Lメモ突発企画 第二章 「密約――暗躍する裏生徒会――」  投稿者:YOSSYFLAME
「ふむ、テニス大会か……。」

「会長、どうでしょうか?」
会長と呼ばれた男と向かい合って意見を提案する香奈子。
「いいんじゃないか?  学園のイベントとしては見た目はいいだろう。」
「月島会長……!」
一見穏やかな顔に笑みを浮かべ、香奈子の意見を採用する。
暗躍生徒会会長・月島拓也。
類まれな知識と応用力を兼ね備える、まさに”天才”の名にふさわしい男。
だが、その才能をどーゆーわけかロクなことに使わないのが一般生徒の悩みの種ではあるのだが。
「…だが、手落ちがあるな。」
「!……手落ち、ですか?」
その穏やかな風貌を崩すことなく言ってのける。
「会長、手落ちとは具体的に?」
思案顔になる香奈子の横に控えていた健やかが拓也に向かって理由を尋ねる。
「この企画には――。」
「エサがないんだよ、すこちゃん。」
さっきまで寝ていたに違いない、
ついさっきまで本当にそう思っていた男・Runeがいきなりズバリと言ってのけた。
「この学園の生徒、特にSS使いクラスってのは、なかなか食えない奴等だからな、
エサの1つや2つくらい釣り下げとかないとなかなか寄ってこないぜ。」
「優勝賞品を出す必要があるということね?」
「そーゆーこと。」
「でも、一体何を賞品にすればいいの?」
続けて尋ねる香奈子。
彼女の危惧ももっともな話で、この学園の一部の生徒(SS使いなど)は、妙に自活能力のある連中が多い。
第二購買部を始めとして、工作部、情報特捜部…。
また、このような企画に金銭を受け取ることを潔しとしない連中も多い。
「そういうわけで、賞金は無理なわけだが、他に何かないか?」
「何でも願いを聞いてあげるとか…。」
傍らでいかにも目立たないようにして座っていた、暗躍生徒会顧問・七瀬彰が口を開く。
「うん、それはいいな、そうしよう。」
採用。
「…ルーン君。」
「なんだい、会長?」
「言っておくが、『よーし、願いを”聞いてやったぞ”』ってのは多分バレバレだと思うぞ。」
…………。
「そうだねえ、ウチがそういうことを言うと、いかにも胡散臭さ爆発だしねえ。」
「健やか先輩、仮にも身内をそこまで言いますか。」
……………。
「えっと…。」
今まで沈黙を保っていた暗躍の少女が遠慮がちに口を開く。
その少女、名を月島瑠香という。

「温泉旅行とかどうでしょうか…。楽しそうですし…。」

少しその可愛げな容貌を赤く染めて、小声で話す瑠香。
傍らで大いびきをかいて寝ている彼女の相棒にわずかばかりの視線を向けながら。
「ふむ…。」
「へー…。」
「なるほど…。」
「そうねえ…。」

「うん、いいねそれは。」
拓也が頷く。
「何よりこの学園の生徒は愛に燃えているからね、考え様によってはこれ以上ない賞品だな。」
「そうですね、会長!(そうよ!会長と組んで温泉旅行はいただきだわ!)」
香奈子が何故か嬉しそうな顔で同意する。
「太田君もわかってくれたか!(ふふ、瑠璃子と組んで温泉旅行…、いけるな。)」
そんな彼女にこれまた優しい顔を向ける拓也。
「で、るーちゃん。」
「何だいすこちゃん。」
「旅行のお金、誰が出すの?」
………………。
……………………………。
…………………………………………。
「ウチが出すんだったら、賞品にしてもウチのメリットないよ。」
錐のように鋭い健やかのツッコミに硬直する香奈子だが、拓也は相変わらず別の世界へ旅立っている。
「会長、どうします?」
「……。…はっ!  
ふ、心配はいらないよ。ルーン君、考えてるんだろ?  
こんな行事を何故わざわざ我が暗躍生徒会が主催するかをさ。」
「ほー、何のことだか。」
「ふん、まあいい、
さて、瑠香君。そこで寝ている君の相棒を叩き起こして、早速この旨掲示してくれないか?」
「…は、はい!」
自分の案が採用された喜びからか、普段よりギアを一段上げたような感じで頷く瑠香。
「ハイウェイトさん、起きてください、お仕事ですよ、お仕事♪」

