Lメモ・学園男女混合テニス大会! 第36章 「コイツら本気の敵%ッ士」 投稿者:YOSSYFLAME




大会会場から少し離れた中庭の芝生。
YOSSYFLAMEは、そこに足を運んでいた。
「さて、広瀬のヤツ……、って、まだ寝てやがるよ、コイツ……」
額に手をやり苦笑するYOSSY。

「ひーろーせー、おきろ、ホラっ。」
ぺちぺちぺちっ。
とりあえず頬を2,3発軽くひっぱたいてやるが、気持ちよさそうな寝息を立てているだけで、起きようともしない。
「広瀬、ほら、起きろっていうに。」
ぺちぺちぺちぺちぺちっ。
しかし、起きる気配をまるで見せないゆかり。
「起きなきゃエッチなことするぞ〜」
耳元で囁くも、全く起きる様子はない。
「……ほぉ、そーゆー態度に出るならこっちにも考えがあるのだが。」

つーーー

機を得たりとばかりに、テニスルック姿のゆかりの足元から膝、太股を指でたどって行くYOSSY。
「ほらほらほらほら、スカートの奥に指がいっちゃうぞ〜」
つーーーーー

「ん……、んんっ……」
わずかながらに反応が見えるのも構わず、尚も指を進行させる。
そして、スカートの奥にまさに指が入る瞬間――
「んんっ………、……ん……、……えっ?」
「………お、ようやくお目覚めか広瀬。」





「キャアァァーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!」





どがぐしゃばきどこべきばきべきどこがきゃべきぐしゃどこばきいっ!!

「はぁ…、はぁ…、はぁ…、はぁ…、……なにするのよ変態っ!!」
息を切らして真っ赤になりながら思い切り罵倒するゆかり。
その足元には、新聞紙て潰されたゴキブリのようにヒクついているYOSSYの姿があった。



「……お前な、試合前にパートナーを壊す気か?」
「壊されるようなことをするほうが悪いんでしょう!!」
体中に生傷をたんまりこしらえたYOSSYの前を、つかつかと大股で歩いて行くゆかり。
「お前だってなかなか起きないのが悪いんだろうよ。もう少しで不戦敗食らうとこだぜ。」
「仕方がないじゃない。前夜祭の後、すぐ仕事に行かなくちゃいけなかったんだから。」
そんなセリフを吐いてピタッと足を止め、YOSSYが追いつくのを待ってから隣並んで歩き出す。
「ホントは出る予定なんかなかったんだから、私は……」
やや拗ねたような視線をYOSSYに向けるゆかり。
「それは分かってる。その件に関しては俺が悪い。ホントにすまんと思ってる。」
自分から無理いって頼んだ立場上、そのあたりは素直に詫びておくYOSSY。
「ねえ……」
「ん?」
「ずっとあなたが留守にしていた間、一体何してたの?」
「………………」

「あなたがあそこまでして出たがったこの大会に、なにか関係があるの?」

真摯な瞳でYOSSYを見据えるゆかり。
「この大会自体には関係ねえよ。ただな……」
「ん?」
「なんとなく無性に出たかった。ただそれだけだったりするんだわ。」





「長瀬先輩、2回戦もがんばりましょうねっ!」
「あ、うん……」
一方、川越たけると長瀬祐介は、控室で今まで休養をとっていた。
たけるの1回戦での極度の疲労は、ルミラの魔力輸送によって大方回復していた。
そして今は、親友の電芹と共に、2回戦の対策を練っているところであった。
「で、2回戦の対戦相手のよっしーさんと広瀬さんですが……
なにせ急造中の急造チームなものですから、これといったデータは見つかりませんでした……」
それはそうである。
なにせ昨日飛び入りで組んだ上に、彼らの試合はこれが緒戦。
データもへったくれもあったものではない。
「よっしーさんは速そうだけどねえ……」
小首をかしげて考えるたける。
「でもあの二人のダブルスって、絶対にチームワークに難があると思うんだけどなあ……
ましてや昨日組んだばかりの即席チーム。打つ手なら十分にあるよ、きっと。」
珍しく祐介の口から確信めいた発言が飛び出す。
それももっともな話で、YOSSYとゆかりの仲の悪さは、たいして2人と親しくないはずの
祐介にまで知られている、いわゆる公然の秘密なのだから。
「とにかく頑張ろう。」
「うん、そうだね、頑張る!」
祐介の言葉に元気よく返すたける。



