Lメモ/VSアフロ 「刈る者刈られる者」 投稿者:YOSSYFLAME
「zzz・・・zzz・・・」

草木も眠る丑三つ時。
何もかもが眠りに就いている試立リーフ学園。
その校舎でただ一個所、人がいる事を示す明かり。
学園音楽室。
多分休憩しているうちに眠ってしまったんだろう。
壁にもたれて、静かな寝息を立てている少女。
新進気鋭の女優にして、リーフ学園風紀委員長、広瀬ゆかり。
PS版『To  Heart』ではついにそのか細い存在感は抹消されてしまったが、
この世界ではますます隆盛を誇っている彼女。
今、その彼女に未曾有の危機が迫っていた。
音楽室に忍び込む影。
何の苦もなく目標に接近する事に成功する。
何のことはない。
目標は全く無警戒で心地よい眠りについているのだから。
「(うふふふふ、おバカさん・・・!  これで”女優・広瀬ゆかり”も終わりよっ!)」
呟くや否やその腕が恐るべきスピードで振り下ろされる!

ビリビリビリビリーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!

「!!、・・・え?  え?  どういうこと!?」
その間を全く与えぬままで、
「はああぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっっ!!!」
ずががががががががががががががががががががががが!!!  どっぎゃーーーーーーーん!
どしゃあ!
亜音速の拳の弾幕をもろに食らって壁に叩き付けられる”襲撃者”。
「ば、馬鹿な・・・どうして・・・!?」

「だって私、女優だもの〜〜〜、むにゃむにゃ・・・zzz・・・」

さっきまでの凄まじい攻撃が嘘のような彼女の寝言を聞き、たまらない喪失感に襲われた襲撃者、
「な、な、な、なんなのよこの子はーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!」







「Lメモ/VSアフロ 『刈る者刈られる者』」






「デ、このような目にあって帰ってきたわけデスネ〜?」
学園の未開地、アフロ同盟部室。
そう、昨夜の襲撃者である緒方理奈と、アフロ同盟主宰のTaSが、なにやら密談を繰り広げていた。
「そうなのよ!
昨日だって、あの小娘の頭に接着剤つけたアフロかぶせて脱げないようにして写真とって
恥ずかしくて女優なんてやってられないような目にあわせてやろうと思ったのに〜〜〜!」

なんて恐ろしい事を考える女だ緒方理奈。

「よりにもよってあの小娘、
寝ぼけた拍子にアフロびりびりに破って私に拳の弾幕食らわせるんだから〜〜〜〜!!」
怒りに打ち震えている理奈に穏やかに応対するTaS。
「あのヒトはなんか理解に苦しむリアクションをするトキがありまスカラ〜」

アンタにいわれたかないものだ。

「なーーーーーーーにをのんきな事を言ってるの!  アフロを汚されたのよ!  
悔しくないの!?  復讐とかは考えないの!?」
いきりたってる理奈に、しかしながら余裕の笑みを浮かべるTaS。
「――フ。ご心配には及びまセンよ、既にプランはできていマス。」
「え?  ホントにあの小娘をぎゃふんといわせる(死語(笑))方法があるの!?」
「エエ、アナタのカリスマを最大限に生かせば、きっとその願いが叶う事でショウ。」
「で、その方法は!?」
「――タダシ!!」
突如鬼気迫るTaSの威圧感に思わず気圧される理奈。

「アナタがアフロに魂を捧げるというのなら――。」

緒方理奈にとって、それはあまりにも辛い選択だった。
幼い時より、一心不乱にアイドルへの道を勇猛邁進してきた理奈。
清純派アイドルとして、若きシンガーとして、血の滲むような思いをしてきた理奈。
その自分がアフロに魂を売るなんて――。

しかし、ある過去の忌まわしい出来事が、彼女の悪魔の道への一押しとなった。
そう、昼時の人気テレビ『笑っちまいなハッハー!!』にゲスト出演していた広瀬ゆかりが、友達の紹介に入った時、
まさか、彼女が紹介したのが自分でも、また、ライバルの森川由綺でもなく、
よりにもよって、”由綺のマネージャー・篠塚弥生”を紹介したということ。
そのあまりに忌々しい思い出が頭によぎった時、
彼女は――!

