The Lメモ「アフロなる日々の彼方に (後編)」 投稿者:XY−MEN
ひゅお〜………………。
つむじ風が通り過ぎていく。
一時間経過。
遂に決闘の時は訪れた。

決戦の場には、TaS、デコイ、Yin、とーる、瑠璃子のアフロ同盟メンバー。
そして、禿頭会・フランク長瀬とお付きの二人、橋本&矢島の二人。
そして火花を散らす二組の怪しげな集団の周りには、その対決を聞きつけた野次馬達が群がっている。

「全く、みんな物好きなもんだぜ。……それにしても……」

「わ〜っ!いよいよ始まるねわくわくするね楽しみだね〜っ、電芹っ!」
「そうですね。 きっと、世にも奇妙な決闘が見られることでしょう。」

いかにも楽しげに電芹に話しかける川越たけると、それに答える電芹。
しかし……

「……なんでオレの屋台の中にいるんだ、お前ら?」

そう、たけると電芹は、なぜかXY−MENの屋台の中にいるのであった。

「実は……」
「わいーめんちゃんだけに教えてあげる。
 私たちね、ハイドさんからスパイの任務をもらっちゃったんだ〜っ!」
「はぁ……」

気の抜けた返事のXY−MEN。

「それでねっ、アフロさんとハゲさんの対決をこのビデオカメラで撮影するのが任務だよっ!」
「……というわけです。」

たけるは、楽しげにスタミ○ハ○ディカムを振り回した。

「はぁ……」
「それで、スパイするならやっぱり隠れなきゃいけないよねっ?
 わいーめんちゃんの屋台なら、バッチリだもん。」
「はぁ、なるほどね……」

しかし、それはきっとスパイというのは方便で、後でハイドラントが暇つぶしに見るか、
それとも、撮ったビデオを第二購買部に売りつけるつもりかのどっちかだろうと思ったが、
敢えて言わないXY−MENだった。

それはともかく、目を転じよう。
ギャラリーの輪の中心……そこにはTaSを中心にしたアフロ同盟のメンバーと、
フランク長瀬、橋本&矢島の禿頭会メンバーが対峙していた。

『(さっ)ふふ、この大勢の観衆の見守る中で貴様を倒し、アフロヅラなどというものにうつつを抜かす
 貴様に、禿頭の洗礼を受けさせてやる!』

フランク長瀬は口を歪めて笑う。
ちなみに、その体を覆うのは真っ黒の神父服である。
これが彼の正装らしい。
ヤな神父である。

「アナタ分かってないデスね。 アフロは人類のシホ……いや、至宝ヨ。」

紫にビラビラ付きの――言うなれば、遙か昔のミュージシャンの様な格好をしたTaSも
それに応えて?ニヤリと笑みを浮かべた。

二人の緊迫したやりとりを見て、アフロ同盟、禿頭会のそれぞれのメンバーは息を飲む。
決闘ムード。 そう、決戦ムードである。
この際、決戦の理由のアホさ加減など、関係ないのである、多分。

「ますたぁ……勝ってくれよ……この俺の……アフロのためにも勝ってくれよ……」

ぎゅっと拳を握るYin。
さっきまでと別人と言うか、言ってることも違うやんとか思ったりするが、
それもまたこの決戦ムードのせいである。
そんなYinの肩に、デコイがぽんっと手を置いた。

「勝つさ。 あの人は勝つ。
 あの人が、アフロの為になら全てを投げうつような人だって事、お前だって良く知ってるだろ?」

デコイは、にっと笑顔をYinに向けた。
やはり、決戦ムードモードである。
盗撮が趣味の男とはとても思えない、このかっこよさ!
決戦ムード万歳!

「そうだよな……ますたぁなら勝つよな……。 ますたぁ……俺はあんたを信じる!」

Yinはそう言いきると、その熱い視線を転じた。
そこでは、今まさに、TaS×フランク長瀬の決戦が、火蓋を切って落とされようとしていた。

『(さっ)ヘッドファイト・レディーーーーッ!』
「GO!デス!」

お約束(一部湾曲)なその掛け声と共に、二人の戦いは始まった!

