なんとなくLメモっぽいやつ−1 初登校(前編) 投稿者:Yin
  初めて書いたLメモなんですが・・・いきなり前後編です。
  駄文ですが、なにとぞお付き合い下さい。お願いします・・・
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  玄関を開け、空を見上げる。
  白と蒼がまぶしい。
  新しい生活を祝福するかのような日の光が印象的な、そんな朝だった。

「行くぞ、アイラナ、ちび」
  色の入った眼鏡をかけた小柄な男が、2階の屋根の上に向かって声をかける。
「はーい、マスター」
「ぴきゃーっ」
  応えたのは少女と、その肩に乗った全長35cmくらいの竜――ドラグーン。
  カギをかけ、歩き出す男。
  その後を追うように、アイラナと呼ばれた少女が屋根から飛び降りる。

  ばさっ

  白と蒼が彩る空にもうひとつ、大きな白が広がった。
  翼。
  人の身体ほどもある、一対の翼。
  そして、肩に乗った幼竜のそれに近しい質感を持った、一対の角。そしてしっぽ。
「じゃ、いこっか、マスター」
  ふわりと着地しながら、にこりと微笑んで男に話し掛ける。
  彼女の名前は、アイラナステア。
  男――Yinによって育てられた『白天使』である。

  時折、まぶしい日の光を頭上の緑が遮って、心地のいい影を作り出している、そんな
道を歩きながら。
「・・・今度の学校には、長くいられるといいね」
  再び射す光を手で遮りながら、アイラナステアがポツリと呟く。
  聞こえているのかいないのか、Yinは何も応えずに黙々と歩く。
  アイラナステアもそれ以上何も言わずに、肩の上に乗っかってあくびをしている「ち
び」を抱き上げ、頭の上に乗せ直した。
  歩く事20分ほど。
  二人と一匹の前には、巨大な学校に通じる校門があった。

  『試立Leaf学園』

  それがこの学校の名。
  今日からの、新しい生活の場。
  ここは果たして、俺達を受け入れてくれるのだろうか・・・?
  Yinの脳裏をふと、不安がかすめる。
  いつも俺は異端だった。理由は分かっている。そしてそれを捨てる事も出来た・・・
「・・・マスター?」
「ぴきゃ?」
  男の内心を察したのか、アイラナステアとちびが心配そうな顔をしていた。
  ・・・その時はその時さ。どうなったって、こいつらがいてくれれば何も変わらない。
  ・・・こいつらがいなきゃ、何も始まらないんだ・・・

  ぽん

  アイラナステアの頭にちょこんと乗っているちびを軽く叩いて、Yinは口を開いた。
「心配すんな、冬月のお墨付きだ。俺達なんかよりすごい連中がいくらでもいるってな。
そんなに目立って追い出されるような事はないだろう」
  アイラナステアの髪をかき混ぜるようにちびをなでながら、微笑みを浮かべる。
「大丈夫、きっとうまくやれるさ」
  そう、うまくやれるさ。
  Yinは自分に言い聞かせるように呟き、門をくぐった・・・・・・



なんとなくLメモっぽいやつ−1  初登校(前編)



  ・・・なんだ?
  ・・・なんなんだ?
  迫り来る閃光。爆音。混乱する思考と体中に走る痛み。
  そして地面に叩き付けられる身体。
  ひび割れた眼鏡のレンズ越しに見える、二人の戦いに巻き込まれたのだ、と言う事に
Yinが気付いたのは、無数のペンシルミサイルとファンネルとおぼしき物から撃ち打
ち出されるビームとの相打ちによる爆風に巻き込まれ、再びぼろぞーきんのように宙を
舞っている最中だった。
「うふ、うふふふふ・・・・・」
「やっぱ・・・闘いってのはこうじゃなきゃよおおぉぉぉっ!!!」
  ちょっといっちゃった感じで笑いながら光る両手を構え直すセリオタイプのメイドロ
ボと、歓喜の表情で吼え猛る、「ああ、10段階改造済みなんだな、この人。っていう
か人?実は○ーテルと一緒に機械の身体を手に入れようと旅してたでしょう?いや、し
てた!絶対!!」と言いたくなってしまう、全身これ武器の塊の熱血野郎。
  ・・・言わずと知れた、ジン・ジャザムとDセリオである。
  例によって例のごとく、周囲に名のある無しに関係ない屍の山を築きながら綴られる、
もはや学園の風物詩とも言える微笑ましい日常の一ページも、何も知らずに巻き込まれ
たYinにしてみれば、降ってわいた災難でしかなかった(知ってて巻き込まれるのは
災難じゃないのか?)。


