リーフ学園の怪談 2 投稿者:u.g
「ふ〜〜ん。幽霊さんとお友達になろうとしたわけね」
「そうにゃ〜〜」
エーデルハイドの返答と同じタイミングで
コクコクと頷く芹香
「私はその付き添いって言うわけ。あとの三人はたまたま道で
会ったんだけど・・・」
あとの3人とはハイドラント、悠朔、カレルレンのことである
「偶然・・・、にしてはね」
タイミングが良すぎる事が気になるらしい
「今のところは確認のしようは無いみたいね」
響子が気絶したままのハイドラントと悠朔を交互に見ながら言う
「いやぁ〜〜、ははははは・・・・」
カレルレンに出会ったのは全くの偶然だろう
彼にとっては最悪のタイミングだったに違いない
「で、校舎に入り込んだところでいきなりDセリの攻撃を受けて・・・」
綾香の機嫌が急に悪くなる。まぁ当然だが
「──・・・一応警告はしましたが」
「ミサイルの発射と同時に、とか?」
恋が口を挟む
冗談のつもりがどうやら図星だったらしい
Dマルチはお茶代わりのオイルをすすって誤魔化している
「え、ホントにそうなの・・・・」
Dセリオらしいと言えばそうかも知れないが
「それで、あんな風になっちゃったわけね」
まぁ、よくあることだろう・・・・たぶん


「先生たちはどうなの?」
今度は勇希達に話題が移る
「教師としては生徒の間で流れる不穏当な噂にも
一応、気をつけておかなきゃならないのよ」
「というのは建前で、ホントは単なる野次馬根性ね。きっと」
紅茶を片手にすかさず突っ込むゆかり
「それにしても随分珍しい顔ぶれじゃない」
「えへへ、人徳人徳」
綾香の言葉におどけて答える勇希
「たまたま通りがかった人間を無理矢理引き込んだだけなんだけどね」
再び突っ込むと紅茶を一口すする
先ほどから、ゆかりの目は全然別の方向を向いたままである
それにしても・・・・・通りで人選に脈絡がない筈だ
「でも、その割には素直に来てくれたじゃない」
「う・・・」
返答に困っっている
カップをもてあそんでいるは無意識の行動だろうか
「ああ、それは・・・」
「ふ、風紀委員長としては生徒の間で流れる噂についても
チェックをいれとかなきゃならないのよ!!」
響子の言葉を遮るように大声で言う
それが弁解がましいことは当人にもわかっているらしい
バツが悪そうにあさっての方をむいている
「・・・・まぁ、そういうことにしておきましょうか」
何か弱みでも握られてるのか・・・・・・?
「でも、こういうのはたくさんで来る方がずっと楽しいわよね」
あっさり追求するのをやめ、話題を逸らす勇希
「・・・そうですね」
「・・・・お兄ちゃん・・・・・」
珍しくを感情を覗かせる忍に恋の顔も笑顔になる
そのまま腕を絡めてそばによりそった
「ソウソウ、人類皆兄弟だよネ」
言っていることはともかく
いい加減、弓はしまった方がいいと思う


「そういえば、小出先生の姿が見えないわね」
思い出したように響子が言う
「え?・・・あれ・・・・・」
いままで誰も気がつかなかったのだろうか?
「──そう言えばここへ来てすぐの台詞以降出てきてませんね」
Dマルチが冷静に言う
さすがにDシリーズ最高を誇る頭脳である
でも、そう言う表現はやめて
「──・・・忘れていたのでしょうか」
違う、決してそう言うわけでは・・・・
「・・・あそこに・・・」
独り言のように呟く忍
「え、なに?」
「あ、気にしないで。いつものことだから」
そう言いつつも気になったのか一応尋ねてみる恋
「お兄ちゃん、どうかしたの?」
相変わらず、ぼーっと一カ所を見つめながら指し示す先に
「あ、あんな所に・・・」
倒れている由美子の姿があった


「気絶してるだけみたいね」
手早く駆け寄って確認する響子
「何があったの?」
やや遅れてたどり着いた勇希の問いには答えず、しばし考え込む
ほかの者はとりあえず二人に任せることにしたらしい
「どうやら流れ弾を喰らったみたいね・・・」
「流れ弾?」
近くには拳大の石が転がっている
先ほどの戦いの時に飛んできたモノであろうか
「そう・・・、見て」
響子が由美子の頭をなぞる
その部分は触らなくともわかるほど
大きなたんこぶになっていた
「うあ・・・、痛そう」
「命に別状は無いのよね」
ゆかりが尋ねた
他の者も様子を見に来たらしい
「幸いなことにね」
再び考えるような仕草を見せてそのまま黙り込む響子