「これでも食らうネ!」

先に仕掛けるのはTaSだ。
両手をアフロの前にかざし、そして叫ぶ。

「アフロびィィィィィむっっ!!」

みょいんみょいんみょいんみょいん……
怪音と共に、アフロからごくごく自然に黒色のビームが発射され、フランク長瀬を襲う。

『(さっ)なんの! 禿頭砲!』

対するフランク長瀬は、頭を突き出し、そのハゲから波○砲の如く、白色のレーザー光を撃ち出した。
両者は、それぞれの中間地点で衝突する。
激しい爆音とスパーク。
そして、対消滅を起こして双方とも消滅した。
爆風が砂塵を巻き上げる。

「ナカナカやりマスね。」

『(さっ)ふっ、まだまだ序の口よ。』

TaSとフランク長瀬は、共に不敵な笑みを浮かべた。
そして、周りのギャラリーは、全員が全員圧倒され、沈黙していた……と言うより、
あんぐり口を開けていた。
そして一呼吸後。

「「「「「…………び、ビーム出すなぁあああっ!!」」」」」」

Yin以下観衆もひっくるめて全員で総ツッコミ。

「WHY? 何でデスか? ビームはアフロの標準装備なのニ……。」

心底不思議そうにそう言うTaS。
絶句するデコイとYin。

「し、知らなかった……」

そして、Yinははっとする。

「って、まさか俺達のアフロにも?」
「当然デショウ?」

「何を言ってるんだい君タチ? HAHA!」とばかりにTaSは両手を広げる。
Yin&デコイ、絶句するのその2。

「………………。」
「………………。」
「うーん、アフロって奥が深いんですねぇ……」
「感心するなっ!」

しみじみと言うとーるに、それでもツッコミを忘れないYinだった。

一方の観衆達は、目の前で展開される想像を絶する戦いに………………興味津々であった。
つくづく適応力の高い連中である。
それはこの学園にいるせいで培われたという説もあるが。

「やっぱりな。俺はあのアフロはビームを撃つと絶対思ってたんだ!」
「次はやっぱり触手だぜ、触手!」

「わぁ〜、スゴイねアフロさんっ☆ 私もアフロになろうかな〜?」
「……たけるさん、それだけは許して下さい(しくしく)」
「オレもそう思う……。」

さて、再び目を転じてTaSとフランク長瀬。
お互いの一撃目は相殺された。
先に次なる一手を出したのは……やはりTaSだった。

「あふろッ! ボォォォォォルッ!!」

ばよよよよ〜ンッ!
やはり奇怪な音を立て、TaSのアフロから真っ黒な鋼鉄球と思しきものが連射される。
その球は、猛烈なスピードを以てフランク長瀬に迫った。だが、

『(さっ)ふっ、甘いわ! 禿頭流……』

フランク長瀬の言葉(プラカード)と共に、その禿頭が輝く!
彼は、その禿頭を迫る黒球に向けて突きだした。
……そして、その光が止んだとき、どーゆーわけか、黒球はTaSに向かって飛んでいた。
ひゅんひゅんっ!

「ワッ! ビックリしまシタ〜!」

TaSは、やたらと緊張感のない声を出しながら、すんでのところでそれを避けた。
再び静寂。
皆が皆、驚き桃の木山椒の木だった。
そう、確かにアフロの放った黒球は、フランク長瀬のどタマを直撃するはずだった。
だがしかし、フランクの頭部が光った後見たものは、自分の放った黒球に襲われるアフロだった。
しかも、そのスピードは全く変わらず。

