バレンタインL 「魔女と女神のチョコレート」 後編 投稿者:山浦

 チョコレートは渡し終えました。あとは……そう、儀式を行うだけです。
「あれ? 姉さん。どうしたの一体? だれか用でも…………ちょ、ちょっと! どうし
たのよ一体!?」
 綾香に体をもたれるようにして抱きつきます。少しでも、人の体温を感じていたかった
から。少しでも、綾香の強さを分けて貰いたかったから。
「どうした……の?」
 でも、もう大丈夫。綾香から勇気を貰いました。綾香、姉さんは頑張ります。みんなの
……私の大好きなみんなの為に。この学園のみんなの為に。
「姉さん…………ねえ!? 何があったのよ!!」
 姉さんは、頑張ります。見ていて下さい。そして……信じて、下さい。


 昼休み、朝をも越える喧噪のただ中にあるLeaf学園。その中において、例外とも言
うべき男が三人と一匹の、魂を抜かれたように惚けている様が中庭に確認された。
「おう、辛気くせえ顔だな、一年坊主ども。失恋でもしたかぁ」
「人のこと言える顔ですかー? あなたこそ玉砕しましたかー?」
「……そんな……そんな事って…………」
「…………うそだにゃぁ…………」
 しかも集まっている所がいつも芹香が昼食を食べるベンチと来ているから、往生際の悪
い話である。
「……はぁ。今日ほど人生のはかなさを感じた日は無いですよ」
「一年坊主が語ってんじゃねえよ…………はぁ」
 と、言いつつ山浦は何やらノートに筆を走らせている。それを何気なくのぞき込むりー
ず。
「…………『この想いは、君には届かない。風に託した詩を……』…………って、なんで
す? それ」
「なんでもねえ。忘れろ」
「どーでもいいにゃ、もう」
 はぁ、と全員が溜息を付く。全員、気持ちは同じだった。何かをしたい、何かをしてい
なければいけない。気ばかりが焦る。結局、何もできはしない。
「…………なんて言ってても始まりゃしねえな…………」
 よっこらしょ、とばかりに立ち上がる山浦。顔には、迷いと決意が入り交じっていた。
「どちらに?」
「松原んとこだ。奴にはなんとしてでも柔道をやってもらいてぇからな」
…………逃避、ですか…………
 ふと、口をついて出そうになった言葉を、りーずは呑み込む。嫌みを言うのはいいとし
ても、それで身を危険に曝すのは、彼の流儀に合わない。自虐趣味も、他虐趣味も彼には
ないのだ。
「よく続くものですね。諦めたりしないんですか?」
 かわりに、当たり障りのない事を言っておく。まあ、山浦の松原葵に対する勧誘のしつ
こさには、りーず自身少しだけ興味はあったが。
「諦める? なんでだ?」
「なんでって……松原さんはエクストリームをやっているんですよ? 柔道まで気が回る
わけないじゃないですか」
 なにを馬鹿なことを。と言わんばかりにりーずは言う。もしかしたらこの大男はそんな
ことすら気付かずにいままで来たのかとすら訝しみすらする。だが、相手はある意味りー
ずの予想を上回って図太かった。
「それがどうした。あいつがエクストリームをやろうがなにをしてようが関係ないんだよ」
「関係ない、ですかぁ!? そんな傲慢な!」
 横合いからトリプルGが声を上げる。生真面目な彼にしてみれば、山浦の言葉は傲慢に
感じられたのだろう。
「傲慢か?」
「そうですよ! そんな事を言ったら松原さんの気持ちはどうするんですか!?」
「松原の気持ちなぁ……つってもよ。俺がしつこく言ってあいつがその気になれば、それ
はあいつが望んだことにならねえか?」
「なりません!」
「うーむ。それでも俺は、あいつほどの才能が柔道をやらないでいるのが納得行かないん
だよなぁ。それに乗るかどうかはあいつ次第だろう? ま、必ずYesって言わせてやる
がな」
 そう言って山浦は笑う。少し前とは違う、元の彼らしい剛毅な笑い顔で。
(相手が何であっても自我を通す……ですか。至極傲慢で……少しだけうらやましい考え
ですね)
 りーずはふと、自分とはまるで異なる神経構造の、この大男に好ましげな視線を向ける
自分に気付いた。山浦が芹香に惚れていると騒ぎ出してから初めて、彼が身近に感じられ
た。自分との違いが明らかなこの瞬間に。
「いいか? だいたい色恋沙汰だってそうなんだよ。結局、相手がどうじゃねえんだ。自
分が相手に何をしたいか、なんだよ」
 りーずの視線に気付かず、山浦は偉そうに説教を始める。その口調にも、自分のペース
を取り戻して来た様子がうかがえる。
「それは自分勝手過ぎます!」
「じゃあどーすんだ? 惚れた相手が誰かを好きだったらよ?」
「……それは……身を引きます」
 やや苦しげに答えるトリプルG。今朝、同じ事を決めたのだ。立ち直っているヒマなど
ない。少なくとも、山浦ほどは図太くはない。
「お前さ、それが格好いいとか思ってるだろ? やめとけ、結果の出ない格好付けなんて
役にたたねえ」
(……むごいことを……確かに事実ではありますが)
 二人のやりとりを見ながらりーずは思う。だが、その言葉の矛先は、りーずにも、エー
デルハイドにも、山浦自身にも向いている。それを彼は、どれほど自覚しているだろうか?
そう、りーずは訝しく思ったが、次の台詞で全てを諒解した。
「大体お前よ、惚れた相手がいるんだぜ。どんなことしてでも振り向かせたい、って思わ
ねえか?」
(なるほど。思ったより賢明な人かもしれませんね)
 そう、りーずは了解する。山浦はおそらく、トリプルGを、そしてここにいる全員を励
ましているのだろう。芹香がだれに惚れていようと構うなと。自分は決して諦めないと。
そう、遠回しに応援しているのだろう。
(お節介ですよ、まったく)
「俺は、自分の気持ちに嘘をつきたくはねえ。惚れたんなら、惚れたと言う。相手に好き
な奴がいるなら、気を引くために必死になる。松原ん時もそうだ。俺はあいつの才能に惚
れた。あいつにはどうあっても柔道をやってもらいたい。それは誰のもんでもねえ、俺の
