Lメモ自伝 シリーズ第一話 「木漏れ日」  第二章  木漏れ日 投稿者:YF−19
「じゃあ、後はここに判子を押してね」
「ここですか? …と」
「はい、ご苦労様。これでお終いよ。ようこそ、LEAF学園へ」
 学園事務室。ここでYF−19は学園転入手続きを済ませるところだった。
 その作業も今終わり、後はいよいよ三日後の初日を迎えるのみとなった。
「さて、これで晴れて私もLEAF学園入学となったわけか…」
 彼の台詞は少し感慨深げだった。
「どんなところか楽しみですねっ」
 シャロンの声が彼の頭の中に響く。

 シャロンは今、側にいない。
 先程までは軍事衛星を経由した立体映像で具現化していた。
 しかし、ここではそれが出来なくなっていた。
 彼女が具現化するには、衛星からの電波を受信・投影する設備が必要になる。
 だが、この学園にはその施設がない。
 新たに通信施設を設けなければシャロンは正常に具現化できない。
 当たり前といえば当たり前なのだが、電波である限り有効範囲はある。
 要するにこの学園は圏外と言う事だ。

「ん。そうだな」
 彼はそんなシャロンにぽつりとつぶやいた。

 彼は公衆の面前で意識体状態のシャロンと話したりすることはない。
 よく考えれば当たり前のことだ。
 すれ違った人が一人で姿のない相手に向かって話しかけていたら…。
  お分かりだろう。
  不気味がられるか、おかしな奴と思われるのが関の山だ。

 彼は事務所を出ると、そのまま校舎伝いに校庭の方まで出てみることにした。
「…結構樹が多いなぁ…」
  今、彼の通っている道の脇には樹が街道を形成するように植えられている。
  桜だ。
 春の新入生入学時にはさぞかし眺めの良い道になっている事だろう。
「こんないい道を通って入学式を迎えられるのか…奴らは幸せだなぁ…」
 もちろん在学生の進級も同時期なのだが、やはりイメージ的には入学式の
方が強い。
 在学生にすれば、あぁ下級生が増える時期だな、程度の認識しかない者が
ほとんどだろう。
 その点、新入生の入学における意識は比べ物にならないほど大きい。
 不安、希望、未来への展望、色々な物が頭の中で交錯していると思われる。
 期待も大きいが緊張も大きいと言ったところか。
 皆さんにも覚えがないだろうか?
 小学生から中学生に変わる瞬間。
 あの何とも言えない気持ち。
 その再来である。
 そして、彼らはそれを入学式で味わうことになるのだ。
 在校生にはもう二度と味わえない。
 彼らにとっても一度だけの思い出。
 
 だが、それが彼にはない。

 …などと物思いにふけっていると、途中で中庭とおぼしき場所が目に入った。
緑の多い場所だ。
 小さな庭園クラスはあるかと思われる。
 芝生も敷き詰められている。
 花壇や芝生もしっかり手入れされているようだ。
 それらは芝生の刈り目がきちんと揃っているところから容易に想像できる。
 
 今は授業中と言う事もあってか、見まわしてみても誰もいない。
「ふーん、なかなかよさげなとこだねぇ…」
 彼はそう言うと、物思いにふけるのを止め、何か引かれるものを感じた
中庭へとその歩みを再開した。



Lメモ自伝 シリーズ第一話 「木漏れ日」
                         第二章  木漏れ日



「…へぇ。これはよほどしっかりした人が手を入れてるなぁ…」
 彼は中庭内の花壇を見まわってみてそう漏らした。
植え込みやその周辺を見れば誰にでも容易に想像できる。
 荒れている所がないのだ。
 見事なまでに「完成」を全体で表現している。
 彼はいつの間にか、その花壇の前で足を止めていた。

 彼は自然とか植物とかそういう物が好きだ。
 色々な意味での癒しになるからだ。
 部屋の中に一鉢でも緑があると落ちつくと言うあれも、そういうことを
期待しての物である。
 眼にも緑はいいらしい。
 眼の悪い人は毎日何十分か遠くの緑を見るといい。
 視力がすこし回復するという話だ。
 ただし、一時的なものなので毎日やらねば効果は持続しないが。