「で、よっしー。」
また戻り、会場へと向かうYOSSYとゆかり。
「結局私たちの相手って誰?」
「あー、そいやお前寝てたんだよな。たけるさんと長瀬だ、俺らの相手は。」
「へぇ…」
その名前を聞いてわずかに驚きの色を見せるゆかり。
「あのルミラを破って勝ち上がってきたんだ、川越さん達……」
「そーゆーこと。
見た感じでは、電波で運動能力をあげるくらいしか技はなかったみたいだが、
問題は、あの執拗なまでの勝利への闘志だな。
絶対に油断はできない相手だぜ。そのへん心してかかれよ。」
「っていうかさ……」
YOSSYの言葉にジト目で応えるゆかり。
「ただの一度も一緒に練習してない私たちの方が、よっぽど問題だと思うんだけど。」
「……あぅ。」





『みなさま、永らくお待たせいたしました!
それではいよいよ、第2ブロック2回戦第2試合を行いたいと思いまーす!』
場内アナウンスと共に一気に盛り上がる観客。

「さて、いよいよね。」
「ええ……」
選手専用席に陣取り、トマトジュースなどを嗜んでいる妙齢の女性、ルミラ・ディ・デュラル。
その彼女の隣に影のように佇んでいるのが、今大会での彼女のパートナー・神凪遼刃。
1回戦で死闘の末に彼女らを破った祐介とたけるの応援の為に、ここに陣取っているというわけである。
「YOSSYFLAMEと広瀬ゆかりか……
相手もなかなかクセ者だけど、私たちに勝ったあの子達なら、大丈夫よね、きっと。」
トマトジュースを半分ほど開けたルミラ。不意に表情を引き締め、コート下のたけるを見据える。
「むしろ問題は、たけるのスタミナ、か……」

「ここにいらっしゃったんですか、ディルクセン先輩。」
「……貞本か。」
客席の上通路の手すりに身を預け観戦しているディルクセンに声をかける貞本夏樹。
「全く迷惑な話だ。風紀委員長ともあろう御方が学賊などと仲睦まじくテニス三昧とはな。」
思いきり皮肉を込めた口調で吐き捨てるディルクセン。
「まあそう言わず、見てあげてください。」
そんな口調をもさらっと流し、珍しくにこやかに話しかける夏樹。
「……きっと、あなたが知らない広瀬ゆかり≠、見ることができると思いますよ。」
ディルクセンの返事も待たずに、戻って行く夏樹。
彼の鼻での笑い声を後ろ耳で聞きながら、彼女はコートにいるゆかりに目を向けた。
「(見せてよ、ゆかり。あなたの力≠――)」




「お互いに、試合前の握手を。」
主審の号令で、互いにコート中央に歩み寄る。

「よろしくお願いします……」
「長瀬君、悪いけど勝たせてもらうわよ。」
遠慮がちに手を差し出す祐介の手を、心持ちキツく握り、不敵な笑みを浮かべるゆかり。

「どっちが勝っても、呪いっこなしだよ!」
「………呪いなの?  恨みじゃなくて?」
お互い、同じようなタイミング、同じような力で握手し、健闘を誓い合うたけるとYOSSY。





『それでは、第2ブロック2回戦第2試合、YOSSY、広瀬組  vs  川越、長瀬組、――プレイッ!』





「しゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
どきゃっ!

気合を入れて放たれたYOSSYのサーブ。
それを体勢を崩しながらも打ち返す祐介。
「なかなかやるじゃない。――けど!」
パアアンッ!
ゆかりの強烈ストロークが撃ち出される。
「よしっ!……って、えっ?」
ゆかりのショットの弾道上に、何時の間にいたのかたけるの姿!
「ええいいっ!」
たけるがなんとか打ち返す!  しかしゆかりの球の威力におされてリターンに力がない!
ボールはふらふらと二人の間に!
「「よっし、オーライ!」」

――え?





