Lメモ過去編 『銀狼流浪す(前編)』 投稿者:XY−MEN
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  注意その1 :
  この作品は、ハイドラント氏著・Lメモ私的外伝10「銀狼と暗殺者」を受けて書かれたものです。
  「銀狼と暗殺者」を読んでないと分からない部分があるかも
  「銀狼と暗殺者」を読んでないと分からない部分があるかも知れません。
  
    その2 :
  この話は「XY−MEN」の過去編であり、作中の「オレ」とは即ち「XY−MEN」です。
  念のため。

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ひゅっ!
暗闇の中、一筋の閃きが走る。
それは、ほんの一瞬軌跡を残しただけで消えた。
オレの爪だ。
オレの爪は、オレの意のままに、振り下ろされるままに目の前の敵の胸板を容易く引き裂いた。

”ぎいいいあぁぁぁっ!!”

絶叫する敵。
そして、それとほぼ同時に血潮が吹き出て宙に舞う。
オレの視界を血潮が遮る。
月すら出ない夜に見たそれは、けして紅くなど無く、ただの黒い液体だった。

何処とも知らない雑木林の中。夜の帳は既に降りている。
戦闘時の鋭敏な感覚がスローモーションに捉えた世界の中で、オレは独り闘っていた。
相手は五人。
魔術師……と言われる連中と、剣士と言われる奴ら、それらが混成されて五人だった。

今倒した敵が、ゆっくりと仰向けに倒れていく。
三人目。
オレは数える。
残るは後二人。魔術師と剣士、それぞれ一人ずつ。
オレは素早く体勢を立て直そうとする。
剣士の方は、既にあと数歩の間合いまで詰めていたからだ。

ぎらり。
剣士の持つ刃が、闇の中、それでも微かに光を反射する。
剣士は振りかぶった。
来る!
白刃が、オレの左斜め上から襲ってくる。
オレは一瞬に賭けて体をそらす。
びゅっ!
一閃。
オレは、その太刀筋をかわしきることが出来なかった。
ぱっくりと左の肩口に傷が開き、血が吹き出る。鈍く痛みが走る。

「オオオォッ!!」

瞬間、オレの中に強烈な衝動が起こった。
激昂、と言うべきか? 反射的に起こったその感情のままに、オレは右拳を力の限り剣士の胸に叩き込む。
拳が剣士の体にめり込む。
ばきばき、と伝わる手応え。
肋をへし折ったのだ。
剣士は泡を吹いて昏倒し、その場に倒れ込んだ。

四人目。
心の中で呟く。
だが、その瞬間、オレは背後から魔術の一撃を食らった。
衝撃がオレの体を前に飛ばし、少しだけ体が浮く。それを足を踏ん張って何とか耐えた。
ちりちりとオレの背を焼いたその魔術は、熱衝撃波だろう。
オレは痛みを堪えつつも振り返る。

今熱衝撃波を撃った当人である魔術師は、驚愕の表情を浮かべているようだった。
恐らくは自信を持って放った一撃だったのだろう。
確かに大した威力だった。オレの背は丸ごと焼けてしまった。
だがオレは倒れない。
「銀狼」はこの程度では倒れない。

「ウオオァァッ!!」

オレは叫ぶ。叫びつつ大地を蹴って魔術師に向けて突進する。
距離は約20m。「銀狼」の力をもってすれば駆け抜けるのは一瞬だ。
驚愕に歪んだままの魔術師の顔が近づく。
その口がぱくぱくと何かを……おそらく魔術のキーワードを紡ぐ前に、オレの攻撃が届いた。
加速度のついた蹴りが魔術師の胴に突き刺さる。
魔術師は、その圧倒的な衝撃をまともに受け、吹き飛んでそこいらの木に激突し、気を失ってずり落ちた。

五人目。
……戦闘は終わった。
オレは荒く呼吸をしながら、周りをゆっくり見回す。
オレが倒した奴ら……刺客とでも言えばいいのか?……そいつらが、それぞれに傷を負って倒れていた。
肉を引き裂かれた者、骨をへし折られた者……。手加減など出来ないから、全員重傷を負っている
……だが、多分、死に至るほどの傷ではないはずだ。
そう思いたかった。
望んで戦ったわけではなかったから。

「オレは……オレはなぜ戦っている? オレは……オレは何故こんな事をしているんだっ!!?」

虚空に叫ぶ。
答えなど返ってくるわけはない。
だが、オレは叫ばずにはいられなかった。
オレは、その答えを心から渇望していた。

焼けただれ、敵と己の血潮に濡れた銀毛。
敵を引き裂いた爪。
孤狼としか言い様のない、凶暴なその顔。
銀狼。今のオレのこと。
オレには、その全てが呪わしかった。



Lメモ過去編 「銀狼、流浪す」



闇が、静寂がオレを包んでいる。
湖の湖面が目の前で穏やかに揺れる。
オレは、放心したようにそれを見つめながら、傷が癒えるのをじっと待っている。
ゆらゆらと揺れる湖面は、満天の星達と、オレの姿を少しだけ歪めて映し出す。
そこに映ったオレは……”銀狼”のままだった。

