リーフ学園学生寮Lメモ 「真夜中のアブナイスキンシップ」 投稿者:YOSSYFLAME




「さてと、これが女子寮に関するデータが入ったパソコンですねっ」
意気揚々と女子寮管理人室のパソコンの前に立つ、女子寮管理人・牧村南。
「えっと、これはどうやって………えとえと、これは……」
………悪戦苦闘。
「あ……広瀬さん……、すみませーんっ!」
「あ、牧村さん……何か疑問点でもありましたでしょうか?」
これから女優としての仕事に向かおうとしていた広瀬ゆかりを呼び止め、質問する南。
「ちょっとお聞きしたいんですけど、このフォーマット≠チて何なのでしょう?」
「フォーマット=c…初期化ですね。つまりこのデータを綺麗にお掃除するコマンドなんですが……」
「あ、わかりました。じゃ、お掃除しちゃいますっ」
「でも、このデータはきっちり出来てますからフォーマットの必要なんて……………………え?」





【このデータはフォーマットされました】





「……………………………うそ」
「広瀬さん、お掃除終わりましたっ。
さて、きれいにしたところで何からかかりましょうか?」
牧村南の欠点1、実はものすごいパソコン音痴。
欠点その2、実は意外とそそっかしい。
欠点その3、もっともタチが悪いケース。すなわち1と2の融合。
「……………えっと……………とりあえず、最初から全部やり直したほうが……………いいかと……………」

ともあれ、牧村南の女子寮管理人初のトラブルシューティングは、
膨大なデータをあらためて作り直すことから始まったのである。





「おわったっはぁ〜〜〜〜〜っ………」
ようやく全てのデータを把握し終わり、机に突っ伏す南。
悪戦苦闘の末、全っ然手も足も出なかった南。
幸い近くを通りがかった女子寮長のレミィにより、バックアップデータの存在を知らされるまでは。
なんとか再アップして、そして全てのデータを纏め上げ終わったときには、
もう時間は真夜中の2時を指していた。
「でも、無事に終わってよかった……」
誰もいない、しんとした女子寮玄関前。
そこに隣接する管理人室の中で、ゆったりと伸びをする南。
「ん………………っ!  ……………ふぅ」
人心地ついた後、なにか違和感に気づく。
「そういえば、まだお風呂に入ってなかったなぁ………」












――そのころ、リーフ学園男子寮の一室。

「ふっふっふ、管理人室の灯かりが消えたな」
まるで獲物を狙うハイエナのような眼で、女子寮を見据える一人の男の姿があった。
言うまでもなく男子寮の問題児の一人、YOSSYFLAMEである。
「今日はいろいろ雑用で、絶対に遅くなると思ってたんだが、案の定だったな………」
そう、今日のYOSSYの狙いは無論、女子新管理人・牧村南。
「相手があの%さんだからな。念には念を入れておかなくてはならないが……」
一瞬緊張をその顔に走らせるYOSSY。
何故かは知らぬが、この男は南に対し猛烈な苦手意識を持っている。
「……だけどぉ……」
YOSSYの顔が淫らに歪む。
この時間まで雑務をやっていたということは、既に南の精も根も尽き果てているはず。
まったく無防備な状態の南相手なら、もはや何をするのも自由自在。
「さてと、拝ませてもらおうかな……、……南さんのあられもない姿を」
刹那、YOSSYの姿が部屋から消えた。





「んしょ、んしょ………ここがあるんだよな………」
音もなく女子寮中庭に潜入したYOSSY。
少し壁をよじのぼり、人一人ようやく入れる程度の通風孔に辿り着く。
女子寮の浴場は、当たり前だが窓もきっちり閉まっていて、内側からブラインドもかけてある。
しかしながら、この通風孔だけは、ネジでとめただけの無防備状態になっているのである。
「霜月先輩が巡回で見つけてくれなかったら、気づかなかっただろうな……」
そう、多少高度にあるこの通風孔は、よほど目を凝らさないと、見つけることすら困難。
職権濫用の先輩に心中感謝し、YOSSYは通風孔のネジを一本一本外してゆく。
その時、