「ど、どうなってるんだ……?」

Yinが呟く。 まるで狐につままれたかの如く。
そして、その思いはその場にいたほとんどの人間も同じだった。
ざわざわと騒ぐギャラリー。

『(さっ)ふっふっふ、これぞ禿頭流・禿頭滑!』

説明モードに入るフランク。
説明用プラカードに食い入る観衆。

禿頭滑:古代中国の、王禿明なる人物が考案した秘技。
    「防御こそ最大の攻撃」と言う彼の思想を体現化した恐るべき技。
    その内容は、磨き上げられた禿頭で攻撃を滑らせてかわす、と言うもの。
    達人レベルになれば、鈍器から刃物までなんなく滑らせると言う。
    特に禿明は、練り上げられた禿氣を利用し、その攻撃をした本人に返してみせた、と伝えられる。

(民○書房刊「万物の霊長は禿頭に有り」より)

「わ〜、ハゲさんもすごーい。 私、ハゲになろうかな〜☆」
「たけるさん、それもやめてください……(しくしく)」
「オレもそう思う…………。」

「な、なんと言うことでしょうか……それではTaSさんの攻撃は?!」

唾を呑み込むとーる。
その目の前で、フランクの禿頭滑がその威力を発揮する。

「あふろびぃぃむっ!」

みょいんみょいんみょいん…………かき〜ん!

「あふろぼぉぉぉぉっるっっ!」

ばよよよよ〜んっ!…………かき〜ん!

「あふろ触手ゥ〜っ!」

ぐねりぐねりぐねりぐねり…………かき〜ん!

「あふろふぁんねるっ!」

きゅいんきゅいんきゅいん、ぴしゅんぴしゅんぴしゅん…………かき〜ん!

TaSの攻撃は、全て禿頭滑の前に跳ね返され、TaSに牙を剥くのだ。
TaSは、己に返ってきたそれらをほうほうと避けた。

「うーん、困りマシた。」

全然困っているように聞こえない……が、追いつめられた状況であるのには違いない。
フランク長瀬は満足げに笑った。

『(さっ)ふっふっふ……貴様の攻撃はこの程度か?
 それでは我が禿頭滑は破ることなどできぬ!
 ……そして、我が禿頭会を倒すこともな!』

『(さっ)…………食らえ………………禿頭砲・乱れ撃ち!』

びぃぃぃむっ!!
フランク長瀬の頭部から、例のレーザーがやたらめったらに打ち出される。
その様はそう、拡散メガ粒○砲の如し。

「ワッワッ危ないデース!」

それを、ひょいひょいと老獪かつ軽快なステップでTaSはよける。
TaSに当たらなかったレーザーは、その背後にいたギャラリー多数に命中し、その頭を禿に変えた。
辺り一面は阿鼻叫喚のハゲ地獄に豹変する。

「うぎゃああああっ!」
「ひぃぃぃぃぃっ!」
「は、ハゲがぁぁぁぁッ!」

そして、ハゲレーザーはしつこくTaSを追い回す。
巧妙な動きでそれを避け続けるTaSだったが、あるとき突然躓いた。

「ワッ!?」
『(さっ)貰った!』

フランク長瀬はその隙を逃さず、TaSに向けて収束したハゲレーザーを放った。
直撃!
そして舞い上がる砂塵。

「終わったか……?」
「アフロマスターもこれまでなのか?」
「TaSさんっ!」
「TaSちゃんが……」
「ますたぁ……」

Yinは祈った。
強く強く。
そして信じた。
TaSと言う男はこの程度で終わる奴じゃないと。
アフロはこの程度で負けるようなヤワな髪型ではないと!
砂煙が晴れる。
そこにはハゲに変えられた者達がいて、そして……。

「あ〜、危なカッたデス。」

その地獄の中から、TaSは立ち上がる。
その黒々と雄々しいアフロと共に。
Yinは快哉を叫ぶ。

「やっぱりな! それでこそますたぁだぜっ!」

『(さっ)おのれ……まだ禿頭にならぬとは……』

苦虫をかみつぶした様な表情のフランクに、TaSはフッと笑って答える。

「チッチッチ、アフロを甘く見てはいけマセーン。
 このテードならバリアで防げマース。」
「へへっ、見たかよ!これがアフロだぜっ!」

……なんだか、段々Yinが壊れつつ有るようだが、筆者ももーどうでも良くなってきた。
決戦ムード万歳!(しつこい)

