Lメモシャッフル! 「キオスクの駅のソバ」 投稿者:YOSSYFLAME


「主人、かけそばを一杯所望したいのだが」
「うきゅー」

  べちゃ。

  端正なその面差しに鼠色の玉が浴びせかかる。
「かけそば一丁あがりですー」
「ほぅ……」
  ギラリ。
  眼鏡の奥の鋭利な眼が、より一層妖しく光る。
「……なら肉ソバを一杯所望したいのだが」
「うきゅー」
  ほのぼのとした返事と共に飛んできたのは黒き肉塊!
「馬鹿めが!我輩にはお見通しだ!!」
  刹那、青年は飛びすさる!
「真の強さを見せてやる!  ハアアアァァァァァァァーーーーーーーーーーッ……」
「うきゅ?」
「必殺・やおい本バリアーーーーーーーーーー!!」
「うきゅーーーーーーーーーーーーっ!!」
  ある一部の階層を除きほとんど100%蛇蝎の如く嫌われる禁断の書物をも武器に!
  どしゃあっ!!
  さしもの邪悪小僧をもこれにはたまらず撃墜される!
  むぎゅ。

「さて、主人を何処へ監禁した」
「今日はあるばいとですー」
「貴様の都合など聞いとらん。主人は何処だと聞いている」
「大志ぃ、上だあああああああぁぁぁぁ!!!」
「何っ!?」
  大志が見上げたその瞬間、狂気の爪が襲いかかる!
  ブシャアアアアアアッ!!
  肩口を抉られしも笑みを消さず、ゾクリとする妖艶な唇を大志は開き。
「……ほぅ、貴様……」





「……はじめまして、葛田玖逗屋です……」





「……ダーク13使徒筆頭使徒が、こんな場末の蕎麦屋を乗っ取るとはな。何が狙い
だ?」
「……フフ、とりあえずお茶でも……」
  大志の笑みに葛田は茶を投げ返事の代わりとし。
「ふん……なかなか上質な茶を使ってるな。貴様等に乗っ取られたこの蕎麦屋は」
「……それは誤解というもの。ここはれっきとした僕の店です……」
  煮えた茶を一息に飲みきり嘯く大志に、葛田はさらりと言い流す。
「貴様の店だと?  初耳だな、貴様が店持ちだったとは」
「……初耳?  僕は自己紹介しましたよ。よくよく読んでみてくださいな……」
「おお、真に」
  一段上御参照願います。
「まあせっかく来たことだし。ところで葛田、ここはどういう店なのだ?」
「……葛田玖逗屋でございます……」
「そうか。じゃあとりあえず月見ソバ2丁。和樹も食するだろう?気にするな。貴様の
奢りだ」
「……承知いたしました……」
「お前なあ……」
  大志の好意に何故か頬をひくつかせてる和樹。今日は何故か髪を逆立て頬を腫らし。
「ところで和樹よ。寝癖で歩くとはエチケットに欠けるな」
「……由宇と詠美に無理矢理モデルやらされてんだよ。仕方ないだろ……」
「二股の代償だな。頬の腫れが引くまで反省するがよいわ」
「この頬は五月雨堂の店主にやられたんだよ……」
「そうか。まあ精進することだな」
「……少しは経緯を聞いてくれよ、お前……」



「……どうぞ」
「おお、月島女史」
  何故か和風の制服に身を包みウェイトレスをしている瑠璃子が目の前に。
「ごゆっくり御覧になってください……」
  そういいつつ大志の横にちょこんと座る瑠璃子の姿。
「あの、月島さん、どうしたんですか?」
「それはそうとただのかけそばではないか。我輩は月見ソバを頼んだはずだが?」
「……はい。ですからごゆっくり御覧になってください」

「…………成程」
「…………なるほど、ね」
  和樹は髪を逆立て、大志のメガネは乱反射。
「店主。肉ソバ一つ」
「うきゅー」
  のたーっとした声と共に飛んでくる黒い肉塊!
「ワンパターンは飽き飽きやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
  ――す、ぱ、あぁんっ!

「うきゅー」
  どんがらがっちゃん。
  和樹怒りの変則アッパーが非常に小型で丸っこい水野響28号さんの体を吹き飛ばす。
  ついでに厨房もしっちゃかめっちゃかに。
「……ひどいじゃないですか。弁償してもらいますからね……」
「ほぉ」
  怒りを露の葛田を前に、何故か大志の余裕の笑み。
「……な、何ですか。僕は怒ってるんですからね……」
「――この茶なんだがな……」
  大志の台詞に葛田の顔色が一気に蒼ざめる。
「こんな店にしては妙に上質なのだがなぁ……仕入先はどこだ?」
「……し、仕入先って………第二購買部ですよっ………」
「ほぅ。道理で俺のお気にの茶葉が見当たらないと思った」



「どっ!?どどどどどどどど導師ぃっ!!?」
「おーハイドラントと来栖川。どうした二人して、レゲエのペアルックか?」
  髪が鼠のペアカットハイドラント&綾香を見、大志が爽やかに笑いかける。
「お前が店をやってるのを見たからちょっと寄ってみたんだがな……」
「葛田………とっても美味しいかけそば有り難う。ぜひお礼がしたいんだけど」
「筆頭使徒だったよしみで葛田、遺言くらいは聞いてやる」
「……そ、そ……」
「そ?」










「……ソバなだけにいつもソバに。………ぷぷっ……!」
  ぷちっ。














『当店は本日付で閉店いたしました。長い間ご愛顧誠にありがとうございました。
―――店主』





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申し訳ありません。m(_)m


「九品仏大志」「食堂」「アルバイト」のシャッフルを書かせていただきました。
XY−MENさん、待たせに待たせてその挙句がこんな謎Lでなんだかですが
楽しい機会を与えてくださりましてありがとうございます。
またこのような機会がございましたら、誘っていただけると喜んでシッポ振りますので(笑

では、失礼いたします