ごんっ。





鈍い音が会場に響き渡った。
一瞬静まり返った会場が、次の瞬間、大爆笑の渦に包まれた。
「だははははははは!馬鹿だぜアイツら!」
「正面衝突してどうすんだよ一体!」
「おっかしーっ!  おもしれーぞお前ら!」

「ククククアハハハハ!  確かに俺の知らない広瀬を拝めたなぁ、なあ貞本!」
「アハハハッ……、ナ、ナツキ、ディルクセンが、呼んでる、ケド、……アハハハッ……」
「……くっ……」
腹を抱えて大笑いしているディルクセンの存在を爆笑しながら、赤面し拳を震わせている夏樹に教えるレミィ。



「……いったぁ…い……、ちょっと!  オーライって言ったでしょう!」
「俺が言ったのが先だろうが!  お前が譲るのが筋だろ!」
「なんですって!?」
「なんだよ!?」
「二人とも、試合中ですよ!」
こともあろうに試合中に、ぶつかったショックの涙目で睨み合うYOSSYとゆかりを審判が制止する。
「とにかく!  ……ククッ……0−15……」
「「笑うなぁ!!」」



これを皮切りに荒れきった二人のコンビネーションは、瞬く間に1ゲーム相手に許す結果となった。
「ち、これでパーフェクト優勝はなくなったか。」
「なに寝言いってんのよ!」



「ゲーム!  川越、長瀬組、2−0!」
そして第2ゲームもあっさりと自爆し、この状況で2ゲーム先取されたYOSSY達。
さらにこのゲームさえも0−40とリードされ、笑い話ではなくなってきたのである。

「どうするのよいったい!?」
「うーん、どうしよ?」
「ああぁぁぁ………」
ぜんっぜん歯車が噛み合う様子すら見えない二人。
相手が何するでもなくゲームを奪われる展開に、さすがにまずいと思ったのか、
「よし、こうしよう。」
「……何よ?」
YOSSYの提案に、抱えた頭を上げて聞こうとするゆかり。

ザーーーーー

「ち、ちょっと?」
突然コートの中央にラケットで線を引くYOSSY。
「ここが境界線な。」
「何よ、境界線って……」
と、首をかしげていたゆかりが突然ハッとする。
「御名答。つまり、コートを半分に区切ってシングルスをやるんだ。」
「なるほど……」
にんまりとした笑みを漏らすゆかり。

「YOSSY、広瀬、両選手急いで!」
「「ちょっとぐらい待って!!」」
YOSSYとゆかりの気迫に圧されて引っ込む主審。
「(ちえっ、こんな時だけは息がピッタリなんだから……)」

「でも、真ん中はどうするのよ?  どっちが打っていいかわからないじゃない。」
「心配するな。本を読んだからな。」
「本?」
「人呼んで阿吽(あ・うん)戦法≠セ、そうだ。」
「阿吽戦法?」

コートにののじを書いてる主審を尻目に、なおもYOSSYとゆかりの作戦会議は続く。

「つまりだな、真ん中に飛んできたボールに、
先に反応したほうが∞阿≠ニ叫んで、遅れた方が、吽≠ニ叫ぶんだ。
そうやったら、真ん中のコンビネーションがとれるらしいんだが。」
「……なんか、恥ずかしいね。」
「……気持ちはわかるけどな。
とにかく2ゲームリードされていて、今後の見通しも立たない今、
藁にもすがる気持ちでやるしかないだろ。な?」
「そうね。……こんなところで負けたくないし。」
「よし決まり!  これから一気に挽回するぞ!」
「もちろん!  主審さん、もういいですよ!」
「(もういいじゃねーってーの……)」



「よっしーさん、作戦は決まった?」
「まあな、悪いけどたけるさん、これから先は俺らのショータイムだぜ。」
「……さっきからずっと、よっしーさんたちのショータイムだと思ってたんだけど。」
たけるの的確なツッコミに会場から失笑が漏れる。

「ああもうっ!  とにかく始めるぞ!  ゲームカウント0−2!  YOSSY組サーブ!」
とまあそんなわけで、半分ヤケクソの審判の号令により、ようやくゲームが再開された。

パアアァン!
祐介のストロークを難なく打ち返すYOSSY。
コートを2つに分けてから、俄然順調になってきたYOSSY組。
実際個々の実力なら、YOSSYもゆかりもそこそこのもの。
だとすれば、多少のハンデを負ってでも、シングルスで闘った方が楽といえば楽。
そうこうしているうちに、たけるのショットを軽くいなすゆかり。
そのゆかりのストロークをなんとか体勢を崩しながらも返す祐介。
ボールはまたもやど真ん中に!
「よし、いくぞ広瀬!  阿吽戦法だ!」
「了解っ!  ――せーの!」

