Lメモすぺりおる 第一弾 YFシリーズ出動! 投稿者:YF−19
「だから! うちの機体倉庫付近でやんないでくださいってば!!」
 ここは学園敷地内でも端になる場所。
 ここにはシッポの所有する戦闘機の格納庫及び滑走路がある。
「うるせぇっ! んな事知るかっ!! アームランチャー!」
 ばしゅっ。
 ジンの腕から一条のビーム光線がD芹に向けて発射された。
「―甘いですね! その程度のビーム!」
 D芹が身をひねってかわす。
「―お返しです! オプティックブラスト!!」
 ちゅんっ。
 D芹の両目からレーザーが放出され、ジンを襲う。
「なんのっ!!」
 ジンのアームランチャーが再び火を放つ。
 ごっ…ぐぉぉぉぉぉんっ!
 お互いの光線兵器は両者の中間距離で衝突・相殺された。
「やっぱりこうこなくっちゃなぁぁぁぁっ!!」
「―全くです!」
「あああっ!!第2滑走路が!!」

 二日に一度は必ず見られるという、ジンvsD芹のデスマッチが今日も繰り
広げられていた。
 昨日は、校庭で。
 今日は、シッポの機体格納庫付近で。

「あんたらぁぁぁ!! 一体修復にいくらかかると思ってるんだぁぁ!!」
 シッポは戦い続ける彼らに向かって絶叫した。
「なんかうるさい外野が居るな。今日は一発でいくぜ!!」
「―望むところです!」
 二人は一撃必殺の構えを見せた。
 彼らの一撃必殺と言えば校舎全壊は当たり前と言う評判だ。
 シッポは青ざめた。
「ちょっ、ちょっと待ってくださいよっ!だから他でやってって…」
 聞いちゃいない。
「この一撃に全てをかける!! ストナァァァァ・サンシャインンン!!」
「―これで終わりです! ファイナルガーディアン!!」


 彼らが帰る頃には、機体格納庫はおろか滑走路も跡形もなく姿を消していた。
「…リベンジ」
 跡地を呆然とした表情で見続けているシッポがぽつりと呟いた。



Lメモすぺりおる 第一弾 YFシリーズ出動!



「…第3次計画まで発動せざるを得なくなったか」
 シッポは基地内にある自分の部屋で、学園にあった機体格納庫の再建築
 シュミレートをしていた。
 簡単に言えば再構築の見積もりをしていたと言ったところか。
「見事になくなってましたからね…」
 シャロンの声もいつになく沈みがちだ。
「機体だけでも無傷だったと言うのは…せめてもの救いと言ったところか」
 彼がジン達に戦闘をやめるように言っていたあの時、シャロンはシッポの
 命によりYF−19(カスタム)の緊急移送をしていた。
「そうですね。あの時残りの二機まであそこにあったら…間違いなく助かりま
せんでした」
 シッポは整備が整っていないと言う理由で残りの機体はまだ基地に置いて
おいたままだった。
 それが今回幸いした。
「その事に付いては本当に助かった。ありがと、シャロン」
 シッポが弱々しい笑みをシャロンに向けた。
「そんなことないです。ただ運んだだけですし…」
 シャロンはそんな彼の様子を見て、元気付けるように話題の転換を促した。
「そ、それよりいつ頃復旧できる予定なんですか?」
 すると、シッポは再び沈み込んだ表情になりながら悲壮な結果をシャロンに
告げた。
「…二ヶ月後」
「う…それは長いですね」
 シャロンは彼にかける言葉が見当たらなかった。
 それほど彼は気落ちしていた。
「くっくっく…、なぁ…このままでは納得いかないよなぁ…?」
 なんだかシッポは少し精神不安定症状を引き起こしているらしい。
「は、はい。そうですね…」
 シャロンが少し引きつつ答える。
「…リベンジだ。このままでは終わらせんよ!!」
 シッポはそう言うと、拳をぐっと握り締めて机の上にある見積書を睨んだ。
「無理だと思いますけど…」
 シャロンはそんなシッポを見て、どうしたものかと思案を巡らせていた。