”銀狼”は、微かにその瞳に悲しみを宿していた。

「なぜ……」

漏れる言葉はそれだった。
数ヶ月前……全ては数ヶ月前のあの日に始まった。
その日鶴来屋を訪れたオレは、鶴来屋を襲った暗殺者達に運悪く出逢ってしまった。
そして、暗殺者達に襲われたその時、オレはオレ自身知らなかった力……”銀狼”と呼ばれる
獣人の力に目覚めた……いや、目覚めてしまった。
オレはその力で、なんとか暗殺者達を退けることは出来た。
だが、その後……オレは”銀狼”の姿のまま、その場に立ちつくした。
”銀狼”の事をそれまで知りもしなかったオレは、”人”に戻る方法を知らなかった。
いや、戻れるかどうかすら分からないのだ。
オレは恐れた。
オレの、オレ自身の姿を。
そして、人がオレの姿を見て恐れることを。
オレはその場にとどまるわけにもいかず、鶴来屋を離れ……更に刺客達の追撃を受けて、
隆山を後にした。

それから後は、どこをどのように彷徨ったか分からない。
なぜなら、まるきり狼男の今の姿のままでは、町中をただ歩くことすらままならないからだ。
実際、迂闊に夜の街に忍び込んで、人に見つかって大騒ぎを起こしてしまったこともある。
そんなこともあって、オレは森や林に紛れて逃げ回るしかなかった。
そして、方角すら定めずに、あちこちを点々とした……らしかった。自分にもよく分からない。

「オレは……何のために?」

オレの心は虚ろだった。
この数ヶ月間のオレは、逃げ、隠れ、そして戦う……その繰り返しだ。
昼間は人に見つからないよう森に潜み、夜になると食料を求めて町へと密かに入る。
定期的に移動しては追っ手に見つかり、戦い、そしてまた移動する。
繰り返す。繰り返す。
だが、何のために?
今のオレに、その問いにに答えるだけの理由などない。
どこに向かっているわけでもなく、何かを目指しているわけでもない。
ただ追われるから逃げ、襲われるから戦うだけ。
死にたくないから生きているが、進んで生きているわけじゃない。
……オレは、そんな先の見えない生活を続けることに疲れていた。

”いつまで戦い続ける!? いつまで逃げ続ける!?
いつまでオレはこの姿のままなんだ!? いつになったら人に戻れる!?”

そんな自問も、もう繰り返すのは飽きた。

目を閉じる。
それでも、まだ死ねない……そう思うから、オレはしばしの休息を取ろうとする。
膝小僧を抱え、その間に頭を差し入れる。
僅かに緊張を残したまま、全身から軽く力を抜く。
眠気と全身の痛みとの間で、眠りの闇の中へ落ちていく。
明日になれば何か解決するかも知れない。諦めの中、そんな僅かな望みを抱いて。




獣の眠りは浅い。
それは、外敵にいつ襲われるとも知れない状況下において、睡眠という最も危険な状態から
素早く己を立ち直らせることが必要だからである。
オレは、その獣の持つ危機感を強く突かれて跳ね起きた。
時刻は明け方の頃合いで、辺りは人の目でも見渡せるくらいに明るくなっている。
寝起きのもやのとれない頭が思考を明確に形作る前に、本能が察知していた。

”近づくモノが複数いる!”

すぐさま視覚、聴覚、嗅覚……それらを駆使して最大限の情報を集めにかかる。
そして、森の奥に幾つかの人間の反応を見つけた。
間違いなく忍ばせている、小走りの足音。
微かに漂う殺気。
姿こそはまだ見せなかったが、オレは確信していた。

「また追っ手か……」

自分の体の状態を確認する。
昨晩の戦闘で受けた傷は、銀狼の持つ強力な回復能力によって完全に癒えていた。
だが、オレは出来うる事なら戦いたくはない。
戦えば勝てるかもしれない。おそらくは勝てるのだろう。
だが、戦えば戦うほど、オレはそんな自分に疲れていく。
何の意味もなく、何の価値もない戦いばかりを続けなければならない自分が嫌になっていく。
そんなのはごめんだ。
だから、オレは逃げようと決めた。

連中は、湖を背にしたオレを包囲するつもりのようだ。
多対一の戦闘なら、当然の作戦だろう。
しかし、まだ包囲は完全ではない。
左手方向には、まだ何の気配もない。
オレは素早く身を翻し、左へと走った。