望みだ。だから、しつこく勧誘してるんだよ」
(山浦さん……あなたってひとは…………)
 トリプルGもりーずと同じ解に辿り着く。この大男の人のよさに、少しだけ感動を覚え
た。
「偉そうに言うんじゃないにゃん」
 沈黙を守っていたエーデルハイドも忌々しげに、しかし少し嬉しげに言う。一人ではな
いことが、同じ女性を好きな人間がほかにもいることが……自分が、孤独でないことが…
…今日だけはやけに嬉しかった。
「だからよ、お前らも……まあ、今日つーこたぁ、惚れた相手が誰かにチョコ渡してた、
とかそんなとこだろうが…………ん……?」
 一瞬怪訝な顔。そして、しばらく意味もなく空を見上げ、合点行ったようにぽん、と手
を叩く。
「おう、そうだ。来栖川先輩が誰にチョコ渡しても関係ねえじゃねえか」
「「「気付かずに言ってたんかい!」」」
 ボケをかます山浦に、思わず突っ込みを入れる三人。先ほどまでの余韻など全てぶちこ
わしである。
「いいじゃねえか別に。まあ、そんなわけで俺は来栖川先輩んとこ行ってチョコを貰って
くっからよ〜。じゃ、おめえらはおめえらで上手くやれや」
「待ってください! 話は済んでませんよー!」
「抜け駆けは許さんにゃん!」
「……やれやれ……こらー。待ちなさいよぉ〜」
 追いかけっこが始まる。勿論、山浦が本気で走れば、りーずたちを巻くことは容易い。
鍛え方が違うからだ。また、りーず達にしても、山浦の足を止める手段はいくらでもある。
それをやらないのはやはり、この追いかけっこを楽しんでいるからだろうか。
「ほれほれ! 追いついてみろやっ!」
「そんなに急いでも芹香さんは逃げませんよー!」
「待ってもいないんだにゃん」
「大体、勝ち目があると思ってるんですかぁ!? 相手は…………」
 ふと、りーずは躊躇する。口に出せばそれを認めてしまう事になる。やはり芹香が百合
であるなんて例え目の前で起きたことでも認めたくはない。
「へ! エルクゥがなんぼのもんじゃい! 為せば成る!」
 景気づけに歓声を上げる山浦。半ば以上自棄になっているとも言える。柏木耕一、最強
のエルクゥ。雨月山の伝説に謡われる次郎衛門の生まれ変わり。正気では、相手になるこ
とすらできない相手だ。だが、その言葉にエーデルハイドは顔をしかめる。
「? うにゅ? お師様はエルクゥじゃにゃいにゃよ」
「? エーデルハイドさん、いつジンさんに弟子入りしたんです?」
「なんでそこでジン先輩が出るんだよ?」
「え? だって……」
「そうですよ、って言うか、そもそも何でエルクゥなんですか? 山浦さん。雛山さんは
……」
「ちょっと待てぇ! 何の話をしているお前ら!?」
 四人は立ち止まり、顔を見合わせる。
「いえ、ですから芹香くんが雛山さんにチョコを……」
「いいえ、ジンさんです!」
「お師様だにゃん」
「柏木先生だってばよ」
 四人が、同時に別の人間の名をあげる。お互いの顔を見合わせ、その言葉に嘘がない事
を確認する。
「「「「…………」」」」
 そして沈黙。それは非常に重い沈黙だった。廊下に響く喧噪は変わらない。バレンタイ
ンである事を考えると、普段より遙かに騒がしかっただろう。しかし、この四人にはその
音は届かない。白けたような、安心したような、怒りのような、喜びのような……なんだ
かよく分からないやるせない気分が、四人を支配していた。
「…………なんだ? つまり、来栖川先輩は…………」
「耕一先生にも、雛山さんにも、Runeさんにも、ジンさんにも…………」
「チョコを渡した……」
「……普通、それを義理チョコって言うにゃん」
 刹那、4人は同時に駆け出した。思い人の姿を探して。つーか、義理チョコでももらえ
る可能性を目指して、だが。
「ついてくるんじゃねぇぇぇぇぇ!」
「先を貴方が走っているだけです!」
「どいて下さいぃ! 邪魔ですー!」
「実力でどかしてやるにゃん!」
「てめえら〜!」
 どたばたと、やかましい音を立てつつ、四人は進む。途中、通行の邪魔になる一般生徒
をはねとばし、投げ捨て、ビームを放ち、焼き払い、仲魔の餌食にし、突き進む。その姿
は、さながら暴走する西山英志の如く、バレンタインの喧噪すら引き裂いて突き進む……
かに見えた…………が。
「なに馬鹿やってんのアンタらはぁ!!」
べき、どか、ばき、ごしゃ!
 疾風四連コンボがその突進を退けた。それぞれ一撃食らって四人は倒れる。
「いきなり何だ!? 来栖川?」
 殴り飛ばされたアゴを撫でつつ立ち上がる山浦。他の者もそれに習うように視線を上げ
……鬼のような顔で仁王立ちする綾香を見た。
「なにしやがるはアタシの台詞っ! アンタ、何やってんのよ! 姉さんが大変だっての
に!!」
「何ですって?」
「芹香君がどうかしたのですか!?」
「どうした一体!?」
 慌てる四人。綾香は吐き捨てるように言う。
「アンタ達、なにも気付かなかったの!?」
「……情けない話ですが、そうです。綾香くん、お願いです、なにがあったか教えてはく
れませんか?」
 りーずが、真剣な表情で綾香に問う。後ろに控える四人も、それは同様だった。全員が、
真剣な表情で綾香の答えを待つ。
「…………さっき、姉さんが来たのよ。それで、力を分けてくれ、勇気を分けてくれって。
すごい真剣な表情で…………あんな姉さん見るの、初めてかもしれない。何か……何かす
ごく大変なこと、姉さんは抱え込んでいるの! それをアンタ達…………」
 怒りすら込めて綾香が睨む。だが、四人は既に走り出していた。
「綾香くん! この礼は必ずします!」
「後でお前にも柔道の技教えてやるからな!」
「芹香さんこの事は任せて下さい!」
「ご主人様は俺が護るにゃん!!」
 それぞれ、礼の言葉を残して。
「まったく、世話が焼けるんだから」
 と、思ったら、山浦が走って戻ってくる。
「それで、来栖川先輩がどこ行ったか分かるか?」
「…………ホント、世話が焼けるっ!!」