「くらぇぇぇ!! ロケットパァァァンチ!!」
「―マグネティックフォースフィールド!」
 今日も彼らは戦っていた。
 今日の舞台は校門前。
 朝の通学真っ最中な時間でもあり、二人の犠牲者は後を絶たない。
 とりあえず無事な生徒達は、彼らを見るなり裏口に回るか、攻撃の間隙を
縫って校門に突入している。
 実際に正門から入るのは一部のLeafキャラかSS使いだけだが。


「ちっ…これでは中に入れないではないですか」
 おや、風見ひなたさん。今日はまだ美加香さんと一緒じゃないんですね。
「…仕方ありません。非道バリア!!」
 そう言うと風見は側にいた生徒H(「オレは主」…以下削除)を引っつかんで、
そのまま戦闘の最中にぶち込んだ。
「じゃまだっ!!」
「―邪魔ですっ!」
「うぎゃぁぁぁぁぁっ!!(断末魔)」
 憐れ。彼は二人の攻撃をまともに食らい、消し炭に…。
「まったく…余計な時間を使ってしまいました」
 しっかり自分は校門突破してたりしますね。風見さん。
「美加香がいればこんな煩わしい思いすることもないんですがね」
 ま、いないものは仕方ないですって。


「ふぁ〜あ…眠いなぁ」
 おや、そこをゆくはナンパ師と名高いYOSSYFLAMEさん。
「お、たけるさ〜ん、電芹おはよ〜」
「あ、よっしーさん、おはよ〜」
「おはようございます。YOSSYFLAMEさん」
 YOSSYFLAMEは二人の姿を見つけると、手を振りながら近寄っていった。
 今日も朝からナンパに忙しそうですねー。
 どごーん。
 その時、学園の方から何かが爆発するような音が聞こえてきた。
「あれ? なんかあったのかなぁ? ねぇ電芹、行ってみようよ」
「危険ですからやめましょう。恐らくジン先輩でしょうから」
「うんうん。危ないとこにわざわざ行く事もないね」
 たけるがいきたがるのを二人が止める。
 だが、音がするのは校門前なわけだから、嫌でも近づく事になる。
 校門へ続く角を曲がるとジンとD芹が戦うのが見えた。
「あー、やっぱここでやってるね」
「わー、すごいすごい。いっぱい爆発してるよ」
「困りましたね。これでは学園内に入れません」
 三人はこれ以上進むのは危険だと判断すると、安全な内に歩みを止めていた。
「じゃ、裏口行きましょうか」
「そうだねっ」
「そうですね」
 YOSSYFLAMEはその辺で同じく困っていた女性徒(のみ)を誘うと、
学園の裏にある裏門に向かった。


「ジンく〜ん。授業には間に合うように程々にね〜」
「は、はい…(汗)」
 こちらは千鶴さんですね。
 さすがに一発通過。
 彼女を敵に回す愚か者はいませんからね。


「あ、先輩またやってる…逃げよう」
 出てきていきなり逃げようとするあなたはゆきさんじゃないですか。
 やっぱジンさんに見つかると巻き込まれたりするんですかねぇ。
「…あれ?なんか進めない…」
 嫌な予感を感じたゆきが自分の背中を見ると、しっかりと自分の背中を掴む
手首だけの物体が目に入った。
「ゆき! 俺の役に立て!!」
「…嫌だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!!」
 ジンは、そう言いながら必死に逃げようとするゆきをD芹に思いっきり投げ
つけた。
「―サイファー!!」
 しゃきーん。しゃきーん。
 いとも簡単にそれを迎撃するD芹。
 …本日の犠牲者二号ですね。合掌。(ちーん♪)