「それにしても誰も気がつかないなんてねぇ・・・」
あきれたように言う勇希に
「先生もね」
間髪入れず綾香が言い返す
「それって、有って無きが如しって言うんダヨネ☆」
レミィの無邪気な表情で容赦のない事を言う
確認をするかのように全員を見回してから
「カレルレン先生」
響子が口を開いた
「な、何でしょう」
「小出先生を保健室に運ぶの手を貸してくれないかしら」
「あ、はっ、はい・・・」
この中で一番当たり障りの無い人物を選ぶ
あたり的確な判断かもしれない
「じゃぁ、私たちは保健室の方へ行ってるから。
斎藤先生、後はお願いね」
「にゅ☆」
開いた手のひらを軽く握って返じをする勇希
これでも教師である
世の中とは実に不条理なものだ
まぁ、別にどうでもいいことだが・・・・・

立ち去ろうとする響子を芹香が声をかける
「・・・・・・・」
「待つにゃ〜〜」
立ち去ろうとする響子をエーデルハイドが呼び止めた
正確には彼のご主人様が、であるが
「・・・・・・・・・・・・」
「ご主人様は・・・」
「そう、来栖川さんも来るのね」
こくこくと頷く、芹香。
通訳するより早く会話を成立させていた
「にゃうぅぅ・・・・」
寂しそうな鳴き声をあげるエーデルハイド
「なっっ?」
驚きの声を上げる綾香
芹香がパーティから離れること・・・ではない
姉の声の大きさ
二人の位置関係
そして、十分とは言えない現在の明るさ
それらを考慮に入れた上で通訳も無く
意志の疎通を可能にしたことに、である
「先ほどの手練れといい、ただ者じゃないわね・・・」
表情から察したのか、ゆかりが綾香に話しかける
彼女もまた少なからず塔と関わる身として
思うところがあったらしい
妙な緊張感が漂っていた
いや、そんなにまじめに考えられても・・・・

「ねぇ、ついでに朔くんも連れていってくれない」
そんな二人を余所に響子達に声をかける勇希
「あとの二人よりよっぽど重傷みたいよ」
「その割には随分長い間ほっといてますね・・・」
背中に由美子を背負ったまま
にこやかな笑顔で言うカレルレン
さすがに二人も連れていくのはきついらしい
遠回しにそう言うのが見て取れた
様子を見ていた芹香がエーデルハイドに話しかける
「・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「にゃ、僕が悠さんを引っ張って行くんですか?」
どうやら頼んでくれているようだ
「ほっといてもいいんじゃにゃいですか・・・・?」
あまり乗り気ではない様子
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「わかりましたにゃぁ。にゃにゃにゃ、変化」
しかし結局、ご主人様には逆らえないらしい
火の鳥に変身し飛び立つエーデルハイド
嘴でロープをくわえる
そのもう片端は朔の体がくくりつけられていた
火の鳥の炎が廊下を明るく照らし出す
「これで夜道も安全にゃ」
猫なりに考えているらしい

去って行く6人(5人+1匹)を見送りながら恋が呟く
「いっちゃったね・・・・・」
ちょっとセンチな気分になっているらしい
「そうね」
答えるゆかりはさして感慨もない様子だ
「それにしても・・・・」
去る間際のカレルレンを思い浮かべながら
恋が思っていたことを口にする
「カレルレン先生、なんだか嬉しそうだったね・・・・」
「・・・心から安堵していたわね・・・・」
ゆかりの目には彼のさわやかな笑顔が焼き付いていた
「ウンウン、君子危うきに近づからずんば虎児をえずネ」
わざと間違ってないか、レミィ・・・・・
「あ、ついでにハイドも連れてってもらえばよかったかも」
綾香は気絶したままのハイドラントを眺めながら言う
気づくのがちょっと遅れた
「まぁ・・・いいわね、別に・・・」
それでいいのかどうかはよく分からないが
とりあえず納得しているようだ

