Lメモ/VSアフロ『とある一般生徒の手記』 投稿者:Yin
○月×日
 現役のアイドルにして俺達の憧れ、我らが緒方理奈先生が、アフロ同盟の顧問にな
ったという怪情報が流れた。
 噂の出所は、例によってと言うか何と言うか、情報特捜部である。
 しかもそれを触れ回っていたのが城下&長岡。嘘度98%と言っても過言ではない
だろう。

 しかし、「もしかしたら…」という疑念が消えない。
 もしもこれが真実だったなら、俺達、理奈先生ファンはどうすればいいのだろう?

 …まあいい。今は眠ろう。
 朝、学園に行けば全ては明らかになるはずだ。



Lメモ/VSアフロ『とある一般生徒の手記』



○月◇日
 ……悪夢だ。
 これを悪夢と言わずして、何を悪夢と言うべきか。

「ええ、顧問になったわよ」

 授業開始前、職員室に詰め掛けた俺達の問いに、理奈先生はあっさりと答えた。
 その時の絶望感は、はっきり言ってここに記す事は不可能だ。
 目の前で、秘蔵の理奈先生ブロマイドコレクション(約1800枚)が焼き捨てられたと
しても、ここまでの衝撃を受ける事は不可能に違いない。

 今日は、丸一日何もする事が出来なかった。
 一晩過ぎれば、全てが夢だった…なんて事にはならないものか。


○月△日
 夢じゃなかった。

 ただ、一つだけ安心して良い点は見つかった。
 理奈先生はあくまでアフロ同盟の「顧問」であって、「部員(同盟員?)」ではない。
 要するに、「理奈先生がアフロヅラを被る事はない」という事だ。
 そういえば、2年の月島とかいう子もアフロ同盟員らしいが、男みたいにアフロを
年中被っているという訳ではないみたいだ。

 しかし、完全に安心する事は出来ない。
 何しろ相手は、あの悪名高いアフロ同盟だ。いつ何時、理奈先生がアフロにされて
しまうか…なんとかしなくては、と思う。


○月◎日
 放課後、俺と同じ理奈先生ファンの友人から相談を持ち掛けられた。
 それは、はっきり言って驚愕に値する内容だった。

 理奈先生ファン一同で結集して、アフロ同盟に身を投じよう、というのだ。

 その話を聞いた時、俺は彼の正気を疑った。
 だが彼も俺の反応を読んでいたのだろう、すぐに説明を始めた。

 かつて俺達は、学園内に理奈先生ファンクラブを設立しようとした事があった。
 それも、理奈先生に顧問をやってもらう、部活としての物をだ。
 しかし、外にも『緒方理奈公認ファンクラブ』が存在する事、そして理奈先生自身
に「恥ずかしいから」と断られてしまった事が理由で、計画は頓挫してしまった。
 そんなわけで、俺達も未練を残しながらも諦めていたのだが、今回のこの騒動だ。
「チャンスだろう?」と彼は言った。
 アフロ同盟などと言っても、所詮は5人程度しか部員のいない弱小クラブだ。
 俺達が一斉に入部してしまえば、その主導権を奪ってしまう事も可能に違いない。
 理奈先生もこれならいやとは言うまい、と。

 悪い考えじゃないかもしれない。
 既に顧問になっているところに後から入部するという形なら……
 何より、理奈先生のすぐ側にいられれば、アフロ化する事も防ぎやすいはずだ。
 とりあえず、俺の方からも他の友人達にあたる事を約束して、話を終えた。

 とりあえず、家に帰ってから数人に電話。承諾を貰う。
 明日から忙しくなりそうだ。


○月γ日
 本格的に動き始める。
 既に40人ほど確約を取り付けた。
 目標は50人。恐らく明日中には達成できるだろう。


○月∃日
 57もの入部届を手にアフロ同盟の門を叩こうとするが、ここで重大な問題発生。

 部室の場所が分からない。

 ならば直接、と思ったのだが、普段は校庭の片隅で得体の知れないダンスを踊って
いるくせに、今日に限って見つからない。
 皆で一斉捜索した結果、図書館裏の毒物農園で奇怪な植物と格闘を繰り広げている
元祖アフロの一人を発見。
 我々の目の前で宙づりになっていた彼に入部届を手渡し、そのまま撤退。
 アフロだし、ほうっておいても問題はないだろう。