 そうして少し中庭を歩いていると、ちょっと大きめの樹を見つけた。
 葉のよく茂った健康的な樹だ。
 彼は思わず根元近くの芝生に寝転んでしまった。
「…ん〜…気持ちいい〜…」
 彼が寝転んだ辺りは生い茂る葉で日光が遮られている。
 おまけにやわらかな風が彼の頬を撫でてゆく。

 彼はこんな場所が好きだ。

 他のどんな娯楽、快楽にも勝る「この一瞬」が、たまらなく好きなのだ。

 彼は両足の靴を脱ぎ捨てると、全身を大地へと委ねた。
 緑の匂いがする大地は、少しひんやりとしていて気持ち良かった。
 時折小鳥のさえずりが聞こえる。

「…こんな気分、久しく味わってなかったなぁ…」
 やがて彼は自然を全身で感じながら、まどろみの中へと落ちていった。





「みんなみんなぁ! 大ニュースよ!!」
「んん…なんだ? …うるさいなぁ」
 突然の大声に彼は目を覚ました。
 まわりを見渡すと、いつの間にか生徒がちらほらと見えるようになっている。
「…昼休みになったのか」
 彼は首から掛けている懐中時計の蓋を閉めながら、そうつぶやいた。
 時計の針は十二時四十五分を指していた。
 彼は上半身だけ起きあがると、それをしまって再び周りを見渡してみた。
 ベンチに二人だけで座っている者。
 芝生の上で楽しげに会話しながら食事をする一団。
 少し開いた空間を利用して簡易野球をしている者。
 さまざまだ。
 校舎の方からは教室の騒がしさがここまで聞こえてくる。
 左手に見える食堂の方は、さらに大きな喧騒に包まれている。
「んー…」
 まだ寝ぼけたいと言う脳を働かすのを止め、覚醒するまではぼーっと
していることにした。
 すると、先ほど彼の安眠を妨げた声が耳に入って来た。
 どうやら先ほど芝生にいた一団に向かって話しているようだ。
 あまりじろじろ見ないようにして、声の主を探してみる。
 …いた。
 ブラウンの髪をショートカットにしている活発そうな女の娘だ。
 しっかり中央をキープしているあたり、なかなかやるなと彼なりに
思ったりもする。
 彼は改めてその声に耳を傾けてみることにした。
「そう、例のアレよ。今日手続きを済ませたって言う男子の転入生。なんか私達と同学らしいのよ」
「え〜? じゃあ私達のクラスかもしれないんだー」
 話の中心になっている彼女のすぐ隣の娘が相槌を打った、
「そうそう、そーなのよ。しかも転入はあさってなんだって!」
「じゃあ、もうすぐじゃん!」
 今度は別の娘が答える。
「でね、驚いたことに…彼って軍の関係者らしいのよ」
「えーっ? ホントなの?」
「うん。それがね、彼、戦闘機の格納庫設置許可願い出してたのよ」
「そうなんだ。怖い人なのかな〜?」
「さぁねぇ…。それは会ってみないとわかんないわね。さすがに」

 正直、彼はぎくりとした。
 なせ、さっき手続きを済ませたばかりの自分が話題に上っているのか。
 なぜ、登録願いの事を知っているのか。
 一体どうやってこの短時間に調べ上げたのか。
 この時彼は、少なからずも彼女に関心を覚えた。

「で、松本がとうとう橋本先輩にね…」
「えーっ?マジー?…」
 彼がふと気付くと、いつの間にか彼女達の話題は既に別の物になっていた。
「これは調査の必要があるな…」

 YF−19は彼女の顔を記憶に止めると、一度だけ頭上の木を振り仰ぎ、
その場を立ち去った。


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さて、またもや変更点のお知らせです。(汗)
今回のサブタイトルですが、「出会い」ではなく、「木漏れ日」に変更しました。
このサブタイトルは次回使うつもりです。
…とか言ってまた自爆しないだろうなぁ…(^^;

ま 今回は本来第一章と二つで一つだったので短いです。
だから間隔も短かったですね。毎回こうだったらいいのに。(笑)

さて、次回からはやっとLメモらしくなってくる予定です。
…多分。(爆)