深い森の中を、飛ぶように駆ける。
足下に積もった枯れ葉を蹴り、木々の幹をかわしながら。
背後から追う者たちの気配が伝わる。
だが、奴らは次第にオレから引き離されていく。
”銀狼”の脚力は、常人のそれとは比較にならない。
オレを追う刺客達も常人を越えた能力を持つ者ばかりだが、それでも追いつけるものではないようだ。

急な傾斜を駆け登り、そろそろ連中もオレを見失うころだ、と思った。

その時、オレの目の前が開ける。
森が終わり、草原が広がっていた。
早朝の澄みきった空気が広がる草原。
遙か向こうには、今ちょうど山々の稜線から、朝日が顔をのぞかせようとしている。
オレは、その草原の真ん中に一人の男が立っている事に、しばらくして気が付いた。
不思議なことに、オレはそれまで気が付くことがなかった。
男は、まるで草原の空気の中にとけ込むように、何気なくその場所に立っていた。
オレは、改めてその男を見る。

その男は、白髪混じりの髪をオールバックにまとめた老人だった。
いや、老人、という言葉はあまり似つかわしくないかもしれない。
鋭くオレを射抜くような眼光、強い意志を感じさせられる真一文字の唇、その上に蓄えられた見事な髭。
そしてなにより、その体躯は全く老人の物ではない。
衣服の上からでも十分に分かるほど、その体は鍛え上げられ、隆々とした物だった。

老人……いや、男が口を開いた。

「獣人よ、貴様は何処へ行く?」

「何……?」

オレは口ごもった。
それは、その問い掛けが唐突だったからもある。
だが、それ以上に、その問いはオレの胸に強く突き刺さった。
だから、オレは答えに窮したのだ。
男は再び言う。

「貴様は何処へ行く……と言ったのだ。」

低く穏やかだが、重い口調だった。

「そんなこと……オレが知ったことか! あんたには関係ないだろう!!」

オレは、半ばヤケ気味にそう返す。
思わず叫んだのは、問いに真っ正面から答えられない後ろめたさのせいなのだろう。

男は、その答えを聞いてふと黙り、オレをじぃと見やった。
オレは奇妙な緊張感に襲われる。

”この男は何を言いたいんだ?”

オレがその間に焦れて何かを言おうとしたとき、男が再び口を開いた。

「ならば来栖川の元に来んか?」

「何?」

意外な言葉だった。
言葉の意味を計りかねて、オレはどうリアクションしていいか分からなかった。
……もっとも、男が何を言うかなど、何も予想はしてなかったはずだが……。

「我ら来栖川は、貴様の様な獣人やミュータントなどの保護を行っておる。
 ……貴様は追われておるだろう? 我々の元に来れば、身の安全を保障しよう。」

「来栖川……保護……」

オレは男の言葉を反芻する。
来栖川、と言えば、日本屈指の大財閥だ。
電化製品を初めとして、各分野で幅広い事業を展開している……と言うのはオレでも知っている常識だ。
町を歩けば来栖川製品のメイドロボを時折見掛けたりもする。
その来栖川が、オレを保護する?
世事に疎いオレとは言え、来栖川がそんなボランティアをやってるなんて話は知らない。

「キナ臭いな……」

それがオレの感想だった。
第一、獣人とかミュータントと言う時点で、それは裏の世界の話になるのだろう。
疑ってしかるべきだった。

「他の連中は貴様を捕獲し、研究材料として扱うのだろう。
 だが、来栖川は他の連中とは違う。
 あくまで保護することが目的であり、手段ではない。
 我々は、貴様のような特殊な能力を持つ者が悪用されるのを防ぎたいのだ。」

男は訥々と話す。
それなりに理屈の通った話と言えないこともない。
それに、これまでこうやって正面から話し合いをしてくる奴もいなかった。
オレは興味を少し引かれたが、しかし、だからと言って、そう易々と信頼する気にもなれなかった。
そんな都合が良くて、良心的な話など、そうそうあるものと思えなかった。
オレは少し黙った後、訊いた。

「もし、嫌だと言ったら?」

その問いを聞いて、男の眼が光った……と感じた。

「その時は……実力で行くしかないな。」

オレは少し期待を裏切られたような気持ちになりながら、予想通りだとも思っていた。
オレはため息をつく。

「なら、断る! 結局組織がやることって言うのはそんなもんだろうが! 信じられないな!」

そう言うと、オレはさっと身構えた。

男の方もまた、一つ嘆息する。

「止むを得まい。 なるべくならこの方法は避けたかったが……貴様を倒して連れ帰る。」

低い声で静かに呟くように言うと、構えを取った。


腰までもある草々の中、オレと男は対峙した。
オレも奴も動かず、風もない今、その場はまるで時が止まったようだった。
ただ、刻一刻と登りつつある太陽が、その照らす範囲を広げていき、確実な時間経過を伝えている。