 とここまで書いて、もしあのまま吊り下げられっぱなしで帰ってなかったら、俺達
の入部届は無駄になるのだろうか、という疑問に行き着いた。
 ま、いいか。


○月♪日
 昨日の届けは、無事受理されていたらしい。
 登校すると、教室の机の上にアフロがあった。
 てっぺんには昔懐かしいフラワーロックが刺さっており、皆のざわめきに合わせて
踊りくねっていた。その目は、サングラス越しに「さっさとかぶれ」と雄弁に語って
いた。
 皆に腫れ物でも見るような視線を向けられたが、これも理奈先生の為だ。
 意を決して俺は、その物体を頭に載せたその時……クラスを包むざわめきがやんだ。
 そして、次の瞬間……

 駄目だ、今の俺にはこれ以上書けない。
 一生分の恥をあそこで掻いてしまったのかもしれない。
 もう恐いものはない…そう思っておこう…


○月〆日
 部室には人数が入りきらないという事で、昼休みに校庭で新人歓迎アフロ集会とや
らが開かれた。
 「新人」には、俺達だけでなく理奈先生も含まれているらしい。
 元祖アフロどもが何か言っていたが、どうでもいい。
 重要なのは理奈先生の言葉だ。

「私が顧問になった途端にこんなに沢山の人が入ってくれて、とても嬉しいです。こ
れなら、一年とは言わず半年でアフロ同盟は優勝を狙えるようになると思います。み
んな、これからもよろしく。一緒に頑張ろうね」

 理奈先生と一緒にやっていけるなら、どんな事でも出来る。そう思った。
 たとえそれがアフロの道であっても、理奈先生が喜んでくれるなら…


○月〜日
 あれから3日。毎日のように校庭で妙な踊りを続ける日々。
 だが理奈先生のかけてくれる言葉に比べたら、周囲の視線など苦にもならなかった。
 慣れてしまえば、この外れないアフロヅラだって気にならない。
 こんな日々も悪くはない。


△月#日
 いつものようにタマダンスの練習をしていると、理奈先生がぽつりと漏らした。
「どうせだから、部員が100人いっちゃえば楽しいかもね」

 気付くと…俺は涙を流していた。
 アフロが増える。そしてそれを、理奈先生が喜んでくれる。
 これほど喜ばしい事があるだろうか?
 理奈先生の喜びこそが我等が喜び。一向に動かない旧アフロ連中に変わって、俺達
が動かなくては。


△月○日
 地道な勧誘活動を始めて10日。
 我らの努力の甲斐も無く、新入部員はいまだ3人のみだ。
 何とかしなくては…
 何とか、アフロの素晴らしさを…


△月※日
 同志から提案があった。
 SS使いをアフロにしてしまえばどうか、と言うのだ。
 様々な力を持つ彼等は、望む望まずに関わらず周囲に大きな影響を与える事が多い。
 そんな彼等を引き込む事が出来れば…しかも、自らのアフロを誇れるような、そん
なSS使いを。

 提案は可決され、さっそく実行に移された。
 が、流石に一筋縄ではいかない。強硬手段に出て無理矢理アフロをかぶせようとし
た同志達は、大怪我を負って帰ってきた。

 やはり、不意打ちしかないか…


△月&日
 一晩の会議の結果…彼女持ちのSS使いを狙う事にした。
 正確には、その彼女にアフロをかぶせ、SS使い達にもアフロ着用を迫るのだ。
 彼女とペアルックと言うならば、きっと大丈夫なはずだ。
 彼等も、アフロの素晴らしさを思い知るに違いない……


△月!日
 決戦の日。
 第二購買部に眠っていた大量のアフロヅラの買い占めも成功した。
 同志達の仕掛けも万全。
 後は……

 計画が成功するかどうか、今はまだ分からないが…いや、必ず成功するはずだ。
 我らには、アフロ神の加護がついているのだ。



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 と、こんな経緯で『アフロ大戦』は起こったらしい。

 いやはや、ツルカメツルカメ…



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 なんだかんだで久しぶりのLはVSアフロです。
 頭痛と戦いながら書き上げ、オチまで読み直してみての感想。
 さっぱりですなぁ。やはり熱が下がってから書くべきだったか? とか言ってみて
もただの言い訳なんで、やめときますが。

 さて、問題です。理奈はどこへ行ってしまったのでしょう?(核爆)

 書いてるうちに暴走しちゃって、どこかに行ったきり帰って来ませんでした(死爆)

 ま、そんなこんなで(何がだ)理奈アフロ化賛成です。

 それにしても我が事ながら…〆切近くじゃないと、相変わらず動かないのね、俺
(苦笑)