響子達の姿が見えなくなった頃、入れ替わるように
「こんな所でなにやってるんですか?」
後ろから声をかけられる
そこにいたのはへーのきであった
見れば、Dガーネットとアルバイトの榊とOLHの姿もある
「・・・なにしてんだ・・勇希・・・?」
「何って・・・、お茶だけど。見て分からない?」
「だから、そうじゃなくってっっ」
話がかみ合わないことにいらだちを募らせるOLHに
勇希がお茶を差しだす
「そんなところに立ってないで座ったら」
「あ、ああ」
気勢おそがれた形で、OLHはおとなしく席に着く
・・・ずずぅ〜〜
お茶を一口すすって・・・
「おお、うまいな」
「意外ね、お茶の味が分かるなんて・・・」
「馬鹿にするな、それくらい」
「お饅頭もあるよ」
「おっ、じゃぁもらうわ・・・・って、違う」
ふと気づいたように叫ぶ、OLH
饅頭はしっかりキープしたままだが
「なに大声出してるのよ」
勇希の方はいたってのんきである
「なんでこんなところでこんな時間にお茶会が開かれてるんだよ!!」
「何でって・・・・。何となく・・・・・だけど」
間の抜けた会話だ
「だぁぁぁぁぁっっ」
ちょっと切れかけてる
無理もないかも知れない
「ちょっと・・・落ち着きなさいよ」
「落ち着いてられるかっっ!!」
荒い息を吐いている
「まぁまぁ・・・」
そんなOLHをなだめたのは
すっかりくつろぐ態勢に入っていたへーのきである

和んでる
「笛音ちゃんは?」
すっかり和んでる
「──警備保障の本部にいますよ」
「今頃は寝てるんじゃないか」
「そう・・・、寝る子は育つって言うし」
やっぱり和んでる
「おお、そうだ。さっきの饅頭おみやげにもらっていいか」
「はいはい☆」
「あ、私も木風に・・・」
「りょーかい」
とっても和んでいる
「──お茶のお代わりはいかがですか」
「ありがと」
「あ、私にも」
「お茶は日本の文化の極みよねぇ・・・」
おひおひ
「キワミデス、キワミデス」
「アハハハハーーー」
「・・・・・・・(ぼー、っとしてる)」
それでも和んでいる
すっかり当初の目的を忘れてしまったらしい
「あのー、みなさん何をしているんですか?」
あまりにも和んでいるからか
それとも場所と時間を考えての常識的な疑問からか
先ほどと同じような事を聞かれる
「なにって・・・お茶会・・・・よね」
尋ねてきたのは聞き慣れない声
「あら・・・・・?」
それは、探していたはずの”幽霊”であった

「・・・・WHAT・・・・・?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
「──・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・(ぼーっとしてるだけ)」
「・・・・うーーんと・・・・これは・・・・えーーと・・・・」
目の前に現れたは、女の子
年の頃は17,8ほどであろうか
「──今、スキャンしてみます。」
Dマルチが早速調査を開始する
「──でも、幽霊にはどのような方法が良いのでしょうか・・・」
なんだか悩みだした
「──温度センサー、赤外線レーダー、それとも・・・・」
どうやら思考が暴走してしまったらしい
「そうだ君の名前教えてくれるかな?」
とりあえずDマルチのことはほっておいて接触を試みる勇希
「はい。シャロン、っていいます」
「ああ、言葉が通じてる・・・」
恋が変なところに感動している
初めて外人さんと話してるんじゃないんだから・・・
「じゃ、じゃぁどこからきたの」
「あなたって幽霊なの?」
警戒心が薄れたのか、綾香も興味津々と言った体で尋ねてくる
「──マーカライトファープ?」
Dマルチは暴走は未だ止まらない
「──それとも原子熱線砲の方がいいのでしょうか」
それどころか変な方に進んでいるような・・・
「あ、ほら、見てください。足がないですよ」
へーのきが言うとおり確かにシャロンの足は見えなかった
「じゃぁ、ホントに幽霊なんだ」
「おお、写真だ写真。だれか、持ってないか」
「しまった。こんな事ならもってくるんだったわ・・・デコイさん」
「アイテム扱いなのね・・・」
「でも、幽霊は普通写真には写らないんじゃ」
「さ、サインもらえますか」
騒然とする一同
当の本人はというと、困ったような顔でその様子を眺めている
「あの・・・皆さん・・・私は幽霊じゃなくて・・・・」
シャロンが何かを口にしようとしたとき
「──うふふふふふふふ・・・・・・・」
「くっくっくっくっくっく・・・・・・」
突如不気味な笑い声が聞こえて来た。
それは・・・、さっきまでお休みしていた二人のものである
「──目標補足・・・・」
「いたな、いたな、いたなぁぁぁぁぁぁぁっっっっっっ!!!」
二人はそのまま
「オプティックブラスト」
「プアヌークの邪険よ」
いきなり攻撃をはじめる
「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっっっっ」
「わわわわわっっっ」
悲鳴はシャロンのもの
突然の攻撃に驚いたのかその場から逃げ出した
「っぶないわね〜〜」
辛うじて攻撃を避けた勇希が文句を言おうとしたとき・・・、
二撃目が発射された

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