  ・・・死ぬ?
  ・・・俺、死ぬのか?
  ・・・まだここに来て、何もしてないのに・・・?
  ・・・アイラナ・・・ちび・・・みんな・・・


「って、何ひたってんの、マスター!」

  スパーーン!

  クリーンヒット。Yinは頭部に23のダメージを受けた・・・
「・・・つーか、もーちょっとましな起こし方はないのか?」
  はたかれた場所をさすりながら、むっくりと起き上がるYin。
「なーに言ってるのよ。苦労したんだからね、マスター助け出すの。もうちょっと感謝
してくれてもいいんじゃない?ねえ、ちび?」
「きゃーす」
  まだアイラナステアの頭に乗ったままのちびが、首をこくこくと振る。
「・・・・・・」
  とりあえず、腕を動かしてみる・・・・・・異常無し。
  首、足、腰・・・・・・ALL  GREEN.
  どうやら、彼女が癒してくれたらしい。『白天使』の能力の一つだ。
  ちょっと身体が重い気もするが、多分血を失ったせいだろう。
  『白天使』の力では、外傷を癒したり切断された肉体を接合する事は出来ても、完全
に失われた血や肉体の再生、疲労の回復などは不可能なのだ。
  とはいえ、失った血の量は肉体的にたいした影響を与えるほどでもない。
  首を巡らすと、遠くの方でビームの光と爆発が交錯している様が見て取れた。
  すでに戦場は、はるか彼方へと移ったらしい。
「・・・よく死ななかったな、俺・・・」
  ポツリと、だが万感の想いを込めた呟きがもれる。
「・・・ま、怪我治してくれた事には礼を言っとくよ」
  すでになんの役目も果たしていない眼鏡だった物を投げ捨て、懐から取り出した新品
をかけ直しながら、ぶっきらぼうに感謝の念を伝える。
  そんないつもの態度に、アイラナはくすりと笑ってみせた。
「ま、いいわ。マスターはそこら辺で休んでて。手続きとかは私がやってきちゃうから。
職員室でいいんだよね?」
  ばさっ、と翼を大きく一回振ると、小柄な身体がふわりと宙に舞う。
「じゃ、行ってくるねー」
「すまんな」
  手を振ってそれに応えると、その姿はすぐに校舎の影に消えていった。

                                  ☆☆☆

「・・・まあ、せっかくああ言ってたんだから、お言葉に甘えますか・・・」
  先程の騒ぎであちこちに散らばった消し炭やらうめいている生徒やらを手近なドブな
んかにほうり込んで場所を確保すると、ごろりと芝生の上に横になる。
「・・・・・・なんなんだかなぁ」
  あいもかわらず蒼い空を見上げながら、Yinはひとりごちた。
「転入早々あんな事に巻き込まれるとはなぁ・・・」
  ふと脳裏に、友人であり、先輩でもある冬月の言葉がよみがえる。

『大丈夫、安心していいですよ。あの学園の人達なら天使とかドラグーンとか、そのく
らいじゃ驚きもしません』

「・・・確かにそうかもな」
  穏やかな風に、ゆっくりと雲が流れていく。
  爆音もすでに遠のき、辺りは穏やかな静寂のうちにあった。
  心持ちさっきより高く上った日は、心地よい光を投げかけている。
「そう言えばここの所、ふっ、んん〜〜〜っ、引越しやらでろくに寝てなかったなぁ」
  大きく伸びをしながら、Yinは一眠りとしゃれ込む事にした。
  目を閉じる。
  のんびりと過ぎていく時間。
  さほどもしないうちに、彼はまどろみの内にあった。

・・・・・・・ドドドドドドドドドドドドド

  ・・・?
  なんだ?