ぱっ、っと女子浴場の灯かりがつく。
「(を、いよいよおいでなさりましたね南女史………うふふふふふっ)」
ほくそ笑むYOSSY。
あせることはない、一般的に女性の入浴は長いから。
そう自分に言い聞かせ、逸る気持ちを懸命に押さえ、震える指でネジを取ってゆく。



ザァァァ…………ザバァァァァァッ………
ザァァァァ…………ザバァァァァァァァッ………



「(ごくっ………)」
窓越しに聞こえる、南の湯浴みの音。
慣れている覗きとはいえ、ここまで生々しい状況にはなかなかあえるものではない。
興奮のあまり手元が震えて、作業がままならぬYOSSY。



ざばぁ……っ………



「(よっし、ようやく湯船に入りなさったな。そうそう、まだまだ焦ることはない……)」
自分に言い聞かせながら、ネジを取ってゆくYOSSY。
「(しっかしネジ多いなこれ。ところどころ錆び付いてるし……ネジがバカになってなきゃいいけどな……)」
タチの悪い通風孔のネジを、文句を言いながらも丁寧に外してゆくYOSSY。



ガラガラガラッ………
「(ん?  まさかもうあがったのか……?  いや、違う……こんな時間に入浴者が……?)」



【あ……牧村さん、こんばんは……】
【その声は……広瀬さんですか?  どうしたんですか、こんな時間に】



「(広瀬?  そっか、まあ、あいつならこの時間に使うわな…………しっかし、これはタナボタかな?)」
カモがネギしょってきたような広瀬ゆかりの登場に、YOSSYの喉が期待で鳴る。



【私は、今まで仕事でしたから……】
【あ、そうでしたね。広瀬さん、女優さんもなさってましたよね】
【はい、それでこんな時間に……】
【いいんですよ。いつもお疲れさまです】
【あ……ありがとうございます……】



ザァァァッ…………ザバァァァァァ………
ザァァァァッ…………ザバァァァァァァァ………



「(うわぁ。しっかしいつ聞いても女の湯浴みってのは、イケナイ想像を駆り立てるよな……)」
南に続き、ゆかりの湯浴みの音を生で耳にし、鼻の奥がムズムズするような気分に襲われるYOSSY。
ガチャ……!
「(よっしゃ、開いた! 
そいじゃ、広瀬と南さんのあられもない姿、美味しく拝見させていただきますね……)」








「(しっかし狭いな……)」
通風孔を這いながら進むYOSSY。
しかしながら、意外に入り組んでいるその道は、なかなか苦労させてくれる。
「(また角まがらにゃならんのか……)」
げんなりしながらも、腰を曲げて角をまがりゆくYOSSY。
目標は光の向こうの楽園一つのみ。
ここまできたら。YOSSYの気も逸る。
そんな彼の耳に、再び誘惑の音色がこだました。


ざばっ………スタスタスタ………

【あっ……牧村さん……?】
【うふふ、広瀬さん。お背中お流ししますね】
【え、そんな、いえ、そんなことをしていただくわけには……】
【いいんですよ。遠慮なさらないでくださいな】
【え…っと……、……あ、ありがとうございます……】



「(っく………や、やべえ………、………南さん、なんつーことを………!)」
後頭部に思い切り血が上ってくるような気分に襲われ、鼻を押さえるYOSSY。
美女と美少女の艶姿での睦み合い。
ストライクゾーンど真ん中のシチュエーションに、YOSSYの衝動はボルテージ最大に。
「(これを見逃す手はねえ!  今こそ急げ俺の足!!)」
しかし、そんなYOSSYに容赦なく降り注ぐトドメの一撃が。






【ひゃんっ! ……………ま、牧村さん、なにを、っ…!?…………っくっ!】
【うふふふふ。広瀬さんの胸、おっきいんですね】






「(……………………!!……………………)」
紅の液体を迸らせ、暗い通風孔に突っ伏すYOSSY。
百戦錬磨の彼とはいえ、あまりに刺激が強すぎる光景だったのであろう。



【も、もう!  冗談はやめてくださいっ!】
【ごめんなさい。私も徹夜でちょっとなちゅらるはい≠ナ】
【もう……】
【でも、嬉しいです】
【……何がですか?】
【広瀬さんの真っ赤なお顔を見ることができて】
【ま、牧村さんっ!】