 綾香を加えた五人が走る。一路向かうは、オカ研の部室。
「……なにがあったと思う?」
 走りながら山浦が問う。この中で、一番芹香の力になれない存在であると彼は自覚して
いる。だから、なにが起こるかあらかじめ知っておきたかった。自分の為すべき事を、先
に決めておきたかった。
「分かりません。ですが、芹香君ほどの魔導師が警戒する魔法です。なまなかな物ではあ
り得ないでしょう」
 思考しながら答えるりーず。どちらかというと、説明をしていると言うより、自分の思
考をまとめている感が強い。
「……たとえば?」
「…………たとえば…………魔王級存在の封印…………とか」
 あり得ないことではない。芹香ならば、彼女が入念な準備を行うならば、それは可能か
もしれない。
「封印? なにを? 魔王日陰ですか? それともオロチ……?」
「分かりません。他のことかも知れませんし……にわかに思いつくことはその程度ですね
……綾香君、何か思い当たることは…………」
「……そんな急に言われても……」
 頭を悩ませる綾香。その時、山浦が思い出したかのように声を上げる。
「ほれ! 朝言ってただろ。来栖川先輩が……」
「あ! だいぶ前から部屋に籠もってなにかやってた……アタシ、チョコ作ってるとばか
り……中からチョコレートの匂いもしたし……」
「チョコレートを作ること自体はそんなに時間は食いませんよ。カカオから作るにしたっ
てね……チョコレートを呪物にした……と考えるのが普通でしょう」
「折からのバレンタインですしね」
「うにゃ! オカ研でも作ったにゃん!」
「しかも芹香君の提案で……トリプルGさん、買ったチョコレートは……」
「はい! まだ持ってます!」
 手早く、トリプルGがチョコレートを取り出す。ほぼ同時にりーず、トリプルG、エー
デルハイドの鑑定呪文が構築される。
「…………これで……芹香君のやろうとしていることが…………な!?」
「……そ……そんなことを芹香さんは……たった一人で……」
「ご主人様! すぐ行くにゃん!」
 顔色を変える三人。だが、山浦と綾香はなにが起こったのかわからない。二人一緒に顔
をしかめる。
「おい! 何だ一体?」
「どうしたのよ!!」
「いいから! 説明は走りながら言います! 今は一刻も早く芹香君の元へ!!」