「――やるわ!  あの小娘に目にもの見せられるのなら、私は悪魔にだって魂を売ってやるっ!!」

「・・・別にアフロは悪魔じゃないんデスガ・・・」
少しだけ寂しそうなTaSの呟きも、当然理奈には聞こえない。



――数日後、某大通りショッピング街。

「あのー、広瀬ゆかりさんですか?  よければサインをお願いしたいんですが・・・」
オフの日に、久々にショッピングに繰り出した、黒革ジャンに白いTシャツ、G短パン姿のゆかり。
そんな彼女の後ろから、ファンらしき人が声をかけてきた。
サングラスをかけて、一見自分だとわからないようにして出かける、芸能人お決まりのスタイル。
それでも、わかる人はわかるもので、たまに声なんかをかけてくるファンもいる。
まあ、あまり大声で馬鹿みたいに騒ぐ非常識なファンでもない限り、
普通に(その方が目立たないから)サインを書いたり、握手したりする。
意外にファンを大切にするゆかりではある。
今声をかけてきたファンも、ごく普通の良識をもったファンのようなので、
「はいっ、ちょっと待っててくださいねっ♪」
と、後ろを振り返る。

――ただ一ヶ所、ハイパーアフロの軍団であること以外は。

「ひっ・・・!」
思わず振り返った首を、また元に戻してしまう。
と、
「い・・・、いやあああぁぁぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!」
なんと目の前にもアフロの軍団が。しかも一斉にゆかりを注視しているではないか。
「ど〜したんですか〜?  ゆかりさ〜ん?」
さっきまでの雰囲気はどこへやら、一転、おどろおどろしい空気を漂わせ、ゆかりに迫るアフロ軍団。
顔を真っ青に染め、きびすを返してこの場から逃げ出すゆかり。
しかし、彼らは所々に待ち伏せしていたりして、一向にアフロの恐怖は去らない。
「いやぁっ!  来ないでっ、おねがいっ!」
とにかく、何が何だかわからないが、アフロ軍団から必死で逃げるゆかり。
そんな彼女に一筋の光明が射しかかった。
「あっ!  理奈先生!  助けてくださいっ!  そ、そこにアフロの軍団がっ!!」
と、これまた偶然買い物に来ていた緒方理奈に助けを求めるゆかり。
「どうしたの広瀬さん!?  顔色真っ青だし、・・・可哀相に、こんなに震えて・・・」
アフロの恐怖に震えるゆかりを、優しくなだめる理奈。
「で、本当にどうしたの広瀬さん?」
「アフロが、アフロの軍団が私に襲いかかってくるんですっ!」
少しは落ち着いたものの、まだ立ち直ってなく、震える声で訴えるゆかり。
そんなゆかりに理奈は優しく、
「そう、そのアフロって――







「こぉんなアフロだったかしらぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ
ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ
ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ
ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」







「ひいいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ!、・・・はうっ。」

珍しく帽子をかぶっていた理奈のその帽子の中には、こんもりと茂ったハイパーアフロが。
「あ〜ら、可哀相に、あまりのショックに泡吹いて気絶しちゃったわ。」
そこには、失神してしまったゆかりを慈愛の瞳で見つめながら、優しく抱きとめるアフロ理奈の姿があった。

その後、広瀬ゆかりはショックのあまり熱を出して寝込んでしまった。
見舞いに行った藍原瑞穂の話によると、「アフロ怖いアフロ怖い。」と始終うなされているそうだ。
そして、みごと一矢報いた緒方理奈とサポーター・アフロ同盟のつながりがその後どうなったかは、
・・・誰も知るものはいない。



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どおもお、YOSSYです。

えと、ここでは一応、理奈さまの溜飲を下げさせてあげました。
まあ気の毒だが許せ広瀬(げしっ!!<蹴られた)
ま、ホントはどっちでもいいんですが、反対派の更なる躍進を祈って、

賛成派とさせていただきます(爆)

さあ、理奈先生をアフロの間の手から救いたければ、反対派のみなさま、さっそくキーボードにごー!(笑)
それではこのへんで失礼いたします。m(_)m

(あ、そだ、大通りのアフロ軍団、理奈先生のとりまきですんで、参考までに(笑))