「さて、僕は校長室に行ってくるよ。太田君、計画書を持って千鶴校長を説得しにいこうか。」
「は、はい!」



かくして、『暗躍生徒会主催・男女混合テニス大会、

            優勝賞品:ペアで鶴来屋温泉郷二泊三日の旅』

という掲示が校内の各集会場所や廊下に掲示された。



「…暗躍生徒会…、何を企んでるか知らないが、その企み、徒労に終わらせてやる。
ぼくとマルチが何のために参加表明をしたのか、薄々は気づいているだろ?  月島、そしてルーン…。」
静かな闘志宿る瞳で掲示を見つめるセリス。
「…。さて…。」
口元に薄い笑みを浮かべそのまま立ち去るハイドラント。
「…温泉旅行か…、琴音ちゃんと行きたいんだけどなぁ〜、どうしようかなあ〜?」
淡い恋を一歩でも前進させるきっかけになればと、彼女を誘う勇気を貯える東西。

その他のまだ見ぬ戦士達も、それぞれの思いを、この掲示を見て抱いていた。

「るーちゃん?」
「なに?」
「よく千鶴先生がスポンサーになってくれたね〜。」
「別に驚くことはないさ、なあ太田委員。」
「そうね。会長があんなことを考えていたなんてね。」
「どういうこと?」
いまいち事情がつかめない健やかに向かって、めったに向けない悪戯っ子のような顔つきで笑いかけるルーン。
「鶴来屋サイドからも選手を出してくるんだろ? 太田委員。」
「ええ、千鶴先生、うきうきして私たちの提案を受けていたわね。」
「ねー、だからあ〜」
「要するに賭けをしたんだよ、自分達と千鶴教師はね。すこちゃん。」
「賭け?」
「そ、優勝賞品のスポンサーになってくれる代わりに、もし鶴来屋サイドの連中が優勝したら…」
「優勝したら?」
「観光シーズン真っ盛りの時に自分達全員一週間ただ働き。」
「え〜〜〜?」
いかにも嫌そうな顔をした健やかに、しかしながら平静そのままの顔で、
「賭けって言ったろ?」
「あ…。」
「もし、自分達暗躍生徒会の刺客が優勝をさらったら――」



  ――とりあえずは、この学園がもっと面白くはなるわな――



薄く笑みを浮かべるRuneと香奈子を見て、やっぱりな展開になってきたなと、
健やかは、にこにこしながら思っていた。


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どおもお、YOSSYです。

すみません、優勝賞品に関して、全然頭がまわらなくて、申し訳ありませんでした。
この場を借りてみなさまにお詫び申し上げます。
本文でも出てましたが、優勝賞品は、

『鶴来屋温泉郷二泊三日の蜜月(をひ)旅行』です(^^)

で、本文にも書いてありますとおり、裏ではこのような事情があったのですよ(笑)
純粋な大会参加の他にも、鶴来屋派(千鶴派)に協力して働きたいという方もどうぞ。
もちろん暗躍生徒会の文字どおり暗躍に賛同して刺客を名乗り出たい人も、どんどんアピールしちゃってください。
セリスさんみたいに、企みを阻止するために参加表明ってのもいいですし、
何か企んでいるハイドさんに与して13使徒派で出るのも結構です。
もちろん東西さんのように、純粋にテニスをパートナーと楽しみたいってのも大歓迎です。
温泉旅行でパートナーといちゃいちゃめざして猛進って人もどんどんどうぞ!

えっと、参加表明Lの他にも、練習Lなども時間とネタが十分ならば遠慮なくお願いします。
それだけこの企画が潤いますんで、喜んで歓迎させていただきます。

あと、ハイドさんのように、他薦もOKです。
ただ、自薦と他薦がぶつかっちゃった場合、自薦で選んだパートナーが優先されます。

今の時点で参加表明Lを書いてくださったセリスさん、ハイドラントさん、東西さん。
本当にありがとうございます。m(_)m
まだまだ募集してますので、参加表明、お待ちいたしております。m(_)m

では、失礼します。