Lメモ・学園男女混合テニス大会! 第5章 「エンプティー?」  投稿者:YOSSYFLAME

「くっ…!」
唸るトリプルG。
無理もない。
ゲームポイント、4−5、と、マッチポイントをXY−MEN、レディーY組に握られた上、

ぱこーんっ。

「(魔力切れかっ…!)」
彼の最大の技、魔術をラケットに纏わせ威力を倍増させる技は、これで使えなくなった。
「はっはっはぁ!  パワー切れかぁ!?  残念だったなあ!」

しゅぱぁぁぁぁぁん!

まだまだ体力が有り余っているXY−MENのリターンがコートに突き刺さる。
「0−15!」
「くううっ…!」
審判の無情な声が響く中、ただ唸ることだけしか出来ないトリプルG。
どうしてだ?
何故奴はそこまで動ける?

すぱあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!
「0−30!」

「しゃあ!」
XY−MENの咆哮がやけに耳障りだ。
どうする?
どうすればいい?
ここまでやってきたのに!
これで俺は終わりなのか!?



そっ…



「…芹香さん。」
そっと、優しく彼の手を包み込むように握る芹香。
その表情は相も変わらず無表情なれど、
その瞳はまるで慈母のように、しかしながら同情じゃない、激励、励ましの瞳。

”あなたは、まだ頑張れます”と。
”頑張ってください。私がそばにいます”と。

「…ありがとう。」
そう言って立ち上がったトリプルG。
さっきまでの彼とはまるで別人。
「…へえ?  まだやれるのか、…そうこなくちゃなあ!」
殺したと思った獲物の意外な復活に、意外に喜ぶXY−MEN。
「(さて、このスコアから逆転するには…、あれしかないな。)」
自分だけに聞こえるように呟き、
「芹香さん、お願いします。」
そのセリフだけで十分だったのだろう。こくん、と小さく、しかしながら力強く頷く芹香。
「行くぜ!」
トリプルGの中に内在してあった魔力が沸き上がる!
「りゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
凄まじき咆哮を轟かせ叫ぶ!
その瞬間、彼の体から一筋の魔力帯がものすごい勢いで上昇する!

ゴゴゴゴゴ……

「何!?」
さっき通り雨が降ってきたコートであるが、再び雷曇が空一面を覆いはじめた。
「また雨かよ!?」
「…ククク、心配することはないさ、これは俺の作りだした人工雷雲だからなぁ!!」

ピカッ!

雷が何処かに落ちた時、トリプルGの体が宙に浮き、戦闘BGMが何処からか高らかに鳴り始めた。
「芹香先輩っ!」
…こくんっ!
芹香のサーブ!  それは綺麗な軌道を描き――

「な?  こんな撃ちやすいサーブだと!?」
あまりの絶好球にうろたえるXY−MEN。
「(何かあるんじゃないか?)」
「…構いません、そのまま!」
「あ、ああ!」
レディーYの助言で吹っ切れたか、
「じゃあ、この一撃で止めを刺してやらあ!」

しゅぱぁぁんっ!

XY−MENの洗練されたリターンが襲いかかる!
「馬鹿が!」
そう吐き捨てるや否や、トリプルGの右腕に膨大な魔力渦が!
「必殺!  縦一文字斬り!」



すぱぁぁぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーんっ!



トリプルGの執念の一撃は、はるか空高く舞い上がり――
「…確かにすごい一撃だが、ワクにはいらないんじゃな…!」



どすっ!



「…な、き、急降下だと…!?」
…どしゃっ!
驚愕に目を見開き倒れ伏すXY−MEN。
そう。
彼の渾身の一撃ははるか空高く舞い上がり――



――獲物を狙うかのごとく急降下し、XY−MENの鳩尾に突き刺さった。



「な…なんとかうまくいった…」
憔悴しきったトリプルG。
これで、仕留めたはずだ。
ゲームカウントでリードされていた以上、最早自分には余力が残ってない以上、
最大の必殺技での一発KOしか逆転勝利への道はない。
もう自分はすべてを出しきった。
これで彼に立たれたら、もう――










おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!



『た、立ち上がったぁ!  あれほどの弾丸ライナーを直接鳩尾で受けながらも
ふらふらになりながらも立ち上がった!  XY−MEN選手!』
コートに座りながら、トリプルGは、目の前の”勝利者”に賞賛の言葉を投げかけた。
「よくあれを食らって立てましたね…」
「あのな、なんちゅう強烈な一撃を叩き込むかなお前は。
ま、下からえぐるように食らっちまったら、俺でも駄目だったかもしれないな。」
話をするのも辛いらしく、ポール(鉄柱)によりかかって震える声で話すXY−MEN。
「そうですか…
テニスのルールに縛られてしまった。最後の最後に。これが敗因だったんですね。」
すっきりした笑顔を見せ、手を差し出すトリプルG。
「俺達の…負けです。」
「いいのか?  俺だって既に満身創痍だが?」
撤回してはどうかというXY−MENの言葉に、ただ、彼は黙って手を差し出すだけだった。



「芹香さん、ごめんなさい。」
座りながら芹香に詫びるトリプルG。
そんな彼の頭を抱きしめ、芹香はただ無言でいた。



      XY−MEN×レディー・Y組…2回戦進出!
      トリプルG×来栖川芹香組…1回戦敗退。



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どおもお、YOSSYです。

ゆかり:こんにちは、広瀬ゆかりです!
よっし:さて、第5章でした!
ゆかり:この試合の見所は?
よっし:こういう形の対戦があってもいいかなって思ったね。
        ふだんだったらまず対戦しない二人だもん。
ゆかり:そうねえ。それがこのLの長所って言えば長所よね。
よっし:そゆこと。
ゆかり:そういえば、昂河くんとOLH先輩の試合書く予定じゃなかったの?(じと〜)
よっし:(ぎく^^;)まあ、それは次ってことで。
        で、その試合も含めて、ディアルト×Dマルチ組vsシッポ×澤倉美咲組、  
        もしかしたら、マジカルティーナ×佐藤ポチvs幻八×ティリア・フレイ戦も入れるかも。
ゆかり:そういうことなので、期待しないで待っていてください。なにせコイツの言うことですから(礼)
よっし:やかましい(汗)。


トリプルGさん、XY−MENさん、今大会へのご参加ありがとうございました。m(_)m