オレは、奴の姿をまっすぐ捉えたまま動かなかった。……いや、動けなかった。
ごくりと唾を飲み込む。
全身が粟立つ。オレは奴を怖れていた。
奴は、別にオレを射竦めるような殺気を放っていたわけではない。
今のオレなら、余程の殺気でない限りそれを怖れることはないだろう。
この数ヶ月の逃避行で、慣れが出来てしまっているからだ。
だが、奴から殺気は感じなかった。
いや、それどころか奴からは一切の気配が伝わってこなかった。
奴は間違いなく目の前にいる。
オレの目は、奴をはっきりとした形で捉えている。
それでいて、そこには誰もいないとオレの感覚は告げている。
そのギャップは、まるで奴が幻影かのようだった。

「……………………うおおぉぉっ!!」

オレはいきなり奴に殴りかかった。 その場の緊張に耐えきれなかったのだ。
奴の持つ”空気”に動かされた、と言った方がいいだろう。
オレは強く踏み込み、右拳を奴に向けてふるう。
奴は動かない。身じろぎ一つしない。
オレの攻撃は”必ず”当たるはずだった。

びゅっ!!

拳が空を切る音。そう、奴の体に当たる音はない。
攻撃は当たらなかった。
奴はそこにはいなかった。
オレが拳を突きだした、その僅かに横に立っていた。
オレは驚愕する。

”なぜオレの拳は空振ったんだ?!”

オレは、奴がいつ身をかわしたのか全く分からなかった。
当たるはずだったのに、当たったと思った時には奴はそこにはいなかった。
そして、少し場所をずれて、まるで元々そこにいたかのように立っている。
空振ったままのオレに、奴の声が届く。

「……甘い!!」

瞬間、それまで無だった奴からびりびりと凄まじい覇気が吹き出て、それがオレの全身を撃つ。
それと同時に、奴の恐るべき剛拳が、無防備なオレの腹をえぐった。

ドグぅ!

鈍い音が響く。
鋭く突き刺さるような衝撃。
それは、オレがこれまでに食らったどんな攻撃よりも強く、重かった。

「が……あはぁっ……」

うめきが漏れる。
オレは腹に残った衝撃に懸命に耐え、反撃に移ろうとする。
だが、気づけば奴は、いつの間にか間合いを取り直している。
そして、先刻の覇気がまるで嘘だったかのように、再び何も感じさせない”無”の状態へと戻っていた。

時間にしてほんの数秒足らずの、一撃ずつの攻防だったが、理解するには十分だ。
この男は、初めて出逢った”勝ち目のない敵”だ。
オレは震えた。
それでもその震えを否定するように、オレは再び奴に襲いかかる。
空を切り裂いてオレの回し蹴りが奴に迫る。
奴は”無”のまま、かわす気配も見せない。

びゅおっ!

だが、やはりそれは奴にかすりもしなかった。
オレは奴を見失う。
まるで、元々何もない場所に蹴りを放ったかのようだった。

「惜しいな。それほどの力を持ちながら、貴様の拳は死んでおる。」

真横に気配。次の瞬間、オレは再び骨の髄まで響く覇気と蹴りを叩き込まれる。
オレは軽々と吹き飛び、そして草々をなぎ倒しながら地面に叩きつけられた。

「貴様のその拳は何を撃つ? 何の為に拳を振るう?
 守るべき物……目指すべき物……手に入れるべき物……。
 それらを持たぬ拳に、生は宿らん。
 そして、生きた拳を持たぬ者など、ワシの敵ではない。」

奴の口調は淡々としていたが、それが一層その重さを増していた。
歯を食いしばる。
敗北感がオレの体を覆っていた。
圧倒的な力量の差。
だが、それ以上に、奴とオレとの間には大きな差があった。
”成すべき事の有無”
奴は、それが何かは知らないが、己の戦いを支える何かを持っている。
奴の強さは、奴の持つ強力な覇気は、そこからわき出るものなのだ。
無軌道にふるわれるオレの拳が、奴に届くはずがなかったのだ。
万に一つの勝利の可能性も無いと感じた。

「ぅ…………うおおおおっっ!!」

それでもなお、オレは拳を振り上げる。
そうする以外、どうにも出来なかった。
いや、それともそうではなく、ただ倒されるためにそうしたのかもしれない。
何処にも続いていない、この逃避行を終わらせるために。
オレの拳は……分かっていたことだが……やはり空を切り、奴はまた、ふっとその姿を消す。
そして、次にその気配を捉えたとき、それは背後にあった。

「終わりだ。」

頭部に、脳髄に激しい衝撃が撃ち込まれる。
オレは、その事を知覚すると同時に、意識を闇の中に沈められていた。


(中編へ続く)