『どよめけ! ミスLeaf学園コンテスト』第三話〜合流、そして戦闘へ……〜 投稿者:山浦

「キャァァァァァァ!!」
 更衣室に玲子の声が響きわたる。

――――べきぼかごしゅごしゅ

 ついでに肉と骨が潰れる音も。



『どよめけ! ミスLeaf学園コンテスト』第三話 
               〜合流、そして戦闘へ……〜



「キィィィィイイイイイアアアアアアアアアアアアアア! ……こいつで、終
わりだぁ!!」

――ゴゥン!!

 終いには、拳から炎まで出る。恐るべきはコスプレのプロと言うべきか。
「……げふぅ」
 もちろん、”襲撃者”は手を伸ばした姿勢のまま、その場に崩れ落ちている。
さしものSS使いといえども、しばらくは復活は無理だろう。
「……はぁ、はぁ、はぁ…………燃えたろ?」
 とりあえず、決め台詞を一言かましてから周囲の確認。
 右よし
 左よし
 下……にはさっき倒した男が倒れている。
 で、正面には…………。
「魔樹君じゃないの〜。大丈夫だった〜?」
 旧知の中……っていうか、彼女に萌えているSS使い、隼魔樹の姿があった。
「玲子こそ無事で何よりです。ところで……」
「なに〜?」
 珍しく言い淀むような魔樹に応える玲子は、むしろ脳天気ですらある。いま
いち自分の置かれた環境を理解していないようにも見える。
「……山浦に恨みでも?」
「…………へ…………?」
 あわてて下を見る。
「…………ぐぶぅ…………」
 下には……焼けて煤けてボコボコにされた(多分、元は)白い柔道着とその
中身…………。
「あ、あははははははは〜〜〜」
 とりあえず、笑って誤魔化す玲子だった。


「さて、これからどうするかですが」
 周囲をじぇりーずで探りつつ、隼が呟く。
 見えない神経のリンクを周囲の張り巡らしつつも、かつかつと音を立てて歩
き回る姿は、それなりの緊張感を醸し出している。
「つか、治療ぐらいしろ。隼」
「あっはは〜、ごめんね〜、山浦くん〜」
 まあ、周囲は全然緊張しちゃあいないが。
「あー、芳賀先生は気にせんで下さい。でよ、どーするんだ?」
「どうしよっか〜?」
「……そうだな。どうすれば、一番面白くなるか……」
 つかつかと歩き回りながら魔樹は頭を巡らせる。と……

「ぬがああああああああああああああああああああ、ちゅうううううううるう
うううぺえええええええたあああああああああああああああああああああああ
ああっ!!!!」

「瑞穂くんに
        何をするっ!!」
「マルチに

――――ちゅどどどどどどどどどどどどど〜ん

 向こうで、ひときわ大きな破壊音が響いてきた。
「……これは、面白そうだ」
 その方向を確認してから、魔樹はにっこりと微笑み、そして至極当然のよう
にそちらの方向に足を向ける。
「おい、隼どこ行くんだよ」
「魔樹君〜、ちょっと待ってよ〜」
 残された二人も、あわててそれに従う。
「おい、隼。何する気だよ」
「楽しい事、だな。祭りは楽しまないとな……そういえば、芹香さんの所に行
かなくていいのか?」
 にやり、と端正な魔樹の顔がゆがむ。明らかに含む所のある口調だ。
「ん? まあ、オカルト研の連中がいるから大丈夫だろ? 一応優勝候補だし
な」
 もちろん、そんな含みなど体育会系に分かるはずも無かったが。


「雪君、攻勢防御決界の準備はまだです!?」
「にゃにゃにゃ、やってるよぉ!」
「こちらトリプルG、周囲に異常はありません!!」
 オカルト研究会内に、いつものように神無月りーずの指示が響く。
 常のごとく暗くしてある部室内には燭台と水晶級とそして不思議な文様で描
かれた魔法陣。
 それらの中心に、来栖川芹香が、彼らが命を賭してでも守るべき女性がいる。
「現状は全参加者が体制を整えている段階です。この間に芹香君を完全に防備
する決界を作成する。それが作戦の第一義です」
「分かってるよぉっ!」
 神無月りーずと雪智波、お互いに声を上げながらも、巨大な魔法陣を書き込
む手は緩むことはない。さすがは一流の魔法使いといった所だろう。
「私も手伝いましょうか?」
「トリプルG君は防備に集中してください。今攻め込まれれば終わりです」
「……了解」
 渋々とトリプルGが承った。その時だった。
「ねえさんは無事!?」
 トリプルGの視界に、見知った女性の姿が映った。
「綾香さん? どうしてここに?」
 突然現れた来栖川綾香……その背後には、当然のようにハイドラントの姿も
ある……に、トリプルGもとまどいの表情を見せる。
 たとえ姉妹といえども、競技が始まった以上は敵同士、そのハズだ。
「そんなの当たり前でしょ! アタシは、ねえさんの妹なんだから」
 つまらない事を言うように答えて、トリプルGの構えるビームライフルの脇
を通りぬける。
「…………」
 同時に、研究室の真ん中にいた芹香も立ち上がり、迎えるように綾香の方に
歩む。その、あまり表情の見えない貌は、安心のためか、わずかに微笑んでい
るようだった。
 そして丁度、二人の距離が手の届くの距離になった、その時。
「ゴメンね、姉さん☆ミ」
 電光の早さで、綾香の手が閃いたのだった。