「サテ、ではワタシの方も奥義を出させて貰いマス。」

ニヤリ……
その笑みにフランクも怯む。
TaSは、ゆっくりとその両腕を肩の高さまで上げる。
そして……その腰を最初はゆっくり、次第に早く振り始める。
カクカクカクカクカクカクカクカク……

「あっ、あれは……あれはタマダンス!」

そう叫んだのはデコイだ。
その額には汗が滲んでいる。

「た、タマダンスと言うとあの……?」

Yinも思わず聞き返す。

「ああ、そうだ、アフロ同盟禁断の秘技……」

デコイのその言葉に、周りのギャラリーにも緊迫した空気が漂った。
タマダンス……それは、アフロマスターTaSの奥義だと言われているが、その真実の姿は
今まで厚いヴェールに閉ざされてきた。
噂に寄れば、第二購買部部長・beakerがTaSより伝授されたと言われるが、それもまた定かではない。
そのアフロ最大最高の秘技が、今衆目に晒されようとしている。
ギャラリーは、全員が全員沈黙し、固唾を呑んでTaSを見守った。

TaSは……TaSの腰は、更に加速を続けていた。
カクカクカクカクカクカクカクカクカクカクカクカクカクカクカクカク!
恐るべきスピード。
その動きは、もはや常人の動体視力では捉えられない域まで達していた。

「わ〜、楽しそう〜。私も教えてもらおうかな〜?」
「たけるさん、お願いですからよしておいて下さい(しくしく)」
「オレもそう思う………………。」

カクカクカクカクカクカクカクカクカクカクカクカクカクカクカクカク!
ギャラリーが捉えられるのは、TaSの腰が空を突く音と、その残像だけである。
静寂の中、TaSの腰の風切り音だけが断続的に続いていた。
フランク長瀬のハゲに珠の汗が滲む。

『(さっ)くっ、そんなダンスが何になる!
 そんなモノに禿頭が破れるものか!』

フランクは、そうプラカードを差し出すが早いか、パワーMAX禿頭砲をTaSに向けて放った。
ずっびぃぃぃむっ!
ずびしゃっ!
あっけなく、実にあっけなく、禿頭砲はTaSを直撃する。
タマダンスを続けていたTaSを。
そして、TaSは……消滅した。

