新必殺技誕生! 発動せよ、驚異のSモード! 投稿者:XY−MEN
──ある日の科学部。

「よぉ、柳川先生よぉ……」

「おう、なんだ、ジン?」

「俺のパワーアップの件なんだけどよ……」

「ああ、ハイパービームサーベルとメガブラストキャノンの開発か?
 それなら順調に進んでいるが、どうした?」

「それなんだよ、それ。
 どーもよ、物足りない気がするんだが……」

「威力なら十二分のはずだが?」

「いや、威力の事じゃねぇんだ。
 もっとこう、俺の求めるモノは違うような気がしてよ……」

「なんだ? 何が不満だと言うんだ?
 もう少し分かりやすく言え」

「つまりあれだ、もっと燃える感じのパワーアップがいいんだよ!
 魂揺さぶるようなアレだ、アレな感じだっ(ぐっ)」

「ふむ……つまりは合体か? 合体ならば……ふむ、koseki辺りをパワーアップ
パーツとして改造するとか……」

「(びくぅっ)」

「……いや、合体は合体で燃えるけどよ、もうちょっと何かねぇか? もうちょっとよぅ?」

「そんな事を俺に聞くな」

「もっとこう、アレでアレな感じで燃えるぜおいってなる方法はねぇのか?
 くそう、何か物足りねぇ!物足りねぇぞ!」

「フハハハハ、甘いぞジンッ!」

「な、何ぃ?!
 お、お前は秋山っ!?
 俺が甘いだとっ?!……そんな事……そんな事……小動物みてぇに可愛らしく
天井裏から顔を出して言われたくねぇぞっ!」

「(スタっ)ジンよ……お前は大事な事を忘れてはいないか?」

「大事な事だと?」

「そうだ! 人を燃やす物は何か!人を惹きつけるのは何か!もう一度己の心に
問うてみろ、ジン!」

「人を燃やす物……求めて止まない物……そう、それは必殺技だ!」

「そうだ!……だが、それだけでは80点ンンンンッ!」

「何ぃ? 何が足りないと言うんだっ!?」

「ジンよッ!我らはその先を問わねばならないッ!
 即ち、何故故に必殺技は燃えるのか?をだっ!」

「何故故に必殺技が燃えるのか……?」

「そうだ!必殺技は燃える……だが、何故必殺技は燃えるのだ?!
 必殺技は一撃必殺の技!……だが、それが30分間の間に何回も何十回も連発
されたとしたら、それは燃えるだろうか? 否、それは否だっ! 必殺技は、連発
するものではないのだっ! ジンよっ、必殺技の燃える理由とは、それが一撃必殺
であるという事実への認識から生まれるカタルシスにこそある!そのたった一撃を
放つまでのその道程こそが、必殺技を必殺技たらしめる! つまりは……」

「つまりはっ?!」

「お前に足らないのは……各部展開だぁぁぁぁぁッッ!!」

「かっ、各部展開ッッ!!?」

「そうだっ! 必殺技モードは漢の憧れ!
 その時に行われる各部展開こそ、そのかっこよさをブチ上げるっ!
 シルエットは変わり、BGMも専用だっ!
 激しく闘志は燃え上がり、必殺技がうなりを上げて敵を引き裂く!
 これぞ……これぞ、まさに漢冥利ッ! 違うかジンッ?!」

「そうだ……そうだそうだそうだッ!
 それこそが俺の求めたモノ!俺の求めた力ッ!
 各部展開でスーパーモードでもハイパーモードでもウルトラモードでもいいっ、
なりてぇんだ……なりてぇんだ俺はッッッ!
 柳川先生ッ! 今すぐ俺に必殺技モードを付けはぶれぐぉうっ?!(どさぁっ)
 な、何をする秋山ッ!?」

「ジィィィィィィンッ!だからお前は甘いのだッ!
 いつもいつもいつも柳川に頼ってばかりいてはならないッ!
 必殺技モードも各部展開もっ、己で掴んでみせろっ!
 俺は己のSモードを手に入れたぞッ!」

「な、何だとぅっっ?!」

「見せてやるッ、秋山登のSモードをなぁぁぁぁッ!!
 はああああぁぁぁぁぁぁぁぁッッッッ!」

「う、うぉぉっ?! す、すげぇ闘気だっ!?」

「(ピカァァァ)はあああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁッッッッッッ!」

「ああっ、秋山さんの体が金色に輝いているっ?!」

「(ピカァァァ)いくぞっ、各部展開ィィッ!!!(ズババババッ)」

「こっ、これはぁぁぁぁぁっ?!!」

「(ピカァァァ)秋山登! Sモードォォォォォッッッ!!!(ガィィィィンッ!)」

「おおおお……って、全裸で金ピカに光ってやがるんじゃねぇッッ!」

「(ピカァァァ)はっはっは! 見たかジンよっ!
 これが秋山登式S(赤裸々)モードッ!!
 さぁ今すぐお前もこのSモードを修得せぶろぐぇっ!!(パリーン!)」

「するか馬鹿野郎ォォォォッッ!」


「(ひゅ〜ん……どかっ……ピカァァァ)
 ふふふ……相変わらずいいパンチだぜ、ジン! ……む?」

「はわ〜、金色に光ってますぅ〜」

「(ピカァァァ)おお、そう言うお前はマルチではないか!
 よい日柄よな!」

「はい、とってもいいお天気です。
 秋山さんはお元気ですか? 私はとっても元気です」

「(ピカァァァ)はっはっは、それは良いことだ!とても良いことだぞッ!」

「あの……秋山さん、裸ですけど大丈夫なんですか?」

「(ピカァァァ)はっはっは、心配無用ッ!
 この秋山登、こんな事もあろうかと体は鍛え抜いてあるのだッ!
 風邪などどこ吹くものよっ!」

「へぇ……つまり、裸になるために鍛えてるんですねぇ」

「(ピカァァァ)いかにもその通りッ!……おお、犬コロが現れたぞ、マルチ!」

「犬さん犬さんこんにちは!」

「(ピカァァァ)犬よ見よッ!これぞ秋山登なりっ!(ぽーじんぐっ!)」

「ぐるるるる…………」

「あれ? 犬さん、機嫌が悪いみたいです」

「(ピカァァァ)はっはっは、そのような日もあろうなっ!」
           ・
           ・
           ・
           ・
           ・
           ・
           ・
           ・
「(ピカァァァ)ああっ、放せぇぇぇぇっ!放してくれぇぇぇっ!!(ぐねぐね)」

「えーい貴様っ、金色に輝きつつ暴れるんじゃないッ!
 ……で、コイツを独房入りにするが、構わないな、ジン?」

「……なんで俺に聞く、ディルクセン?」

「い、いや……何となくお前に断っておかないといけない気がしてな……(目逸らし)」

「なんだその目逸らしはっ!コラっ!」

「い、いや……ちょっとな……(なおも目を逸らし)
 よしお前達っ、とっとと独房にブチ込むぞっ!」

「ハイッ!(担ぎ上げ担ぎ上げ)」

「(ピカァァァ)ああっ、よせっ、やめろぉぉぉっ! うさぎは寂しいと死んじゃうぅぅッ!
 あ、でも、結びのキツさがちょっといいいいッ!!」

「(ピカァァァ)ジィィィィィンッッ! ジィィィィィィィィィィィィィィンンンッッ!!」


「(ピカァ)ジィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィンッ!」




「(ピカ)ジィィィィィィィィィィィン…………………………」








「(ピ)ジィィィィン…………………………」










「柳川先生…………」

「ん、何だ?」

「俺、やっぱスーパーモードいいわ」

「そうか……」