  すでに半分以上眠っている思考の中、Yinはぼんやりとその音を知覚した。
  それは、学園の生徒であれば誰もが知っている、『いつもの事』であった。
  しかし、今日来たばかりの転入生がそんな事を知るはずもなく・・・

ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド
「楓ええぇぇぇぇーーーーーーーーーーーーーっっっ!!!!!!!!!!」

  めしゃり

  何を考える事も、感じる間もなく。
  意識は、闇に落ちていった・・・

                                  ★☆☆

  ぱたぱたぱた・・・
「どこにあるんだろうね、職員室・・・」
「ぴぃ?」
  その頃アイラナとちびは、職員室を探して空を飛んでいた。
  彼女は気付いていない。いくら空から探しても、校舎内に入らない限り職員室にはた
どり着けないと言う事に。
  それ以前に、Leaf学園が小中高一貫の学校であり、そして今飛んでいる所が中等
部の上空であると言う事に。
  結構間の抜けた所もあるようである。

  ―ふつん―

「?・・・マスター!?」
  ふいに表情を厳しくして、アイラナが飛んできた方向を振り返る。
「精神連結が・・・切れた・・・?」
  精神連結。天使とそのマスター(『天使の担い手』と呼ぶ)の間に結ばれる、精神の浅
い所をつなぐ糸である。これがつながっている事により、互いがどのような感情を抱い
ているか、どのような状況に置かれているかを距離を問わずに感覚的に知る事が出来る。
  眠っている時でさえ途切れないこの精神連結は、当事者達にとってはすでに五感に等
しい物と言ってもよい。
  それが急に消失した・・・
「ちび、しっかりつかまって!」
  Yinからの呼び掛けがあればすぐ傍に転移する事も出来るのだが、精神連結が切れ
ているようではそのような事は望むべくもない。
  ならば、出来る事はただ一つ。
『風よ、我に宿りて舞い踊れ!』
  風が、身体を包む。
  風が、力を与える。
  翼に。
  自分が『白天使』であるという、誇り。純白の翼に。
(マスター!!)
  そして彼女は、一陣の風と化した。

                                  
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Yin:というわけで、初めてのLメモなんですが・・・前後編です、いきなり。
アイラナ:予想外に長くなっちゃってなかなか終わんなくなっちゃったもんだから、こ
        んな事になっちゃったんだよねんだよね、マスター。
Y:うん、これがホントに予想以上でね。後編は多分もうちょっと長くなりそうです。
ア:後編はどうなるの?
Y:とりあえず、レッドテイルさんがかなり出ずっぱり。アイラナとの出会い(L版)
  を書く事になるはずです。基本はチャットのリメイクですが。
ア:なるはずって事はまだ書いてないのよね・・・
Y:むぅ、そのとおりだよ。だからこその前後編。それはいいとして。
    なんの断りもなく出させて頂いたジンさん、西山さん。あんな扱いですいません。
  特に西山さんは名前も出てきませんが、いや、言わずともわかるかな〜って・・・
  いや、ホントすいませんでした。苦情も受け付けてますんで何かあったらどうぞ。
ア:それにしても、あいもかわらずコメディやギャグとシリアスの書き分けが出来ない
  んだね。
Y:うん、わかってるけどね。これは今後の課題。
  それはそうと感想なんですが、もう少ししたら次のを書き込むと思うんで、その時に。
    それでは!
ア:また近いうちにお会いしましょう。