 魔女の大釜と魔法陣。天使の加護と魔神の祝福。それに天地の魔力が集います。
 最後の、そしてもっとも難しい儀式がこれから始まります。それが、うまくいくかは分
かりません。いいえ、多分成功するのは絶望的な確率でしょう。人が聞けば、無謀な試み
と顔をしかめるでしょう。
 でも、それでも、うまくいかせたいです。この学園のみんなの為にも。一人でも多くの
人が、幸せになるために。
――――芹香は、頑張ります――――
「姉さん!!」
「芹香君!」
「芹香さん!」
「来栖川先輩!!」
「うにゃにゃにゃにゃ!」
…………あれは…………
「ねえさん! たった二人の姉妹じゃない!! 内緒でこんなことしないでよ!」
……綾香……
「芹香君、水くさいじゃないですか。一言言ってくださいよ」
……りーずさん……
「芹香さんは一人じゃ無いんですから。何かをするなら僕たちを呼んで下さいよ!」
……トリプルGさん……
「ジブンは……なんも出来ないッスけど……来栖川先輩がやること、うまくいくよう祈っ
てるッス! 邪魔する奴いたら、ぶん殴ってでも止めるっす! 頑張って下さい!」
……山浦さん……
「にゃあにゃあにゃあ!」
……エーデルハイド……
「さあ! 芹香さん魔法陣の起動を行います!」
「賢者の石、発動させます!」
「にゃ〜〜〜〜〜〜〜〜!」
「ジブン、外で見張ってるッス!」
…………皆さん、ありがとうございます…………
 部室に、賢者の石の力が満ちます。古代魔術の方陣がそこかしこに広がります。精霊達
が祝福の謡を謡います。みんなの力が、思いが、一つに合わさってゆきます。
 きっと、奇跡だって起きるはずです!
「…………」
…………小さな、そしてたくさんの幸福のために…………
 いきます!