『(さっ)なっ……? か、勝ったのか?』

フランクはあっけに取られる。
予想外の出来事である。
だが、自分の撃った禿頭砲を食らい、TaSは消滅した……つまり、勝利……のはずではある。

『(さっ)は……はっはっは! 何がアフロだ!何がタマダンスだ! 所詮はその程度ではないか!』

フランクは天を仰いで笑う。

『(さっ)この勝負……我が禿頭会の勝……』

フランクは、己の……そしてハゲの勝利を高らかに宣言しようとした。
だが、その時……

「チッチッチ、アフロを舐めてはイケないと言っタはずデース。」

不気味にその声は響いた。
フランクは慌てて周りを見渡す。
だがTaSの姿はない。

「フッフッフ……ドコを見てマスか?」
『(さっ)き、貴様、どこにいるっ! 姿を見せろっ!』

うろたえるフランク。そのフランクに、姿無きTaSは不気味に言った。

「ワタシはアナタのすぐ側にイマス。 きづきまセンか〜?」
『(さっ)私のすぐ側だと……?』

「ソウ、気づきませんカ〜? アナタは既にアフロのウチにありマス。」
『なっ? ま、まさか……』

はっとするフランク。
そして、彼はその手を己の頭に乗せる。
手触りもこもこ。
……そう、そこにはアフロがあった。

『(さっ)ば、馬鹿なァァァァっっ!!』

「AHAHAHAHAHA〜! コレでアナタもアフロデース!」

『(さっ)ぐあああああっ!! 嘘だっ!嘘だっ! わ、私の誉れ高き禿頭がっ!禿頭がぁぁぁッ!』

「AHAAHAAHAHAHAHAHAHA〜ッ!」

叫び、苦悩するフランク。
彼が長年培ったハゲへの誇り! ハゲへの執着! ハゲへの愛!
……今、アフロはその全てを打ち砕いたのだ。

……
……
Yinは、呆然と目の前の光景を見やっていた。
一体フランクの身に何が起きたのか、彼は理解していなかった。
彼が見たのは、TaSがタマダンスを踊り始めた直後、突如苦しみだしたフランク長瀬だった。
彼は、TaSがまったく何も手を出さないにも関わらず、苦しみ続けているのだ。
時折「アフロ」の単語をうめきつつ。

「こ、これは一体……?」

訝しむYinに、TaSは言った。

「コレがタマダンス……マタの名をアフロ幻魔拳デース。」
「あ、アフロ幻魔拳?」
「YE〜S! アフロ幻魔拳は、タマダンスのコシの動キと音で相手にマボロシを見せる技デス。
 アフロ幻魔拳に掛かったヒトは、三日三晩アフロの幻を見るんデス。
 HAHA! トッテモHAPPYでFANKYなユメでショウ?」
「恐ろしい……」

さも楽しそうに語るTaSに、Yinは心底この男が味方で良かった、と思うのだった。

「お、覚えていろ〜っ!」
「この借りは返すぞ〜!」

橋本&矢島が、お約束な捨てぜりふを吐いてフランク長瀬を引きずっていく。
フランクは、以前アフロの幻に苛まれているらしい、ブツブツと何事か呟くばかりで、意識はこの場にない。
……TaSvsフランク長瀬の決闘は、TaSに軍配が上がった。
そう、アフロ同盟の勝利である。

決闘を見終わったギャラリー達は、一人また一人と去っていく。

「スゴかったね〜、面白かったね〜っ☆」
「はい。でも、もう二度と見たくない気もしますね。」
「オレもそう思う……………………。」

それはギャラリー全員同じ気持ちだったろう。
こんな濃いのは一度で十分である。
と言うか、作者も胸焼けしてるのでもう書きたくない。
っていうか、なんでこんなもん一生懸命書いとるんじゃあああっ!!

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………………………………
………………………………

閑話休題。
禿頭会が逃げ去り、野次馬が立ち去り、校庭には元の通りアフロ同盟だけが残った。
今や陽も沈みかけ、紅い夕日が黒いアフロを染めている。

「フゥ、今日はトッテモビジィ〜だったデスね〜。」

そう言ってサングラスの向こうの目元を細めるTaS。
そのTaSを、Yinは眩しそうに眺めた。

「ますたぁ……」
「ハイ、なんデスか?」
「ますたぁ……俺……アフロになってよかった……。」

Yinは、そう言って微笑を浮かべる。
TaSはいつものおどけた笑顔を浮かべた。

「HAHAHA、アフロだからトーゼンデース!」

キラリと光るTaSの歯。

「へへっ……」
「ははは……」
「くすっ……」
「あはは……」

共に笑顔を見せあうアフロの仲間たち。
デコイ、Yin、とーる、瑠璃子、そしてTaS。
皆の心は一つ。アフロの元に一緒だった。

「「「「「アフロ同盟ばんざ〜い!!」」」」」

夕陽射す校庭に、高らかに彼らの声は響いた。
ああアフロ同盟よ、永遠なれ!!