 そんな戦場を監視する一人の影があった。
 双眼鏡でそれらをじっと見ているシッポだ。
「…時は来た! 今こそ復讐の時!!」
 復讐を計画しているらしいが。
「やめといた方がいいと思いますよ?」
 ほら。シャロンも止めてるし。
「このままじゃ引き下がれん! …YF−19の名にかけて!!」
 どっかの探偵じゃあるまいし…。
「知りませんよ? ほんとうに…」
 諦め悪いねぇ。

「…で、なんでバルキリ―に乗ってるんです?」
 シッポとシャロンは今、空を飛んでいた。
「ん?だって生身じゃ絶対勝てそうにないもん」
 YF−19(カスタム)は学園の上空をガウォーク形態で飛んでいた。

 ちなみにガウォーク形態とは、戦闘機形態時のメインエンジンに当たる部分
が両足に変形し、翼の下から両腕が出ていると言う状態。

「なんか…対人にこれは卑怯じゃありません?」
 シャロンはいまいち納得していないようだった。
「え…?。こんな時の為のバルキリーじゃない。それにロボットとサイボーグ
相手に生身の人間が勝てると思う?」
 おまへ。それ言っちゃあ、おしまいだ。(笑)
 ま、とにかくシッポは未だ戦闘を続けている二人の間に降下していった。


「食らえぇぇぇ!!」
 だらららららららららっ!!
「なにっ!?」
「―!?」
 突然上空からの機銃掃射を受けて二人は驚いて上空を見上げた。
 そこにはガウォーク形態のまま上空でホバリングしているシッポがいた。
「てめぇ! なんの真似だ!」
「―邪魔をするのであれば容赦しません!」
 ほら。やっぱり怒ってる。
 しかし、シッポはそんな彼らを気にもせず、外部スピーカーをONにした。
「…恨み」
「は?」
「―?」
 言われた二人にはなんの事だか分からなかった。
「機体格納庫の恨みっ!!」
「…それで?」
「―だから?」
 よーするに彼らの記憶にはなかったってことですな。

「ちくしょぉぉぉぉ!!」
 ばしゅしゅしゅしゅしゅしゅしゅっ!!!
 シッポは叫ぶと同時に多数のミサイルを彼らに向けて発射した。
 そして、同時にファイター形態(戦闘機形態)に変形し、その場を離れた。
 どんっごんごんごんごんごんっ!!
 一発目の爆発が他の全てのミサイルに誘爆を引き起こした。
 直撃すれば無事、と言うわけにはいかないだろう。
 …ごうんっ。
 一瞬の後、今まで機体のいた場所に反撃のビームが走る。
「俺らの邪魔するとは…いい度胸じゃねぇか…」
「―まずはあなたからのようですね」
 あーあ。完全に怒らせちゃった。しーらないっと。
「完全撃破を!」
 こっちも半分イっちゃてるし。
「はぁ…」
 シャロンにも見放されてるぞ。お前。

「―サウザンドミサイル!」
 しゅばばばばばばっ!
 D芹の体中に仕込まれた大量のペンシルミサイルがシッポめがけて襲い来る。
「ちいっ! ミサイルごときがっ」
 シッポは機体後方からチャフを撒くと、ローリングを交えつつ、D芹の放っ
たミサイルを避けた。
「当たるかよっ!!」
 機体性能に依存しているところが大きいが、とにかく全弾回避したのは凄い。
 叫びながらシッポが次に前方に目を向けると、ジンが背中のバーニアをふか
しながら目の前にいた。
 にやり。
 ジンが笑った。
「断・空・砲!!!」
 ごっ…くおぉぉぉぉ!!
 大出力ビームがシッポに向けて発射された。
「なっ!!」
 とっさに右に操縦桿を倒し、横方向にバーニアをかけ高度を下げる。
 しかし。
 がががががががっ!!
 避けきれなかった。
 機体底部にかすったようだ。
 シャロンは素早く計器類を操作して被害状況を報告する。
「今のダメージでデフォルトコーテイングが損傷を受けました。ラジエータに
損傷確認。持って後5分です。右メインエンジン不調。出力75%まで減少し
ています。右翼先端にも損壊確認。空力特性が若干損なわれています。」
 なかなかのダメージだったようだ。
「くっ、さすがにやるねぇ…」
 シッポは機体をバトロイド形態に変形させると、地上に降りていった。