「「阿ーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!」」





ごんっっっ。





ひときわ鈍い音を立て、二人のおでこがごっつんこ。
またもや静まり返る観衆。
そしてその大観衆に次の瞬間またも、堰を切ったような大爆笑が巻き起こった。
「く、く、苦しい……、二人一緒にあ≠チて言ってどうするんだよお前ら……」
「あはははは……、お腹がよじれそうです……」
「あはははっ……、佐藤先輩、ティー先輩……悪いですよっ……おなかがいたい……」
「だ、大丈夫ですか、……あははは……、……松原さん……」
YOSSYの応援に来てくれた佐藤昌斗、T-star-reverse、松原葵も大爆笑。
「あははははははははははは!」
「きゃははははははは!  バカだバカだーーーーー!」
「こ、こら、そんなに人を笑っちゃ……ハハハハハ……だめだって……笛音…ハハ…ティーナ……」
笛音、ティーナをはじめとする初等部の面々は、もう遠慮なしに笑っている。
「わははははははは!  バーカ!  アーホ!  マヌケ!  帰れ貴様ら!」
「ひ、ひなたさん………言い過ぎ………く、くるしい……」
一切の遠慮なしといえば、この男風見ひなたも大爆笑。赤十字美加香も懸命に笑いを堪えている。
「ククククッ……、バカだ……どーしょーもねーバカだ……」
「は、ハイドくん、ダメだって………そんなこと言っちゃあはははははははははは!!」
ハイドラントやEDGEといったメンバーも、可笑しさを隠せないでいる。
おそらく、最初からテニス大会を観戦していた観客の大半が、この気持ちを共有しているだろう。
そう――





こんなバカチーム見たことねえ





「がはははははははは!  わははははははは!  ひーーーー苦しいーーーーーーーーっ!!」
「あ、秋山さん、笑ってないで……、たけるさんが大変なんですってば……あはははっ……」
笑いを懸命に押さえて秋山に呼びかける電芹。
電芹の指を差した方を見ると、笑いすぎてケイレンしてコートに倒れ伏しているたけるの姿。
笑いを堪えながら、祐介が懸命に看病をしている。

「なんなんでしょうね……ルミラさん……」
「……全くだわ。何であんなチームのことで私が気を揉まなくちゃならなかったのか、
そっちのほうがバカバカしくて笑えてくるわ……」
自嘲気味の笑みを浮かべながら、ルミラは残りのジュースを飲み干した。

「……ちょっと僕ら用事を思い出しましたんでこれで。」
「待ちなさい貴方達。」
風紀委員応援席≠ノいるのがいたたまれなくなって逃げ出す
真藤誠二とkosekiの首根っこをガッチリ掴んで離さないXY−MENととーる。
「離してくださいっ!  一緒にされたくないですぅ。」
「やかましい!  俺らだって恥ずかしいんだ!」

「……ゆかり?」
大爆笑渦巻く中で、ただ一人ゆかりの様子を心配そうに見ていた夏樹が、
ゆかりの様子の変化に気づき、声を上げる。





「……私ね、今まで生きて来てこんなに人に笑われたのなんて初めて……」
「……そうか?  俺は何度かあるが……」
大爆笑の渦中にいる二人が、額を押さえながら立ち上がる。
どうやらプレイは続行できるようだ。
っていうか、これで試合続行不能になろうものなら、L学史上に残る爆笑の逸話になるが。
しかし、立ち上がった二人の様子がおかしいことに、すぐに皆気づくことになる。
「もう、やめよう?」
「奇遇だな。俺も同じこと考えてたわ。」

――試合放棄?