…………………………

「アフロさんたち、仲がいいんだね〜☆」
「でも、何かが間違ってる気がします。」
「オレもそう思う…………………………。」


ちゃんちゃん。

(アフロVSハゲ 決戦大海獣 (了))

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おまけその1

がしゃん!
一条のスポットライトが点灯する。
その光に照らし出される二つの人影。
橋本&矢島である。
二人は身を寄せ合い、ぶるぶると体を震わせている。

がしゃん!
もう一条のスポットライト。
それが照らすのは、玉座に鎮座する白いローブの四人の人影だった。
そしてもう一人……それはギャラだ。
薔薇リアン’sにギャラは問いかける。

「お兄さま方、今回の彼らの裏切り行為……禿頭会なる組織への肩入れ……これに対する処置は
 いかが致しましょう?」

ギャラのその言葉を聞き、橋本と矢島は「ひぃっ」と呻いた。

「お、俺達は好きこのんでフランクの奴に手を貸したんじゃないんですっ!」
「そ、そうっス! あの野郎、俺達を無理矢理引きずり込んで……」

必死に自己弁護を計る二人。
だが、LEDはその手をついと上げ、その弁護を押しとどめる。
二人はびくりとなって黙りこくった。
そして僅かな間。
LEDは口を開いた。

「醜いな……」
「は、はっ?!」
「醜い……その貴様らの言い訳も……そして、その禿頭も……醜い。」
「いかなる理由があろうと、この薔薇部をそのような禿頭で汚した罪は逃れられぬ。」
「加えて我らに背いたその罪も逃れがたし。」
「やはり、”お仕置き”が必要でありましょう。」

LEDに続き、テロル、ホノオノ、名無しの薔薇が次々と発言する。
その度に、橋本と矢島は震え上がった。

「では、今回の仕置きは何がよろしいでしょうか?」

ギャラの問いに、LEDは多少思考の間を置いて言った。

「……”薔薇尽くし”がよかろう。」
「かしこまりました。」

「”ば、薔薇尽くしっ?!”」
「そ、それだけは勘弁して欲しいっス!」

顔を真っ青にしてうろたえる二人。
だが、LEDはその二人を無視し、冷然と言うだけだった。

「やるがいい……」
「はっ。」

LEDの言葉を受け、ギャラはパチンと指を鳴らす。すると……
がこんっ!
突如、橋本と矢島の足下の床がパカリと割れ、二人はその暗闇の中に落ち込んでいった。

「「いやぁぁぁぁぁっっ!!」」

そしてその場には薔薇リアン’sとギャラが残された。

「禿頭会、か。我ら薔薇リアン’sの理想と相対するもの。」
「いずれは我らの前に立ち塞がりましょうな。」
「なれば……我々としても取るべき道を取らねば。」
「「「「全ては高貴なる薔薇の香りのために!!!」」」」




おまけその2

アフロ同盟も去った後の校庭、XY−MENの屋台。

「お〜、おたけさん、ご苦労さん。」
「あ、ハイドさ〜ん! 見て見て、わたしちゃんとビデオ撮ったんだよ、えらいでしょ〜☆」
「おうおう、えらいえらい。君の撮ったこのビデオは、我が13使徒の貴重な資料として
 活用されるだろう(もぐもぐ)」
「どーでも良くないんだが、あんた、たこ焼き食うはいいが、ちゃんとお代を払うんだろうな?」
「…………………………………………………………………フッ………………………………………
 おたけさん、電芹……」
「うんっ☆」
「はい。」
「撤収ッ!!」
「わ〜い☆」
「はいっ!」
「待ちやがれコラァ〜っ!! 食い逃げ〜っっ!!」

XY−MEN、ハイドラントを追いかけ。
ところが屋台にいつの間にか別の人影が……

「ふっ、忍法隠れ身の術。 うむ、これこそ忍者の本懐。 秋山登、ここにあり!
 わっはっは! ……と言うわけで、漁夫の利を有り難く頂いていこう(はむっ♪)」

「許すかこのやろ〜っっ!!(げしっ)」

XY−MENいつの間にか戻りざまアッパー。

「うををををうっ! き、勤労学生の意地の一撃に78点をやろぅぅぅぅぅっっっっ!!」

吹っ飛ぶ秋山登。

「は〜は〜、少しはすっきりした……。
 ちくしょう、ハイドラントめ……いつか、溜まりに溜まった5400円分のただ食い分、
 必ず支払わせてやる……。」

楽しげに血反吐を吐きながら空中を舞う秋山を見つつ、XY−MENは誓うのであった。


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