テニス大会特訓Lメモ「特訓プラスアルファ」 投稿者:八希望
「八希くん、お疲れ〜」
「はい、智子さんお疲れです〜」


  夕焼けで茜色にそまるテニスコート、八希望と保科智子の両名は練習の後片付けをして
いた。
「ねえ、智子さん」
「何やの?八希くん」
「このままで、いいのかなあ?」
「いいのかなって、何が?」
「今の特訓のままでいいのかなあ?って思ったから」

  ここ数日テニス部のテニスコートを借りて軽い練習試合や、ラリーを続けたりするのは
もちろんの事、基礎体力をつける為に走り込みをしたり、体を柔らかくする為に柔軟をし
たりと、普通のテニスの練習を続けていた。
  基礎練習とはいえ、智子の理論的で効率の良いトレーニングメニューと、望の怪しいお
もちゃのトレーニングマシンのおかげか、二人のテニスの腕はかなりの物になっていた、
しかし望は何か『このままでは、いけないのではないか?』と危機感のような物を感じて
いた。
  智子はそんな望の思いつめた表情から何かを感じた。

「八希くんこれから時間あるか?」
「うん、僕は暇だけど…」
「じゃあこれからヤクドで作戦会議でもしよか?八希くんの意見とかも聞きたいし、あと
それから…」
「それから?」
「少しおなか減ったやろ?」
  そう言うと智子は『にっこり』っと笑う、望は智子のこの笑顔が大好きだ。
「じゃあ私、シャワー浴びてくるし、校門の所で待っといて」
「うん、わかった」




  きゅきゅ、シャ〜〜〜〜〜〜



「ふう、練習の後のシャワ〜は気持ちいいやねえ〜」


  望は練習の汗を…ちょ、ちょっとまてい男のシャワーシーンは見たくないぞ、ショタ好
きならともかく、す、すいません、今カメラの場所変えますんで。



  きゅきゅ、シャ〜〜〜〜〜〜



「ふう、気持ちいいなぁ」

  おまたせいたしました!!智子は少しぬるめのシャワーで、練習の汗を流していた。(さ
ーびすさーびすぅby葛城一尉)
「八希くんも少し焦ってるんやろうなぁ…」
  智子は練習しているコートにこの頃、他のテニス大会参加者が練習に来ているのを何度
も見ていた、その中にはもちろんSS使いも何人かいた、大会の開催日に近づくにつれ参
加者が集まってくるのは当然の事だが、望にはかなりの刺激になっているのだろう。
「よっしゃ、作戦ついでに元気付けたろ」


 きゅきゅ……


  智子はバスタオルを身体にくるむとシャワールームを出ていった。(さーびすしーん終
わり!!)





  さて場面は変わりヤクドナルド、智子はシェイクとアップルパイ、望は…言わなきゃ駄
目?この子ものすごく食べるんですけど…
「やっぱりぃ思うんですけど、必殺技がないんですよね!!」
  望は3個めのダブルチーズバーガーを食べ終わると、やっと作戦会議をはじめた。
「必殺技って…魔球とかか?」
「うん、そうです」
  そういうと望は2個めのフィレオフィッシュに手を伸ばした。
「これを見てください」
  望はリュックから表紙に魔球メモと書かれたメモ帳を取り出し、智子に渡した。
「へえ、ちょっと見せてな」
  智子は一通り目を通す、そこには魔球ウインブルドンボール1号から5号の草案が載っ
ていた、それに全部目を通すと智子はある事に気がついた。
「八希くんこれ……欠点だらけやで…」
「ふえ!どこがいけないんですか?」
  望はおもわず2個めのチキンタッタを落としそうになりながらも智子に聞いた。
「まずこの1号、相手の顔面の近くまで行って、急カーブで曲がる魔球やけど、これは投
球やから出来る魔球であって、打球じゃこんな球を打つ事はできへんで、それから次に2
号この消える魔球やけど、今度の大会は人工芝の上やろ?この魔球、土煙で消えたように
見える魔球やから無理やん、それから3号分身魔球やけど、これ簡単に打ち返せたやん、
八希くんの作ったロボ投手で証明済みやん、そして4号球速がワンバンドした時、突然変
化する魔球やけど、これボールしっかり見取ったら打てるで…最後に5号この相手が打つ
瞬間、歪んでラケットを通り抜けるように見える蜃気楼魔球やけど、これは気候や温度と
か条件的にいつでも打てる魔球やないね、それにラケットの打つ面積広いさかい、打ち返
す事はできる思うで」
「そっかあ…」
  望は残念そうにうつむいていた、智子はそんな望を見ると慌てて言葉を付け足した。
「でも、こうやって魔球の欠点見つけられるんは、八希くんのおかげやねんで」
「僕の?」
「そう、ほら八希くんの改造したロボ投手、あれのおかげで魔球の分析するんがしやすく
なったんやと思うし」
「本当?」
  望は瞳を輝かせながら聞く。
「あとそれから、どうしても魔球使いたかったら一つ良い方法があるで」
「良い方法?」
「そう、こけおどしで良いから一つ見た目が派手な魔球用意しておく、それをここぞとい
う時のアクセントとして使う、もしかしたら刺激された相手チームが奥の手を出してくる
かもしれへん、その時がチャンスなんや」
「チャンス?」
「そう、攻撃の時に一番隙が出来る、せやからそこでボールを返す事ができれば、得点に
繋がると思う」
「もしすぐ返せなかったら?」
「その時は、私がちゃんと分析する、相手は決まった技はもう一度使おうとするやろうか
ら、返し方を八希くんに教えるし、後は…」
「?」
  智子はにっこりと微笑むと。
「私達のチームワークでなんとかしよう」
「うん」
  望は元気にうなずくと最後の1個ビックヤックにかぶりついた、この1個が一番美味し
く感じたのは、智子との間に強い絆が産まれたような嬉しい感動が身体中に駆け巡ったか
らであろう。



  そして次の日、この日も智子と望はテニスコートで練習をしていた、そして練習メニュ
ーには、フォーメーション等チームプレー時に必要な事が多く組み込まれていた。



  さらに数日後、智子は「燃える魔球」を望は「ウインブルドンボール5号改」と「秘打
白鳥の湖」を生み出していた。

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望:はう、書けた当初の予定と全然違うけど。
めぐみ:…本当は魔球ウインブルドンボールを生み出す話しの予定でしたよね…
望:そうそう、それを猫ちゃんに話したら、いやあ次々にやぶられる魔球の数々。
めぐみ:…で、結局保科さんが魔球の破り方のプロフェッショナルになったんですよね…
望:で、あと今回は何よりもチームワークが大切って事で変更が入りまくりです。
めぐみ:それにしても、つきそいで参加の保科さんがノリノリですね。
望:智子さんは本来ノリがいい性格だと思うし、これでいいと思うよ。
めぐみ:…それはそうと…お兄ちゃん、しっかりとプロットを立てたほうがいいんじゃないですか?
望:ふにい、そっかあ今度良く研究します。
めぐみ:…私が初登場する回までには腕をあげましょうね
望:ふあいっす、それではみなさん次回作でまた会いましょう、そいじゃあね〜
めぐみ:(無言で手を振る)