってなぁ・・・」
「せんせぇ。僕、感激しちゃいました」
だが、後に続く言葉は源一郎の予想を超えるモノであった
「こんなにも僕のことを思ってくれていたなんて・・・」
「あ、いや・・・」
意外な反応に戸惑いを隠せない
「ご心配をおかけして申し訳ありませんでした・・・」
胸元の扇には”大感謝”とある
一瞬「馬鹿にしているのか?」と思った源一郎はしかし
自分を見つめる生徒の真摯な眼差しに、己のあさましさを恥じた
「あ、ああ・・・。反省したようだし・・・わかったらよろしい」
彼もまた一人の教育者である
素直に謝られれば、それ以上望むことはない
「はい、有り難うございました。せんせぇ」

「っていう風に言ったら帰してくれたんです」
初音とゆきは言葉もない
にっこり笑う丁
その瞳は、変わらず澄んだままであり
・・・・・それだけに余計に質が悪かった



エピローグ3 斎藤勇希の場合

「じゃ、さよならです。せんせえ」
晴れやかな表情で丁を見送る源一郎
「はい、さよなら。 気をつけて帰るんだぞ」
「はーい」
先ほどまで様子が嘘のように穏やかな顔をしている
「えっと、それじゃ私も失礼させてもらいますね」
源一郎の機嫌が良いことに内心安堵しながら
そそくさと立ち去ろうとする勇希
「斎藤先生・・・」
だがそれは、低い声によって阻まれた
「はっ、はい」
「まだお話は終わってませんよ・・・」
「は、はぁ・・・・」
(ふえ〜〜ん、何でこうなるのよ〜〜〜)

「・・・・って言う訳なのよ〜。 酷いと思わなぃ?」
お説教は、その後3時間も続いたらしい
「ゆーひはまだいひわよ。 わらひはんてさ・・・・」
アフターファイブのお酒の席
つまみは上司の悪口、仕事の愚痴か
「ころあるごろにひゅきょうはぼるへーとはいるひ
ひかも、ひっこうにひうにした風もないろよ」
由美子は早くもろれつが怪しくなっている
いろいろと溜まっているようだ
「じゃぁ、今度みんなでこらしめてやろぉ」
「あははははは、いーわれぇ、そへってぇ〜〜〜」
心当たりの方、お気をつけください
「れ〜もぉ、ほれよりなによりへばんはふくはいろぉ・・・
う・・・うう・・・ホンろ、ろまなきゃやってられないっれいうのよ〜〜」
「ねぇ・・・由美子・・・飲み過ぎじゃないの?」
「らいじょーぶっ、まはまふぁひょってないもん」
「ね、ねぇ。ほんとに、ほんとに大丈夫?」
(・・・ビール一杯でなんでこんなに酔うかなぁ・・・・)
「ひーからぁ、ゆーひもじゃんじゃん飲みらさいよぉ」
そう言って勇希のグラスに酒をそそぎ込む由美子
「あっ、ちょ・・・ちょっと・・・」
「らりよぉ、わらひのさへはのへはいっての?」
酔っぱらいは、ある意味手に負えたものではない
からんだかと思えば、急に泣き出す始末
「ふうう・・・ろーへろーへ・・・わらひらんか・・・・」
生徒には見せられない光景である
「あーもー、わかった。わかったわよっ。飲んでやろうじゃない」
腹を決めたのか受けてたつ勇希
「よぉし。おひは〜〜ん、じゃーんじゃんもってきてぇ〜」
(は・・・はめられた・・・? なんでこうなるのぉ)
そんな二人を眺めながら一人静かにグラスを傾ける響子
「・・・・若いわね・・・・」
氷が澄んだ響きをたてる

なんだかんだで楽しそうな状況では、あった