「―そんなに都合よく行くと思ったのですか?」
「…え?」
 降下中のシッポの前にD芹の姿があった。
「いや、だって説明ゼリフは守らないと」
 そう言いながらふと横を見るといつの間にかジンの姿まである。
「それ、俺達には関係のない話だなぁ」
 あのぅ…出来れば守って欲しいなぁとか思ったりもするんですけど…。
「あぁん?」
「―…(じろり)」
 …はい。結構です。(涙)
「や、やだなぁ…マジっすか?」
 シッポが冷や汗をかきながら二人に問い掛ける。
 …二人はこくこくと首を縦に振っている。
「…だっ脱出ぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅっ!!」
 シッポは叫びながら、右操縦桿の下にある非常脱出用のレバーを思いっきり
引いた。
 ばしゅっ!
「バスタァァァァコレダァァァァァッ!!」
「―シャイニングアーム!!」
 シッポが脱出するのと、二人が機体に近接攻撃系最大威力を誇る技を叩き込
んだのはほぼ同時だった。
 ごんごんごんごん…ごふぅっ!
 機体が各部から火を吹きながら落ちて行った。
「ああ…私のYF−19(カスタム)が…」
 ばしゅっ。
 シッポは落下しながらパラシュートを開く。
「だから言ったじゃないですか。あの二人はやめた方がいいって」
 隣にいるシャロンはなぜか傘をパラシュート代りにしている。
「シャロン…それ、なんだ?」
「はい? 落下傘…ですけど?」
 シャロンが小首を傾げながらシッポに答えた。
「それ…違う」
 シッポが頭に指を突きながら言った。
「あれ? 違いましたっけ? ま、私は別になんでもいいですから…」
 そう言うシャロンの明るい声を聞きながら、シッポは頭痛が収まらなかった。

 シッポはそのまま深い溜息と共にグラウンドに落ちていった。
 そう、XY−MENの経営するたこ焼き屋の真上に…。
 どがっしゃ〜んっ!!
「ああっ!? 俺の屋台がまたっ!! う、売上がぁぁぁぁっ!?」
 XY−MENが何か騒いでいるようだがシッポの意識はそこで途切れて行っ
た…。



Lメモすぺりおる 第一弾 YFシリーズ出動!…終了。

===+++===

 はいは〜い、みなさんこんにちは〜。長編行き詰まると短編書いていると言う
噂を志保に立てられかねないYF−19です。(笑)

 今回の大ネタは簡易か会議室でのチャットで、
「ジンさん&D芹vsYF−19」
をやったらどうなるか?
 と言う話題から生まれました。
 んで結論。
「やりにくい」
 でした。(笑)
 これも私の力量不足が全て悪いんです。(^^;
 そのうち面白い展開が浮かんだらまたやるかもしれません。

 さて、お詫びする人物…ゆきさんぐらいですか?
 あっXY−MENさんにも謝っとかなきゃ!(笑)
 すいませんでした〜。

 さて、自分でちょこっと作品解説を。
 この話は転校一週間程度を想定して書いてます。
 情報特捜部とかに入る前ですね。
 入学式に巻き添え洗礼受けなかったんで、後日に受けてみました。(笑)
 だから、ジンさんやD芹の怖さも知らないわけですね。シャロンは見た事があ
ったので知ってましたが。
 んで、この後更にきしめんさんの屋台まで直すハメになるわけです。(笑)
 いじょ。簡単な解説でした。

 ふぃ〜これでお終い〜。そろそろ次の長編に戻るとします。
 では、「突発だった割には時間がかかったな〜」と思ったYF−19でした。
 また次の作品でお会いしましょう。