――風に、土に、火に、水に。万物に宿る精霊達よ――
「ジンく〜ん、耕ちゃ〜ん、チョコレート食べてちょうだい!」
(くっ! やっぱ来たか……)
(何びびってやがる!? 千鶴さんのチョコレートだぞ! 今日はバレンタインデーだ
ぞ! 喜べ、俺! 喜べ俺ぇぇぇぇぇぇぇぇ!!)

――かの女神を讃えよ――
「良太! 今日は遠慮なしにチョコが食べられるわよ!」
「おう、ねーちゃん、うまいぞ!」
「くれぐれも千鶴先生のチョコには気をつけてね!」

――かの女神を愛せよ――
「良太、理緒! 俺の分まで食うんじゃねええええええ!」

――そして願わくば――
「あ、Runeくん、良太くんあたりだよ☆ミ」

――彼女の愛を伝える術を――
(ええい! 食え! 一気に呑み込めば何とでもなる!)
(気合いだ! 気合い入れろおれえええええええええ!)
「良太! 吐き出して! 今ならまだ……」
「がつがつがつがつがつがつがつがつがつがつがつがつがつがつがつ!!」

――与えたまえ――
「…………う、うまい?」
「美味い! 千鶴さん! 美味いよこれ!!」
「うまいぞ、ねーちゃん!」
「本当!?」
「がつがつがつがつがつがつがつがつがつがつがつがつがつがつがつがつ!!」


 その日起きた小さな奇跡は、Leaf学に、そ園の歴史上かってなかったほど静かで、
幸福なバレンタインデーを与えた。
 学園史はそう語る。

「ジンく〜ん! 今日はチョコレートシフォンよ〜!」
(ひぃぃぃぃぃぃぃ!!)
 なお、校長のレパートリーにチョコレート料理が加算されたのは言うまでもない。それ
が、幸福か否かは、別問題だが。
                                  どっとはらい



――余談――
「……あ、結局チョコもらってねえ」
 不名誉な記録を伸ばした男一名。

「りずちん☆ ちなみん☆ 僕にチョコは〜?」
「薔薇は! 薔薇はいやぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「寄るなぁぁぁぁぁ!!」
 彼らを想う薔薇な人に迫られる男二名。

「あ、トリプルGさん!」
「……えっと……あなたはたしか子犬を貰っていってくれた……」
(トリプルGさんのLメモ「ある雨の日の話」参照)
「はい! あの時のお礼というか何と言うか……えっと……チョコです! 貰って下さ
い!」
 ちょっとうらやましい目に遭っている人一名。

「…………羨ましいねぇ、一年坊主…………」
「本当に……お幸せに〜!」
「式には是非呼んでくれだにゃん!」
…………そうでもないか…………