お礼レス
△ 悠 朔さん
部長…すんません、まだ入部まで到達してません。(汗)
なんだかずるずる延びまくってるんです。まだまとめ方がヘタで…(^^;
もうちょっと続きそうです。

号外に出して頂いてありがとうございました.
続きですか?そうですね。これ終わるまで他のも書けませんし、引き継がせ
て頂きます。
つーことで、次の章は遅れます。(ぉ
いや、頑張ります。…気持ちは(^^;

で、もう出来てたりするんで同時に上げます(笑)


んでは、今回もあとがき(なかがき?)をどーぞ。

YF−19:さて、今回は誰かな〜?(わくわく)
浩之   :…なぜオレなんだ?
YF−19:…………
浩之   :…………
YF−19:さて、次の章は…と。
浩之   :待てぃ、こら。
YF−19:野郎に用はないっ!(断言)
浩之   :ちょと待てっ!オレだって来たくて来てんじゃないっ。
YF−19:…なら何で来たんだ?
浩之   :…数少ない出演要請だったから…。(ぼそり)
YF−19:…………
浩之   :…………
YF−19:さて、ワード立ち上げて…と。
浩之   :だから待てって。(がしっ)
YF−19:貴様の出番が少ない事なんて私の知った事かぁぁぁっ!
浩之   :なぁ?オレって主人公だよな?(講義の声は無視)
      ToHeartの主人公だよな?(泣)
YF−19:…そうなんじゃない?多分。
浩之   :多分って何だ!?多分って!オレは間違いなく主人公だ!
      ToHeartの主人公なんだっ!!
YF−19:…だから?
浩之   :もっと出番をください。お願い(泣)
YF−19:いやぁ…無理じゃない?多分。
浩之   :なぜだ!?本来なら主人公こそ出番があるもんじゃないのか!?
YF−19:うーん、ここは特殊な場所だしねぇ…。
浩之   :特殊と言うと?
YF−19:君が目の敵にされてるって事。
浩之   :…何で?
YF−19:…言っちゃっていいの?
浩之   :おう。気兼ねせずにどーんと言ってくれい。
YF−19:君…鬼畜でしょ?
浩之   :は…?
YF−19:おまけに人の心を弄ぶし。
浩之   :え…?
YF−19:君、みんなの敵になってるよ。はっきり言って。
浩之   :…まじ?
YF−19:まじ。(即答)
浩之   :…………
YF−19:…………
浩之   :なぜだっ!?オレは悪くないっ!悪いのPLだろっ!?
YF−19:まぁ…そうかもしれないけど、直接手を下してるのは君だし。
浩之   :違うっ、あれはみんな命令されてやってるんだっ!
YF−19:今更そんな事言われてもねぇ…。君、それで良い目見てるでしょ?
浩之   :う…それは確かに。
YF−19:そういうとこが納得いかないんじゃない?みんな。
アンチ浩之の皆さん:…そうだー…浩之許すまじ!!(怒気)
浩之   :ま、待てっ。話し合おうっ。きっと人は分かり合えるんだっ!
アンチ浩之の皆さん:…うるせっ。貴様と話す事などないっ!!
YF−19:あーあ。ありゃ駄目だな。もう私には止められません。
浩之   :ちくしょうぉぉぉぉっ!何かが間違ってるぞーっ!!(逃亡)
アンチ浩之の皆さん:あっ、逃げやがった!!みんな!いくぜ!!(おーっ)
SE       :どどどどどどどどどどどどどどどど…。
YF−19:…さて、誰もいなくなったところで続きを書くとしましょうか。
      …え?なぜ突然浩之が出て来たかって?それはね…。
浩之   :中庭でベンチに座ってたのはオレと雅史だっ!!
YF−19:おやおや。逃げなくていいんですか?
浩之   :はっ、そうだった!じゃ!(すたたたた)
YF−19:…ま、そー言うわけです。今回これといって目立った人いなかっ
      たですしね。志保はまだ温存しておきたいですし。
      …はぁ。なんか今回は野郎ばっかで疲れました。
      もう締めるとしましょう。(笑)
      では、次回「出会い」でまたお会いしましょう。

PS   :…今回は野郎しか出てこなかったなぁ…次回こそは…(笑)