今まで爆笑を巻き起こしていた観衆の笑いがピタリと止まる。
「元々無理だったんだよな。お前と妥協してやってくなんて。」
「そう、最初から無理なのよね。あなたと馴れ合うなんて。」
二人の会話に不穏なものを感じ取る観衆。
まさかこんなことぐらいで棄権するのか?  と思わせる不穏な空気が。
「(ゆかり……)」
夏樹が拳を握る。
「(まさかよね、ゆかり。私を失望させないで……)」
そして、二人が口を開く。



「だって、所詮俺らは敵同士だしな。下手に取り繕ったって、上手くいくわけないし。」
「そうね。仲良く協力し合おうなんて、私達のガラじゃないしね。」



互いに笑いかけながら、そう言ってのける二人。
観衆が静まりかえる。
一体どういうことなのだろうと思いながら。
「んじゃ、俺は俺のペースでやるわ。お前はお前のペースでやったら。」
「いわれなくてもそのつもりよ!」
そして、二人定位置につく。
まるで憑き物が落ちたような顔つきで。
「主審さん、お待たせしました!  さ、続きをどうぞ!」
ゆかりの笑顔にハッとさせられる主審。

「……それじゃ、ゲームポイント3−0、川越組サーブから!」

たけるからサーブが放たれる。
観客は誰もが、たける組の3回戦進出を確信していた。
すでに3ゲーム差をつけて、しかもYOSSYとゆかりのコンビは断絶状態。
あとは、ヤケになった二人の馬鹿げた自爆劇で、時間のムダというべき一戦は終わるはずだった。

――ところが。





「ゲーム!  YOSSY、広瀬組、1−3!」
審判の宣告に、今まで気が抜けていた観衆達は、冷や水をかけられたように一気に目を見開いた。
それは対戦相手のたけると祐介にしても例外ではない。
なんとこのゲーム、たけるのサーブを全球一発リターンでポイントを奪い、あっという間に1ゲーム取り返したのだ。

そしてその勢いは、次のゲームでも全く止まる気配を見せない。
YOSSYのサーブは、さすがにサービスエースというわけにもいかず、祐介に返されるが、
今までとは見違えるようなリズム感溢れる動きで、YOSSYがボールをレシーブし、
少しでも甘いボールが来たら、すぐさまゆかりのボレーが餌食にしてしまう。

「……なら!」
祐介のショットは力がないが、確実に二人の真ん中に飛んでいる。
今までなら、お互い突っ込んでいきポイントを奪われた、いわば二人の弱点のコースだったのだが、
シュパンッ!
あっさりYOSSYがボールを譲りバックアップに回り、ゆかりの強烈なストロークで敵コートに撃ち込む。
再度二人の真ん中にボールを撃ち込むも、今度はYOSSYがスムーズにストロークを叩きこむ。

「ゲーム!  YOSSY、広瀬組、2−3!」



「ようやく、らしくなってきたよな、広瀬。」
「うん、やっぱりこうでなくちゃね!」
さっきの敵発言は一体何なんなんだとばかりに、先ほどとは打って変わって息の合ったプレイを展開する二人。





「なるほど、そういうことですか。」
面白そうに、とーるが呟く。
「だろうな……」
その言葉にXY−MENが続く。
「どういうことです、そういうことって?」
kosekiが率直な疑問を口にする。
「あ、koseki君はまだ転校して来て間もないですから、わからないでしょうね。」
珍しくイタズラっぽい笑みで応えるとーるに代わり、XY−MENが説明する。

「つまりコイツら二人って、何度も何度も勝負してきた宿敵≠セからだよ。」

「要するに、変に味方≠意識するよりも、いっそのことそれぞれ自由に振る舞ってた方が
アイツは何を考えているのか、アイツは何を狙っているのか、
かえってそっちのほうがわかりやすいみたいです、広瀬委員長とよっしーさんは。」
「ヨッシーとユカリの間には、ENEMYだのTEAMだの、あまりソーユーノ関係ないみたいデス!」
「はあ……、なんとなくわかるような……」
XY−MENにとーるにレミィの説明を受けて、なんとなくわかったかのように頷くkoseki。



おそらくYOSSYとゆかりの間には、同じような感覚があるのだろう。
なにも味方ぶって着飾らなくても、普段着のままでいい。
何故って、今まで、会った時からずっと、

互いの手の内の読み合い

こんなことばっかりやってきたんだから。
それに比べたら今の状況なんて、隣のアイツが何を企んでいるかくらい、はね。





「ゲーム!  YOSSY、広瀬組、3−3!」








                                                                       ……To  Be  Continued!


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『只今試合中により留守にしております(笑)』