「(………なるほどね)」
首の後ろを手刀で軽く叩き止血しながら、YOSSYが合槌を打つ。
南がゆかりのうろたえ照れ顔を見られて嬉しいといったのは、別に彼女に百合の気があるとかじゃない。
要するに怜悧さを放つゆかりの雰囲気。
ともすれば壊れそうなガラスのような雰囲気を、南は彼女なりに気にかけていたのだろう。
それで、百合行為にも取られかねない行為までしても、確かめたかったのだろう。
その結果安心し、嬉しかったといったのだ。
とりあえず彼女が危惧していたよりは、ゆかりの精神は危うくないと。
「(ちゃんと考えてるじゃないの。あの人……)」
口元に笑みを漏らすYOSSY。
無論これだけで、到底人の全てがわかるなんてことはない。
でも、生徒を本気で心配している南の心遣いは、YOSSYにも伝わってきた。
そして、






【……牧村さん】
【はい?】
一瞬の沈黙、刹那。
【――ひゃっ!………っくっ!………広瀬さんっ、やめ……っ!】
【純真な生徒をからかったお返しですっ!】
【ごめんなさいごめんなさい広瀬さんっ、謝りますからだからもう許して…………っあぅ!】

ゆかりにも伝わってるだろう。南の何気ない優しさが。











「(………って、いい加減にしやがれやあんたらぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!)」
YOSSYFLAME、鮮血のリミットブレイク。
「(年頃の女が二人きりで湯船でじゃれあいやがってからになんて美味しいシチュエーション!!
もうガマンならねえ!!  いっただっきまーーーーーーーーーーーーーーーーーーっす!!!)」



ごんっ。



「っ痛えな!  なんだこりゃ一体!?
あ?  通風孔にこんなワニの置物なんか置いて、なに考えてやがるんだ女子寮はいった………」





しゃーっ。





「……………わに?」













――翌日。

「牧村さん、おはようございます」
「おはようございます、来栖川さん」
今日もL学に出勤する南に、来栖川綾香が声をかける。
「ありげーたーの件に関しては、無理いってすみません。ご迷惑じゃなかったですか?」
「とんでもないです。迷惑だなんて。
女子浴場の通風孔は、二重三重に鉄柵を敷いて、絶対にお風呂に入らないようにしてますし、
あれで結構、魔除けになるんですよ。来栖川さんから預かったワニさん」
「……なるほど、魔除けですか」
口元から笑みがこぼれる綾香。彼女も大方の想像はできているのだろう。
「ええ、あのコのおかげで誰も通風孔から覗きにくる人もいなくて、平和そのものですし」
「そうですよね。あれで尚忍び込むヤツがいたら、度し難いバカですよね」

「……悪かったな」
「え?………って、誰あんた?」
何時の間にか綾香の横を通りすぎて行くミイラが一体。
「(……誰でもいいだろうが、まったく)」
表情を出すこともなく、そのミイラは淡々と歩き続ける。





「おはようございます」
ミイラの目の前で映える、朝の南の眩しい笑顔。
「……おはようございます……」
ミイラのたどたどしい挨拶は、決して包帯のせいだけではない。
「あの、お怪我は大丈夫ですか?」
南の瞳。
本気で心配してくれるその瞳。
「あ、大丈夫です。……ある意味自業自得の部分もありますし」
包帯の奥で懸命に笑おうとしてるミイラ。
「そうですか……、でも、ご無理はなさらないでくださいね」
無垢な微笑み。
そんな笑顔を見るたびに、胸に去来する暖かい感情と共に、ミイラは思うのだ。

やっぱり俺は、この人が苦手だと。










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こんにちは、YOSSYFLAMEです。

寮L、南さん寮生活第二弾、あげました。
今後ももっと、南さんをはじめ、寮を多くの人に関わらせたいと思っていますので、
みなさまよろしくお願いいたします。
テニスLやその他たまってるLメモも、なんとか書き上げますので、
こちらのほうも、よろしくお願いいたします。



では、失礼いたします。